2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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田和晃一郎氏:Timersの代表を務めている田和と申します。今日はよろしくお願いします。最初に簡単に、僕の自己紹介をできればと思っています。僕のファーストキャリアは、2010年に広告などを作っている博報堂という会社に入り、どちらかというとマーケティング領域でいろいろな企業の事業を支援したり、社内の新規事業のプロジェクトにも関わったりしてきました。
2012年にTimersという会社を立ち上げて、2019年から代表をしています。なので、僕はデザインというバックグラウンドが明確にあるわけではなく、こういったかたちでデザイナーのみなさんの前で話すのはちょっと緊張していますが、よろしくお願いします。
プライベートでは、2021年7月に子どもが生まれて、代表ではありますが、1ヶ月育休を取ったりしました。あと、4月からの保育園が決まったのはすごくいい話なのですが、保育園の場所が弊社のオフィスのすぐ近くのところになったこともあって、あまり家庭内で議論する余地なく僕が送り迎えを担当することも決まったので、4月に2回目の育休を取って慣らし保育なども僕がやっていこうと考えています。
(スライドを示して)我々の会社のミッション、ビジョンを表示しています。実は最近、コーポレートアイデンティティをリニューアルしました。リニューアルした内容の背景などはnoteを使わせてもらって発信しているので、ぜひそちらのリンクも見てもらえればと思っています。
会社のミッションは、「どれだけ時代が変わっても、変わらない人の幸せに向き合っていくこと」で、その中で社会に新しい選択肢を作っていくことを会社の存在意義として掲げています。
その中で我々は何を実現・推進していくのかというところで、社会にあふれかえっている二項対立を、グラデーションのように溶かすような事業や体験を世の中に広めていくことを推進しています。
後ほど我々の事業を紹介しますが、子どもがいる女性の課題解決をするような領域をかなりたくさん手掛けています。
そういった事業作りを通じて社会の二項対立を溶かしていくこともやりつつ、我々は組織作りを通じて新しい社会作りに関わっていきたい、貢献していきたいという思いもあります。なので、組織の制度や仕組みを通じて、ビジョンの推進もやっていたりします。
例えば、我々の会社は2021年から男性の育休も完全に義務化しました。推奨ではなくて1ヶ月以上取るのは必須であると定めたことで、男性がきちんと家事・育児に入っていく社会になり、それが回り回って女性がもっと多くの選択肢を得られる社会になっていくと考えています。
一方、事業を通じてどういう社会課題に向き合っているのかを非常にシンプルに言うと、ジェンダー格差の是正に向き合っている事業と言えるのかなと思っています。
今日参加されている方は、もしかしたら首都圏や都市部の方が多いかもしれないですが、日本全国を見ると「男性は仕事で女性は家庭」みたいな、戦後の高度経済成長の中で作られてきたようなモデルの価値観を、まだまだ多くの人が当たり前に感じていたりします。
それこそ、子どもがいる女性が、「私は子育てをしながらこういうふうなこともやっていきたいと思っているんだよね」と理想を語ったりすると、「いや、それって実は甘えなんじゃないの?」「いや、それ欲張り過ぎなんじゃないの?」とか。「いやいや、今までの社会のことを考えるとやはり女性ってこうあるべきだよね」とか言われたりします。
こういう言葉は、東京だとだいぶ少なくなってきているかもしれないですが、地方に行くとどんどん飛んでくるような。まだそういう社会があります。
(スライドを示して)そういったところに対して我々は何をやっているかというと、「Famm」というブランドのさまざまなソリューションを通じて、子どもがいる女性が、もっと多くの選択肢を手に取り、理想のライフデザインを描けるような社会作りを推進しています。これを通じて家族の絆がもっともっと深まっていく世界を作っていくことを、我々はFammブランドを通じて行っている会社です。
本当にたくさんの領域を手掛けています。子育てをしている女性が関わるカジュアルな育児関連では、子どもの写真の整理や印刷または写真の撮影といった領域から、子育てをしている女性の将来のお金、ひいては子育て世帯の将来のお金と向き合っていく金融領域。そして、子育てをしている女性が自分の長いキャリアや仕事と向き合っていく上で、新しい知識やスキルを学んでいけるオンライン教育のサービスや、実際に子育てをしながら働く機会をきちんと生み出していくキャリア領域の事業も手掛けています。
我々は、noteさんとかYOUTRUSTさんと比べると、かなり多領域の事業を展開している会社です。それをだいたい70名ぐらいの規模のメンバーでやっています。
(スライドを示して)従業員の半分以上の60パーセントぐらいは女性で、50パーセントぐらいが子育てをしているメンバーです。このうちデザイナーは今は4名ぐらいの体制でやっています。デザイナーという肩書きではなくて、プロダクトマネージャーという肩書きでデザイナーも兼務している人もいたりするので、そういった人も含めると5名ぐらいの体制です。
(スライドを示して)我々の会社の中で、デザイナーがどういう関わり方をしているのかも前段で伝えられればと思います。
我々はいろいろな事業をやっています。スマーフォンアプリやWebサービスを作っているAppTeamや、金融領域のチーム、スクール領域、キャリア領域のチームといろいろあります。その中で、特にWebサービスやアプリケーションのプロダクト開発を、エンジニアやPdMも一緒になって作っているのが、一番左のAppTeamです。
ここにデザイナーとして所属してもらって、アプリケーションやWebサービスのUI/UX開発をスクラムチームで行う時に、その中心をデザイナーに担ってもらっていることが(特徴として)1つ大きくあります。
2つ目は、別の金融領域やスクール領域、キャリア領域でもデザイン課題はやはりたくさん出てくるので、ここに担当制で入って、UI/UXの企画や、マーケティング領域のデザイン課題の解決と向き合ってもらっています。
そして3つ目です。我々はデザイナーに「1メンバーというよりは、組織の中におけるデザインをきちんと考えてアップデートしていってほしい」と伝えているので、組織におけるデザイン生産性やROI(Return On Investment)とも向き合っていくことをお願いしています。
我々の会社のデザイナーの方々に期待していることは、ユーザーやプロダクトが抱えている課題の解決につながるユーザーエクスペリエンスを作っていってほしいということです。
ユーザーエクスペリエンスをきちんと考えて、最終的にそれをUIに落としたり表現に落としたりすることは当然必要ですが、(組織におけるデザイン生産性やROIと)一緒に考えることをやり切ってほしいとお願いしています。
そのためにはお客さまを理解することが非常に大事ですが、一方で、ビジネスとも向き合ってほしいと思っています。ビジネスも解像度高く理解をして、また、テクノロジーがどんどん進化していく社会なので、技術についても解像度高く理解してほしいと思います。
こういう話をすると「いやいや、それはデザイナーに求め過ぎなんじゃない?」と言われることがあるのですが、我々としては、これからのデザイナーの存在意義を考えて、ビジネスやテクノロジーともしっかり向き合って、さまざまな領域の課題解決を推進してほしいと思っています。
(スライドを示して)右側の三角形は、「プロダクトマネージャートライアングル」と言われています。プロダクトマネージャーが本来向き合うべき領域と、UXデザイナーが向き合うべき領域は、年々オーバーレイしているのではないかなと感じています。
そこのラインを分けるよりは、同じような目線でプロダクト作り、事業作りに関わっていってほしいと伝えています。
(スライドを示して)これは、最近マッキンゼーが出していたCDO(Chief Digital Officer)の定義をしたような資料の抜粋です。「これまでのCDOはこういう役割だったけれど、これからの時代のCDOはこういうことが求められるよね」ということをまとめています。
その中でも、特にトランスフォーミングユーザーエクスペリエンスが比重としてやはり大きくなってきています。さらに赤で囲っているところは、「いわゆるイノベーティブな新しいビジネスモデルを作ること。きちんとそこに貢献していく、関わっていくのがこれからのCDOに求められるよね」と書かれています。
CDOに限らず、デザイナーの方々も、もっとステップアップしてビジネスや事業開発と向き合っていく社会になっていくのではないかと思っていたりしています。
McKinsey&Company :Defining the role of a chief design officer
(スライドを示して)実際、我々の社内の中でデザイナーがどういうことをやっているかというと、例えばデザイナーだけがデザインと向き合うような組織ではなく、多くのメンバーが立場にとらわれず、きちんと自分たちでデザインにコミットしていけるような組織にしていこうとしています。
それを社内で「デザインの民主化」と呼んで、特に非デザイナー向けにいろいろな社内勉強会を定期開催して、みんながデザインツールを当たり前に使って仕事ができる、アウトカムを出せるように取り組みをしています。
あと、デザイナーはやはり忙しいので、日常業務でなかなか向き合えないような課題が出てきます。「毎月デザイナーだけで集まって合宿をしてください」と言っていて、そこでふだんはなかなか向き合えないような課題と向き合ったり、新しい技術やツールを組織に取り入れることができないかも主体的に考えてもらったりしています。
(スライドを示して)というところで、(我々は)アプリやWebサービスのプロダクト開発にも、UX、UI作るところではデザイナーが関わっているし、ライティングガイドラインのようなユーザーエクスペリエンスに深く関わる領域まで、デザイナーが関わって作っていたりもします。
我々は物理の体験も提供している会社でもあるので、こういったリアルな物のデザインも担ってくれています。
(次回に続く)
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