オンライン診療の「LINEドクター」

久保貴史氏:LINEヘルスケアのサーバーサイド開発について紹介したいと思います。みなさん聞いてばかりだったと思うので、ちょっと頭の体操として、LINEヘルスケアはどんなところをやっているか? みたいなところをイメージしながら聞いてもらえればと思います。

とりあえず、まずは僕の自己紹介です。すみません、エンジニアのインタビュー写真のあるあるで、手を構えた感じになっていますが、久保と申します。ヘルスケア開発2チームでマネージャーをやっています。

自己紹介については、書いてあることをサーっと読んでいただければなと思うのですが、今はLINEヘルスケアの開発をやりながら、どんどん良いプロダクトを作るためにがんばっています。

先ほどお話しした、ヘルスケアって何ぞや? というところで、事業のお話をします。ヘルスケアという一言だと、すごく広義なので、私たちの事業ではこのように、オンラインとオフラインでいくつか事業領域を定義しています。オンラインとオフラインをマージした世界、OMOの世界で実現していくのを今事業として進めています。

一番注目されているプロダクトとしては「LINEドクター」というのがあります。2020年の12月にリリースされたプロダクトなので、LINEギフトや出前館と比べると、若いプロダクトなんですが、2020年にローンチしました。

オンライン診療のLINEドクターなんですが、クリニックの検索から予約までをすべてLINE上で、スマホ1つでできるというところ。また、実際に診療をお医者さんとLINEのビデオ通話でお話しして、決済まで完了します。

なので、スマホ1つでクリニックの検索から診療、決済までが一気通貫でできるサービスを提供しています。

ダイヤモンドプリンセス号のクラスターで利用

LINEヘルスケアの事業領域をいくつか簡単に説明します。オンライン健康相談というのがあって、一番わかりやすいのが2021年の2月ですかね、ダイヤモンドプリンセス号でコロナが発症してしまって、クラスター化したお話に対して、各患者さんと乗船しているお客さまにスマートフォンを配って、遠隔でも医者と相談できるようなかたちでサービスを提供しました。

あとBtoBソリューションに関しては、ヘルスケアという領域では、例えば保険会社であったり、製薬会社であったり、医療機関など、複数のBtoBでサービスを展開しています。LINEのプラットフォームを使ったサービスも担っています。

先ほどのLINEドクターでお話したオンライン診療を担い、現在リリース予定であるオンライン服薬指導、薬局とお薬という部分と、実際に薬の配送というところを現在開発しています。

LINEヘルスケア開発室のミッション

ではLINEヘルスケアの開発室はどういうところかについてお話しします。LINEヘルスケア開発室のミッションですが、実はヘルスケア市場とは言われていますが、それほど温まっていない部分も多いです。

ないので、オンラインとオフラインを融合したOMOの実現と、顧客視点で「良いプロダクトとは?」というところを探究し続けて、テクノロジーでプロダクト成長を加速させることがミッションになっています。

特にここでこだわっているキーワードとしては、“加速させる”というところですね。私たちのテクノロジーは、あくまで技術やツールとしてよく使われるので、事業全体を引っ張っていったり、ドリブンさせるという意味も込めて、私個人的に熱い思いを持って、“加速させる”という言葉を使っています。

今現状、LINEヘルスケアの開発室にはチームが3つありまして、1チーム目がオンライン診療をやっています。2チーム目がオンライン服薬指導と薬の配送、私のチームですが、そこをやっています。3チーム目がヘルスケアプラットフォームというところで、LINEヘルスケアにおけるプラットフォームの開発を進めています。

LINEヘルスケアならではのおもしろいところ

LINEギフトや出前館と、開発の進め方がほとんど同じなので、LINEヘルスケアならではのおもしろいところを紹介します。

LINEヘルスケアは、先ほどあったように、まだまだ若いプロダクトで、ここ最近開発を始めたので、すでに最初からマイクロサービスアーキテクチャを前提に考えて、スクラムで事業と開発が一体となって進めています。

特におもしろいところとしては、専門的な領域が多いので、医師や薬局の方にも入っていただいて、スプリントレビューをすることで、実際にその場でお客さまの声をいただきながらPDCAを回しているという、ちょっとおもしろい開発の進め方をしているかなぁと思ったので、紹介しました。

なので、LINEドクターというプロダクト1つに対して、アカウントや、クリニック、ファーマシーみたいなかたちでいくつかのマイクロサービスを用意して、それに対してスプリントを回していくようなやり方をしています。

その中で、特に今回募集している人材として、BFFとマイクロサービスの部分を開発してもらえるエンジニアを募集しています。

サーバーエンジニアの役割と現状の課題

サーバーエンジニアの役割です。これまで説明していたほかのプロダクトとも同じところですが、基本的にBFFの設計、開発、マイクロサービスの設計、開発などをやっています。

特にちょっとヘルスケアっぽいなと思っているところは、国や医療機関で、かなりDXという言葉だけが広がっていて、実際に国や医療機関と技術面でどう実現していくかも調整、連携していくところがサーバーサイドエンジニアの役割としても入っていることが、特徴的です。

現状、LINEヘルスケアの中での課題です。実はオンライン診療だけではペイシェントジャーニーは解決できません。みなさんも、実際病気にかかったらわかると思うのですが、病院で診察して終わりということはほとんどなくて、必ず薬局に行ってお薬をもらう。ここまで来て「あ、治るかもしれない」みたいな体験ができるのではないかと思っています。

今LINEヘルスケアでは、LINEドクターの中で、早期にオンライン服薬指導と薬の配送機能を提供するところを最優先事項で進めております。

さらに個別最適化によるシステム開発コストの増加で、デリバリーファーストみたいなかたちでやると、なかなかプラットフォームや、共通化みたいな機能のところの、エコシステムの部分を考慮する優先順が、どうしても下がってしまうことがあります。

今プロダクトとしてはローンチしているので、LINEヘルスケアプラットフォームという開発を経て、エコシステムを実現していこうと動いています。

3つ目、これがちょっと特徴的かなと思うのですが、やはり医療というところで命に携わる事業なので、日本の法律とかガイドラインというのは、ほかのものに比べると非常に厳しめになっています。そういった制約がある中で、どうやって価値を創出していくかと言うことに対して課題認識を持っています。

医療市場でのDX化

今、日本自体が厚生労働省を筆頭に、医療事業のDXを進めていますが、その計画を事前に捉えたかたちで、Technology Accelarationということを実現していこうと思っています。

直近でわかりやすいところでいくと、電子カルテ、電子処方箋。最近ではマイナンバーの保険証化みたいなところ……いったん延期になりましたが。そういったところを先読みして、早期にテクノロジーで実現していくところを進めていく方針になっています。

とはいえ、まだまだ医療市場でのDX化という温度は高まっていないと思います。みなさんの中でも、オンライン診療やオンライン服薬指導を使っている方は、まだまだ少ないのではないかなと思っておりまして。そういった部分に対して、親和性の高いLINEのプラットフォームやAIを活用して、ユーザー利用の障壁をどんどん軽減していきたいなぁということを考えております。

その中で1つ、ちょっとおもしろい事例として、処方箋のFAX送信というのがあります。先ほどの出前館でもFAXという言葉が出てきたんですが。FAXと聞いて、今の20代くらいの子はあまりどんなものかもイメージできない、使ったこともないみたいなことが多いと思いますが。

オンライン服薬指導では、必ず法律的にFAX送信が必須事項であるということが決まっていました。ただ、いざFAXをしてみようと思うと、あまりインターネットサービスでFAXを利用しているところが少なくてですね。ネットの情報もないなっていうところがありました。

そんな時に、出前館もそうですし、LINEという多種多様なプロダクトをやっていると、FAXを利用しているプロダクトがあったりして。インターネットで検索するよりも会社で聞いたほうが早い。社内でSlackとかで聞いてみちゃったほうが早いというのが、LINEの特徴的な文化かなって思うことが多いです。

そこで知見を持っている方たちと連携して、処方箋という、要配慮個人情報と言いますが、個人情報よりもより、機密性の高い情報になるので、セキュリティ要件を担保します

さらにFAX送信、本当はAPIで実行できればいいのですが、グローバルレベルで見ると、やはりFAXの利用は下がっていてですね。APIを提供してくれているSaaSも徐々にそのサービスを停止しているので、私たちが自前で代替案を作っていく必要があると。

さらに僕もこれは初めてわかったのですが、電話回線にはSIPとRTPという2種類があります。これをUDPなどの接続からどうやって電話回線を切り替えていくかというところに対して、技術的な課題として取り組んできました。

技術検証はもう終わっていて、ある程度アーキテクチャが見えてきたところで実際に対応して、すでにFAXの疎通は完了しています。今度は、FAXの品質に対して取り組んでいたりとかします。

LINEヘルスケア開発の求める人材

LINEヘルスケア開発の求める人材としては、ほかの事業と一緒なのですが。特徴的なのは、やはり医療情報システムに関わる技術というところで、医療に特化した各種ガイドラインに対応していかなきゃいけないので、少し肩身が狭いというか、やりづらそうな感じがあるんですけれども。

そこをどうテクノロジーで技術解決していくかをワクワクを持ってやれるというのは、すごくいいことかなと思っています。

あと実際に歓迎するスキルとして、すでにマイクロサービスアーキテクチャみたいな設計基盤の中で開発をしています。やったことがある、ぜひ挑戦してみたいみたいな方は、どしどし応募していただけたらなと思っています。

特に求める人材ですが、医療情報システムに関するガイドラインは絶対守らなきゃいけないので、セキュリティの部分であったり、情報統制であったりとか、情報の取り扱いの仕方、通信の仕方などいろいろなところに制約があるため、それを常に考えながら、どうやって安定的なシステムを開発するかにモチベーションに持てるような方がいると、大歓迎かなと思っております。

実際そういった部署なので、レガシーなシステムかと言うと、今まで説明したとおり、ほかの事業と同じようなものを使っていて、今はJavaをメインにしていますが、KotlinやGolangなども使っていて、そういったところはエンジニアの裁量でどんどん挑戦できる文化になっています。ぜひそういった技術に興味がある、新しい技術にも挑戦したいという方も、申し込んでいただけたらなと思っています。

LINEヘルスケアのやりがい

LINEヘルスケアのやりがいは、まだ成熟していないヘルスケアと言われているところで、OMOを自ら実現していける。さっき言ったようにレッドオーシャンにまだなっていないんですね。

なので、いかにLINEがナンバーワンを取るか。それをテクノロジーを使って加速化させるか。ナンバーワンを取りに行くということにワクワクとモチベーションを持ってもらえたらなと思っています。

さらに先ほどあったように、高セキュリティ基準という、個人情報よりももう1段階高いセキュリティをどうやって実現していくのかに興味のある方だったり、そのセキュリティの中でどうやってパフォーマンスや、トラフィックに対して対応していくかを、技術を突き詰めていけるというのも1つの魅力かなと思っています。

先ほどあったように、組織自体もまだまだ1、2年で立ち上がった組織なので、技術負債はそんなに多くない中で、裁量を持ってどうやっていくかをどんどん自分たちで提案して、主体的に動いていける組織なので、ぜひ興味のある方は申し込んでもらえればなと思っております。

LINEヘルスケアの説明は以上になります。ご清聴ありがとうございました。