不真面目な人をあぶり出すための監視は真面目な人のモチベーションを下げている

――リモートワークをする中で、例えばパソコンの中にトラッキングツールを入れたり、常時ビデオをオンにすることをルールとして定める会社もあると聞きます。それについて田中さんはどう思われますか。

田中:X理論Y理論という、人はさぼるかさぼらないかみたいな話があります。仕事って楽しいから積極的にやるよねという考え方がY理論で、仕事は仕方がなくやるもので管理をしなきゃいけないというのがX理論です。

それでいうと、だいたいの人はそんなにさぼらないし、うちの会社でもずっとさぼっているという人は聞いたことがないですね。

以前Twitterで、子どもをゲーム嫌いにする方法というツイートがバズっていました。例えば「あ~、そこのアイテム取り忘れてる。あーあ!」とか「300秒以内にゴールできなければやり直し!」とか「ゴールするまでは絶対やめてはいけない」とか「寝ちゃいかん!」とかずっと親から言われたら、子どもは「ゲームはもう嫌!」となる。それって仕事も一緒だよねというツイートがありました。要は仕事をするのが嫌になる方向でマネジメントしている気がするんですよね。真面目にやってるのに管理されていたら嫌じゃないですか。

――信頼されていないのかと、正直いい気持ちはしませんね。

田中:真面目にやっていない人をあぶり出すために、真面目にやっている人のモチベーションを下げているのが、今の社会のような気がしています。そういう意味で監視をするのは、絶対やってはいけないと思うんですよね。

さくらインターネットは、情報セキュリティだけは性悪説できちんとやらないといけないとなっていますが、それ以外は基本的に性善説です。デジタル上で仕事をしているので、証拠も残っているし、全部わかるんですよね。

逆に、会社に出社して口頭で仕事をされるほうがログが残らないし怖いですよね。仕事をしている様子がわからないという意見もありますが、エンジニアであれば、「GitHub」「Times」「Slack」などを見ていれば仕事の状況はわかるんですよね。

――さくらインターネットさんみたいな働き方にしたいんだけれども、まだちょっと不安があるという会社があるとしたら、田中さんはどうアドバイスしますか?

田中:シンプルに「社員は本当によく働いてくれるよ」と伝えたいですね。要は社員に期待して、社員を大切にして真っ当に接していたらきちんとその分仕事として返してくれます。そういう関係性を作っていたら、リモートでもやれるんですよね。そこがポイントなんじゃないかなと思いますね。

――逆にそういう関係性がもともとオフラインで築けていないと、必要以上にリモートワークが不安になるのでしょうか? 

田中:そうだと思いますよ。社長が思う以上に、社員はきちんと働いてくれますからね。

オフィスはデジタルで失われつつある隣接感やセレンディピティを表現している

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