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ごくフツーの私たちの考えるIT女子的アレコレ(全1記事)

2021.12.24

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いい意味で手を抜いて変化に柔軟に対応する ライフステージの変化に合わせてIT業界で働く女性の価値観

提供:アトラシアン株式会社

女性ITエンジニアが主役のカンファレンス「Women Developers Summit」。ここでアトラシアン株式会社の朝岡氏、株式会社ナビタイムジャパンの笹谷氏、株式会社LIXILの西脇氏、アトラシアン株式会社の鈴木氏が登壇。IT業界で働く女性の仕事や働き方の悩みや考えを共有しました。

パネリスト自己紹介

朝岡絵里子氏(以下、朝岡):みなさんこんにちは。アトラシアン株式会社の朝岡です。このセッションでは、IT業界と女性というお題で、いろいろとトークをしていきたいと思います。

そんな中、いきなりちゃぶ台をひっくり返すような話で恐縮ですが、私、私は昔から、「○○女子部」みたいなものが正直苦手です。(スライドを指して)イメージとしてはこんな感じで、ちょっとピンクのキラキラした感じのものがあるんですけれど。

振り返ってみると、私自身、学生の頃からたまたま女性が少ない環境に身を置いてきたからなのか、あまり女性であることを意識しないで生きてきました。

とは言うものの、世界経済フォーラムが2021年発表したジェンダーギャップ指数レポートで、日本が156ヶ国中120位という衝撃の結果が出ています。“IT業界にいる女性”というマイノリティな立場にあり、エンジニアにも近い立場でキャリアを積み上げてきて、出産や育児も経験してきた私に、何かできることがあるのではないかと思い、今回このイベントに参加することにしました。

いざ何をしようかと考えた時に、周りを見渡してみると、女性エンジニアの最前線を走っている方は、すごくパワフルでプロフェッショナルな、すごい女子に見えるわけですね。

このセッションでは、「そんなすごい女子は、ちょっと気後れしてしまう」というみなさんと一緒に考えてみる、そんな場にできたらいいかなと思っています。

そんなわけで、今日は弊社と弊社の製品を使っていただいているお客さまの中から、ごく普通のIT女子のみなさんに集まっていただきました。

さっそくですが、1人ずつ簡単に自己紹介をしていきましょう。あらためまして私から、司会進行役を務める朝岡絵里子と言います。BIツールベンダーのSEとしてキャリアをスタートしてから、早二十云年ぐらいです。

エンジニアから営業だったり、マーケティングだったり、ロールチェンジをしながら、転職も繰り返して。あと、2回の産休・育休を経て、今は8歳と3歳の2人の男の子のお母さんをしながら、アトラシアン株式会社でマーケティングチームのマネージャーをしています。

では次、鈴木さんと言うか、朝子さんです。アトラシアンは英語が公用語なので、なかなか名字が出てこないんです。なので今日も朝子さんと呼ばせてもらいます。朝子さん、お願いします。

鈴木朝子氏(以下、鈴木):アトラシアンの鈴木朝子と言います。インターネットサービス企業でソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタートした後に、ベトナムでプロジェクトマネージャーをしたりして、現在はアトラシアンでカスタマーサクセスマネージャーとして、製品の導入の支援などを行っています。本日はよろしくお願いします。

朝岡:ありがとうございます。では笹谷さん、お願いします。

笹谷和美氏(以下、笹谷):笹谷和美と言います。現在ナビタイムジャパンで、社内の共通APIの基盤の運用と開発を行っているプロジェクトの、プロジェクトマネージャーを行っています。PMはまだ1年目で、前職ではSIerで要件定義などを行っていたり、ナビタイムでは開発はもちろん、マーケティングに近いことをやっていた経験もあります。

社会人歴は10年目くらいです。本日はみなさんのお話を聞くのを楽しみにしています。よろしくお願いします。

朝岡:ありがとうございます。では、西脇さんお願いします。

西脇彩氏(以下、西脇):こんにちは、LIXILの西脇彩と言います。2018年から、LIXILでプロダクトオーナーとして働いています。それ以前は、15年くらい楽天で勤務していました。住設業界いると、なかなかこういったITのイベントなどでお話しする機会はないので、今回のカンファレンスにお声がけいただき、ありがたく思っております。どうぞよろしくお願いします。

朝岡:ありがとうございます。今日はこんなメンバーで、30分くらいトークをしていきたいと思うので、みなさんよろしくお願いします。

今後のキャリアで不安なこと

さっそく入っていきたいと思いますが、今日のトークトピックをまず決めるにあたり、全国のエンジニア男女向けにアンケートを実施しました。その結果から見ていきたいと思います。

最初に、「今後のキャリアで不安なことはありますか?」と聞いてみました。男女別にそれぞれのトップ3を見てみたいと思いますが、1番目と2番目は同じ結果になりました。

違ったのは3番目です。やはり女性は、ライフステージの変化がキャリアに与える影響が気になっているようです。ここで、パネリストのみなさんは、これまでキャリアで不安を感じたことがあるかを聞いてみたいと思います。ではまず、キャリアが一番長い西脇さんから。

西脇:小さな悩みといえばたぶんいくつもあったと思いますが、それでキャリアが挫折するような、大きな悩みは幸いなかったのかなと思っています。

あえて言うなら、プロダクトマネージメントという職種の中、プロダクトを作っていく中で、どれだけユーザーの課題解決につながるプロダクトを作れるのかみたいなところは、常に考えています。今担当しているプロダクトのユーザー層は、自分とかけ離れているわけではないので、そんなに困ってはいませんが。

例えば、なにか新しいプロダクトが世の中に出てきた時など、わかりやすく言うとTikTokとか出てきた時に、その楽しさがちょっと理解できなくて。私の小学生の息子が夢中になって見ているのを、「なんでなんだろう」といつも思っていると、危機感というか、不安みたいなものを感じることはあるなと思っています。

朝岡:ぶっちゃけ私もTikTokわかりません。マーケティングしているのに、流行りものがわからなくて大丈夫かなと若干不安になったりしますが、やはりテクノロジーの世界は変化のペースが早いので、今の流行りだったり、新しい技術の情報の習得などを、みなさんも非常に苦労していると思います。

最新技術や情報の習得というか、情報のキャッチアップ。みなさんどうされていますか? 朝子さん、どうでしょう。

鈴木:そうですね。やはり他のエンジニアが開催している勉強会などに参加するのが、一番大きなインプットになるかなと思っています。そのほかだとPodcastを聴いたり、情報発信しているエンジニアのTwitterをフォローしたりでキャッチアップしています。

朝岡:笹谷さんはどうですか?

笹谷:そうですね。ナビタイムはけっこう社内の勉強会が盛んだったりするので、機会があったら出ています。業務時間内にできるのがすごくいいことですが、逆に社外の勉強会となると、業務外で時間を確保してというのが、なかなか億劫で参加できないのが今の悩みです。

朝岡:いいですね。会社は業務時間内で勉強会をさせてくれるんですね。西脇さんはどうですか? やはり勉強会とかですか?

西脇:そうですね。社外の勉強会が一番多いのと、あとはプロダクトマネージャーのつながりのところで、最近はZoom使って1時間話をしたりはするようになったと思っています。

コロナになってから、けっこうオンラインの勉強会が増えたのかなと思っていて。私みたいに育児などしていると、夜の時間帯で勉強会などをしてくれると、逆に今までより参加しやすくなったかな、みたいなところはあります。

朝岡:わかります。コロナ禍になってから、あらゆる勉強会が無料でオンラインで開催されたりしているのは、確かにいいなと思います。私も勉強会参加しながらフライパン振ったりとかしています。

出産・育児にともなう悩み

ちょうど育児と仕事の話が出てきたので、アンケートのトップ3にも入っていたライフステージの変化と仕事のあたりをお話をしていこうかなと思います。

女性にはどうしても出産と育児があるので、キャリアに対してアクセルを緩めなきゃいけない時期が出てくるかなと。避けて通れないトピックですよね。このあたり、朝子さん、笹谷さん、どう思われますか。では朝子さんからいきましょうか。

鈴木:そうですね。サーバーサイドエンジニアをしていた頃は、結婚や出産が仕事に悪影響を与えないかはちょっと心配でした。どうしても深夜対応や不定期なアラートの対応が必要になってしまう職種だったので。ずっと続けられる仕事ではないのかなと、ちょっと悩んだりもしました。

社内ですごくできる女性のサーバーサイドエンジニアの先輩がいましたが、出産を機にほかの職種に転身されていたのを見て。それもサーバーサイド(エンジニア)を続けられるのかな、という不安な要素の1つになりますよね。

朝岡:確かに。そういう先輩がいると、そう思ってしまう日もありますよね。笹谷さんはどうですか?

笹谷:そうですね。私はまだライフステージの変化は経験していませんが、将来あり得るなと思っていて。そこでちょっと不安なのが、私のような開発系のマネージメントの業務をしている方で、女性で復帰して働かれている方がまだいません。正直なところ、「ちょっと大丈夫かな」「このままできるのかな」という不安はあります。

朝岡:やはり不安ですよね。西脇さんは今、小学生のお子さまがいると聞いていますが、当時を振り返ってみてどうでしたか?

西脇:そうですね、結婚が仕事に大きく影響を与えることは、幸いそんなになかったというか、あまり自分自身も気にしませんでしたが、出産のタイミングをいつにしようかみたいなのは、やはりちょっと悩んだ時期があったかなと今思っています。

仕事の忙しい時期に合わせないようにしようとか、いろいろ考えたんですが、私の場合、たまたま妊娠が発覚した時が、数日後からアメリカに3ヶ月行くようなタイミングで。

会社にすごく迷惑をかけてしまうので、「私、行きます」って言ったんですが、さすがにそこは会社のほうで「大丈夫だよ」と止めてもらって、みたいなこともありました。

あとは、子どもが小さい頃とか、トラブルで数日家に帰れないこともけっこうあったので、そこはどうしても実家を頼りにして対応していたことがあったのは事実です。

そういったこともありましたが、今、ITの最前線のところからは離れて、住設というメーカーのところに勤務していますが、なんとなくキャリアを諦めるというよりかは、少しずつ余白みたいなものを自分の中では持たせておくといいのかな、みたいなことを最近はすごく感じています。

キャリアに余白を持たせることで、そこに新たなチャレンジが生まれてくるみたいなところが、けっこうあるのかなと感じています。

なりたい自分、やりたいこと

朝岡:いい言葉ですね。キャリアに余白を持たせる。すごくいい考え方だと思います。なりたい自分とか、やりたい自分に近づいていこうとする時に、「好きなことかや、やりたいことに直結しなきゃ」という思いはみなさん強く持っていて。(好きなことや、やりたいことが)見つからなかったり、つながらなかったりすると、焦る気持ちってあったりすると思います。

それに固執してしまうと、苦しくなってきちゃうと思うんですよね。笹谷さんとか、そんな経験ないですか?

笹谷:そうですね。ちょうどユーザーにより近いところで、ユーザーのためになる機能の改善などがやりたいと思っていて、実際にそういう仕事ができる機会が巡ってきたことがあります。ただ、正直なかなか結果が出せなくて、「やりたい仕事なのにうまくいっていない」「自分には向いていないんじゃないか」と悩んだ経験はあります。

朝岡:いわゆる、やりたいこと、できること、求められていること。このバランスがうまく取れていないと、仕事は成り立たないと思います。とは言え、それを見つけていくって、すごく難しいことだと思うんですよね。西脇さんはどう思いますか。

西脇:そうですね。1つの組織や会社、仕事などに囚われる必要はないのかなと最近けっこう思っていて。いくつもの仕事を持っていくような考え方にしたいなとは思うようになってきました。

朝岡:最近流行っている、パラレルキャリアというようなやつですか?

西脇:そうですね。単純にいろいろな経験をしておいたほうが楽しいというのもありますが、例えば今の勤務している会社で給料が低いとか、今の役割では得られないスキルなどを習得するために、別の会社でそのロールを持つような考え方で悩みを解決できるかなと思っています。

朝岡:ありがとうございます。(アンケート結果でも)やはり給料は大事って出ていますね。この後、会社を選ぶ時とか何が大事かをお話ししますが、やはり(給料は)大事ですか。

西脇:私は朝岡さんと話している時に「一番大事です」と言った気が。

西脇:「すごく大事です」とお伝えしたと思っています。やはり自分のやりたいことや、これから子どもにかけてあげるお金とか、現実的なことを考えると、お金はすごく大事だと思っています。

幸いLIXILでは、トライアルではありますが2020年10月から副業制度がスタートして、2021年10月から正式スタートしたので、私はそれを利用して副業もしています。

朝岡:どんなことをされているんですか?

西脇:わりと小さい規模のスタートアップの会社で、プロダクトマネージャーの壁打ち役みたいなものをしています。楽天から離れたことで、IT業界の最前線の知識などになかなか触れる機会がなくて不安というお話しがありましたが。

複数のキャリアを持つことで、そこは副業で補っているというか、きちんとそこに接しているようなかたちで、それによって少し気持ちの余裕が生まれるようなところもあるかなと思っています。

朝岡:なるほど。西脇さんの場合は、やりたいこと、できること、求められていることみたいなものを1つの会社だけではなくて、複数のお仕事を持つことで実現されているということですよね。

西脇:そうですね。

朝岡:やりたいことを「これ」と決めて、いきなり出会えればそれはそれで幸せなことですが、なかなかそうもいかないでしょうし、そこにこだわるのではなく、まずはできることを増やしていく。

そうすると仕事の選択肢も増えるでしょうし、だんだんと自分がやりたいことも見つかってくるだろうし、ある意味本当にやりたいことに近づけるだろうし……ということもあるんじゃないかと思ったりもしています。

ロールモデルの考え方

ほかに何かパネリストの方に聞いてみたいことはありますか? 朝子さん、どうですか?

鈴木:そうですね。みなさんにはロールモデルがいたのかが少し気になっていて。やはり女性が少ない業界だと、先輩方はすごくタフでパワフルな方が多い印象で。そういう方たちになれたらいいですが、自分がなれる自信はあまりなくて。みなさんにいたのかは、少し気になっています。

朝岡:笹谷さん、どうですか?

笹谷:私は理想とするロールモデルには、残念ながら出会えたことはありません。すごくかっこいい先輩方はたくさんいますが、自分とはちょっとかけ離れ過ぎていて、どうもそうはなれる気がしない方ばっかりでした。

朝岡:西脇さんはもう少しキャリア歴は長いですが、どうですか?西脇:そうですね。ちょっと身も蓋もない言い方になってしまうかもしれませんが、私はロールモデルという言葉が、あまり好きではないというのがあります。というのも、やはりそれぞれの強みや弱みがあったり、あと置かれている環境や状況などもそれぞれまったく違うので、まったく自分と同じようなものはないと思っています。

なので、ロールモデルみたいな、型にカチッとはまることによって得られる安心感みたいなものはあると思いますが、「この人のここはいいから真似してみよう」「この人はここがすごく上手にやっているから真似してみよう」みたいなかたちで、自分自身に合う形みたいなもの、私は私なりのやり方を見つけてきた、みたいなものがあるかもしれないです。

型にはまれば安心すると思いますが、やはり時代の変化というか、いろいろな環境の変化などにきちんと自分が合わせていくようなところも大事かなと思っています。

朝岡:確かにそうですよね。正直、今ビジネスが置かれている状況も一緒なのかなと思っていて。不確実性の高い未来に対して云々という話がよく出てきますが、過去の成功体験などをいくら分析したところで、未来に対する答えってないんですよね。

なので、本当にいいところを取り入れて、とりあえずやってみて修正してを繰り返しいく。それをやっているうちに、なりたい自分に近づけるんじゃないかと思ったりもするので、アトラシアン的に言うと、キャリアはウォーターフォールではなく、やはりアジァイルで考えていくのがいいんじゃないかなということですかね。

仕事をする上で重要視する価値観

とは言え、「自分はこう考える」とか、アイデンティティみたいなものをしっかり持っていないと、多様性などが大事と言われる、いろいろな人がいる社会の中で存在感を示していくことは難しいと思います。できること、求められること、やれることを一致させていくことも、すごく難しいことになってくると思うんです。

なので、仕事をする上で重要視する価値観について。アンケートでみなさんにも聞いてみたので、結果を見てみましょう。

まずは会社選びと働く環境という2つの質問から、価値観的なところを聞いてみようかなと思います。(スライドを指して)それぞれこんな結果になりました。

会社選びで大事な点は若干男女で差はありましたが、仕事内容、給料がトップの1位2位に入っています。給料は先ほど話に出ていましたね。

冒頭にも世界ランキング的なお話をしましたが、実は日本は男女の賃金格差、OECD加盟国の37ヶ国ある中で36位という、不名誉な、ワースト2位なんですよね。女性の管理職比率も189ヶ国中、165位という極めて低い数字です。

そのため、女性が給料大事と回答する方が多いのも、なんとなく頷けるのかなと思って見ていました。みなさんは、仕事と向き合う時に大事にしている価値観みたいなものはどうでしょう。ではまた朝子さんからいこうかな。

鈴木:そうですね、私が大事にしているは、仕事内容や周りの人、企業文化はもちろんですが、仕事内容が自分にいくら合っていても、人と合わないと、なかなか仕事を続けていくのは難しいなと思っていて。

つらい時期や悩んでいる時期を乗り越えられたのは、周りの人がよかったからじゃないかなと、私は思っています。

朝岡:働く環境で上司と同僚。つまり人ですよね。人が大事というのは、みんなが思うところなのかなと。笹谷さんどうですか?

笹谷:私も朝子さんがお話されていたように、人と合うか合わないかが一番大事だと思っていて。転職活動の時にもいろいろな会社の方とお話ししますが、ナビタイムに入ったのは、そこで出会った人たちがすごいいいな、合うなと思ったからです。

あともう1つ大事にしていたのが、長期的な人生計画を立てたいと思っていたので、できれば転勤がないところを探していました。ナビタイムは転勤がないというか、1つの拠点に全社員が集まっているので、コミュニケーションが取りやすいというところもありました。

朝岡:確かに勤務地もトップ3に入っていますね。西脇さんはこのあたりどうですか。

西脇:私も2人がお話されていたように、やはり働いていく上で、同僚や上司など、そういった周りの人たちはすごく意識していますし、大事に思っています。自分自身もすごく恵まれている環境にいたなと思っています。

最近少し変わってきたところもあって、それにプラスにして経営者のビジョンや、会社のビジョンみたいなものは、すごく意識するようになってきたと思います。

このあたりも、もしかしたら例えば私が育児とかをしていて、働ける時間がすごく短く限られてきたこともあるのかもしれませんが。答えを出すところに対する近道として、きちんとそこに突き進むようなことをわかりやすく示してくれる人みたいなことは、すごく意識するようになってきたと思っています。

朝岡:わかります。ビジョンや企業文化、社風は3位に入っていますが、やはり共感できるかどうかは、キャリアを積み重ねていくにしたがって、すごく大事になってきている気は私もしますね。

女性であることを理由に不利益を被ったことがあるか

残りもちょっと少なくなってきたので、次のトピックに移りたいと思いますが。ずばり女性の方に、「女性であることを理由に、なにか不利益を被ったことがありますか?」と聞いてみました。

アンケートの結果で、実は不都合があった方がけっこういたのでびっくりしました。これを見てどう思いますか? 周りでなにか聞いたことあるとかあります? では朝子さん。

鈴木:同じ業界からはあまり聞きませんが、ほかの業界にいる友達などからはよく聞いたりします。年配に見下した態度を取られてしまったとか。

朝岡:あるあるですね。西脇さんもありますか?

西脇:私の周りではもちろんありませんが、やはり育児のところは、私もそうですがどうしても女性の負荷が多いかな、みたいなものはすごくあります。

家庭も育児もプロジェクトだと私は思っているので。誰か1人に負荷がかかるようなプロジェクトは絶対にうまくいかなくなる、得意な人がずっとやっているのはうまくいかなくなると思っているので、会社だけで解決する問題ではなく、家庭・家族で協力して乗り切っていく必要があるのではないかと思っています。

朝岡:頷きしかないです。家族に理解してもらわなきゃいけない。この手の話をすると、男VS女とか、年功序列みたいな話に落ちがちですが、個人的にキャリアの障壁として感じたことがあるのは、男女差というよりも実は先輩の女性にあります。これは言い方気をつけないといろいろ問題が発生するので、気をつけていきたいと思いますが。

いわゆる“女王蜂症候群”というもの、英語では“クイーンビー・シンドローム”と言われていますが、もともとは1970年に(発表された)、アメリカのミシガン大学の研究の論文の中で使われた言葉で。

今よりもっと女性に風当たりが冷たかった時代に、男らしく振る舞って出世のためにいろいろなものを泣く泣く手放して高い地位を得た女性たちが、その後に続く後輩の女性たちに対して、自分が苦労してきたからという意味で、下の女性に対して風当たりが強くなってしまうような現象を指して、“女王蜂症候群”と呼んでいたらしいんです。

最近またこの言葉がクローズアップされ出してきましたが、ちょっと違う文脈で話されているパターンもあるみたいです。例えば、よかれと思って、応援する気持ちで、「自分も乗り越えてきたから、あなただってがんばれる」みたいな感じで言われるようなパターンです。

先ほど笹谷さんもお話されていたと思うんですが、すごくパワフルな女性がいて、これがロールモデルになるかというと、実はちょっと違うかなと。そういう女性って、男社会の中で必死にがんばってきて、エリートなわけですよね。育児も仕事も完璧だし、スーパーマン。本当にすごい方なんですよね。

それになれと言われても、なんかつらいかなというところがあったりとかするのではないかなと実際思っています。

そのパターンに陥っている方がいたとしたら、私からも一言。結論から言うと、逃げるが勝ちという言葉もありますよ、ということだと思います。

先ほどの話にもつながりますが、どうしてもそこでがんばらなければいけないと固執してしまうと、本当につらくなってきちゃうので。自分のアイデンティティをしっかり持って、ちょっと遠回りになったとしても、最終的には自分がなりたい姿、ハッピーなキャリアを築いていけると信じて、いったん逃げてみるのも手かなと思います。

1つのことにこだわらず、変化に柔軟に対応していく

まだまだ話し足りない感じですが、そろそろ時間なのでまとめに入りたいと思います。今日みなさんお話ししてみていかがですか? それぞれ感想的なところを聞いてまとめようかなと思います。じゃあ、朝子さんからお願いします。

鈴木:そうですね。笹谷さんがお話しされた、できることとやれることのギャップ悩まれていたというのは、共感できる部分も多かったし、西脇さんのお話ではロールモデルはいらないであったり、家庭は1つのプロジェクトというお話とか、こういった考えもできるんだという新しい発見ができて、すごく楽しかったです。

朝岡:ありがとうございます。では笹谷さん、どうでしょう。

笹谷:そうですね。本日はいろいろな人の話を聞いていろいろ思ったんですけれど、自分の芯は持ちつつも、その時その時の状況とかに合わせて、柔軟にその時ベストだと思ったことをアクションして積み重ねていくのが大事なのではないかとすごく感じました。

先輩方のお話を聞いて、自分も10年後どうしているだろうと考えましたが、ぜんぜん想像つかなくて。でもそれが不安ではなく、逆に楽しみになったらいいなと思います。

朝岡:じゃあ、西脇さん。

西脇:朝岡さんと私も中堅というか、IT業界の中ではベテランの領域に入ってきて。たぶん私たちなりにすごくがむしゃらに働いてきましたが、でもやはり、どこかで手を抜けるところは抜くというか。

例えば育児とかも、何かあったら手を抜くとか、友達とも「手を抜き合ってがんばろう」みたいな感じで、育児のことを言っていたりとかします。

どこか1つにすごくがんばることもいいですが、女性というところをマイナスに取るのではなく、いろいろな経験ができるとプラスに捉えて、それぞれのキャリアみたいなものを築いていけたらいいんじゃないかなと思いました。

朝岡:本当にそう思いますね。特に育児。私はついキーッとなってしまいます。なんでも完璧にしようとしがちなので、本当にいい意味で手を抜いていけたらいいかなと思いました。

ありがとうございます。まとめるとこんなお話だったかなと思います。IT業界といっても、エンジニアから幅広く技術を活かせる仕事はあるので、1つにこだわらないほうがいいよね、と。いろいろ試して、好きなこと、合うことを探していこうと。

型にはまらず、変化に柔軟にできていけば、楽しいIT女子ライフが手に入るのではないかというような、私たちなりの結論だったかと思います。

私たちのセッションはこれで終わりたいと思います。パネリストのみなさんも、どうもありがとうございました。

西脇:ありがとうございました。

笹谷:ありがとうございました。

鈴木:ありがとうございました。

朝岡:みなさん、ご視聴ありがとうございました。

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