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2025.02.13
市役所が年間462時間の業務削減を達成 kintone「自治体まるごとDXボックス」が富士吉田市にもたらした効果とは
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登大遊氏:こんにちは。登と言います。よろしくお願いします。今日のスライドはJAIPAさんのページにもアップロードされると思いますし、表示しているPDFの上に書いてあるURLでもダウンロードできます。
今日の主題は、日本におけるICT・セキュリティ技術です。みんなもうみんな使えるようにはなっています。クラウド技術とか、OSとか、通信とかセキュリティとか、外国のものを輸入してきて使うのは得意ですが、やはりこれからは自分たちでも、日本で作れないといけないんじゃないかと思います。
作れる開発手法や人材を育成するためには、やはり企業や組織の中で、「昔はあったけれど、今はなくなっているおもしろ・いんちき開発手法」を復活させないといけないと思っていて、今日はそういう話をします。
私は登と言います。IPAという、日本のけしからん組織の中のチャンピオンみたいな、独立行政法人の情報処理推進機構があります。また、けしからん電話会社のチャンピオンみたいな、NTT東日本があって。
聞いたところJAIPAさんには、「けしからんNTT東日本とかをやっつけよう」という方もけっこういるようで。私も「けしからんNTT東日本をやっつけよう」というほうにいるので、仲間だと思います。
そこの社員になって、ずっと忘れている、おもしろ・いんちきICTをやってかないといけないと。それが“やっつける”ということだと思っています。そういう話をしたいと思います。
今日はクラウドの話ですが、日本はクラウドを使いこなすのはだいぶうまくなりました。しかし、そのクラウド技術を作れないわけであります。なかなか作れないです。
例えば最近では、クラウドなどの上で動くアプリをデジタルトランスフォーメーションとか言って、「いろんなシステムをデジタルでやるんだ」「アプリだ」「行政サービスもデジタル化だ」と(言われています)。
これは結局、大きな豪華客船の上のほうの船室を「ここを客室にしよう」「レストランにしよう」とか、「プールにしよう」「このプールはけしからんので、廃止にして別の施設にしよう」とか、そういうことをやっています。
よく考えると船そのものの船体があって、その船体は造船みたいな感じで、日本ではなく、外のほうで作っているものを仕入れて使っているのがケースとして多いです。
日本もそういうふうな船を造れるようにならないといけないんじゃないかという意味で。これを作れる人材がいませんが、どんどん育成するには、いろいろんな組織の中で自律的なコンピュータネットワークの実験環境をみんなが作ることを黙認して、社員の方々が自由に技術開発をやるような状況にすれば、自然に人材が育ち、技術が生まれ、これによってクラウドやOSやサイバーセキュリティが実現できるんではないかと思います。
自己紹介をすると、私たちの仲間では「シン・テレワークシステム」というものを作っています。この「シン・テレワークシステム」はなかなか変なシステムで、開発費65万円でワーって作り、今は十数万人に使ってもらっています。
こういうものは1つの組織ではできなくて、いくつかの組織が集まって遊びのような感じでやらないといけないということで、NTT東日本とIPAで連携して、おもしろコーナーみたいなのを作りました。
(スライドを指して)この右のほうの写真はおもしろアヒルです。これは瀬戸物みたいなものでできていますが、鴨鍋をやってみんなでワーとやったら倒れまして。まあ壊れたんですけど、また接着剤でちゃんとつないでやっています。こういうふうなことをやっています。
2003年ぐらいからVPNの技術を作っています。500万ぐらいのサーバーが世界中で動いています。10パーセントぐらいが日本で、90パーセントぐらい海外です。
これもけしからんのですが、VPN Gateという検閲がある国があります。中国とかイランとか、最近だとミャンマーです。最近は政府による遮断がありますが、ミャンマーの中の市民の方々は日常的な情報を得たり、ビジネスを継続したりするために、VPN Gateを使って生活を営んでいます。
世界中の方々の自由で安定した環境を実現するためのものを、自由な国である日本の我々は、インフラとしてどんどん作ってかないといけないと思っています。
我々が作ってきたVPN技術は、他国が他の敵国に攻撃する時にもインフラだから使われています。例えば、中国系政府系攻撃者が台湾政府のシステムを侵入する際にも、SoftEther VPNを悪用していると、台湾の政府の法務部調査局も言っています。
こういうふうに、いろいろな活動のインフラ部分になる技術としては、VPNの他にもクラウドやOS、いろいろなセキュルティ技術やファイヤーウォールやルーターなどがありますが、これは実は日本も昔から得意な分野です。
例えば海運であれば、3分の1の船舶は日本の優秀な造船所から生み出されていると書いてあるし、他にも鉄鋼や自動車や半導体、繊維、工作、化学、家電製品、エレクトロニクス部品などは、随分前に日本が世界一になった時代がありました。
1990年代ぐらいまではトップでしたが、なぜトップになれたかと言うと、日本で新しくサイエンスとして開発したわけではなく、どちらかというと諸外国のほうからの技術をもらってきて、分解したりしていました。最初は参考にしていましたが、最後にはそれを超える世界トップクラスの技術と製品が実現されました。
その過程では必ず試行錯誤が行われて、いろいろ新しいものを作ってきたんだと思います。先ほどの問題であるクラウド技術やOS技術など、国産のものがあまりない状況を、日本でどうやって解決すればいいかというと、この日本の産業化のことを思い出して、同じことをやればいいのであります。
これは勉強して試行錯誤するということですが、残念ながら日本のICT環境は、まだわけのわからない江戸時代末期のような(状態です)。生産手段が確立されておらず、新たな試みや試行錯誤をすると、今度はセキュルティポリシーとかわけわからんもんがあって、「危ないじゃないか!」とやらせてくれない。けしからん会社になっているんです。
そのけしからんものの代表は、行政と独立行政法人と電話会社とか。こういうところがまったくけしからんもののチャンピオンみたいなところなので、まずはここで正しいようなことができるようにすれば、他のところも自由にできるようになるんやないやろか、ということをやっています。
例えばクラウド技術はGoogle、AWS、Microsoftみたいなところが大変強いわけですが、よくよく考えると、これは彼らが全部作ってるわけではなく、多種多様なオープンソース技術をうまくつなぎ合わせて作っているわけであります。
日本もこれに匹敵するものにならなければなりません。他にも、例えば通信だと、ルーター、コアルーターの世界トップの3社集めると(スライドの)中国、アメリカ、アメリカの3つの会社で。日本では「ファーウェイを使うのはいかがなものか」という方もいますが、よくよく考えると、議論する資格すらなくて。
なぜなら、同じものを作れてないからです。同じものを作って初めて「他の国のこれはけしからん」と言えますが、まだそのレベルにいってないんじゃないでしょうか。
それでは、どういうふうにすれば日本もあんなものを作れるのかと考えます。これにはおもしろ・いんちきICT技術開発が必要だと思っています。けしからんイタズラをすることが重要なんじゃないかと思うのです。これについて述べていきたいと思います。
まず日本においては、ゼロリスクとカオスの両極端で議論を行います。一般的な組織においては、秩序が保たれなければすぐカオスになって破綻しますから、この右のほうは良くないことで。
それで「リスクをゼロにしよう」みたいに言いますが、ゼロリスクを目指すと必ず「他の会社は何らかのおもしろいいことをやっているのに、我が社はやってない」ということで必ず競争に負けてしまって。核心がないわけですから、最後はもう駄目になってしまいます。
我々はカオスが駄目になるのはよくわかるけれども、ゼロリスクが駄目になることをよく理解しなければならないのです。そうすると、このゼロリスクとカオスの両方の極端ではなく、正しい道は何かと言うと、絶妙なバランスに基づいた、けったいな行為なんじゃないかと思います。
つまり中庸というもので、日本企業においては極端にやってしまっていますが、いいバランスを目指すということは大変おもしろいことではないかと思います。
(次回に続く)
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