TSMCを日本に誘致する理由と狙い

――先ほどお話に出たTSMCの誘致ですが、実際に誘致する工場は最先端のものではなくて、二世代古いタイプの工場だと言われています。これは最先端でがんばっていくというところとは別の話になるのでしょうか?

荻野洋平氏(以下、荻野):そうですね。TSMCの半導体誘致はステップ1のところです。一方でこの分野も残念ながら日本にはなかったものなので、外から取り込んでいく必要があります。このステップ1のところは、やはり比較的短期的に必要になってくるボリュームゾーンに対応するための取り組みだと思っています。

さらに言うと、今までは40ナノで止まっていたところを一気に28、そして今回12ナノまで発表しました。こういった工場の誘致は、20年分の遅れというものを取り戻していくためのステップ1の1つだと思っています。

――取り分は台湾のほうが多いと聞いたことがありますが、日本の半導体産業の復興とそこはどう関係があるのでしょうか。

荻野:確かにメインは台湾ですが、TSMCの半導体誘致は、熊本で作ったものを海外に持って行って、海外のユーザーに供給するのではなくて、やはり基本的に日本のユーザーを想定して作っています。

残念ながら今この瞬間は、海外がロジック半導体をすべてやっていますが、国内でロジック半導体が日本ユーザー向けに供給されると、例えばSONYのセンサーと組み合わせて出荷するということが日本の国内でできてくるので、まず短期では、そういう意味合いがあると思っています。

また、もう少し長期的な面で見ると、今まではずっとルネサスの40ナノが最先端になっていましたが、それを超える12ナノ台、技術的にはFinFETと言いますが、そういったところにも入っていきます。こういった製造拠点が国内にあることで、研究開発をやるだけではなく、実際に実装をしていく場ができます。

こういった製造現場と研究現場の連携ができていかないと、先ほど申し上げたような、国内の中で技術が発達していくことはできないと思うので、それをやっていくことが必要になると思います。

その際にはデバイスメーカーだけでなく、製造装置や素材などにも影響するかたちでやっていかなければいけないと思います。

――TSMCで生産していくのは半導体の種類としてはロジック半導体でしょうか?

荻野:そうですね。ロジック半導体です。

歴史を繰り返さないために必要なのは、明確な国の支援のコミット

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