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「ブロックチェーンで私たちの生活はどう変わる?」社員講演③(全1記事)

2021.09.30

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未来のモビリティサービスを実現させるためにデータの信頼性がカギ デンソーがブロックチェーン基盤の研究開発に取り組む理由

提供:株式会社デンソー

ブロックチェーンで私たちの生活はどう変わるのかーー。クルマのモジュールを手掛けるデンソーが「車載ブロックチェーン技術」を進めるにあたって、大事にしているブロックチェーン基盤について、ファン・ヤウェン氏がその詳細を説明しました。

企業間連携ブロックチェーン

ファン・ヤウェン氏(以下、ファン):みなさんこんばんは。ファン・ヤウェンと申します。本日の本題に入る前に、簡単に自己紹介いたします。

私は台湾出身で、小さい頃から『ドラえもん』が大好きなことをきっかけに、2004年に留学のため日本へ来ました。デンソーには3年前に入社し、現在は仮想シミュレーション技術およびブロックチェーン基盤の研究開発を担当しています。私からは、デンソーブロックチェーンの基盤開発について説明いたします。どうぞよろしくお願いします。

最初に、企業間連携ブロックチェーンについて紹介します。コンピュータ技術の進化により、クルマは移動する道具から、IoT端末として見られるようになりました。クルマに搭載されたコンピューターや数多くのセンサーデータを利用し、さまざまなサービスの自動化が進むことで、人々の生活がより便利になります。

例えば、実際の走行距離や運転習慣のデータをベースに、適切なクルマの保険料金が算出されたり、駐車や給油の決済が自動的に行われたりします。クルマ1台から取得されるデータに基づいてさまざまな事業体と自律的に取引がなされるため、そのデータの信頼性が鍵となります。デンソーが構想している未来のモビリティサービスは、ブロックチェーン基盤をベースに、情報の信頼性を支えます。

デンソーのブロックチェーン基盤

次に、デンソーのブロックチェーン基盤について説明します。デンソーブロックチェーンの全体像は、図のように示されます。機能ごとにレイヤーで分けられているところが、特徴となります。大きく分類すると、ブロックチェーンとクラウドサービスを含むオープンソフトウェアエリア、豊富な機能を提供するコアエリア、そしてサービスを提供するカスタマーエリアの3つがあります。

その中で、さまざまなサービスを支えるデンソーブロックチェーン基盤は、レイヤー1.0から2.5までの範囲となります。本日はレイヤー1.0のブロックチェーンプラットフォーム、およびレイヤー1.5の基盤最適化にフォーカスして、話をします。

レイヤー1.0 オープンソースソフトウェアの活用

オープンソースソフトウェアの活用から話をします。デンソーの基盤は、オープンソースのブロックチェーンを活用することで、最新技術を取り入れて、開発の効率化を図っています。

適切なブロックチェーンを活用するために、俯瞰調査を行いました。数多くのブロックチェーンプラットフォームの中から調査対象を選定する基準に関しては、基盤の普及度とデンソーブロックチェーン基盤への応用性をもとに考えました。

ブロックチェーンの参加形態は誰でも自由に参加できるパブリックチェーン、企業内や個人用のプライベートチェーン、および企業間で連携してビジネスをするコンソーシアムチェーンの3種類があります。デンソーの目的に適するのはパブリックチェーンとコンソーシアムチェーンとなります。

パブリックブロックチェーンに関しては、仮想通貨領域以外の応用ができるEthereumを選定し、コンソーシアムブロックチェーンで普及度の高い「Corda」「Hyperledger Fabric」「Quorum」、そして日本発の「Hyperledger Iroha」を選定しました。

選定したブロックチェーンの概要は、以下になります。応用領域がさまざまなので、基盤の性能調査とパフォーマンスの検証を行い、総合的に我々の用途に適する基盤を特定していきます。

まず機能と性能の比較を行いました。結果としてQuorumとHyperledger Fabricは、総合的に我々が重要視している性能が優れていることがわかりました。

各ブロックチェーンの実力や運用する時の課題を知るために、システムを実装し、パフォーマンス検証を行ったことで、社内のノウハウが蓄積されました。

レイヤー1.5 デンソーブロックチェーンの基盤の最適化

続きまして、我々が構築したデンソーブロックチェーンの基盤の最適化事例を2つ紹介します。1つ目は大きいデータの保存による障害です。事故車を自動車保険で修理する場合、保険会社にとって修理店が発行した修理記録やクルマの外観の変化が、重要な情報となります。それらのデータをブロックチェーンに保存することで、データの信頼性が保証されます。

しかしPDFや画像データのサイズが大きいため、そのままブロックチェーンに溜め続けてはシステムに負担がかかり、障害が起きます。解決の方法として、PDFや画像データをそのままブロックチェーンに保存せずに、データをハッシュ変換してハッシュ値だけを保存することで、データが改ざんされたら検出されるし、システムも軽量になります。

もう1つの事例はプロセスの同時実行による障害です。モビリティサービスの規模が大きく、同じ時間にシステムを利用するユーザーが想定以上を超えると、コンピューティングリソースが枯渇し、障害が起きてしまいます。我々の対策としては、利用するプロセスを分類し、優先度の高いプロセスから実行することで、コンピューティングリソースを適切に配分可能にしました。

今後のデンソーブロックチェーン基盤

最後に、今後の予定について紹介します。我々は、現在デンソーブロックチェーン基盤の最適化と機能拡張を進めています。基盤の最適化については、スケーラビリティを向上させるようにしています。全車両を直接クラウドに繋げず、V2V、いわゆる車両間通信を利用し、近傍の車両をグループ化し、サイドチェーンとしてクラウド側のメインチェーンに繋ぐことで大規模システムへの負荷を最小化させます。

機能拡張については、エビデンスシステムおよびインターオペラビリティを構築しています。エビデンスシステムとは、ブロックチェーンに保存する前のデータ信頼性を保証する機能です。インターオペラビリティとは、他のブロックチェーンとの取引をする機能です。

デンソーブロックチェーン基盤をこれからもどんどん良くしていきますが、現在は人手が不足しています。We are hiring! ぜひ一緒に未来のモビリティを支える基盤作りに参加してほしいと思います。以上、どうもありがとうございました。

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