デザインやデザイナーに関わる仕事をしてきた

原田聖子氏(以下、原田):初めまして、スマートキャンプの原田です。よろしくお願いします。今はコーポレートコミュニケーション室の室長と、デザイン戦略部の部長をやっています。のちほど出てきますが、デザイナー陣でスマートキャンプデザインブログをやっているので、そちらも見てもらえるとうれしいです。

私のキャリアは、ぜんぜんデザイナーではありません。ずっと新規事業やマーケティングに関わってきましたが、特に前職でソーシャルゲームのクリエイティブ部門にいたり、マネーフォワードでは、今CDOになっているセルジオ氏(伊藤セルジオ大輔氏)と一緒にデザイン戦略室の立ち上げをサポートしたり、ちょくちょくデザインに関わっていました。

それはなぜか。私自身、現役で東京藝大のデザイン科を受けて見事に落ちました。落ちた時に周りを見ると、すごい方ばかりだったんです。そこでもう無理だと諦めて、これは勉強したほうが早いと思い、勉強するほうに進んだという経緯があります。やはり、デザイナーの方々をすごくリスペクトしているんですね。また、羨ましさもあったので、いかにデザイナーの方々がアウトプットできるような環境にするか、また経営にデザインの考え方を入れていくお手伝いができるかにすごく興味があって、ずっと関わってきたという経歴があります。

スマートキャンプのミッション・ビジョン・バリュー

原田:今日のアジェンダです。こういった場にマネーフォワードはよく出てきていますが、スマートキャンプで出てくることはあまりないので、まずキャンプ屋さんじゃないということ、どういった企業で何を目指しているかについて話します。そのあと、4月に働き方に関する新しいサービスが出ることになっているので、その担当の柿澤から具体的な事例をもとに話をさせてもらいたいと思っています。

まず「スマートキャンプのWHOとWHY」です。スマートキャンプは文字を見ると、キャンプの会社っぽいですが、2014年、今の会長が立ち上げた時にいろいろな才能の人が集うキャンプ場のような会社にしたい、場所にしたいという思いから名付けました。

先ほど竹田さん(竹田哲也氏)のお話にもありましたが、設立当時から古橋(古橋智史氏)は日本の生産性が非常に低いことを課題だと思っていました。それを解決するのはやはりテクノロジーではないかということで、テクノロジーでいかに生産性を向上させるかという部分にフォーカスしたサービスを提供し続けています。

先に「ミッション・ビジョン・バリュー」の話をします。日本の国内の生産性を高めてGDPを上げるという大きな目標を持ち、ミッションとして掲げているのが「テクノロジーで社会の非効率をなくす」です。さらに会社として目指すべきトップ、つまり頂きには、「Small Company, Big Bussiness」を掲げています。これは、大人数で大きなビジネスをするのではなく、少人数が世の中を変えていくようなパワーを持ってビッグビジネスを作っていこうというビジョンです。

今私が社長をしているADXLという会社も、2021年にスモールカンパニーで立ち上げました。そちらもスマートキャンプのグループ会社ですが、まだ11人(※登壇当時)でやっています。企業のマーケティングのお手伝いをして、支援している企業とともに大きなビジネスに育てばいいなと思ってやっています。

私たちはバリューの部分を「SOCS(ソックス)」と呼んでおり、4つの行動指針を持っています。「Smart Thinking」「Ownership」「Collaboration」、そしてベンチャーなので「Speed」。これらを重要視して、メンバー一人ひとりがこれを体現する人になれるようにと意識しながら働いています。また、組織として「SOCS」を浸透させるために、日々いろいろな施策を打ったり、経営陣が発信をしたりしています。

スマートキャンプの従業員数は今100名ほどです。2014年だと数人から数十人という100人未満の規模ですが、その頃からすでにプロダクトをどんどん出しています。やってみたけどうまくいかず、閉じたり、今はピポットして別の事業になっているものもありますが、数で言うと、創業してから今までの間に非常に多くのプロダクトやサービスが出ています。

SaaS企業のマーケティングを総合的に支援している

原田:今のメインの事業は、SaaSを中心に「for SaaS」をスローガンに掲げ、マーケティング、セールス、購買までのお手伝いをしています。それによって、その先のSaaSを導入している企業や、そこで働く方々の人生を豊かにできたらいいなと思っています。

主軸事業は「BOXIL SaaS」という比較サイトです。そのほかにはオンライン展示会「BOXIL EXPO」などを主催しているイベント事業があります。また、企業のインサイドセールス支援を行う「BALES」も展開しています。スマートキャンプでは、サブ・ブランド戦略をとっているので、この3つの事業それぞれにデザイナーが所属して、ブランディングを考え、デザインに落とし込んでいます。

働き方で言うと、スマートキャンプでは基本週1回の出社にしていて、特に毎月入社してくる新入社員のオンボーディングやリモートで失われがちな横のコミュニケーションをとる目的で、部単位で曜日を決めて出社しています。

今スライドに出ているのはSaaSの比較サイト「BOXIL SaaS」で、このプラットフォームに新しいサービスが4月に出ます(※)。それを担当している柿澤デザイナーからどういった部分にデザイナーが関わっているか話します。柿澤さん、よろしくお願いします。

※4月20日に「BOXIL SaaS質問箱(β版)」としてリリースしました
(出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000012765.html

SaaSの比較検討ができるサイト「BOXIL SaaS」

柿澤丈一郎氏(以下、柿澤):スマートキャンプ株式会社の柿澤です。簡単に自己紹介をします。今はBOXILカンパニーに所属しており、BOXIL SaaSのプロダクトのUI/UXをメインに担当しています。

先ほどfor SaaSの話がありました。みなさんご存じだとは思いますが、簡単に「そもそもSaaSとは」というお話をします。「Software as a Service」の略で、スライドの左側に「オンプレミスの場合」と書いてありますが、パッケージ型のソフト(買い切りで導入するもの)とよく比較されます。SaaSの場合はインターネットを経由して提供するので、初期のコストが抑えられ、管理や運用をクラウドベンダーが担うという特徴があります。

続いて「BOXIL SaaSとは」。簡単に言うと、SaaSの比較サイトです。スライドの右側のベンダー(SaaSを提供している企業)がBOXIL内に各サービスの情報を掲載して、左側のユーザー(SaaSの導入を検討しているユーザー)が比較検討できるサイトです。口コミも見られるようになっています。SaaSを選定する上で非効率をなくすことを目指して運営しています。

先ほども少し話しましたが、私たちが目指しているSaaSの普及と、今回のテーマでもある働き方がどのように関係しているか。SaaS、ここではクラウドサービスと記載していますが、クラウドサービスを利用している企業は利用していない企業と比べて労働生産性が非常に高いというデータがあります。

(スライドを指して)このグラフは情報量が多くて見にくいかもしれませんが、緑の折れ線グラフが、クラウドサービスを利用している場合としていない場合の労働生産性の差分です。2019年は1.43で、利用してないところと比べると労働生産性が40%以上高い。やはりSaaSを導入することによって業務効率が上がったり、日々のルーティンがもっと軽くなったりする効果があるのではないかと思っています。

私たちは日本の全SaaSの普及を促すべく、特定のSaaSを支援するというより、ありとあらゆる普及を促すというアプローチで、日本の働き方の効率化を目指しています。

SaaSの特化型Q&Aサイトのリリースを計画中

柿澤:SaaSの普及をより促進するために取り組んでいること。先ほど原田からも話がありましたが、今新しいサービスを考えていて、リリースに向けていろいろやっている最中です。このサービスの概要は、SaaSの特化型Q&Aサイトです。

DX推進やSaaSの導入に関して困っているユーザーがサイト内で気軽に質問でき、ベンダーやコンサルといった専門家から回答がもらえるようなQ&Aサイトです。Q&Aサイトという形式自体はいろいろな領域にあって、特に目新しいものではないと思いますが、SaaSという領域に関しては導入時のハードルが非常に高い。導入するSaaSにもよりますが、比較検討に半年から1年かかるものもあり、中には疑問が解決されないまま断念してしまうこともあると思います。そういう意味では新しいマッチングのかたちになるのではないかと思っています。

このサービスはまだリリースしてないので、詳細についてはお話しできません。申し訳ありませんが、その点はご了承ください。

アンケートでわかったSaaS導入における課題

柿澤:そもそもどんな課題が存在するのか。弊社のBOXILでは資料請求できますが、資料請求のあとに「どういう課題をお持ちですか?」というアンケートを実施しており、スライドはそのデータをもとに作成した参考情報です。やはり一番多いのが「サービス導入比較」の48%、次にペーパーレス化やDX化といった抽象的な内容が14%となっています。

もう少しわかりやすくしたものが次のスライドです。グラフの70%が、BOXIL SaaSに掲載されていないサービスの詳細に関する情報です。例えばSaaS同士の連携や価格の詳細情報、各社プランがあると思いますが、そのような詳細情報はBOXIL SaaSに限らず、基本的にインターネットで検索しても出てこないようなものばかりなので、なかなか効率的に比較検討ができないのではないかと思っています。

20%が、SaaSを導入検討する以前の課題発生フェーズに関する情報です。先ほどのDXやペーパーレス化といったふわっとした課題だと、そもそもDXをどのように進めるのか、どこから手をつければ効率的にできるのかという疑問をぶつける先がないと思っているので、それらの課題を解決するべく新しいサービスを考えています。

まとめですが、ユーザーにとってはインターネットで探してもなかなかないような情報を気軽に質問できたり、ベンダーにとっては、営業の不適切なマッチングを防いで営業の効率を良くしたり、コンサルにとっては新規顧客の獲得の場になったり。SaaS選定における非効率を解消して、導入をよりスムーズにすることを目指しています。

プロジェクト内で行った「サービス全体像の可視化」と「拡張性の高いUI設計」

柿澤:デザイナーとしてのプロジェクト内での役割。サービスを検討するにあたって、私がデザイナーとして、プロジェクト内でやったことについても話そうと思います。

プロジェクト体制はスライドのように、ビジネスサイドは事業推進、マーケティング、営業のメンバーがいて、プロダクトサイドはデザイナーが私1人、エンジニアが3名くらいいました。プロジェクトリーダーからワイヤーが来て、こういうものを考えています、こういうことをやりたい、デザインと仕様を考えましょうという話が最初にありました。

プロダクトチームがサービスを俯瞰して見られず、議論が点になりがちだったり、初期リリースにあたって必要な機能がなかなか定義できなかったり。最初は「あれもやりたい」「あったらいいよね」というような話が発散フェーズとして出ていたので、どこまでやるのかをなかなか決めきれませんでした。

その中でやったのが、サービスの全体像を可視化することと、拡張性の高いUI設計です。

1つ目は、サービスの構造を把握した上で必要最低限のものを考えるべく、グロースサイクル図の作成を推進していました。細かな手法論は、この場では話しませんが、簡単に説明すると、サービスの因果関係をサイクルの中で循環するフローチャートにしたものです。これをやれば、サービスの全体像を把握して必要最低限のサイクルが回る要素を考えるきっかけになるのではないかと思いました。

ビジネスサイドも含めて、一緒にワークショップを行うにはどういう要素が必要かを検討しました。(スライドを指して)まだ仮説段階だとは思いますが、いったん認識を揃えるつもりで考えたものがこちらです。訪れるユーザーが増えるとサイト内の質問が増えて、質問が増えるとそれに対する回答が集まって、回答が増えるとマッチングしてリードが増えて、リードが増えるとベンダーのモチベーションにもなって、また回答が増えるというように、そこからオーガニックの流入が増えるサイクルができると思います。

これを一緒にワークとして考えることで、例えばこの図では「回答が増える」から矢印が2本出ていますが、回答をしっかり集めることが大事だと。リードが増える回答は大事だけど単体の回答はあり得ないので、そのための質問や、回答が来るような質問をしっかり集めることが大事だという共通の認識みたいなものを作る過程で揃えることができたと思っています。これをもとにして、この循環が回るような最低限の機能や試作が必要なので、そこからエンジニアにタスクとして落とし込んでもらっています。

もう1つは、拡張性の高いUI設計です。初期リリースでは最低限のものを出して、今後いろいろな機能を追加していく想定なので、機能を追加する時にデザインが破綻しないように、オブジェクトを中心とした設計をエンジニアと検討しました。よくOUIと言われているものなのでご存じの方も多いかと思いますが、モデル図を作ったり、そのあたりはエンジニアのほうが詳しいので一緒にコミュニケーションを取りながら進めて、デザインとシステムにおける乖離をなくしたりして、今後の機能追加にも柔軟に対応できる設計を心がけました。

サービスを作る上では初期段階からデザイナーが入ったほうがいい

柿澤:まとめです。「SaaSの普及でより働きやすい社会へ」は、SaaSを普及することで労働生産性が上がってより働きやすい社会になるのではないかという、社会意義というかマクロ的な視点の話をしました。

いちデザイナーとして感じたこととして「初期段階から入るメリット」。グロースのサイクル図やUIの設計をサービスが出来上がってからやろうとすると、どうしてもすごくコストがかかってできないことが多いとふだんから感じているので、サービスを作る上では初期段階から入れたほうがいいのではないかと思います。

「コラボレーションすることの重要性」は、1人だとできることが限られるので、これからビジネスサイドを含めて、そういった視点を増やして抜け漏れをなくして共通認識を作っていくためのコラボレーションが、デザイナーとして働き方の中でキーになるのではと感じました。私からは以上です。

原田:スライドの最後に先ほど申し上げたデザインブログがあるので、よければご覧ください。柿澤も書いているので、よろしくお願いします。また、デザインで社会の非効率をなくす仲間を募集しているので興味ある方はぜひ。