時間の経過とともに機能が複雑化する環境で肥大化をどう防ぐか

司会者:ありがとうございます。それでは現時点で質問が4つほどきているので、質問に答えてもらいつつ、少し対談を進めてもらえればと思います。

曽根原春樹氏(以下、曽根原):わかりました。じゃあ読みますね。その後ラディカさんに訳しますので、ちょっとお待ちください。

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)確かにノーコード・ローコードツールの場合は、たくさんのユーザーさんが使いやすさを魅力的に感じて(いて)、我々プロダクトサイドもついついそのプロダクトの機能をたくさん乗っけたがってしまうところがあります。

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)だからこそ、あれやこれやサポートしたくなる気持ちはよくわかりますが、そういう時こそぜひプロダクトを作る規律を持ってほしいんですね。

この規律がなにかというと、その機能を使ってくれるユーザーさんのある種のTAM(Total Available Market)みたいなものです。ユーザーリサーチをすることによって、各セグメントのユーザー共通に興味を持ってくれる機能がどれぐらいあるか。

90パーセントなり95パーセントなり、多様なペルソナが使ってもらえるポテンシャルがあるものを、ユーザーリサーチでユーザーが言ってくれるのかどうかはわかりません。もしくはプロダクトサイドでそれを抽出するのかもしれません。それはまさにプロダクトマネージャーの抽象化の腕の見せどころかもしれません。

ですが、いかにして1つの機能で多くのTAMをカバーできるかという観点で、ぜひ見直してもらうのがいいかなと。そういう規律をプロダクトのチームの中で持つことが重要だと思います。

(ダット氏 話す)

曽根原:今、ラディカさんはAmazonの例を使って説明しようとしています。Amazonは当然エンドユーザーもいるし、その商品を売ろうとする、いわゆる売り手側の人たちもいます。ですが、Amazonはプロダクトの中でくっきりとこの2者を分けているという状況があります。

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)ここで大事になってくるのが戦略です。つまり、どちらのユーザーさんに我々は力を入れるのかという、ある種の戦略的な決断になります。その選んだユーザーさんのpainはなんなのかということの深掘りになります。

BtoBプロダクトにおけるwhoの定義

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)ビジョンの中で語られるwhoに関して言うと、例えばその消費者も、なおかつ商品を提供するmerchantもそうです。しかし、戦略の部分でははっきりと線を引きましょうということです。

BtoGで意思決定者とユーザーが異なる場合に注意すること

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)最初に考えることは、リアル・ペイン・ポイントを抱えているユーザーさんって誰かをはっきりさせることです。

(ダット氏 話す)

曽根原:今(ラディカさんが)お話されたのは、例えば行政側とユーザー側でまったく違うペルソナなんですが、結局そのプロダクトを使ってもらう時には、行政サイドも市民のために使ってもらうことになりますよね。

ということで、行政サイドも結局はそのプロダクトにアダプト、つまり慣れていくというか、そのプロダクトを使いこなしていく状況が発生するわけです。

(ダット氏 話す)

曽根原:ということで、(ラディカさんによると)1度に作ろうとするとやはり総花的な話になってしまうので、やはりプライオリティとしてdecisionを決めなきゃいけないわけなんですよね。

当然、そこで大事な観点としてはsurvival、生き残りのために、まずはどのニーズを満たしにいかなきゃいけないのかという話です。ただ、あくまでそれは戦略的な順番であって、ビジョンとして無視するわけではありません。

なにかをする時に、潤沢なリソースがあればいっぺんにできるのかもしれませんがそうではないので、そこはもうプロダクトの戦略と意思決定の話になってきます。

100人単位のプロダクトマネジャーにおける推進・役割

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)プロダクトマネージャーがたくさんいる状況の話ですが、一人ひとりのプロダクトマネージャーが本当にバラバラになにかを作っているわけではありません。例えばLinkedInの中にも、事業部と言ってもいいと思いますが、各ビジネスユニットは存在します。

各プロダクトマネージャーは、各事業部に所属しています。例えばLinkedInの場合だと、BtoCのプロダクトもあるし、BtoBのプロダクトもあります。BtoBのプロダクトの中にも、例えばマーケター向け、営業向け、カスタマーサポート向け、リクルーター向けのプロダクトがあったりするわけですね。

当然、営業向けプロダクトを使っている人たちは、BtoCプロダクトには携わりません。なのでそれぞれのドメインというのは存在していて、なおかつ、それぞれのドメインでプロダクトのリーダーシップを取っている人たちがいて、その人たちがある種の整合性を取っている状況は存在します。

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)これは次の質問にも絡んできますが、やはり会社全体、LinkedIn全体としてもプロダクトビジョンは存在するし、各BU(Business Unit)で考えているビジョンも存在します。ただし、各BUが考えているビジョンが会社のビジョンにしっかり接続性があるというか、ちゃんとつながっているかということに関しては、もうシビアに議論があります。

大きなプロダクトであればあるほど、最上位のプロダクトビジョンと、各フィーチャーごととか事業単位でビジョンが存在するというのは普通にあります。

(ダット氏 話す)

曽根原:ということで、(ラディカさんによると)必ずプロダクトを作る時に、自分の所属しているチームのビジョンもさることながら、それが最終的に会社が目指しているビジョンとどうコネクトしているのかに対する自分の中の腹落ち。これがやはりプロダクトを作る時にすごく重要な話だということです。

良いプロダクトビジョンを作って世界を変える

曽根原:ということで、質問ありがとうございました。ラディカさんといろいろお答えしましたが、実際に『ラディカル・プロダクト・シンキング』を使ってプロダクトを開発する時に、疑問点とかが出てくるかもしれません。

こちらのスライドにラディカさんのTwitteと私のTwitterを書いているので、もし興味があれば、私もしくはラディカさん宛にぜひ聞いてみてください。できる限りお答えはしたいと考えています。

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)ラディカさんはみなさんからの質問に関してはすごくうれしいということなので、ぜひ聞いていただければと思います。ということで、私共のセッションは1回終わりにしてお返しします。

司会者:ありがとうございました。終了の時間まであと数分あるので、最後に曽根原さんとラディカさん、今回の参加者の方々に向けてなにか一言、これだけは伝えておきたいメッセージなどありましたらぜひお願いします。

曽根原:はい。本日は平日のお忙しい中お集まりいただき、本当にありがとうございます。たくさんの人に来てもらえて本当にうれしいです。

今回『ラディカル・プロダクト・シンキング』という本を『プロダクトマネジメントのすべて』の続編というかたちで出しました。今日本では、プロダクトマネジメントという考え方が、ようやく日の目を見て少しずつ広がってきている状況です。

なので、ぜひみなさんと一緒に、いろいろなかたちでインパクトあるプロダクトを作っていきたいなと今は思っています。今回こういった縁をいただいたので、この本を読んで良いプロダクトビジョンを作って、世界を変えていきたいみなさんと一緒に進んでいければと思っています。

プロダクトを作る時の“スーパーパワー”の注意点

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)『ラディカル・プロダクト・シンキング』で語っているビジョンの作り方とか組織の落とし方など諸々ありますが、これを正しくやった暁には、いわゆるプロダクトを作る時の“スーパーパワー”が組織として身についてきます。ただ、この力はあまりにも強大ゆえに、当然責任も伴います。

(ダット氏 話す)

曽根原:(ラディカさんによると)このスーパーパワーですが、やはり単純なイテレーションやスピード重視で行ってしまうと間違った方向に行ってしまって、プロダクトをとおしてユーザーさんが非常に悪い体験、あるいは社会的に大きな影響を及ぼしてしまうことが起こり得ます。

(ダット氏 話す)

曽根原:ですから、(ラディカさんによると)プロダクトを作る時に、それこそ社会に対して、世界に対して、ぜひ医者のようにアプローチして、注意深くスーパーパワーを使ってほしいです。

だからこそのプロダクトビジョンなわけであって、こうした部分を活用してもらうことでみなさんのスーパーパワーが本当に世の中を変えていく推進力になると、ラディカさんは考えています。

ということで、みなさんが世の中に対して変革をもたらし、社会を大きく変えていくことをラディカさんも私も楽しみにしているので、ぜひ一緒にできればなと思っています。

司会者:ありがとうございました。