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「仕事をなくす」仕事をする(全1記事)

「仕事をなくす仕事をするのがソフトウェアエンジニア」 自動化により急速に進む、人間の仕事の置き換え

ビズリーチ→メルカリ→スマニューといったユニコーン企業を渡り歩く転職8社目のプロダクトマネージャーが転職や年収UPのコツ、時代の変化について配信する、音声プラットフォーム「Voicy」の「Work in Tech!」チャンネル。森山大朗氏(たいろー氏)が、テック領域への転職やビジネス系から開発系へのキャリアチェンジ、IT業界とユニコーン企業について話します。今回のテーマは、『「仕事をなくす」仕事をする』。ソフトウェアによって置き換わる仕事と、エンジニアの役割について話しました。

世の中のあらゆる仕事がソフトウェアに置き換わっていっている

森山大朗氏:どうも、たいろーです。みなさん今日もテックにやっていますか? この放送はビズリーチやメルカリ、スマートニュースといったユニコーン企業を渡り歩く、転職8社目のプロダクトマネージャーが、転職や年収アップのコツ、時代の変化についてお話をする番組です。

さて今日は「仕事をなくす仕事」という話をしようと思います。これは別に経営が苦しくなった会社のリストラ担当の仕事とか、あるいは突如としてやってきたプロフェッショナル経営者によるコストカットの話ではありません。「ソフトウェアエンジニアの仕事というのは、究極的には仕事をなくす仕事です」という話です。

これは気持ちとして複雑なんですけど。僕は昔、採用支援の事業をやっている会社に勤めていたことがあるんですよ。ほんの一時期ですが、いろいろな会社が新卒なり中途なりで人を採用する時に、求人を出して、採用して、教育して、活躍してもらうという一連の流れをデザインするという仕事をしていました。

僕はその過程で、自分が知らなかった企業や仕事が日本中にあるんだということに気づき、日々発見でした。それはそれで楽しかったし、学びにもなったし、その仕事に従事している人たちが誇りを持って働けるといいなと感じました。今もそれを願っています。

でも、鳥の目と虫の目の対比で見てみるとしたら、今言った観点は虫の目なんですよね。一人ひとりの人間の目線に立って、目の前の現実を観察した時にはそう見えるし感じます。ただ、そこから一気に俯瞰して、全体を鳥の目で見た時に何が起きているのかというと、世の中のあらゆる仕事が、ソフトウェアに置き換わっていっている。しかもすごいスピードで置き換わっているのも事実で、今まさに進行途中なんです。

創造的な要素がない仕事はソフトウェアによって自動化される

プログラミングをしたことがある人ならわかると思いますが、まさに処理手順を記述するんです。なにかを条件分岐したり、分岐したあとで規定回数を繰り返してからその結果を次の手順に渡すみたいな。こういうのは今までは人間がやっていたのですが、その処理が自動化されているということを意味しています。

これは職種は関係なく、何かしら処理手順が決まっていてそれをこなす仕事であれば、そこになにか創造的な要素がない限り、置き換えられる可能性があります。人間も結局、なにか情報を受け取り「こういう場合はこう」と判断をして条件分岐し、規定回数処理を繰り返して、出てきたアウトプットを出す、ということをしているんですよね。

自動化の最たる例はレジ打ちの仕事

一番イメージがしやすいのは、レジ打ちの仕事です。僕も高校生の頃、コンビニでバイトをしていてレジでピッピッとやっていました。お客さんが渡してきた商品をバーコードで読んでいくのですが、それは繰り返し処理じゃないですか。今だったら「袋はいりますか?」と聞くのでしょうね。お客さんが「いる」と答えたらそこで条件分岐が入ります。袋に詰めていって、最後にお釣りを渡して「ありがとうございました」と言うのがアウトプット。この処理を丸ごと繰り返しているのがレジの仕事だと思います。

先日1ヶ月ぐらいアメリカに行っていましたが、ドラッグストアだとレジは無人のものが多いんですよ。店内にスタッフはいます。スタッフは店内を歩いてちょっと棚を整理したり、掃除をしたり、人と話をしていたり。まったく無人というわけではありません。スタッフが1人でもいると、やはり監視されている圧があるので、お客さんはみんな無人レジを礼儀正しく使っていました。

あれはまさにソフトウェアによって記述され、もともと人間がやっていた仕事が自動に置き換わったものの最たる例だと思います。みなさん工場のラインを見学しに行ったりはしないので感じにくいのですが、一昔前に人を雇ってやっていた作業の大部分も、今では自動のロボットに置き換わっています。ただ、センサーとマシンラーニングを組み合わせたような、無人レジよりもっと高度なものですが。

Indeedのプロダクトはリクルートの紙の仕事を置き換えた

リクルートグループのIndeedは「We help people get jobs.」というのをミッションに掲げて、世界中の人の仕事探しをサポートをするんだという理念の名の下でどんどん成長しています。あのプロダクトは本当に優秀なエンジニアたちによって作られてきたんですね。

ところが皮肉なことに、indeedの台頭は、旧来型のリクルートがやっていたビジネスモデルにとっては、ものすごく脅威になったんですよ。人が足で求人したい企業の案件を取ってきて、求人広告を作って、コピーライトをコピーライターさんや制作の人が考えて、それを今度は紙に印刷をして、配荷して届けるという一連の、あらゆる人が関わっていた仕事をほぼ全部置き換えたんですよ。

Indeedだけではありませんが、インターネットとIndeedという求人検索エンジンによって、リクルートが紙の上でやっていた仕事が全部ソフトウェアに置き換わったと考えることもできるんです。なので、ある意味皮肉なことに、Indeedは旧来型の求人活動に関わっていた仕事を滅ぼしながら、結果としてより多くの人たちの仕事探しを、より楽にしたということなんですよね。

僕もソフトウェアエンジニアリングやプロダクト開発の仕事をしている人間の端くれとして、なくしたほうがいい仕事や、面倒くさすぎる仕事は、どんどんソフトウェアに置き換えていきたいと思っていますという、そんな話でした。

今日も聞いていただきありがとうございました。ではまた。

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