データサイエンティスト協会の「タスクリスト」
アイシア=ソリッド氏:でも、「いやいや、待ってよ」と。「そうは言ってもエンジニアとデータサイエンスってちょっと違うでしょ? PoCとかなんとかあるでしょ? 聞いたことあるよ、アイシアさん」という方もいるかもしれない。
そんな方におすすめなのが、データサイエンティスト協会が出している、「タスクリスト」というものです。これは、データサイエンスのプロジェクトを企画段階で分析して、いい感じになったら実装して、評価しましょう。それをもとに、またグルグル回しましょうという。
あえて文字が潰れるサイズで書いてありますが、やったほうがいいことリストが100個くらいドバーッと書いてあります。超便利。私もプロジェクトごとに使ってます。おすすめです。
100個くらいリストがあるので100個全部やらなきゃいけない、という話ではなく、IT業界で必要なことも入っているし、組み込みエンジニアで必要なことも入っているし、官公庁や銀行のような、気軽にクラウド使えないところでも使うことなど全部入っています。
自分のプロジェクトに必要なものを厳選すると、けっこう減ったりします。そのため、いらないものは消して、いるものは残して、それを見てやるのをやればいいのではないかと思います。
先ほども言いましたが、そもそも本質的にはエンジニアのときとやることは変わらないので、そのとおりにやればいいです。細かいことが気になる人は、これを見てもらえればいいのではないかと思います。
人材確保も歴史を繰り返せば大丈夫
データサイエンスをエンジニアリングに置き換える、3つ目。「いやぁ、そんなこと言っても人材がいません」。わかる。おらんね。おらん、おらん。これは、データサイエンスチームやエンジニアをマネジメントしている、PMやプロジェクトリーダーなどをやっている人向けのお話です。
例えば採用のことで話しますが、これはエンジニアの場合も、データサイエンティストの場合も両方一緒です。「市場におらん」「どういう人を採ったらいいかわからん」。エンジニアでなければ、どんなエンジニアがいいかわからないですからね。
どんな仕事を頼んだらいいかもわかりません。エンジニアの仕事って、エンジニアしか依頼できませんから。もう全部一緒なので、エンジニアのチームと一緒にやれていれば、データサイエンスのチームもできます。
では実際に立ち上げるときはどうすればいいの? という話を考えるなら、自社ではじめてエンジニアチームができていった、その歴史を繰り返せばだいたいオッケーです。
“始祖”と呼ばれる1人目みたいな人がいて、その人が連れてきた人がいて、がんばって増やしてみたいなことをやっているはずなので。だいたいの会社にはエンジニアがいると思うので、そういう人の話を聞いてみればいいのではないかと思います。
誰の採用でも難しいから、特に問題があることはないです。例えば50人くらいの会社なら、どのみち1人採るのは総力戦、超難しいじゃないですか。これがエンジニアだろうとデータサイエンティストだろうと、難しいのは変わらない。
もし2,000人や3,000人の会社なら、こっそりKaggleやってる人、こっそりSIGNATEやってる人、こっそりAtCoderやってる人とか。たぶん社内を見回してみればいます。そういう人を抜擢するのもアリでしょう。
今まで3つお話ししましたが、みなさんもうやってます。あとはやるだけ。
採用を考える人用の手引きもある
一応最後に宣伝。データサイエンティスト協会から、スキルチェックリストとタスクリストの概説書が出ています。
この中に、採用を考える人用の手引きが書いてあります。外注計画担当者の方とか、人事採用者とかエージェントのやつが書いてあります。というか、書きました。読んでほしい。
エンジニアの場合とほぼ一緒ですが、どういう心づもりでやったらいいか、その中でスキルチェックリストやタスクリストがどう使えるかの話もしているので、よかったら見てみてください。便利ですよ。
みなさんは絶対できる
というわけで、そろそろ話のまとめにいこうかと思います。いろいろ話しましたが、要は何が言いたいかというと、みなさんはできます。絶対できる! なぜならもうやったから。「まだなにもやってないよ~」っていう人もいるかもしれませんが、どうせ1個目やるときってそういうものですから、もうやるしかないです。
やり方はもう知っているの。今までできたでしょ? やってきたでしょ? もうやるだけです。というわけで、今までエンジニアでやってきたこと、基礎を勉強してみるとか、新しいことをやってみるとか、小さいところから始めるとか。
取り返しのつかないことじゃなく、ミスしても大丈夫なところから始めるとか、仲間を集めてやってみるとか。人を採用するのはあーだこーだって、もう全部やってるから! 大丈夫です。簡単じゃないけど、やるだけです。
ただ好き嫌いはある
ただ1個だけみなさんに伝えておきたいことがあります。好き嫌いはあります。どういうことかというと、例えばメチャメチャ優秀なエンジニアでも「バックエンドでAPIをロジックで組んでいるのはメッチャ好きだけど、フロントのちょこちょこ動くのはやりたくないな」という方いるじゃないですか。
ダメな人がそう言っているのではなく、すごい人でもそういうことってあります。JavaScriptの神だけど、「GoでAPI書くとかやりたくありませーん」とか。そういう人いるでしょ?
ただ、バックエンドはメチャメチャできる人が、フロントできないということはあり得ません。勉強したら、その人は絶対できるようになります。みんなできるようになる。絶対やったらできるようになるんだけど、ただ好きかどうかはわかりません。やってみたら嫌いかも。でもそのときはそのときです。ただ、やればできるというのは間違いないので、覚えて帰ってほしいと思います。
今まで好き嫌いはどうやって判断してきましたか? 「なんとなく勘で嫌いだなぁ」と思って、そのまま避ける。無駄な時間は使わないという戦略の人もいるでしょう。やってみて好きかどうか判断する人もいると思うので、ぜひやってみたらいいんじゃないかと思います。
みなさんに間違いなく保証できることは、努力を要することです。AIやったらDXでAIでボーン! とはならないです(笑)。がんばってください。一緒にがんばりましょう。
ただ、これもなんの問題でもないです。だって今までしてきたでしょ? それが努力だったか、自然に熱中していたかという問題はあるにせよ、今までやってきたじゃないですか。データの領域にこようとくるまいと、自分の領域でどうせ努力するでしょう?
だから別に変わりません。普通はどっちに行っても努力するし、苦労する。やる場所が変わるだけなので、元の場所にいたらぬるま湯ということもないし、こっちに来たから地獄になるということもありません。だから変わらんです。
というわけで、結論。やればできます。やった結果、好きかどうかはちょっと保証できません。やはり数字のちまちましたのは嫌いってなるかもしれない。
軽く才能が溢れて、ドーン! となるかというと、ならないです(笑)。大人ってそういう世界じゃないじゃん。がんばった量じゃん。だから努力が必要なのは間違いないですが、やればできるということなんです。
データサイエンスの世界に入ることは“強くてNew Game”ということ
みなさんがこれからデータサイエンスに入るということは“強くてNew Game”ということです。今までの経験そのまんま、丸ごと活きます。今までやったことをほぼなぞって、微調整するんならスキルチェックリストやタスクリストとか見てやればもうできます。
これから一生懸命、新卒でデータを分析して、まずデータサイエンティストになる人。エンジニアからではない人がこれからきます。そういう人たちの前で、「でも自分はこっちの時代をやっていたから、これができるんだよ」と。みなさんは、そういう人を引っ張る、兄貴になれる存在です。
だからもう、やろうじゃないですか。強くてNew Gameができる領域なので。フロントをやった人が、サーバーサイドをやるみたいなものなので。違いってそんなものです。やりましょう。
やったろうぜ、みんな!
というわけで、最後にもう1回結論を言って終わりにしようと思います。あなたには絶対できます。理由は今日話したとおり。でも、足元はすくわれないように。自分のできる範囲から始めましょう。技術力とビジネス力に応じたところからやっていったら、まじめにやっていれば、やっていく中で自動で成長するものなので、できるようになります。
そして今言ったとおり、みなさんは方法を知っています。本当にやるだけ。しかも、やったらできる! いいでしょう? というわけで、最後にこの一言です。「やってやろうじゃないの!」ということです。
デジタル庁の担当大臣が、「日本はデジタル後進国」なんて言ってました。でもいいじゃん。めちゃめちゃ伸びしろがある。
海外を見ると、ヘイトクライムがあったり、バスに火炎瓶投げ込まれたり、そういう世界の中でこんなに平和で、こんなにけっこう豊かな国で、全領域の産業もあって、データもなんだかんだ大量にあって。でもランキング100位です。伸ばし放題じゃん。
今ここに立っている私たちが次にやるべき仕事は、この伸びしろだらけの国を、もう1回ちゃんと立ち上げる。30年失いましたが、次の30年で取り返す。これが今、がんばる私たちのやるべき仕事です。
そこで大事なのが、2つのDXです。別に無理してデータサイエンスにこなくてもいいです。エンジニアも次の未来のど真ん中ですが、データサイエンスも次の未来のど真ん中です。やってやろうじゃないの。
もしデータにきたいなら、大変だけど一緒にやりましょう。最終的に両方が合体して強いものになるので、エンジニアの方々も一緒にやりましょう。Developer eXperienceを携えて、それをもって、やってやろうじゃないですか!
というわけで、今日の話はここまでです。今日これを見てくれた人の中で、いつか仕事の場でバチバチとやり合う。「あのとき見たんですよ」っていってきた人が、マスターくんと一緒に仕事でドーンってやり合う日がくるのを、めちゃめちゃ心待ちに、楽しみにしています。
もうやるだけだから。登ることしかないので。やっていきましょう。というわけでここで話を終わりにしようと思います。ご清聴ありがとうございました。バイバイ! やったろうぜ、みんな~。