元Supership CTO 山崎氏

やまげん氏(以下、やまげん):「CTO百景」がはじまりました。モデレーターは、Voicyエンジニアリングマネージャーの山元です。“やまげん”と呼ばれています。そして、本日からCTO百景が復活することになりました。ということで第1回のゲストとして、元Supership CTOの山崎さんにお越しいただきました。ようこそ。

山崎大輔氏(以下、山崎):どうも、こんばんは。よろしくお願いします。

やまげん:よろしくお願いします。自己紹介の前にVoicyからのお知らせというか、報告をさせてもらいたいです。なんと、山崎さんはVoicyの技術顧問として参加してくださっています。

山崎:そうなんです。技術顧問としてがんばります。

やまげん:がんばっていきましょう。「音声×テクノロジーでワクワクする社会をつくる」という弊社のミッションがありますが、それをこれから一緒に叶えるために、高トラフィックをさばく超スペシャリストの山崎さんに、Voicyの基盤作成の部分や、テクノロジーで経営を最大化するみたいなところの知見とかで、よりよいコラボレーションをどんどんしていけるといいかなと思っています。これからよろしくお願いします。

山崎:こちらこそよろしくお願いします。

やまげん:ありがとうございます。こういった経緯もあって、今回CTO百景に出演していただきました。では山崎さん、簡単に自己紹介をお願いしてもよいですか。

山崎:どうも。リスナーのみなさま初めまして、山崎です。ちょっと緊張しますね。Voicyのいつもの音楽が流れないんですね。

やまげん:確かにそうですね。生放送だとこうなってしまうんですよ。

山崎:大丈夫です。どうも初めまして、山崎です。Web業界でエンジニアとして20年ぐらいやっていました。簡単に自己紹介をすると、もともとはYahooで1998年から2006年まで8年ぐらい、準初期メンバーとしてやっていました。

その後に退職して、インターネット広告の配信技術を提供するスケールアウトという会社を立ち上げて、その後にKDDIグループに買収されて、その後いろいろ合併した後に、Supershipという会社のCTOをやっていました。

ずっと広告畑で。広告配信システムは、だいたい月間数千億アクセスのトラフィックをさばくようなことをやるのですが、そういうことをやっていたエンジニアです。

今回Voicyさんの技術顧問として就任したのですが、それとは別に新しい事業を立ち上げようとしていて、一緒にやろうとしているシリアルアントレプレナーでもあります。よろしくお願いします。

やまげん:ありがとうございます。よろしくお願いします。ここからはトークを進めさせてもらえればと思います。

山崎氏の2年前の状況と、現在の状況

やまげん:山崎さん。CTO百景には、実は2年前にアーカイブとしても出演していただいていますよね?

山崎:そうなんですよ。緒方さん(株式会社Voicy代表取締役・緒方 憲太郎氏)と渋谷の道玄坂上のところでトークをしました。

やまげん:オフィスはまだそこにあります。

山崎:そうなんですね。

やまげん:すごくおもしろかったなと思っていて。僕は1年半前とかに聞かせていただいてすごく学びが多かったと思っているのですが、2年前と今とではぜんぜん違いますか?

山崎:そうですね。当時はCTOとして会社を大きくするファンクションと、あとは会社が買収されていたので、買収された先で会社がちゃんとうまくやる、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の真っ最中だったんですね。

「買収された会社にちゃんときれいに融合されるかみたいな」ことがけっこう大きなミッションとしてあって、そこがけっこう大変だったんです。2021年に退任して、そういうことがなくなって次の事業をやることになったので、だいぶやっていることは変わってきた感じです。

やまげん:なるほど、ありがとうございます。では今は会社を大きくするファンクションだったり、PMIだったりが一区切りできたフェーズなんですか?

山崎:そうですね。

山崎氏の現在の取り組み

やまげん:ちなみに、今はどんなことに取り組まれているんですか?

山崎:細かい話は後でまた(説明が)必要だと思いますが、今はいろいろな会社の技術顧問をしながら、次の事業の準備をしているファンクションになります。

やまげん:では、それの1つがVoicyなんですか?

山崎:そうですね。今のVoicyの代表の緒方さんとは本当に付き合いが長くて、2年半ぐらいです。なぜ知り合ったかも忘れちゃったんですけど、広告の文脈だったのかな。確か「広告をどうしてもやる」みたいな話になった時に、「どうするんだっけ?」という話になって、緒方さんと知り合いました。

それからいろいろお話したんですがそれ以来なので、その頃からは随分ステージが変わった感じです。Voicyさんも随分大きくなりましたからね。

やまげん:そうですね。2年前話していた当時のマネージャーも今はいなくて、エンジニア勢も(やめてしまって)。実は、Voicy組織崩壊みたいなこともしていて(笑)

山崎:なんか(情報が)出ていましたよね、Voicyさんも大変だったんですよね。

やまげん:そこでエンジニアのメンバーもけっこう辞めてしまって。今はけっこう落ち着いてきて、サービスもだいぶ伸びてきたかなと思っているフェーズです。

山崎:そんな感じなんですね。外から見るとぜんぜんそんなふうに見えなかったですけどね。

やまげん:本当ですか(笑)。

山崎:順風満帆で、ずっと伸びっ放しという感じだったんですけどね。

やまげん:広告システムは当時の構想としてはあったのですが、今はVoicyの生放送を開発したり、メディアをしっかり作ったりに注力していた感じです。

山崎:そうですよね。

技術顧問として主に取り組んでいる3つのこと

やまげん:(山崎さんは)技術顧問としていろいろな会社のお手伝いをされているので、この放送はエンジニアの人にもたくさん聞いてほしいと思っています。技術顧問はどういった仕事をしているのですか?

山崎:今はいくつかファンクションがあります。僕が主にやっているのはアーキテクチャというか、Voicyさんのように、何万人もアクセスが来た時にどうさばいていくかみたいなことはけっこう(やることが)多いです。もともとアクセスを大量にさばくことは、もう20年とかやってきた感じなので。実は僕、けっこうおっさんなんです。

ムチャクチャ伸びているサービスに(アクセスの)ボトルネックがけっこうあるので(それを解決しています)。例えばAWSのAuto Scalingを使っていて、「あれ? このままだとアクセスが10倍になったらぜんぜん儲からないんだけど」みたいなお客さんに対して、「いやいや、こうやればメチャクチャ安くできるよ」みたいなのを提示するのが、(僕が取り組むことの)大きな話です。

技術面はそういう具体的なアーキテクチャ的な話もあるのですが、組織面の話もけっこうやっていて、こちらはまた毛色が変わっています。組織が大きくなっていく時に、たいていの会社はどこも同じだと思うのですが、当たり前ですが、普通の会社は社長もCTOもエンジニアも、全部大きい会社をやるのが初めてという感じの人が多いんです。

そうすると、やはり経験がないので、知らなかったがゆえに起きてしまうトラブルがけっこうあったりします。(大きい会社ではなくても)100人とか200人とか(の規模を)やったことがないとか。

また「やったことはあっても、100人いるチームのリーダーを最初からすることは初めて」みたいなことがあったので、そういう人に対して、「こういうことが起きがちだから、こういうふうにしたほうがいいよ」という組織面のアドバイス(をすること)がもう1つです。

3つ目が、これはけっこう大事で僕が注力している部分ですが、組織面やアーキテクチャの話に関してはわりと理詰めというか、ノウハウが貯まっている部分なので、話としてはけっこうさらっと終わります。でも、もう少し違う話として、「経営陣がエンジニアとどう向き合っていいのかわからない」という話がけっこうあります。

いろいろ先輩社長に聞いてみたら、エンジニアは最近やはり給料が高くなっていたり、すごく大変じゃないですか。そうなった時に、引く手あまたの彼らをどうやってリテンションしたり(すればいいか)という話をした時に、エンジニア畑の社長じゃない人だと、どうやって彼らと相対していいのかが、彼らの感覚と違うところがあるみたいなので、そこの橋渡しのようなこともする感じですね。

その3つがけっこう大きな話です。アーキテクチャと、組織面、あとは経営層とエンジニアリングのブリッジ、この3つがだいたい大きい技術顧問としての仕事です。

やまげん:なるほど。ありがとうございます。お話を聞いているだけでも、僕の悩みを相談したいぐらいです。

山崎:技術顧問になったので、なんでも聞いてもらえればと思います。

やまげん:そうですね。ちょっとここでは話せない話もたくさん(あります)。

山崎:そうですよね(笑)。いきなりここで生々しい話をしたら大変ですもんね。

やまげん:全員にNDAを結んでもらわないと(笑)。そういうわけにはいきませんが、ぜひ相談させてください。

(次回に続く)