2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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やまげん氏(以下、やまげん):せっかくなので今日は齋藤さん自身の経歴もうかがえたらと思っているんですが、エンジニア歴はもう長いんですか?
齋藤哲氏(以下、齋藤):そうですね。人生のほぼ大半がエンジニアで、十数年ぐらいはエンジニアです。ただ最初は、友人というか先輩と大学時代に起業していて、そこが私のキャリアのスタートになります。
当時からするとアレかもしれないですが、インターネットの放送局みたいなことをやっていました。地域密着型で、放送局とECみたいなところですね。イベントに関係あるような物販みたいなことも一緒にやれれば、その地域活性につながるんじゃないかなと思って取り組んでいました。
やまげん:そうだったんですね。やまげん:放送局ってどういったイメージですか? Voicyにいると「音声放送をしていたのかな」みたいに思ってしまうんですけれど。
齋藤:本当に今でいうと生放送とかではなかったので、動画配信みたいな感じの(ものです)。今でいうYouTubeとか、ニコニコ動画とか。いろいろあると思いますが、そういったことをやっていました。
やまげん:なるほど、そうなんですね。そこではけっこうバリバリのエンジニアというか、手を動かしていたような(感じですか)。
齋藤:そうなんです。結果的にはそうだったんですけれども、もともと誰が何をやるかみたいなところが決まっていなくて。たまたま私の家にPC-98というレガシーなコンピューターがあって、中学生くらいの頃にプログラミングとかをちょっと触ったことがあったので、「じゃあやってみよう」みたいな感じで始めたのが正直なところです。
やまげん:そうだったんですね。じゃあ偶然というか、必要になって、まあなんか「昔から知っていたからちょっとチャレンジしてみようかな」みたいなかたちでエンジニアを始められたということなんですね。
齋藤:そうなんです。今でいうベストプラクティスみたいなことはまったく知らない状態で始めたので、今振り返るとちょっとひどい成果物だった(笑)。イチからインフラを含めて順番に作り上げるとか、大きな財産になるかなと思って。それがなかったらエンジニアになっていなかったなと思っています。
やまげん:なるほど。それって何年前ぐらいになりますか?
齋藤:ちょうど20年前ですね。
やまげん:ああー、なるほど。20年前とかだと、サーバーをどこに置くかみたいなことって、どうなっていたんですか?
齋藤:そうですね。当時はAWSとかもなかったので、自分たちでホスティングサービスを探して。最初に自分たちでサーバーを立てるかみたいなことも考えましたが、放送なので、トラフィックがちょっと大き過ぎるみたいなところがあって。そのトラフィックに耐えられるネットワーク帯域を用意しようと思ったら、当時で月額100万円ぐらいかかるような感じで。「まずはスモールスタートしようよ」というところで、ホスティングサービスを探しました。
やまげん:なるほど。いやあ、それはそれでおもしろそうですね。今のクラウドの力を感じると、(当時は)いろいろなことができないとかはあるとは思いますが、自分自身で作り上げる感じは、今のクラウドよりも味わえているのかもしれないですね。
齋藤:そうですね。ネットワークも自分で設計しないといけないし、サーバーのパラメーター調整も全部しないといけないし、ミドルウェア、アプリケーションも全部作らないといけないしみたいなところで。最近のエンジニアリングの基礎は一通り学べたのかなとは思っています。
やまげん:ありがとうございます。
やまげん:その後にSIerに入って、でしたっけ?
齋藤:夢やぶれて、最初はエンジニアとしての経歴はまったくなかったから、SESみたいなところでイチから修行し直そうと思っていました。ひょんなことから前職のSIerの会社と知り合うきっかけがあって、そこで「やってみないか」みたいなことで転職させてもらって。
SIerでは、基本的には「お客さまのソリューションの困りごとをどうやってシステムを活用して解決するのか」みたいなところをやっていく作業になります。
(その中で)SIerで作ろうとしている、ASP(Application Service Provider)サービスのパッケージソフトウェアの開発にたまたま携わることができて。SIerではありますが、比較的モダンな技術とかサービス体験に触れることができたのは幸運だったなと思っています。
やまげん:では、そこでわりとモダンな開発みたいなところをずっとやっていたということですかね?
齋藤:でもモダンと言っても当時のモダンなので。基本的にシステムの明細はJavaで(笑)。別にJavaが悪いというわけではありませんが。昔はStrutsとかですね。
やまげん:ああ、Struts。懐かしいですね。
齋藤:そうですね。ASPだったので、お客さまのシステムではなく自分たちのデータセンターを構えてみたいなところはありました。そこでもやはりインフラ自体は自分たちで作らないといけなかったので、先輩の背中を見て、より高度な知識を吸収させてもらいながら、すごく成長させてもらえたなと思っています。
やまげん:では「裏側とかはもう任せとけ」ぐらいのスキルを持っているということなんですね。
齋藤:そうですね。あまり言うと嫌味になってしまうのでアレですが。やはり開発・運用していると、時には大変なこともあるじゃないですか。
やまげん:はい。まあ、ありますね。
齋藤:そういったところを何回か経験させてもらったことで、「だいたいのトラブルは自分で解決できるな」みたいな自信につながりました。
やまげん:なるほど。やはり苦汁を舐めるというか、そういった経験はすごく大事ですよね。
齋藤:そうだと思います。まあ舐めなくてよければ舐めなくていいと思うんですけれど(笑)。
やまげん:(笑)。
やまげん:ちなみに、なにか思い出に残る苦汁を舐めたエピソードはありますか?
齋藤:思い出に残るエピソードは、データベースが飛んじゃったことですね。
やまげん:ほう。
齋藤:たまたまバックアップは残っていましたが、復旧手順が最新化されていなくて、どうやって復旧すればいいかわからへんみたいな状況になりまして。
それでバックアップソフトみたいなメーカーさん、当時はOracleを使っていたのですが、Oracleのサポートも協力しながら、なんとか復旧まで持っていったことがあります。そこまでもうずっとサービスを停止している状況が続いていて。それはもう本当に胃が痛かったですね(笑)。
やまげん:(笑)。変な汗が吹き出そうですね。
齋藤:そうなんです。その原因が確かストレージ……。ストレージは自分たちで作っていましたが、そのRAID6とかやったかな。タマがいっぱい入っているようなストレージがあったんですが、それの設定がまずかったみたいで、データがどんどん消えていくみたいな状態になっていたらしくって。
やまげん:はい(笑)。
齋藤:まずはそこの復旧が、みたいなところはあったんです。そこは先輩が見てくれたのでよかったんですけれど。
やまげん:いやあ。復旧までに実際どのくらい時間がかかったんですか?
齋藤:でもそんなに。1週間ぐらいですね。
やまげん:1週間ずっと止まっていた感じですか?
齋藤:1週間止まっていましたね。
やまげん:ははは(笑)。いやあ、今の時代に生まれてよかったなって、今ちょっと思っちゃってます。
齋藤:いやいやもう本当に。こういう思いをみなさんにさせないようにPaaSもしっかりしているので、なかなか起きにくい状況ではあると思いますが。できるだけ心理的安全性を高めていかないといけないと思います。
やまげん:なるほど。(それが)今にも十分に活かされている経験なんですね。
齋藤:はい、そのとおりです。
やまげん:なるほど。ありがとうございます。
(次回に続く)
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