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メジャー・アップデートのリリースとグローバル開発についての紹介(全1記事)

2020.10.26

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「雨雲レーダー」はあの有名映画からヒントを スマートニュースがグローバルに展開する上で大切にしているミッション

提供:スマートニュース株式会社

SmartNews Online Meetup#14は「日本発グローバルプロダクトの挑戦」がテーマです。SmartNewsのCEO鈴木氏は、SmartNewsのミッションや米国進出の際のエピソードも紹介し、米国で急成長中のSmartNewsのグローバル開発について語りました。

世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける

鈴木健氏(以下、鈴木):今日はSmartNewsの日本語版が、7月にV8、つまりバージョン8にメジャーアップデートしまして、それをきっかけにSmartNewsがどういうグローバル開発をしているのかを一通りお話しします。

改めて、僕はスマートニュースの代表とCEOをしています鈴木と申します。共同創業者の浜本階生と、このスマートニュースを創業しまして、ちょうど8年になりました。今日は6年前にリリースしたSmartNewsのアメリカ版を中心にお話できたらいいなと思っています。

今、自宅から参加されている方も多いと思いますが、本当にこの半年間のコロナ禍で、いろいろなことが変化していきました。世界中で2,000万人以上の方々が感染している中、SmartNewsとしても、このコロナウイルスに関する情報を正しく提供していこうと、日本版・アメリカ版ともに感染発生のかなり初期から、コロナウイルスの情報を提供してきました。

こういった情報は本当に大切でして、我々がミッションとしている「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」ことを実現していきたいなと思っています。

日本版ではさらに「コロナウイルス情報マップ」を4月にリリースしまして、みなさんのお住まいのエリアのコロナの感染がどうなっているか、より詳しくわかるようになっています。まだ使っていない方がいましたら、ぜひご利用いただければと思っています。

やっぱり僕ら自身がアメリカのことをよく知らないといけない

今日はアメリカの話、グローバル展開の話を中心にしたいと思っています。実はアメリカは今、非常に大きなところに直面しています。アメリカではちょうど3ヶ月後(2020年11月)に大統領選挙を控えていますが、アメリカの社会で今一番大きな課題となっているのが社会的な分断ですね。

(スライドを示し)これはPew Research Centerという、アメリカの調査研究所が2014年に出したアニメーションになります。これを見るとわかりますが、今から26年前の1994年ごろは、アメリカの社会はあまり分断していませんでした。そこから20年経って、次第にアメリカの社会の分断で、リベラルとコンサバティブの間に分断が進んでいったことがわかるかと思います。

SmartNewsがアメリカに進出をしたのは、このちょうど2014年でして、我々はこのリサーチを見て、大変ショックを覚えまして、それでこういったアメリカの社会的な問題に対してどう取り組んでいくのかを非常に議論してきました。今日は、そういう話もできたらいいなと思っています。

日本人がアメリカでサービスを展開するなら、やっぱり僕ら自身がアメリカのことをよく知らないといけないので、実際にアメリカに行っていろいろなところを回りました。この6年間で、だいたいアメリカの50個の州のうち20州ぐらいを回りました。

このGoogleマップでピンを立てたところが、実際に僕が行った街になります。

こういったところを時間をかけて回っていって、何をやったのかというと、スターバックスに現地の方をお呼びして、ヒヤリングやインタビューをかなりやりました。100本ノックみたいに、いろいろな街でさまざまな人の声を聞いたり、実際にどんなアプリを使っているのか、どうニュースを消費しているのか。それはアプリだけでなくて、例えばテレビやラジオも含めて、どのようなメディアでニュースを消費しているのか、2016年の大統領選挙の前からやりました。

「どんなアプリをよく使いますか?」とか、そういったことを聞いてアメリカのユーザーの理解を深めていったということですね。

アメリカというのは広い、そして多様である

アメリカの政治もしっかり理解したいということで、ちょうど4年前の大統領選挙の直前1週間に乗り込んで選挙キャンペーンを見ました。トランプ大統領の演説も直接聞きましたし、オバマさん、それからヒラリーさんの演説も聞きました。これはアメリカの社会の分断が非常に象徴的な大統領選挙だったのですが、実際に足を運んでこれを体験しました。

さらにそのあとに、アメリカのミッドウェストで、ウィスコンシン州とかアイオワ州の農村部にも足を運びました。このエリアはもともと民主党の地盤だったのに、トランプさんが2016年の選挙でたくさん票を取ったというスイングカウンティというエリアなのですが、現地の方々がどう思っているのかとを聞きに行きました。これは現地に行かないとわからないことがたくさんあって、そういった肌感覚を得るために足を運びました。

わかったことは、本当にアメリカというのは広い、そして多様であるということですね。いろいろな考え方や意見をもっている人たちが住んでいるわけですね。本当に日本と比べても、国土は25倍ですし、人口も3倍いますし、そういった国というか大陸なので、その多様な意見をちゃんと見えるようにしないといけない。そして地域のローカリティもすごく大きいので、そういったものも学びになりました。

ある意味、典型的なアメリカ人はいないんじゃないかというぐらい本当に多様なんですね。そのあとに開発した機能が、News From All Sidesという機能です。アメリカのすごく大きな政治的なスペクトラムを、画面の下にスライダーで、ある視点に対してリベラルな意見もコンサバティブな意見も切り替えて使える機能があります。

スマートニュースが考える「良質な情報」とは

我々のミッションは「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションでして、じゃあこのミッションのポイントとなる「良質な情報」とは何か?

我々にとって「良質な情報」は、ある種のバランスの取れた食事のようなものだと考えています。キャンディーばかり食べていると栄養が偏ってしまいますよね。そういった好きなものばかりを取るんじゃなくて、必要な情報をちゃんと得ていくと、バランスのいい食生活を摂取できるのと同じように、バランスのいい情報が摂取できる。こういった考え方で「良質な情報」というのを捉えているわけです。

これを実現するためには、機械と人間のハイブリッドこそが最高のパフォーマンスを出せるんじゃないかとスマートニュースでは考えています。セレンディピティを実現するために、アルゴリズムを開発していくこと。そして人間のジャーナリストが、ちゃんとそれをサポートして、機械学習のエンジニアとジャーナリストがタッグを組んで、「良質な情報」をバランスよく配信していくことに取り組んでいます。

我々は機械学習のエンジニアリングチームももちろんありますし、社内にはRichのような強いジャーナリズムのバックグラウンドをもった方々もジョインしています。このRichがアメリカのコンテントとジャーナリズムの責任者でして、もともとThe Wall Street Journal(WSJ)でホワイトハウス特派員をしていた人物です。

そのあとWSJ.comというオンライン版のWSJのファウンディングマネージングエディターで、かなり初期からこのオンラインジャーナリズムに取り組んでいた人物ですが、こういったジャーナリストと機械学習エンジニアのコラボレーションが僕らの配信を支えています。

米国で最も早く成長しているニュースアプリ

こういった取り組みがアメリカでも認められ始めまして、今強く成長しています。2019年には「アメリカで最も早く成長しているニュースアプリ」というところで、第三者機関であるParse.lyという、メディア版のアクセス解析サービスみたいなところに取り上げられたりしました。

今我々が公式で発表している情報としては、去年の夏・秋時点の数字ですが、5,000万ダウンロード以上、月間アクティブユーザーのMAUが2,000万人以上といった数字を公表しています。

先ほどコロナのお話もしましたが、このコロナ禍でかなりアメリカでもユーザーが成長していまして、これはBusiness Insiderの記事に今年の4月に出た記事ですが、倍増以上にコロナ禍でユーザーが増えていることになります。

やはりコロナウイルスがアメリカで非常に大きな問題なっていますので、そういった中でニュースをしっかりと読みたい、信頼できるニュースを読みたいという事情がアメリカでもかなり増大していると受け止めています。

そういった中で、今SmartNewsがアメリカのアプリ市場全体の中で滞在時間ベースでニュースアプリでNo.1。その他のゲームやアプリ全部含めてだいたい40位前後じゃないかと第三者機関のApp Annieでは出ています。我々は、他社のデータはわからないので、第三者機関の相対的なランキングに頼るしかないのですが、だいたい40位ぐらいなんじゃないかと聞いています。

このようにアメリカではユーザーがどんどん増えていまして、つぎの大統領選を控えて、かなり社会的責任を負いながらこのサービスを運営しているといった次第です。

Global One Team, Global One Product

ここからは、SmartNewsがどういった考え方や方針で、グローバル展開しているかをお話したいと思います。スマートニュースが社内的にも掲げている重要なコンセプトが2つあります。1つがGlobal One Team。もう1つがGlobal One Productです。

まずGlobal One Teamについてですが、我々は今3ヶ国で6つの拠点をもっています。さらに経営チームも、11名の出身地は5つの国と地域でダイバーシティがありますし、従業員の出身地も18の国と地域でどんどんグローバル化が進んでいます。

この写真は、サンフランシスコのオフィスのメンバーの写真ですが、かなり多国籍的なメンバーが集まってサービスをブラッシュアップしていることがおわかりいただけると思います。

東京だけを見ても、実は東京オフィスの従業員の既に35パーセントが海外出身者で、この比率はジワジワと上がっています。これがGlobal One Teamの実態です。

つぎにGlobal One Productについてですが、実はSmartNewsのアプリは、日本版をインストールしている方、日本のストアでインストールした方でも、設定のところからアメリカ版に切り替えることができます。逆にアメリカ版・インターナショナル版をインストールしている方も、同じように設定画面から日本語版に切り替えることができます。

つまりSmartNewsのアプリというのは1個のアプリであり、1個のバイナリであり、そしてコードベースも1個になっています。これは今2つのマーケットで展開をしているわけなので、それなりに大変ではあるのですが、1つのアプリを2つの国で展開するというチャレンジしています。

『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』にインスパイアされた「雨雲レーダー」

そういった中で、今回バージョン8をメジャーアップデートとしてリリースしました。

3つ大きな売りが、このピンポイントの降雨予測とニュース検索の機能です。それから履歴を閲覧したり、プロファイル管理できるようになりました。

ニュース検索に関しては、もともとかなりニーズの大きかった機能でして「過去のニュースも検索してみたいよね」といった機能ですが、Global Navigation Barに検索タブを用意してアクセスしやすくしました。それから、どんな記事を自分が過去に読んだのかを確認して振り返れるように、ログイン機能も付けました。

さらにこのV8で売りになっている機能が、この雨雲レーダー、Rain Radarという機能です。この機能の特徴的なところは、普通の雨雲レーダーとは違い、何分後に雨が降るのかがわかるだけでなく、何分後に雨が止むのかがわかるようになっています。今この画面だと「あと10分ほどで雨が止む予報です」とポップアップが出ていて、現在から15時間後までの降雨の予測が、こういったグラフで出るようになっています。

これのポイントは、地図上でずらすと、この内容がすぐに切り替わります。なので、いちいちスライダーで3時間後、5時間後としなくても、ピンポイントで地図を指定するだけで、その地点の未来の降雨予測が見れて、何分後に雨が降るのか・止まるのかがわかる、大変便利な機能になっています。

実はこの機能を作るのにあたって、インスピレーションを与えてくれたのがこちらになるんですね。(プラモデルを取り出し)これは車になるんですが、何の車かわかりますか? デロリアンですね。実は『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』にインスパイアされて、この機能が生まれたんです。

この『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』の中で有名なシーンがあって、ドクがデロリアンから出ようしたときに雨がジャンジャン降りになって、「待て!」と言って、そして腕時計を見て「あと5秒で雨が止む」と言うシーンがあるんですね。そしてパッと5秒後に雨が止むという有名なシーンがあるのですが、これにインスピレーションを受けて機能を開発しました。大変ユニークな機能なので、特許も今出願しています。

実はこの日本で開発された雨雲レーダーの機能は、今週末のあと数日以内にアメリカでもリリースされる予定になっています。SmartNewsのグローバル開発は、日本語版で作った機能がアメリカ側で展開されたり、アメリカ側で作った機能が日本側で展開されることがサイクルになっていて、スパイラル的に作っているわけです。先ほどの検索機能やログイン機能は、アメリカにいるプロダクトマネージャーが中心に進めた機能開発になります。

こういった日本とアメリカで太平洋を挟んだスパイラル的なプロダクト開発が、SmartNewsのユニークな特徴になっていますので、この辺をこれから実際にプロダクトの現場を仕切っているプロダクトの責任者のJeannie、それから開発の責任者のPaulの2人に、Fireside Chatで詳しく聞いてみたいと思います。僕からは以上になります。

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