肩書きはIT企業の役員と芸人

池澤あやか(以下、池澤):今日のゲストは、厚切りジェイソンさんです。よろしくお願いします。

厚切りジェイソン氏(以下、厚切りジェイソン):お願いしまーす! どうもーーー!!

池澤:こんにちは。

厚切りジェイソン:こんにちは。どうもすいません。

池澤:(笑)。

菅澤英司氏(以下、菅澤):ジェイソンさんは、エンジニアをもともとやられていたんですよね。

厚切りジェイソン:はい。一応やっていましたね。コンピューターサイエンスの学士取って、その後ジェネラルエレクトリックという……カタカナになるとすごい遠い発音になるんですよ。General Electricってね。エジソン、電球のおじさんが作った会社の医療機器部門に入って、電子レントゲンデータを効率よく保管するシステムに入りました。

菅澤:へえ。

厚切りジェイソン:そちらをプログラミングしながら、コンピューターサイエンスの修士号も取りました。

菅澤:だからガチのエンジニア。

厚切りジェイソン:でしたけどね。過去形。

菅澤:で、芸人もやってるという。

厚切りジェイソン:ううん……はい。

池澤:(笑)。

(会場笑)

菅澤:しかもIT企業の役員も。

厚切りジェイソン:はい。今はそっちですね。

池澤:すごい。肩書きがいっぱい。

菅澤:肩書きが多いですね(笑)。

厚切りジェイソン:多すぎて、紹介だけで番組終わってしまう。

隙間時間でIT企業の役員と芸人を両立

菅澤:そうですね。たどっていったら終わっちゃうのですが、役員をやって、芸人やるのは成立するんですか。

厚切りジェイソン:しないです。

菅澤:(笑)。

(会場笑)

厚切りジェイソン:「するんですか」って。一応実在するよ俺は。

菅澤:存在していますよね。

厚切りジェイソン:はい。特にうちの会社はクラウドコンピューティングなので、離れていても一応できるんですよ。

例えば、イベントに行って、新幹線に乗りながら軽くメールのやり取りをして、現地に着いてイベントとか芸能界の仕事やって、帰りながら入ってきたメールの返信をやれば一応できます。できている体で生きてます。

池澤:私も同じライフスタイルです。

菅澤:あ、そっか。移動中に仕事する感じ?

池澤:移動中に仕事していることが多かったのですが、さすがに「集中しないとできんぞ」となって、一応日で分けるようにしました。

菅澤:「何曜日は芸能人」みたいな。

池澤:はい。でも基本的には同じように「隙間時間にやればできるだろう」みたいな感じで始めました。

菅澤:でも役員はいろいろ難しい話とか、書類とかがいっぱいくるじゃないですか。

厚切りジェイソン:書類は多いですね。でも書類は、自分が読んで理解すればいい話なので。

菅澤:承認したり、承認・承認・承認ってやるじゃないですか。

厚切りジェイソン:そんなに承認しないですけどね。却下・却下・却下って。

菅澤:(笑)よくできますね。

厚切りジェイソン:できているのかな。でもITの時もこんな感じでやっているんですけどね。そんなに違う雰囲気ではなく、ずーっと僕は同じ人間でやっています。

菅澤:そうなんですね。

厚切りジェイソン:楽しくやっても、それは不真面目になっているということではないと思うので、毎日が楽しければ、それは集中して続けられる。

菅澤:せっかくやるなら、楽しくやろうよっていう感じですか。

厚切りジェイソン:そやな。

池澤:(笑)。

(会場笑)

芸人も意外と孤独、基本は1人

菅澤:エンジニアはけっこう内に籠りがちな人が多いイメージなんですが、そういうのはないんですか。

厚切りジェイソン:なんだろうね。それはまだちょっと入っているかもしれないけど、意外と芸人も孤独ですよ。

菅澤:孤独。

厚切りジェイソン:ずっと向かうのも1人ですし、意外と1人でずっと籠っている時間が多いんですよ。人前で出る時はみんなとワイワイやっているけど、それ以外は基本1人なんです。

菅澤:そうなんですね。

厚切りジェイソン:ずーっと、ええ。

菅澤:切り替えがあるんですね。

厚切りジェイソン:はい。切り替えというか、カメラが回り出したらみんなと一緒になるんだけど、それ以外は基本離れるんですよね。

菅澤:さっきも楽屋ですごい叫んでましたね(笑)。

厚切りジェイソン:してないわ!!

菅澤:(笑)。

厚切りジェイソン:してないわ!!

池澤:(笑)。事前に打ち合わせをしていた時に、「なんてお呼びすればいいですか」と聞いたら「『厚切り殿』と呼んでください」と言われたんですが、やっぱり「厚切り殿」と呼んだほうがいいですか。

厚切りジェイソン:いや、駄目です。

菅沼:(笑)。

池澤:駄目ですか(笑)?!

厚切りジェイソン:駄目です、はい。

池澤:「呼んでください」って言っていたのに。

菅澤:「厚切り殿さん」とか、さん付けをしないとやっぱりね。一応役員だから(笑)。

厚切りジェイソン:多いわ。それ「あばれる君さん」似てない?

菅澤:あばれる君さん(笑)。

厚切りジェイソン:面倒くさいな。

アメリカ人から毎年聞かれる「そのポーズは何ですか?」

菅澤:会社ではなんて呼ばれているんですか。

厚切りジェイソン:ジェイソン。

菅澤:ジェイソン……さん?

厚切りジェイソン:いえ、ジェイソンです。基本呼び捨てです。外国人はそういう「さん付け」はあまりしないし、僕の部下は全員アメリカにいるし、僕の上司は社長なので。

池澤:部下が全員アメリカにいたら、仕事をしてる時、時差が気になったりしませんか。

厚切りジェイソン:夜仕事から帰ってきて、向こうと電話する時もありますね。そういう意味ではちょうどいいぐらいです。

池澤:ちょうどいい?! 芸人の仕事を日中やっているから?

厚切りジェイソン:撮影している間には、向こうが寝ているから別に邪魔にはならない。

菅澤:(笑)、向こうが寝てる間に「WHY?」をやって(笑)、起きてきたら仕事をやって。

池澤:確かにちょうどいいのかもしれない。

厚切りジェイソン:アメリカで毎年大きい展示会があるんですけど。それは世界的な、みんなが来るようなイベントで、うちのアメリカ法人もそこに出展しているので、ずっとそこに立っているんですが、全世界のイベントなので、日本から来てるお客さまが多い。次から次へ日本人が来て、僕と「WHY」ポーズをやる写真を撮って、周りのアメリカ人から「これなんなんですか」と毎年聞かれます。

池澤:(笑)。

菅澤:(笑)、異常に盛り上がってる感じですか。

厚切りジェイソン:「ずーっとアジア人ばっかり来て、こういう変なポーズをしているのはなんなんですか」って。「僕は日本でロックスターをやっています」とズルく言っています。

菅澤:ロックスター(笑)。「WHY?」ロックスター(笑)

池澤:(笑)。

(会場笑)

日本語を学んだのはビジネスチャンスをつかむため

菅澤:日本に来るきっかけは、何かあったんですか。

厚切りジェイソン:きっかけですか。来るつもりなかったんですが、やりたかったインターンがありました。それは結局は落ちちゃったんですよ。

ITだけで勝負しにくいなと思いました。アメリカは競争社会で、競争しにくいんですが、多くの人がやっているので、周りと違うことをやりたいと思って。それでコンピューターサイエンス、プログラミングと何かを組めば、両方必要となった時に使えるんじゃないかなと思って、日本語を足しました。

池澤:なるほど。

厚切りジェイソン:もっとビジネスチャンスつかめるかなと思って。

菅澤:簡単に「足しました」と足せるところがもう。

池澤:確かに。新しい言語を習得するっていう。

菅澤:頭が半端なくいいんですよね。

厚切りジェイソン:いや、それはがんばったよ。

菅澤:(笑)。

厚切りジェイソン:もう13年ぐらい勉強しているんですよ。

菅澤:そうかそうか。

(次回へつづく)