4社で作っているジョイントベンチャー「LINE MUSIC」

岩本俊介氏(以下、岩本):まずは資料の順番になってしまうんですけどLINE MUSICの壱岐さん、お願いできますでしょうか。

壱岐岬氏(以下、壱岐):はい。初めまして。LINE MUSICの壱岐と申します。よろしくお願いいたします。主に事業開発領域を私は担当しているので、今日はいろいろな学びだったり悩みの部分だったりも含めて、みなさんにシェアしてもらえればなと思っています。よろしくお願いいたします。まずは、簡単にLINE MUSICの説明ですかね。

岩本:お願いします。

壱岐:LINE MUSICはみなさんご存知かもしれませんが、簡単に言うとオンデマンドのサブスクリプション、音楽のサブスクリプションサービスを提供していて、今は9,400万曲以上の楽曲を配信しています。

LINE MUSIC自体は、LINE社だけで運営しているわけではなく、SONY MUSICさん、avexさん、あとはUNIVERSALさんの4社で作っている、ジョイントベンチャーです。

ユーザーの規模もけっこう大きくて、LINE MUSICのアプリダウンロードは累計でだいたい4,000万ダウンロード、MAUでいうと1,300万人のけっこう大きな音楽ストリーミングサービスを運営しています。よろしくお願いいたします。

岩本:ありがとうございます。さっそく規模の大きな話を聞ききましたが、このあと具体的にどういうライバル企業と戦っているかなど、そういう話を聞ければなと思います。よろしくお願いします。

LINEのスタンプショップやLINE Creators MarketのPM

岩本:では続いて小内さん。よろしくお願いします。

小内喜文氏(以下、小内):よろしくお願いします。小内喜文と申します。LINE株式会社で、今は名前がLINEコミュニケーション事業部と名前が変わり、その中のスタンプ企画チームで、LINEのスタンプショップやLINE Creators MarketのPMをやっています。

LINEスタンプはLINEの中で一番よく知られているサービスの1つかと思いますが、私たちの事業部が担当しているのは主にToCの領域で、有料でユーザーのみなさまにスタンプを使ってもらうサービスまわりを担当しています。

中でも私は、LINE Creators Marketのローンチのタイミングで入社をして、ずっとLINE Creators Marketを8年。今月で9年目ぐらいになるところです。

岩本:ありがとうございます。ちょっとスケールの大きな話も、このあとできればなと思っています。

LINE LIVEとLINE LIVE-VIEWING

岩本:では最後、上田さんお願いします。

上田優太氏(以下、上田):上田と申します。よろしくお願いします。僕は今LINE LIVEに所属していて、3月からサービス全体のPMとして立っています。LINEに入ったのは2021年の4月なので、まだ1年ぐらいです。なのでぜんぜん新参者なので、ちょっとビビっています。お願いします。

LINE LIVEはソーシャルライブアプリとして2015年の12月にリリースをされました。サービスとしては、配信してくれるライバーさんと言われる配信者さんがいて、それを見てくれるリスナーさんがいるような、ライブ配信をしています。

あとはLINE LIVE-VIEWINGというオンラインライブのチケットプラットフォームもあって、アーティストさんだったりがオンラインライブをして、チケットを購入して視聴するというものがあります。

数値的なところはちょっと明確には言えないのですが、がんばっているしこれからもがんばっていきたいなと思っているので、よろしくお願いします。

岩本:ありがとうございます。けっこう動画のサービスで他社さんのもいろいろある中、競争がすごく激しいのかなというイメージがあるので、このサービス競争の部分とかもぜひあとで聞かせてもらえたらいいなと思っています。

LINE MUSIC成長における2つの指標

岩本:ではこれで自己紹介がひととおり終了したので、このあとそのままトピックに入っていこうかと思っています。いくつかトピックを上げていますが、まずは順番にやっていきたいなと思っています。

第一にみなさんにお話しを聞きたいなと思っているのが、成長の定義。どう成長を考えているのかというところ。あとはライバルとの差別化ですね。さっそく自分たちがどういうふうに数字をゴリゴリと伸ばそうとしているかと、ライバルとの過激な戦いの話を聞かせていただけますでしょうか。

ここからは進め方をどうしようかなと思っていまして、いったん話したい方はいますか? いなければ超ランダムにいっちゃおうかなと思っているんですけれども。

岩本:ではLINE MUSICから、お願いします。まず成長の定義についてお願いできますか?

壱岐:そうですね。LINE MUSICは2015年6月からサービスを開始をして、音楽ストリーミング市場自体も2015年から一挙に成長していったというところもあって、当初は市場の成長スピードも速く、そんなに努力はしなくてもと言ったらあれですが、ユーザー数も着実に積み上がっていったという背景があって、あまりフレームワークにスポットを当てながら考えていませんでした。

重要指標はここにも記載していますが、有料ユーザー数は当初から変わらなかったんですが、そのツリー構造ですね。何が一番重要で我々はその重要な指標に対してどんなKPIを持って、そのKPIに対してどんなアクションをしていくんだというところを、実はあまり明確に決めなくてもよかったフェーズがだいたい1、2年ぐらいありました。

そこからプレイヤーも淘汰されるようになってきて、競争が激化してなんか今までどおりやってもうまくいかなくなってきたフェーズが2、3年ぐらい経って出てきて、ちょっとやばいねと。ちゃんとデータを見ながら一番重要な指標を上げていかないといけないねと考え始めるようになって、こういったツリー構造を作ろうみたいな話になりました。

ただ一方で、このツリー構造をちゃんと数字的にも正しいかたちで整備したいなと思っていて、そこからLINE社は全般的にデータサイエンティストがたくさん所属しているので、LINE MUSICにも参画してもらうようにしました。現在4人ぐらいLINE MUSICにデータサイエンティストがいますが、その方々にいろいろデータを見てもらって「これが一番KGIに対してインパクトがある」みたいな指標をこの2022年に決めています。

それは、この「NSM(North Star Metric、北極星指標)」と書いてある総再生日数という指標を上げていくことが、このKGIに対して一番インパクトがあるというところがデータ上見えてきたので、まずはここを上げていきましょう、と。

この総再生日数というのは、要は生活に毎日使うようなツールになっていこうという中で、ではそのためにはサブKPIとして何を置かなきゃいけないんだろうというと考えたところ、けっこうシンプルに、より多くのお客さんに対して毎日使ってもらうというのを示すために、ユーザー数と再生日数のこの2つのKPIを置いて、まずはここを上げていきましょうと。

このKPIにさらに紐づくサブサブKPIみたいなものがこの右側かな? このユーザー数を上げていくためには、その見込みとなるお客さんをより多く集めていきましょうと。その集まってきたお客さんに対して、ちゃんとベネフィットを与えてコンバージョンレートを上げていきましょう、というのがこの左側ですね。

この右側に関しては、アプリをちゃんと起動するきっかけを作ってあげましょうという施策をやっていって、さらにそこでお客さんがほしいコンテンツを提供して、再生体験も向上させて、結果的に再生日数を上げていきましょう、と。このユーザー数×再生日数で、先ほどのNSMを上げていくためには、要は一番上のKGIである有料ユーザー数を稼いでいくのに一番正しいかたちだということがわかり、ようやくこの1年ぐらいかけて、このフレームワークで今の事業運営をしている状況です。

ただ、すべてがうまくいっているわけではなくて、やはりこのNSMに対して継続的にアプローチしていかないといけないということは、自分たちの仕事のやり方を高速化して、ちゃんと継続的にこのNSMにリーチできるような施策群を打っていかないといけません。ですが、まだそんな開発体制にも運用体制にもなっていっていないので、そのあたりは2022年中に重点的に取り組んでいきたいなと思っています。

データサイエンティストはどのような働きをしたか

岩本:ありがとうございます。さっそく少しお話をお聞きしたいなと思っているんですが、今上げていこうとしている大きな指標のこの2つに対して、ブレイクダウンしたここをどんどんと上げていこうとしているような感じですよね。

壱岐:そうですね。

岩本:ちなみに施策例は100パーセント内緒なんですかね。

壱岐:(笑)。ぜんぜんそんなことはなくて、例えば後ほどちょっと触れようかなと思っていたんですが、我々はグループ会社でいろいろ、もちろんLINEというプラットフォームもありますし、ソフトバンクもいるので、そういったオンライン・オフライン問わず、つながりのある会社さんだったりプラットフォームから見込み客を連れて来るみたいなところは、施策的として現状していますね。

岩本:なるほど。そのあたりはもう少し深いところが、もしかしたらあとから聞けるという感じですね。

壱岐:そうですね。

岩本:あともう1点せっかくなのでお聞きしたいなと思います。けっこう模索の時期が長かったみたいな話が。

壱岐:長かったですね。

岩本:その時にデータサイエンティストのみなさんが参加されて、たぶんどこをターゲットに上げていくといいんだろうみたいなところとかを模索したりしたのかなと思うのですが、そこはどういう働き方をしていたのでしょうか?。データサイエンティストにどんどん持ってきてもらうみたいな感じなのか、企画メンバーから調べていくのか、みたいな。

壱岐:そのあたりは本当にワンチームとなって、データサイエンティスト・企画・あとは事業を運営している多くの部隊のメンバーを含めて、何が正しいのかをやはり知りたいわけですよね。自分たちの活動がきっちり事業の成果につながっていないと、もちろんモチベーションも生まれませんし、その目標も達成できないという課題感を全員が持っていたので。

その課題感をきっちりどのデータサイエンティストにも伝えた上で、ちょっと見てみると。そのログも先ほど言ったみたいに、要はアプリダウンロード数が何千万とかMAUが何千万とかと、かなりの量のログがあるので、そこから正解を導き出すのはやりやすいと言えばやりやすいのかなと思いました。

そこをもうデータサイエンティスト1人がやって、さらにレビューをしてそれが本当に正解かを1ヶ月、2ヶ月ぐらいかけて、「では先ほどのNSM、総再生日数だ!」みたいなところを決めて、それに紐づくアクションをそれぞれやっていこうよみたいな流れで、先ほどのNSMを決定していますね。

岩本:なるほど。再生日数で出てくるまでには、けっこうデータサイエンティストのメンバーとのいろいろな深いデータ分析とか、その中でディスカッションとかを経ていたと。

壱岐:そうですね。けっこうこれは重要なことじゃないですか。ここを上げていくのが正だと全体としてやっていった場合に、ここが間違えていたら本当に大変なことになるので。ここはかなりのレビューの回数を重ねた部分ですね。

岩本:なるほど。では今で見ると、有料ユーザー数を伸ばすというのはたぶんある程度決まっていると思うんですよね。ここのNSMとの関係性みたいなところも、わりとバチッと見えてきているんですか?

壱岐:そうですね。そこはもう間違いなく見えていると思います。

岩本:ということは、ここはもうどうやって上がっていくかを調べていくのがやりやすそうですよね。

壱岐:やりやすいですね。

岩本:なるほど。すごい。そこを出していくのに模索の期間が2、3年でしたっけ?

壱岐:そうですね。それぐらいかけていますね。けっこうトライ&エラーも重ねていった部分なので。ただこれをLINE MUSICだけに留めるのは良くないなと思っていて、その近しい、先ほどの小内さんのチームもサブスクの事業をやられているので、「こんなNSMが出たよ」とか「こういうふうにやっているよ」みたいなところは随時共有しています。

そのチーム間のこういった指標の連携みたいなところは、随時チーム間でいろいろコミュニケーションをしながら全体としてその良い事例をちゃんと共有しようみたいな雰囲気は、LINEにはあるかもしれないですね。

岩本:確かにそうですね。今日登壇されている方々も他のサービスでけっこう類似のビジネスモデルのサービスがあったりするので、そことの情報連携ができているのは、すごく大事ですね。データサイエンティストのチームは横断組織なので、そこの情報連携ももちろんできると思います。

壱岐:そうですね。

LINEスタンプのNSMは絶賛策定中

岩本:では続いて、小内さん、LINEスタンプについてお願いできますでしょうか?

小内:はい。LINEスタンプは実はNSMがまだぜんぜん定まっていなくて、現在絶賛策定中というところです。毎週定例やそれこそデータサイエンティストと一緒に作ったりしていますが、KGIはずっと変わっていなくて、売り上げと利益だなと思っています。

LINEコミュニケーション事業部が今やっているビジネスでは、個別課金でスタンプ・絵文字・着せかえといった種類のプロダクトを売っていて、それと並行して先ほど壱岐さんが言っていたLINEスタンプ プレミアムというサービスを2020年から始めています。

あとはLINE Creators Marketというユーザーがスタンプを作って販売できるプラットフォームの運営もしていて、それぞれで違ったKPIがもちろんあります。

個別課金に関しては、いかにLINEのトーク内で有料コンテンツを使ってもらうかというところと、LINEスタンプ プレミアムに関しては、リテンション率やLTV、課金転換率などを(KPIとして)持っているんですけど、そこは本当にLINE MUSICのノウハウとかを反映させながら、日々KPIを達成に向けてスタンプ プレミアムのチームががんばっている状況です。

LINE Creators Marketがなかなか最近特殊なことをしていて、クリエイターさんのスタンプ供給が増える。それで売れるスタンプの供給が増えていくと、当然ですけど売り上げが上がっていくというのがあります。

なので後で紹介しますが、今はいろいろな自己表現がある中で、クリエイターさんにいかにスタンプというものに興味を持って作ってもらえるかにフォーカスして、コンサルみたいなことをやって、売れるスタンプを作っていく取り組みとして、LINE Creators Support Programというのをやっていたりします。

そういうのがあって、なのでここは対外的なKPIは、きちんとした数字や送信数や売り上げといったものなのですが、(スライドを)ちょっと右に行くと、それとは別に事業部で最近すごく話すのが、結局スタンプをなんで送るんだっけというところで。

LINEアプリのトークの中で、別にテキストだけでも要件は伝えられるし、むしろテキストのほうが正しい要件を伝えられるのにスタンプを使う理由というのが、絵や写真を用いた感情表現を豊かにしたいという、ユーザーのコミュニケーションをリッチにしたい思いがあると思うので、ちょっとそこにフォーカスをしたKPIも見ていきたいと最近思っています。

最近というか数年思っていまして、例えばですが、友だちによって使うスタンプが、Aさんには「ドラえもん」を送りたい、Bさんに「キティ」を送りたいと思うこともあると思うのですが、そういったユーザーがスタンプを送るにあたって、良い体験になっていくようなところにフォーカスした、いわゆるUXもKPIの指標の1つにしたいねという、エモな部分も見ている感じです。

クリエイター育成プログラム「LINE Creators Support Program」とは

岩本:ありがとうございます。メチャクチャおもしろいなと思いながら聞いていたんですが、いくつか気になったところがあったので、お聞きしたいなと思って。まずこのLINE Creators Marketで対応を進めているのが、クリエイター育成プログラム「LINE Creators Support Program」ですかね。これは具体的にどういうことをされているんですか?

小内:一番の成功例だとサポート開始前と比較して30倍の売り上げになった人がいて、本当にもう人気クリエイターさんになって、きっと人生変わっただろうなと思って見ているんですけど。

岩本:(笑)。確かにそうですね。しっかりお金が本当に入りますもんね。そのクリエイターにとっては。

小内:そうですね。もう家が建つみたいな感じだと思います。

岩本:すごい。夢はすごくありますよね。ちゃんとそうすることで、プラットフォームのエコシステムも盛り上がっていくというのはすごくありそうで、メチャクチャおもしろい施策ですね。

LINEスタンプで重要な「送信数」

岩本:もう1個、僕の自己紹介をしていなかったのですが、LINE企画センターというところでLINEアプリの企画をやっていて、その目線ですごくおもしろいなと思ったのが、スタンプを押して感情表現するという部分。

これは数字化がすごく難しい部分かなと推察をしながら話を聞いていたんですが、今までどういうところを評価軸とか数値化して、向上させていこうとか成長させていこうみたいなところで、今見えているところがあったら教えてもらってもいいでしょうか。

小内:やはりスタンプの送信数やコミュニケーションに占めるスタンプの割合だと思います。トーク全体のコミュニケーション総量に対してどれぐらいスタンプを送ってくれているかという割合が増えれば、私たちの事業にとって、スタンプを使って感情表現をしたいユーザーニーズに応えられているのかなと判断をしています。送信している相手に関してはちょっと見れない部分がありますが、例えば世代ごとでの数値も追っています。

岩本:なるほど。仮に全部のトークを感情表現とかやり取りとした時に、その中のスタンプの比率がどれだけあるかという部分ですね。うれしい時にうれしいスタンプになるか、「ありがとう」というスタンプになるかで違いますもんね。

LINE LIVEの売り上げはギフティングがメイン

岩本:では続いて、上田さん、よろしくお願いします。

上田:ちょっとKPIツリーみたいなところをサクッと作ってみました。先ほどの2つのサービスとわりと違う特徴的なところは、左側に視聴者視点を、右側に配信者視点というのを書いていて、やはり配信してくれている方とそれを見てくれている方で、それぞれのKPIやNSMで設定しているものは違いますよ、というところがありますね。

KGIのところで重要視しているのは、やはりギフティングでの売り上げ。応援のアイテムを送って、それで売り上げが上がる「ギフティングの売上」と、それに伴う利益というところが、KGIとしては一番あるかなと思っています。それを分解していった事業目線でのKPIが何にあたるかというと、ARPUや、あとはPUとかそういう目線でのKPIを設定しています。

その裏返しというところで、ユーザーの行動における継続的に使ってもらえているかどうかも指標としてやはり見ていて。例えば継続率であったり、あとは配信の視聴時間とかですかね。

視聴の頻度とかそういったところも、やはりサービスにどれくらい価値を感じてもらえているのかみたいなところを測る指標として、設定をしています。

それらの売り上げに関連する要素としては、アプリで展開していたりするのでコインの購入額であったり、そこで購入されたコインが消費されたら売り上げとして計上されます。あとはイベントを非常にがんばっています。

例えばオーディション形式のフェス出演権だったり、雑誌やファッションショーのランウェイ出演権であったり、そういったイベントの売り上げもそのギフティングの売り上げに関連するものとして、数値として追っています。

岩本:ありがとうございます。基本的にはライブの売り上げの軸はもうギフティングがメインになる感じですかね。

上田:そうですね。他に例えば、後でいろいろと出てくるかと思いますが、LINE公式アカウントを使ったサブスクの配信。例えば1ヶ月スポーツチームの配信が定額で見れますなど、そういうところの売り上げはありますが、大きいところはギフティングの売り上げかなと思っていますね。

あとは冒頭に言ったLINE LIVE-VIEWINGというオンラインチケットサービスのチケットの売り上げもありますが、わりとボリュームが大きいのはギフティングの売り上げです。

どんな配信者が多いのか?

岩本:あとは僕が完全におじさんクラスタだからわかっていないのですが、配信者はどういう方が多いのですか? どういう場合にどういう方が配信されているのかというイメージがあまり湧いていなくてですね。

上田:例えばインフルエンサーの方や社会人の方、お子さんがいらっしゃる主婦の方も配信しています。あとは学生さんとか。ただわりと多いのは、そういうインフルエンサーや、成績が良い方とかだとライブの配信を本業にしている方ですね。個性溢れる様々な方たちが、それぞれ自分らしいライブ配信をしてくれているような印象はありますね。

岩本:このあとの競合の部分とかで、ちょっと会社のベンチマークとかのお話もできればなと思います。質問が今ちょうど出てきているので、これを拾いたいなと思います。「ユーザー側の行動の把握みたいなところは、今はどういうふうに進められているんですか?」

上田:例えば継続率であればデイリー7の継続率は〇〇パーセントですとか、視聴率、視聴されているパーセンテージはどれくらいですよみたいなところを定量で調査するのが、基本的に継続的に見ていく観点の中心にはなりますね。

あとは定性的な、ユーザーインタビューみたいなところ。それはこのKPI、KGIという観点ではあまりないですが、例えば機能を新しく企画していく時だったり、あるいは例えばこういうバランスにしようみたいなところで決めかねている時は、いわゆるユーザーテストみたいなことをして、定性的に調査をしていくこともするという感じですね。

岩本:定量や定性調査のところのサイクルは、多い場合だとどれくらいでしょうか。

上田:定量のところは基本的にデイリーです。数値を見る時にその分析チームがいるので、そこで整えてもらっていて、デイリーでさらに細かい部分が追いかけられるように今後していきたいというところもあります。

壱岐:たぶんLINEのサービス全般、スタンプもそうですしLINE LIVEもそうだと思いますが、同じように定量を中心として適宜定性の調査をやっている傾向があるんじゃないかなと思います。

上田:やはり定量的なデータをベースとして見てみたいところは、会社としてもあるんじゃないかなという気はしています。

岩本:そうですね、そこはわりとけっこう各部署ですかね。それぞれでもまあまあ似たような動き方ができている気がしますよね。そこはたぶん、データ分析の組織がわりと横断であるからで、分析・定量調査をしていくところと定性的に分析していくみたいなところは、うまく見れているような気がしていますね。

「クリエイター活動支援プログラム」に参加するメリット

岩本:他に質問をいただいたのがそうですね。LINE Creators Marketについていただいていたかなと思います。

小内:そうですね。これはおっしゃるとおりでそうなんですよ。スポンサーのスタンプで無料で毎週出ているスタンプがあると思いますが、今はほとんどクリエイターさんが書いていて、人気のクリエイターさんが広告案件をやるようになると、当然そこでまとまったお金を得ることができて、個別課金で売るよりもそっちのほうが儲かるのでそっちに流れていってしまうというのは、質問をいただいているとおりです。

なのですが、やはり個別課金というかファンの方々にクリエイターさんがご自身の作ったスタンプを届けたいという思いを持ってやっているクリエイターさんもけっこう多いので、そういったところで、特にこちらから何か働きかけなくても出し続けてくれる方もいます。そうじゃない方に対しても、やはりToC向けのスタンプを作り続けてもらうことで、認知の継続と向上のようなところを謳いながら、「出してください」とお願いして出してもらっているという状況です。

岩本:そうですよね。ここはどちらにメリットがあるかをクリエイターさんが比較して、良いほうを取ってしまうことは普通にあると思うので。

小内:あとは「出してくださればこちらで宣伝します」と言って、LINE公式アカウントで宣伝しますと謳って出してもらうこともあります。LINEスタンプのLINE公式アカウントは実は日本で最大のフォロワーがいるアカウントなので。

岩本:なるほど。利益につながるようなところはマーケティング活動も含めて基本的にはやっているということですね。

具体的にデータを使ってサービスを改善させた事例

ちょっと1点質問をいただいているので、たぶんこれは全部答えちゃうとけっこう時間がかかっちゃうかなと思っているので、もしよろしければ1つでもけっこうなので、代表的なところで具体的にデータを使ってサービスを改善させた経験や事例みたいなところがあれば共有したいなと思っていまして、何かパッと思い付く方はいますか?

小内:それでいうと、スタンプはサブスクリプションを始めたというのがありますね。最初はサブスクを始めたらやばいんじゃないか、という懸念はもちろんあって。データを見たら古いスタンプは当然売れなくなりますと。

そういうところで、発売からどれくらい経ったものをプレミアムの対象にしていくかに関しては、ものすごくデータサイエンティストと協業しながら当時の担当者が進めていって、結論として半年ということになりました。そこはかなりデータを見ながらサービス設計をしていきましたね。

岩本:そこはもともとあるビジネスを潰しちゃう可能性がある部分ですもんね。

小内:はい。結果はデータを見て、これはカニバらないという判断をしたという感じですね。

岩本:おもしろいですね。料金体系の検討もデータサイエンティストと協力して進行していたのですか。

小内:そうですね。金額も、いろいろな金額との兼ね合いをかなりデータを見ながら研究をしていった感じですね。

岩本:その新規の機能も、既存のビジネスとカニバらないようにデータ分析をしながら、途中から立ち上げたものに近いかもしれませんね。

小内:はい。

後半へつづく