地球に負荷をかけずに、経済活動を活性化させるために知恵を使わないといけない

天野眞也氏(以下、天野):あとは先ほどのCO2のエビデンスですが、それもやはり世界中で取られてきて、地球由来の気候変動じゃないんだと。

人類由来なんだということを含めて、僕らは次の世代にうまくバトンを渡すために、地球に負荷をかけない状態で、経済活動を活況化させていくということに、知恵を使わないといけないですね。

大幸秀成氏(以下、大幸):そう思います。少なくとも、化石燃料を燃やす行為は極力抑えていくというのは、間違いないと思いますね。

天野:おっしゃるとおりですね。僕も少なからず発電所を自分でちょっと作りました。太陽光なんですが、ちょっとぐらいは、少し還元できたらいいなと思っています。そういう意味では、今FAプロダクツでは、半分のビジネスが再生エネルギービジネスをやっています。再生エネルギー比率を日本全体としてもっと上げていくために「どういうことが僕らとしてはできるのかな」と思っています。

大幸:そうですね。今日本だと太陽光がわりと敷設され始めましたが、これから風力ということでね、弊社もGEと提携して、洋上風力発電をやろうという話が出ています。

天野:僕らもちょっと風力発電にチャレンジしようと思ったんですが、やはり風はけっこう読みきれなくて。

大幸:いやあ、難しいですよ。難しいと思いますよ。

天野:僕らも、ビジネス化することはなかなか困難だな、ということで、今は太陽光がメインではありますが、本当にバイオマスなどいろいろな方向性はあると思います。

地産地消じゃないですが、そういうチップがいっぱい出るならバイオマスがいいでしょうし、風がすごくよければ、もちろん洋上風力はいいと思います。お手軽と言うとアレですが、誰でも投資ができて、環境に貢献できるとしたら、僕は太陽光発電所なんかがやはりいいなと思うんですよね。

バイオマスを用いたさまざまなモデルと、それにより生み出される循環

大幸:私は、バイオマスかなと思うんですよ。

ちょっと正確な値を忘れちゃいましたが、日本はたぶん7割、8割が山じゃないですか。山林なんですよね。それで、多くの山が荒れ放題になっている。ほぼスギの植林で荒れ放題になっていて、切り倒しもしないし、そのまま雑木林状態になっていて、春になるとスギ花粉症でみんなが困っている、みたいな話になっているんですけど。

そのスギの木を切り出して、きちんと木材事業として成り立つようなロールにしないといけないんじゃないかと思うのですが、誰もそこに対して動けていないんですよね。

スギ材はとにかくいっぱいあるので、それを切り出すことにコストがかかるんですよ。もう日本全国どこでも試せるわけだから、誰かが名乗りを上げて、それこそクラウドファンディングをやってみて、スギ材を出します、と。製材までします、と。その製材でできたものが売れたら還元しますよ、とか、いろいろなモデルが考えられると思います。

そうすると、そこの要らない部分は、全部バイオマスにして出せるし、場合によっては家具とかに使わなくてもね、もともとバイオマス目的でスギ材を持ってきてもいいと思うんですよ。丸太ごと山から持ち出そうとするとすごく運送費がかかるので、もう現地でチップ化しちゃうと。そういうのは、誰かが真面目に考えればたぶんやれると思うんですよ。だからそれが、まず日本がやるべき、1つの重要なことじゃないかなと思っています。

天野:なるほど。確かにそうやって、また植林して、よい木を植えるという、そういう循環を生み出せればすごくいいですよね。

大幸:それができると、地方再生とか過疎地みたいな話もたぶんなくなると思います。山林をうまく活用して、新しく6次産業化しようという話も、出てくるんだろうなと思うんですね。

天野:確かにおっしゃるとおりですね。地方の行政さんは、そういったバイオマス発電でもいいですし、僕らは今けっこう太陽光発電をやっているので、太陽光も含めてもう少し再生エネルギー側にみんなの注目が集まるといいですね。

ただ太陽光も、地滑りがある斜面とかがあるので、「どこでも伐採して建てちゃえ」というわけではないんですよね。まさに大幸さんのお話と一緒なんですが、日本はやはり耕作放棄地みたいな、いわゆる何も植わってない、荒れた野っ原みたいなところがメチャクチャ多くて、それはだいたい農地か山林で、何も建てられないんですよね。

法律がちょっと遅れていて、そこに発電所を立てられない。だけど、ここは別に何にも使われていないので、人もいないし、逆にいいんです。

例えば、地方のこういうところにパネルをドンドン置いておくと、電力がたくさん作れます。地方は、やはり工業団地の誘致がすごく多いんですよね。

大幸:確かに多いですね。

天野:地方の活況化のためには、もちろん優秀な製造業さんの誘致が大事だと思うのですが、その時に「うちの工業団地は、全電源が再生エネルギー由来の電源です」と。例えばバイオマスだったり、太陽光だったり、「この電源を使った工業団地です」という触れ込みでやると。

大幸:それは大事ですね。

天野:これから企業さんは絶対にカーボンニュートラルなので、「じゃあ地方にある3つの工場を統合してここで出すだけで、RE100達成」みたいな。

大幸:そうですね。

天野:分散電源なので、大規模な災害が起きた時に停電に巻き込まれない。

大幸:確かにそうですね。

天野:僕は勝手にスマート工業団地と呼んでいるのですが、こういうものがドンドン作られていくと、やはりすごく地方創生にもなると思います。

そこの工業団地を中心に、学校と連携したら、学生さんたちも集まって、若手も外に出ていかない、学校も盛り上がる。僕は「北関東、南東北あたりを日本のシリコンバレーにしよう」とちょっとかっこいいことを言っています。

大幸:あははは、なるほど。

天野:脱酸素から、そんなことにお話が広がっていくといいなとおうかがいしていてすごく思いました。

個々人が再生エネルギー由来に関することに取り組まなければならなくなっている

大幸:そうですよね。でも、日本ではスマートグリッドという言葉は、もう今から10年ぐらい前に出ていて……あれは大震災のあとなので、2011年ですか。その頃にスマートメーター化をするんだとか、その次にHEMS(Home Energy Management System)を普及するんだとか、いろいろなことがあったんですけど、結局そのマーケットはあまり動かなかったという印象なんですよね。

天野:そうですね。

大幸:関東圏、東京圏で輪番停電を経験したのに、なんかこう「喉元過ぎれば熱さ忘れる」みたいになっていて。

でも、温暖化というのが科学的エビデンスでもって「人類は悪いことをしているんだよ」とわかった関係上、やはり、少しずつでもいいから、自らがそこに出資したり、投資したり、貢献したりということをしていかなければいけないとなってきたので、企業活動というよりは、もう人間個々がそこに入ってこないといけないレベルだろうなと思うんですよね。

天野:本当におっしゃるとおりですね。ぜひご視聴いただいた方は、何がしかのこういう再生エネルギー由来に関することに取り組みましょう。

大幸:そうですねえ。ぜひ。

天野:企業さんには、僕らもDXとカーボンニュートラルのどちらもセットでご提案して、先ほどのカーボンフットプリントとか、環境価値も含めて、再生エネルギーをどうやって今後マッチングしていくのかとか、そんなことも、ガンガン取り組んでいきたいと思っています。

大幸:これ、話は尽きないですよ。脱炭素は、実はいっぱいありますから。排出権取引とかもありますし。

天野:そうですよね。

大幸:今まではCSRとかで、環境活動って半分ボランティアだったじゃないですか。

天野:ええ。

大幸:そうではなくて、本当にビジネスとして、この脱炭素と環境対応を回そうという動きが、世界中で動き始めてるというところは、やはり日本の企業としても敏感に嗅ぎ取って、手を打っていかないといけないですね。

天野:そうですね。

大幸:もう日々ネタがドンドン増えてきているので、どこかでまた天野さんと対談したいです。

天野:ぜひ、そうしましょう。いろいろなところで大幸さんはお話しされるので、インプットがたくさん溜まったら、ぜひこの「AMANO SCOPE」で放出していただくということで。ぜひ、よろしくお願いいたします。

大幸:こちらこそ、よろしくお願いします。

天野:本日はどうもありがとうございました。

大幸:ありがとうございました。