CTOでも現場で手を動かすことはあるか?

やまげん氏(以下、やまげん):CTOになるとエンジニアとして実装する時間も減ってしまうのかなと思うんですけど、そういったところで「実装したいな」と思ったりはするものなんですか?

齋藤哲氏(以下、齋藤):まあ、思いますね。やはり最初はプログラミングから始めているので。前職からも思っていました。前職もプログラムに携われる時間はぜんぜんなかったので。

そういったところは、余暇を利用して満たしていたり。サイズ感によるかなと思っていて。「この範囲であれば自分でやったほうが早いな」みたいな時はやっていたりします。

やまげん:そうなんですね。では今もGitHubでプルリクを上げたりとか、そういったところもやられているんですか?

齋藤:そうですね。最初に新しいことにチャレンジする時は、率先してやらないといけないかなとは思っています。逆にそういったところを担ってくれる人がどんどん増えていったらやる必要はないかなと思うんですけれど。今の(開発組織の)サイズ感だったら、そういったところはCTOとして取り組んでいくべきかなとは思っています。

やまげん:いやあ、そうですよね。僕も最近マネジメントの仕事が増えて実装する時間がなくなっている中で、実装する時間をガッツリ取れた時があって。

齋藤:ほお、なるほど。

やまげん:楽しいというか、しっかりバリューが出ているみたいな感じで気持ちよかったので。「やはり根っこはエンジニアだな」と思いながら今はやっていたりします。

齋藤:なるほど。どんなことをされたんですか?

やまげん:リアルに普通の業務でアラートを改善したり、あとは最近ちょっと検索(機能)を改善していて、そこのスコアを出したりとか。そういったことを実際にしっかり時間を取れてやれたので。いや、楽しかったです。

齋藤:Voicyは検索は重要ですもんね。

やまげん:検索はすごく重要ですね。

齋藤:そこがしっかりしていないと、その人が最適なコンテンツに出会えないですもんね。

やまげん:はい。まさにそのとおりです。

齋藤氏が好む論文のジャンル

やまげん:でもやはり音声コンテンツの検索自体がすごく難しいみたいで。Spotifyの検索の論文とかで出ていたりするんですけど、スコアが低くて難しいみたいな結論にもなっていたりしていて。

齋藤:ああ、なるほどね。

やまげん:ここの技術的なブレイクスルーを生み出せるかどうかみたいなところは、チャレンジしがいあるなと思いながらやっています。技術で解決するのか、体験で解決するのかとか、いろいろなことを考えながらやっていますね。

齋藤:じゃあ、ブレイクスルーが実現されたら論文を書いてください(笑)。

やまげん:はははは(笑)。

齋藤:僕、趣味が機械学習で、けっこう論文とかを読むのが好きなので(笑)。

やまげん:あ、そうなんですね。

齋藤:はい。なので書いて教えてもらえたらすぐ読むので。

やまげん:はははは(笑)。ちなみに、ジャンルでいうとどういった論文を読むことが多いんですか?

齋藤:まあ一時期は強化学習とかにハマっていたので。。

やまげん:なるほど。

齋藤:そのあたりは、日々ブレイクスルーしていくじゃないですか。あのブレイクスルーまでは行かないかもですけれど。

やまげん:はい。またスコアが改善されたって。

齋藤:改良されたみたいなところを追いながら自分で実装して、最終的には自動的にFXで儲けられないかなと思うんですけど(笑)。まあ、なかなか難しいというのはありますね。

やまげん:難しかったですか(笑)。

齋藤:難しい。FXだけじゃなくて株もそうですが、ファンダメンタルな分析とテクニカルな分析ってあるじゃないですか。

やまげん:はい。

齋藤:テクニカルな分析で値の動き方を見て、トレーダーの方はみんな売買されていると思いますが、そこの知見がもしかしたら眠っているんじゃないかなと思って、機械学習に取り組んでみたんですけれど。ちょっと僕の力が足りなかったのか、まだランダムの域を超えなかったというところで(笑)。

やまげん:なるほど。ファンダメンタルなほうに力が及んでしまうみたいな?

齋藤:恐らくそうだと思うんですよね。大学院のビジネススクールに行っていたんですけど、その時にもデータマイニングみたいなところを専攻していて。

その時はファンダメンタルな、新聞記事とかに書いてあるような政治とか経済のいい評価だったか、悪い評価だったかみたいなところから値動きを予想するみたいなことをやっていました。その時は一定の相関が得られたんですね。

やまげん:あ、そうなんですね。

齋藤:はい。「わあ、重要なんだなあ」と。そこを利用するのは当たり前なんですけれど。売買されているようなところもあるというのもあるかな。証券会社で組まれているシステムとか、もっとそういったところが磨き込まれていると思うので、僕が語るのもアレですが。

論文は今後の技術的な進路を考える時のインプットになる

やまげん:でも、けっこうそういった動きもそれこそ論文で研究されていたりとか、オーソドックスなイメージがありますが、やはり多いものですか?

齋藤:うん、そうですね。やはり基礎研究はやっていられないので。まあ、だいたいそうじゃないですか、研究って(笑)。他の人の研究成果をよりブラッシュアップするのか、イチから自分で考えるのかみたいなところがあると思います。

私はより実入りじゃないですけど(笑)。人に価値を届けることのほうに興味があるので、そっち方面になってしまいますね。よく基礎研究を活かしていく目的でいきます。

やまげん:なるほど。でも論文はおもしろいですよね。最近、Voicy内でも「Spotifyの論文を読む会」みたいな企画をしていて。

最新の研究を知れるところと、やはり未来がそこに書いてある感じはするので。「少しでも読んでみると、未来を語れるようになるのかもしれないな」とか思いながら読んでいました。

齋藤:そうですよね。これがすべてではありませんが、今後の技術的な進路を考える時のインプットには必ずなるかなと思って。そういう意味ではすごくいいなとは思っていますね。

「自分の特性として“知的探求”を好む」

やまげん:機械学習以外の論文もけっこう読まれたりするんですか?

齋藤:僕はほとんど趣味が機械学習なので、そこ周りですね。

やまげん:「趣味・機械学習」ってなんかかっこいいですね。

齋藤:いやもう、「かっこいいと思われるよなあ」と思って言っています。

一同:(笑)。

やまげん:間違いなくかっこいいですよ。

齋藤:うん。でもたぶん、(僕は)エンジニアリングが好きなんだなと。機械学習はエンジニアリングだけではありませんが、そういった知的探求みたいなのが(好き)。突っ込みすぎると答えが出ない領域なのでアレですが、たぶん自分の特性的には好きなんだなって思いますね。

やまげん:なるほど。ちなみに、「かっこいいですね」というコメントをいただいています(笑)。

齋藤:ありがとうございます(笑)。本当は別に機械学習だけが趣味じゃなくて、カラオケも趣味であったりしますが、あえて今日は機械学習を全面に出してみました。

やまげん:はははは(笑)。『CTO百景』ということで、技術的なところを。

齋藤:はい。

やまげん:いやでも、齋藤さんはすごくナイスガイで素敵な方だなと思ったり(笑)。

齋藤:そんなこと言われたのは初めてですが、ありがとうございます。

やまげん:「カラオケが趣味なんですね」というところに、僕としては(齋藤さんを)いろいろ知れてうれしいところはあります。

齋藤:ほんまですか(笑)。やまげんさん、カラオケされるんですか?

やまげん:僕はカラオケはけっこう(好きです)。ちょっと前までヒトカラによく行っていましたね。

齋藤:ああ、そうなんですか。

やまげん:はい。カラオケ自体はうまくありませんが、歌うのは好きです。

齋藤:そうなんですね。いやいや、好きなのが大事なので。

やまげん:(笑)。

齋藤:コロナが明けたらぜひ、ご一緒させてください。

やまげん:こちらこそご一緒させてください。生放送でその様子をまた放送するかもしれない。

齋藤:はははは(笑)。誰が聞くねん、みたいな。

やまげん:『厳選!CTO百景』カラオケ会。

齋藤:カラオケ会(笑)。

やまげん:まあでも音源的なところが実は難しかったりするので、グレー・オブ・グレーかもしれないですけど。

齋藤:なるほど。でもやまげんさん、すごく真面目ですねって(笑)。

やまげん:(笑)。

齋藤:ありがとうございます。

今後も生活を豊かにできるような手をどんどん打っていく

やまげん:というところで、もうライブの時間が3分。あっという間に1時間が経ってしまいましたね。あと3分なので、「最後にこれだけは伝えたい」みたいな言葉はありますか?

齋藤:そうですね。先ほども言いましたが、当たり前をアップデートしていくというところで。もともとスペースマーケットがない時は、いろいろな遊休不動産が使えない状態であったと思います。スペースマーケットができてインターネットで簡単に1時間単位で貸し借りできるようになったのは、すごくテクノロジーを活用したアップデートだなと思っていて。

ただ、そこから7年8年と経っているような状態なので、さらにみなさんの生活を豊かにできるように、テクノロジーを活用した打つ手をどんどん打っていって、みんなハッピーになっていければなと考えています。今後ともスペースマーケットをどうぞよろしくお願いします。

やまげん:はい、ありがとうございます。スペマさん、使います。

齋藤:はい。よろしくお願いします。

やまげん:今後の技術的な進化みたいなところも、サービスを使いながら「あ、ここよくなっているかも」みたいにちょっと想像しながら使いますね。

齋藤:(笑)。ぜひよろしくお願いします。

やまげん:今日のインタビューはこれで終わりにしたいと思います。ということで、本日はスペースマーケットCTO齋藤さんでした。ありがとうございます。

齋藤:ありがとうございました。