半導体不足の原因の1つは、需要と供給のバランスで生じたズレ

――パソコン、車、ゲーム機など、さまざまな製品の納期遅延の原因は、現在起こっている世界的な半導体不足であると言われています。そこで、半導体戦略を取りまとめている経済産業省の荻野さんにおうかがいをしたいのですが、世界規模で起こっている半導体不足の根本の原因は何になるのでしょうか?

荻野洋平氏(以下、荻野):なかなか難しくて、私たちもはっきりと定量的にわかっているわけでもなければ、定性的にもビシッと一言で言えない中で、きっかけはたぶんいくつかあると思っています。コロナ禍において一瞬需要が減退したタイミングと、逆に巣ごもり需要で膨らんだタイミング。その瞬間にズレが生じました。

半導体は、非常に工程が長いので1個を作るのにだいたい半年かかると言われているんですね。そういった観点から、需給バランスのズレが生じました。需給バランスが生じて、再度需要が高まった中、半導体が供給されないことによって、みなさんが確保する方向に動いたと思っています。

半導体のサプライサイドの声を聞いていると、半導体業界は今までシリコンサイクルと言われる、数年に1回ぜんぜん足りない時期と、逆に投資をしてそのまま一気に余る時期を繰り返してきた歴史があることがわかりました。サプライヤー側は、今この瞬間に相当大規模な投資をしていますが、一方で数年後に対して不安を抱えながらやっている部分もあると思っています。そこらへんは、小口で収支を見ていかなければいけないと思います。

今、半導体が足りないと言われていますが、サプライヤーサイドから見ると実は極めて高いレベルで半導体生産はずっと続いています。過去最高レベルで生産はしているのですが、それでも足りない状況になっていると言われています。

では実際に最終製品がそこまで増えているかというと実はそうではなくて、むしろ最終製品はそんなに増えていないのに、半導体が足りないと言われています。マクロでは足りていても、半導体は非常に多様な製品に使われているので、一部の製品で足りていないと、「足りない」と言われてしまう部分もあると思います。

なぜ半導体不足のサイクルは繰り返されるのか

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