2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
提供:トヨタ自動車株式会社
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松本直人氏(以下、松本):トヨタ自動車の松本直人と言います。よろしくお願いいたします。今日は車じゃない話ということで、通常ではあまり聞いたことがないお話しを、みなさんにたくさん共有できればと思います。
今日は『ソフトウェアエンジニアが支えるデータフローとその未来』というタイトルでお話しします。我々トヨタ自動車でどんな課題意識をもっていて、さらにこれからどういった仕組みが普及していき、そして未来を支える技術としてどんなものが今後必要となってくるか。
そういったものを我々トヨタ自動車でも研究開発、さらには試験もやっています。そういったお話しをできればなと思っていますので、短い時間ではありますが、よろしくお願いいたします。
ソフトウェアエンジニアが、がタイトルなので、みなさんにその部分をなるべく強調するようにということで、書いています。
実際にはシステム・インフラストラクチャの話で、なぜこういったものが必要になるかを後々説明していきます。さらに我々がもっている課題意識も共有できればと思っています。
最初にどんなものをもってきたかというと、システム・インフラストラクチャ。私もこのIT業界で四半世紀ほどこの仕事をやっています。もしも聞いている方の中に1990年代生まれの方がいたら、生まれたもしくは小学生だったころの話も少し含んでいます。
なぜこういったものが大切かというところを強調したいと思います。我々はデータ通信の部分を基幹として、車に限らずさまざまなアプリケーションとかサービス、そういったものを担保していかなければいけない立場にいます。
そういった中でどういったデータ通信、さらに今後普及していくであろうアプリケーション、そのマッチングも考えなければいけないことがあります。ただ1点、先ほどお話の中で少し忘れてしまったところがあるのですが、我々が使っているシステムは、最近ではクラウドサービスが普及しています。
ですが、クラウドのいいところは非常に強調されるのですが、悪いところも当然存在します。あえて悪いところの話をしますが、それはどんどん便利になっていくため、その中の仕組みがわかりづらくなってくる傾向があります。
特に我々が扱っている現在のデータ通信とか、計算機資源がクラウドの向こう側にある状況になっていますが、それが実際にどうつながっているか、これを学校や、場合によっては会社の中などで詳らかにお話しすることはなかなかないと思います。
そういったこともあり、システムを開発するとき、さらにソフトウェア、プログラムを開発するとき、縦割りになってしまっているのではないかと思います。今回少しでも、こういう仕組みで動いているんだな、さらに課題意識としてこんなところに問題点がありそうだなというのを強調できればと思い、今日のお話をもってきました。
(スライドを示し)ご覧いただいている日本の地図ですが、なんかちょっとおかしいなと思われると思います。白いところが多かったり、なにかピンっと立っているところがあったり。これはどういったものかをお話しします。
これは現在の携帯電話網の基地局の分布を示しているものです。どういったかたちでデータ密度の高いインフラストラクチャが広がっているか、我々は見ることができないのですが、実は調べるとわかったりもするんですね。
通常ではこういったものは公開されないのですが、最近多いオープンデータを使ってみますと、解析して見える化ができます。
我々のインフラストラクチャと言ってしまってもかまわないと思うのですが、現在パンデミックの中でさまざまな方々に対して情報配信をして、なおかつ、それを見ていただいて反応が取れる。こんなすばらしいネットワークの社会になるとは、私が就職した頃にはあまり思っていなかったんですね。こんなに早くこういったかたちになるとも思っていませんでした。
ですが、配信を見ている方々からすると、もう日常ですよね。当たり前のものとして普通に使われていますし、最近ですと在宅になってお家から見られている、もしくは移動中、仕事中に耳で聞いていると、そういった方もいらっしゃると思います。ラジオ感覚のようなところまで一気にオンライン化が進んだ2020年だったと思います。
こういった流れの中で、考えなければいけないさまざまな内容をソフトウェアエンジニアとしてどう捉えていくかについて、今日いくつかお話ししていきます。我々はこういったネットワーク、特に基地局の分布が高いところに住んでいる方々からすると、日常的に動画を見たり、さまざまなアプリケーションを使ったりしていると思います。
ですが偏りがあるのはなんとなく気づかれていると思いますし、それを使っていくところでも、なんか遅いなとか、なんか速いなということで少し気になったりもするとは思います。そういったものは、実はさまざまな経済的な合理性やネットワーク的な制限などが起因して、インフラストラクチャの裏側で起こっていることです。
つい先日もいくつかネットワーククラウド系のサービス障害があったかと思いますが、そういったことも我々の中ではいつのまにか日常になっています。それがなぜ起こったのか、その原因を追求することもなく、次のサービスが次々に生まれていく。そういったサービスの連鎖が起こっている時代に我々はいると思っています。
データが生成されさまざまなネットワークがつながり、クラウドのサービスに連携していきますが、考えなければいけないこと、そして実は知られていないさまざまことがあります。
ネットワークがつながっていて、どこにあるかわからないクラウドのリソースを使っていることがありますが、残念ながら物理法則を曲げることはできません。光の速度は超えられません。これはもう当たり前のことなのですが、実際には顕著ではありませんが、ある程度のネットワークの遅延は発生しています。
(スライドを示し)ここで示されているのは、沖縄と東京、大阪、北海道にある程度、こういったかたちの遅延量が存在しています。
さらにあまり知られていないことですが、ネットワークとクラウドがつながる結合点、結節点のようなところは、日本にはそれほど多くはありません。世界でもあまり多くありませんが、そういったものが存在しています。そこからデータが連携されていって流れていくというのがあげられます。
さらにはその向こう側ですね。クラウドの中でもデータの処理を行わなければいけないので、当然遅延量というのが存在します。遅延にシビアなアプリケーションを書くときに、こういった遅延量がネットワークに存在しているとなると、それを考慮してある程度前処理をエッジ側でやらなければいけない。そういう話が今後も続くのではないかと思います。
日本と同じように北米でもネットワークがこのように広がっています。3大キャリア、モバイルキャリアのネットワークが人口密集地に近いところで広がっており、それらが連携をして、その国自身の巨大なインフラストラクチャになっていることもあげられます。
当然先ほどと同じようにクラウドへの結節点、連結する場所も固まってきていますし、日本に比べてその広がりはけっこう大きいこともあげられます。
実際にどれくらい大きいのかはあまり比べたことがない、もしくは地球儀で比較することがなかなかないとは思うのですが(笑)。それをちょっと今日はもってきました。
(スライドを示し)北海道から沖縄までの大きさは、北米の中でこれぐらい広がりがあるというものです。ここからここまでと、ここからここまでの長さが一緒ということが比較としてわかると思います。この図は、実際に地球儀上での大きさを比較するサイトからもってきたものです。
ミシガンからマイアミまでの長さと、北海道から九州までの大きさが意外と似ているんですね。そういった広さの中に、結節点となっているクラウドへの連携、データフローが流れていく場所が点在しているのが現状です。
当然これよりも多くすることもできるでしょうし、これよりも少なくすることもできるとは思います。ですが、経済合理性とか場合によっては企業の考え方で、そういった結節点とクラウドとの連携がまばらに分布していくのも1つあげられます。
つながり続けるということで……(スライドを示し)ちょっと白くて見えなくなっているかもしれないですね(笑)。これは何かと言うと、東京から京都まで、新幹線で移動した際、モバイル通信がどれだけつながり続けていたかを示すものです。
具体的に言いますと、最高時速280キロの速度で走っているときでも、携帯のデータで通信網は切れません。その地域に点在する基地局を連携し1,000回以上接続の切り替えをして、データ通信が切れないように動いています。そういうものが我々のインフラストラクチャとして普通に使えるようになりました。
私が若かったころと言うと、あぁおじさんだなと思っていただいてかまわないですけど。そういった話をするとあまりよくないんですが(笑)、当然昔々は接続が切れたわけです。基地局の分布も日本全国に66万局舎もなく、当然切り替えとかもあったので、当然切れるような状況でした。
ですが、現在に至ってみると、インフラストラクチャは日常的にここまで使えるようになった。もう空気みたいなものです。そこまでなっていると。当然世界的に見てもここまで使えるようになっているのはなかなかないと思いますし、我々は非常に幸せな時代に生きているんじゃないかと思います。
あまりいい話ではありませんが、移動しながらなにかをすることは、ある方もない方もいると思うんですが。通常新幹線の中で仕事をしながら会議をして、メールを書き、パワーポイントで資料を書きみたいなことをやっている方は、最近は非常に多いと思います。それを担保しているのは、データ通信自身、携帯電話網も含めたインフラストラクチャをちゃんとメンテナンスする方がいて、さらにはそれをよくしようとして動いている方がいて初めて実現しています。
それがこの中からも少し読み取っていただけたらなと思います。私も友人にはモバイル通信業者とか、データセンター、クラウドの中を支えているメンバーが非常に多くいます。そういった方々ががんばってくれるので、我々のデータ通信網、場合によってはクラウドが安定していると思ってください。
実際もっとすごい話もありますね。今度は高速道路を車で移動してみたっていうのもやっています。これはどういったものかと言いますと、今度は東京じゃなくて、兵庫の姫路あたりですかね。姫路からずっと移動していって東京まで、切れるか切れないか……。当然トンネルとか、場合によっては電波が悪いところがあると思われると思うんですけれども。
高速道路では、これも切れなかったんですね。やっぱりすごいなと思います。ですので、そういったインフラストラクチャが存在していることもここで理解してもらえればと思います。
ただ反面、山のほうに行くとか、ちょっと電波が弱そうな場所に行くと、当然切れます。場合分け、どこで、どういったものが、どういうかたちでデータとして受け渡されるか。それを考えなければいけないというのも裏側にあります。
いつまでも通信ができているはずだからデータを送り続けよう、みたいなアプリケーションを簡単に書いてしまうと、実は送られなかったとか、本当はほしいデータが取れなかったりすることもあります。ソフトを作る意味でも、インフラストラクチャ上になんらかの制限があるんだよということをどこかで理解してもらえればと思い、ちょっと資料をもってきました。
通常我々がサービス視点で考えると、こういったデータが流れて発生して、携帯電話網が通じているんだから〇〇社さんの携帯電話網を通ってクラウドまで流れていくんですね、ぐらいはたぶん理解できると思います。でも実はそうじゃありません。この裏にはいろいろなものがつながっていたり、いろいろな業者さんが絡んでいます。
そういったところはやっぱり学校じゃ教えてくれませんし、企業でも当然教えてくれません。単に知らないっていうのもありますが、知られていないっていうこともあります。それだけ、我々が生きているこのIT業界は広がりを見せていると思うんですね。
私が最初に就職した会社は、当時21歳ですけれども、その時はインターネットを日本中に張り巡らすんだというような会社でした。私も物理的にいろいろなところに行ってネットワークを張る、設定してつなぐということをお手伝いしていました。
その頃はまだまだユーザーも少なくて、こんな内容に関してもそれほど気にせず、「あぁ、あそこにつなぐんだったら、あそこにつながるんじゃない?」みたいなことで簡単にできていました。今はですね、実際にはいろいろな会社さんが連携をしてつながりを維持しています。
(スライドを示し)こんな感じなんですね。拡大すると……通常携帯電話網が存在していて、そこからIX、インターネットエクスチェンジにつながり、それから経由する。もしくは独自の経路を通ってパブリッククラウドの事業者につながる。さらにその裏側になんらかのデータ通信網が存在し、データセンターの拠点をつなぎます。
さらに我々は、例えばデータ解析を自社でやろうとしたときの設備につながっていく非常に長い経路を通って動いていたりもします。そういったものが裏側にあるのを今日知ってもらう、もしくは「あ~、知ってる知ってる」と言っていただければと思います。
これってなんでお話をしているかと言いますと、膨大なデータが流れるときには、どこかに必ずボトルネックが存在するんですね。それが如実に現れるのが、先ほどの業者間でつながる結節点のお話です。
携帯電話網で詰まってしまう。そこを経由しても、今度はパブリッククラウドの事業者さんの間で詰まってしまうケースもあるでしょう。裏側のデータ通信網で詰まってしまうケースも存在するでしょう。
そういったものがさまざまに連携することによって、なんかおかしい、データがなかなか上がってこなかった、みたいなことが近い将来起こる。もしくは膨大なユーザーを抱えたときに起こってしまう課題もあります。
特に我々のようにたくさんのデバイスや、たくさんの新しい機能をもったものたちをつなごうとすると、どこかで詰まってしまうことを体験しはじめると思うんですね。これを少しでも理解してもらえればと思います。我々トヨタ自動車の中での課題知識として今日こんなものをもってきました。
(スライドを示す)実際5年から10年先のスパンで考えると、ネットワークは年々増加傾向にあって、その帯域、つまり詰まらなくなるところでは顕著に成長しています。ですので、いずれ問題なくなるんじゃないか。もしくは問題であれば自分たちでなにか働きかけなければいけないんじゃないか、ということが生じると思います。
それをうまくバランスしていくことも今後必要になると思っています。具体的にどうというわけではないのですが、そういった課題を持っている、そういった課題をみんなで協調して連携していく必要があると思います。
(後半につづく)
トヨタ自動車株式会社
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