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世界最高齢!85歳のエンジニアが登場|若宮正子 (全4記事)

「自分が作ればいいんじゃない」で始まったiPhoneアプリ開発 85歳の現役エンジニア・若宮氏が「hinadan」を開発した背景

最強エンジニア社長こと菅澤氏が運営するYouTubeチャンネル、つよつよちゃんねる。ここで、世界最高齢のiPhoneアプリ開発者の若宮氏が登場。自身が開発した「hinadan」の開発背景を紹介します。

世界最高齢のiPhoneアプリ開発者

菅澤英司氏(以下、菅澤):つよつよエンジニア社長の菅澤です。

池澤あやか氏(以下、池澤):エンジニア兼タレントの池澤あやかです。

菅澤:池澤さんはエンジニアですよね?

池澤:そうですね。

菅澤:現役は何歳までいきます?

池澤:えー!? でも趣味ではずっと続けるんじゃないですかね。

菅澤:昔はエンジニアの“35歳定年説”が出ていましたが、今日はなんと、80歳を超えているエンジニアの方を呼びましたので、どういう開発しているのか、どういうものを作ってきたのかを聞いていきたいと思います。「hinadan」というアプリを作られたんですが、世界的に話題になったそうなので、そのあたりの話もちょっと聞きたいと思います。今日は楽しみにしてください。よろしくお願いします。

池澤:本日のゲストは世界最高齢のiPhoneアプリ開発者、若宮正子さんです。どうぞよろしくお願いします。

若宮正子氏(以下、若宮):お願いします。

自分が年寄りなんだから、自分が作ればいいんじゃない

池澤:若宮さんは81歳でiPhoneアプリ「hinadan」を開発して、AppleのWWDC2017に招待されて。Apple CEOのティム・クックさんから“世界最高齢のアプリ開発者”と紹介されたらしい。

菅澤:おぉー。何歳くらいに開発したんですか?

若宮:最初にやろうかなと思った時は、まだ80歳ぐらいかも。

菅澤:それは、いろいろやろうと思っていたことの中の1個という感じですか?

若宮:やむを得ずやったんです。

菅澤:やむを得ず。

(一同笑)

池澤:どうしてですか?

若宮:当時自分がパソコンを持っていて、インターネットがあると年寄りにもいろいろいいことがあるということで。お婆ちゃんを介護している間も家にいないといけませんが、お婆ちゃんの枕元でも世界中のいろいろな知識が得られていいなと思って。お婆ちゃんは100歳で亡くなりましたが、亡くなったあと、今度は自宅で同年代の人にパソコンを教えていて、そのうちにスマートフォンが流行って。

自分が「スマートフォンを使いたい」と思って買った人は少なくて、なんだか知らないけれどお店の人に「ガラケー時代ではないからスマートフォンにしなさい」みたいな。お婆ちゃんたちにしてみれば、なんだか知らないけれど、今までの携帯より高く使いにくいモノになって、甚だ不満であると。

もう1つ、年寄りが楽しめるようなアプリは何もないと言うんです。私自身も、若い人たちが遊んでいるアプリが、なぜおもしろいのかよくわからない。

菅澤:ゲームとかそういうのではなく。

若宮:広い意味ではゲームも含めて、年寄りがおもしろがるものが何もないと話をしたんです。若い人に「誰か年寄りが喜びそうなアプリを作ってよ。1つぐらい作ってくれたっていいじゃない?」と言ったら、「僕らは年寄りがどんなものがいいのかわかりません。自分が年寄りなんだから、自分が作ればいいんじゃない」って。

池澤:厳しい!

若宮:「わからないことがあったら教えますよ」と、言ってくれる方もいて、始めました。だけど、作ったというよりは聞いて聞いて聞きまくって。もう1つわかったのは、Apple社のiPhoneアプリだから余計らしいんですが、作っただけではダメで。開発者としてそれを申請したり。

菅澤:あれ最初は大変なんですよ。

若宮:それで今度はアップロードして、申請して。そういうのがまたまた難しい、というか複雑なんです。

菅澤:すごいな。じゃあ、長い道のりだったんじゃないですか?

若宮:そうなんです。私たちの年代の人は戦争中に育っているので、横文字、英語を使ったら叱られる年代だから。

菅澤:今おいくつですか?

若宮:今は85歳です。

菅澤:85歳、じゃあ4年前に作られたと。

若宮:そうですね。

「hinadan」は高齢者のためのUIが実装されている

菅澤:僕もさっき「hinadan」をやってみたんですが。ひな壇の並べ方、どういう順番かわかりますか?

池澤:わからないです。

菅澤:どこに置いたらいいかを、クイズというか。起動したら、親切に女の人がしゃべってくれますよね。

若宮:あれは挨拶をするだけで、ゲームの中身は教えていません。

菅澤:チュートリアルみたいに、最初に説明が出てきてしゃべってくれるんです。だから、しっかり作っているなと。1作品目にしては、最初にチュートリアルがあって、サウンドも鳴るし。

池澤:周りの反応はいかがでしたか?

若宮:ぜんぜん違った反応で「母と私と娘と、3代で楽しみました」「ふだんスマートフォンに見向きもしない母が、私のiPhoneをひったくって喜んで遊びました」とか。

菅澤:今まで普通のゲーム、みんながやっているようなゲームはやらなかったけど「hinadan」ならおもしろいと。

若宮:なぜかと言うと、1つはお婆ちゃんにとっては身近なものだし、もう1つはやはり自分が年寄りだから、“どうやったら使いにくく感じるか”がわかるわけです。例えば、スワイプやスライドとかありますが、年寄りはあれが苦手です。指が乾燥しているという、身体的な理由で使いにくいわけです。上からトンと叩くだけなら大丈夫なので、タップだけにしたんです。

菅澤:最初、僕フリックでやろうとしたけど動かなくて。タップでそこに合わせる。

池澤:スワイプやフリックは高齢者の方はやりにくいんですね。

菅澤:完全にターゲットに合わせて。

若宮:意外とそういうことを若い方は知らなくて。うちの父は認知症で電話にもすぐに出られません。電話に出るには指でスワイプして開きますよね。お父さんにとっては、一番苦手な動作を強要されるわけです。

池澤:確かに。

若宮:それからもう1つ、やはり80歳を過ぎると、耳と目のどちらかが悪くなっている。だいたいどちらも元どおりという人はほとんどいないわけです。正解だったらポンという音を立てて、下にテキストで「正解です」と表示を出しているんです。目か耳のどちらかでキャッチしてもらおうということで。

菅澤:ブブーッと出て、ちゃんと文字でも「違いますよ」と出るようになっていますね。

池澤:高齢者のためのUIは、iOS開発をされている菅澤さん的にはどうでしたか?

菅澤:若者も高齢者も使えるのがわかりやすいし、ちゃんと遊び心、ブブーッとか出てきたり、ちょっとハマったらうれしい。効果音もちゃんと凝られていて、シンプルで。たぶん世界中で使えるんじゃないかと。

「hinadan」はSwiftで開発

池澤:「聞きながら作った」と先ほど話されていましたが、どういう方がサポートしてくれたんですか?

若宮:当時サポートしてくれたのは宮城県の方で、そういうお仕事をしていた社長さんだったんです。ご自身がiPhoneアプリを作ってアップしている方なので実践経験もあって。審査に出すとだいたい何日ぐらいで返事が来るとか、クリスマス休暇の時は出しても手間がかかるとか。

菅澤:iOS開発は数あるプログラミングの中でも、けっこう難しいほうの開発なんですよ。

若宮:ちょうど2014年ぐらいからSwiftが出て、それだと少し前よりはやさしいと言われていましたが。ちょっと前から、今度はSwiftUIができて。

菅澤:「hinadan」はObjective-Cで作った?

若宮:いえ、hinadanはSwiftUIではなく、ただのSwiftで作りました。

池澤:Objective-CでiPhoneアプリを開発するには、最初にやらないといけない、けっこう難しい言語があるんです。しかし、そこからもうちょっとライトなプログラミング言語と、似たようなSwiftができて。直感的に置いて作れるようなものが最近出てきて、さらに開発がしやすくなりました。

若宮:そういうゲーム屋みたいな時には、それに見合ったものがあるわけですよね。「もうちょっとアイコンを大きくしたらどうか」「これだと大きすぎる」とか言って、すぐに直せたり、色も赤のところにまた赤だとキンキラキンだから違う色にしよう、とか。そういうことができちゃうので。

菅澤:IDEと言って、直感的に組み立ててプログラミングを裏でしてくれるものですが、その中でもiPhoneアプリの開発は難しいほうというか。HTMLだったらそのままブラウザーで見れるけれど、そこをやってしまったという。

池澤:iOS開発は私も何度かやって、すごい難しいなと感じた理由の1つが、XcodeのUIがめちゃくちゃ変わる。開発方法もすごい勢いで変わっていくから「前に聞いていたやり方じゃできない!」みたいな。

菅澤:20代でも挫折してしまう人が多いですが、若宮さんがどうやってそれを乗り越えたのかを、後半でもっと聞きたいと思います。

(次回につづく)

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