参加者の8割がリモートワーク

稲守貴久氏(以下、稲守):みなさん、こんにちは。GMOインターネットの稲守と申します。本日はGMO Developers Dayをご視聴、ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。

このGMO Developers Dayは、ネットインフラをはじめ、総合的にインターネット事業を展開するGMOインターネットグループの最新技術を活用した新しい挑戦や、世の中に合わせて変化するさまざまな課題とその解決に向けた対応など、挑戦的かつ実践的な取り組みについて事例を交えて幅広く紹介する、そんな開発者向けの技術カンファレンスです。

19時半まで長丁場となりますが、どうぞ、お付き合いいただければと思います。質問などはZOOMのチャット機能、あるいはTwitterで「#GMOdev」のハッシュタグをつけて投稿してください。たくさんのご質問をお待ちしています。

さっそくスペシャルセッションに入りたいと思いますが、その前に参加しているみなさんにいくつか質問をしたいと思います。「今みなさんはリモートワークをしていますか?」ということと、職業、それに住んでいる地域、この3つの質問にそれぞれ回答してもらえますでしょうか。

(参加者回答中)

今どんどんリアルタイムで投稿してもらっていると思いますが、一旦締め切りますね。ありがとうございます。

毎日リモートしていますという方が、この時間帯は多いのでしょうか。約5割、半分くらいの方が毎日リモートですね。週3、4でリモートです、週1、2でリモートという方が合わせて3割なので、8割近くの方が今リモートワークをしていますということですね。

これから夕方〜夜にかけて、属性は少しずつ変わっていくのかなとは思いますが、ありがとうございます。逆にリモートしていない、おそらくオフィスや自宅から見ている方も14パーセントはいるようです。

職業については、エンジニアです、開発者ですという方が57パーセントほどでしょうか。意外と学生さんも1割くらいはいるようですね。ありがとうございます。

最後に住んでいる地域ですが、今回は関東が約7割といったところです。近畿が14パーセント、そのほかの地域がそれぞれ少しずついるようですね。ありがとうございます。

こういったことをインプットした上で、スピーカーのみなさまにご登壇いただきましょう。

夢と希望を叶える手段がエンジニアであり社長だった

では、さっそくセッションに入っていきたいと思います。まずはみなさん、自己紹介も含めまして、なぜエンジニアだったのに、現在のいわゆるGMOの社長エンジニアのポジションになったのかについてお話しください。

まずお1人目は、GMOデジロックの平岩さんからお願いできますでしょうか。

平岩健二氏(以下、平岩):みなさまお疲れ様です。お忙しい中お時間をいただきましてありがとうございます。まず私と弊社の紹介をしたいと思います。先ほど近畿が14パーセントとアンケートで出ていましたが、弊社は近畿の大阪に本社がありまして、ちょうど18年前からドメインとレンタルサーバー事業をやっている会社です。

GMOインターネットグループは、渋谷を中心に今6000名のパートナーで構成されているのですが、その中でも弊社は、大阪の土地でそれぞれの多様性を出せるようなかたちで運営していますので、その紹介をしたいと思っています。

まずはエンジニア社長というポジションについてですが、目標としていたゴールではなかったんですね。当時私が19歳のときからなのですが、夢や希望がありまして、そのための手段としてエンジニアになり、手段として社長になったという経緯があります。逆に言うと、夢と希望しかなくて、そのために必要な過程としてエンジニアになり、社長になったというような経緯です。

経験論を上から話すようなかたちで本当に申し訳ないのですが、私は最初からドロップアウトと言いますか、挫折の連続でして。スタートのときは、お金もなくて、高3のとき事業を開始したんですが、当時は学校も行かなくなってその事業に打ち込んだというスタートで、夢と希望しかありませんでした。

2001年に今の会社を立ち上げまして、GMOインターネットグループにジョインしたのが10年後の創立記念日なんです。私が人生を描く中で、10年は1人でやってみるということを目標としてもっておりまして。その当時、10年で業績も非常に好調なところで、GMOインターネットグループのみなさまに声を掛けてもらって、今のグループに入っています。

エンジニアとしては、私はC言語から始まり、Perl、PHP、Rubyなどを自分で書いてやってきました。見た目がゴツいので、そういうふうには見えないかもしれませんけど(笑)。みなさんのようなエンジニアの立場だったり苦労だったりが、わかるポジションでの社長というような認識を常にもっています。

パートナーや社員の悩みだったりとか、時間がかかったりとか、そういうものを拾い上げて、それをかたちにするために一緒に考えていくというポリシーで、今まで運営してきている会社です。簡単な自己紹介は以上になります。

エンジニアが1人で起業するのは絶対やめたほうがいい

稲守:ありがとうございます。では続きまして、GMOタウンWiFiの荻田さん、お願いいたします。

荻田剛大氏(以下、荻田):はじめまして。GMOタウンWiFiの荻田剛大と言います。お題は「なんでエンジニアから社長になったのですか?」という質問だと思いますが、理由はシンプルで、1人で起業してしまったので、自分しか社長になる人がいなくて、それで社長になったという経緯ですね。なので最初はすごく苦労しました。

最初は楽天に新卒で入って、ずっと開発部門にいました。9年間くらいですね。主に楽天市場のサーチだったり商品ページだったりっていうのを開発していたので、もし楽天市場が使いにくいという人がいたら、半分くらいは僕のせいかなって、ちょっと思っています(笑)。

その後2014年に、スマホの通信制限ってあるじゃないですか、「ギガが切れる」というやつですね。あれに急に引っ掛かってですね、何だこれはと。この状態があると、みんながインターネットを使わなくなることがわかって、これはインターネット業界の損失だなと。

なぜか「この問題は僕が解決するんだ!」って思って社内の新規事業として立案、提案をして、社内調整に失敗してサービスができなかったので、仕方なく起業したのが経緯ですね。なので、エンジニアからまったく経営経験もなく社長になってしまったのが僕です。

これを聞かれている方の中には、ひょっとしたら将来起業したいっていう方もいるんじゃないかなと思って。その方に僕が今日言える一番いい経験シェアとしては「1人で起業しちゃ絶対ダメ」です。とくにエンジニアが1人で起業するのは、絶対やめたほうがいいです。

この理由は明確で、モチベーションが続かないんですね。リモートワークにすごく似ていて、1人のリモートワークってけっこうつらいじゃないですか。誰とも話さないとか。僕が起業したときは、お金がないので10平米くらいのマンションに引っ越して、1人で(コードを)書いていたんですね。まあモチベーションが続かないんですよ。ベッドも近くにあるし。ベッドの上でプログラミングして、気づいたら寝ているみたいな。

こういう状態がけっこう続いてですね。8ヶ月くらいはがんばっていたんですけども、1人でやっていたので、モチベーションが続かなくって。みなさんもそうなる可能性がけっこうあると思うので、もし起業される場合は、絶対1人で起業しちゃダメだと。

僕がうまくいったのは、前職のすごく優秀だった後輩エンジニアを引き抜いてきて、そこから2人で一緒に開発するようになってから。あとは、わかりやすいスタートアップみたいに、資金調達2回して、ユーザーを伸ばして、最終的に「すべての人にインターネットを」という、共通のそしてすごく共感する、僕らが目指していたミッションをもつグループにジョインしたという経緯です。

思わずフラッと社長になってしまったので、みなさんも起業されるときは、1人で起業しないほうがいいというのがアドバイスかなと思っています。以上です。

サービスで世の中を変えるという視点で技術と向き合っていく

稲守:ありがとうございます。非常に参考になる話かなと思います。では3人目、先々週マザーズに上場したGMOフィナンシャルゲートの杉山さんです。よろしくお願いいたします。

杉山憲太郎氏(以下、杉山):よろしくお願いいたします。GMOフィナンシャルゲートの杉山です。まず私の経歴はこちらに記載のとおりです。なぜ社長になったかといった質問に最初に答えると、私はもともとは技術者としてキャリアをスタートして、金融機関の統合などが1995年あたりから日本では活発になってきていて。その中で金融システムのお金の流れや経済の流れについて、しっかりと中身を知りたかったのが、まずエンジニアになったきっかけです。

そこからなぜ社長になったかというと、GMOにジョインしてからなんですね。私は2014年にGMOグループに入社したんですけれども、今までものづくりやサービスを作っていた立場から、そのサービスを活用して世の中を変えていく、そういった視点で技術と向き合っていく中で、しっかりとそこに責任をもって世の中にサービスを提供していきたい。資金を確保して、投資して、成長していきたいという思いが芽生えはじめたのがこの2014年で、ターニングポイントになっています。

今我々は、キャッシュレスのプラットフォーマーとしてリアル店舗の加盟店様にサービスを提供していますが、そういった中で、今後はキャッシュレスのサービスも変わってくると思うんです。

コロナ禍においては、なるべく接触する機会を対面の店舗様も避けていきたい。セルフレジを導入したりとか、あとは精算機、自動販売機もどんどんキャッシュレスに向いながら、一方で日本独特のおもてなしをしながら、なるべく接触機会を回避する。そんな取り組みを今は考えています。以上です。

稲守:ありがとうございます。以上3名のスピーカーをお迎えして本セッションを繰り広げていきたいと思っています。

GMOグループにジョインしても大きくは変わらない

今1つ目のトークが終わったところで、2つ目のテーマなんですけれども。今荻田さんのお話の中でもGMOグループにジョインしたという話があったと思うんですけれども、ではジョインしてどうなったのでしょうか。

あと、GMOグループはグループ経営というふうに内外で言われていると思うんですけれども、その部分のメリットだったりなどをお聞きしたいなと思っていまして。

荻田:GMOインターネットグループにジョインしてどうなったかというと、結論からいうとあんまり変わっていないです。今まで僕らは10名くらいの小さな会社で、今もそんなに大きくないんですけど、その会社がGMOインターネットグループという6000名以上の会社にジョインしたのでけっこう変わるんじゃないかなと、みなさん考えていると思います。

実際に小さな会社と大きな会社ってすごく善し悪し、いいところと悪いところ、両方あるじゃないですか。聞かれているみなさんの中にも、大きな会社にいたこともあれば、今いる方もいれば、自分でやられていたり、小さな会社に勤めている方もいると思います。

それぞれメリットデメリットがあるじゃないですか。小さかったら自分のできる範囲がすごく大きく権限があったりする一方、1人エンジニアだったり2人エンジニアで相談しにくいとか、相談できないとか。自分が倒れたら終わりみたいな、そういうプレッシャーもあったりすると思うんですね。

大きい会社は大きい会社で、すごく仕組みがしっかりしていて、自分1人でそこまでがんばらなくても組織でサポートしてもらえて、安心感があったりする一方、プロフェッショナルになってしまって、自分の好きなようにできないな、みたいな。あの部署と話さなきゃダメっていう話があったりして。いいところと悪いところ、両方あると思うんですね。

僕らも大きな会社と一緒になったので、最初はいろいろあるかなと、入る前にはすごく心配していてですね。事前にいろいろと「どうなんですかね?」みたいな話をしていたんですね。GMOグループって114社あるので、いろいろな子会社の方、グループ会社の方がいるので、話を聞いて。熊谷代表にも話を聞いて。

結論、GMOグループだったらあんまり変なことにならないかなと思ってジョインして、実際そうだったので、あんまり変わっていないですね。

何を言っているかというと、グループ経営みたいな話のメリットに近いんですが、GMOってご存知ないと思うんですけど、梁山泊経営をけっこう言っていて。グループ114社あるじゃないですか。なのでマイクロマネジメントはできないんです。

物理的にできないですし、やるべきでもないという観点で、スピリットベンチャー宣言っていうマインドの部分だけをしっかりとグループ全体に行き渡らせて、それ以降は任せますと。いい意味で丸投げしてもらっているんですよ。なのでグループ会社の各社長が楽しく、たぶん平岩さんだったりも、すごく楽しくやれているというのが、けっこう大きいところだなぁと思うので。なんでしょう。売る際はぜひGMOを、みたいな(笑)。

と言いつつ、グループ経営のメリットはあって。僕ら10数名の企業って、やっぱり組織として弱くて、例えば1人病欠しちゃったら開発が止まるような、そういう組織なんですね。ずっとこのままではユーザーに迷惑をかけるので、成熟した組織というか、もっと楽しくゆとりをもって仕事ができるような組織に変えていくフェーズが、いつか来ると思っています。

ただ、私はエンジニアだったので、その経営ノウハウもないんですよね。組織を大きくしたこともないですし。そういったときに、GMOグループがもっている0 to 1、さらに1からもっと増やしていくノウハウはすごく役立っています。

困ったことも相談できますし、これ何だっけ?ということも教えてくれるし。人材面でもエンジニアの派遣だったり、あとは金銭面でもサポートしてもらって、大人の組織になっていくのを手伝ってもらえたのは、本当にジョインしてよかったなぁと思っています。

それぞれのいい色をうまく組み合わせて構成されているのがGMOグループ

稲守:平岩さんは、いかがでしょうか?

平岩:言いたいこと全部取られちゃって(笑)。僕も本当にそのとおりでして、グループでは6000名いるんですけど、弊社は30名弱の小さな会社で。(萩田さんが)言われたように、グループ会社は100社以上ありまして、本当にいろいろな色の会社があるんですね。世界に広がっていますし、日本でも、弊社は大阪なんですけど、大阪だったり九州だったりとか、いろいろあって、それぞれのいい点の色がすごく活かされていて。

かつ、荻田さんが言ったように、真ん中の部分、効率性だったり考えだったり、例えば大きな長期のスパンの経営的な数字だったりは共有しつつ、それぞれのいい色をうまく組み合わせて、いろいろ多様性のある会社で構成されているというのが、GMOインターネットグループだと僕は思っています。

かつ、各社スピードを本当に重視していまして。たくさんの色がある会社で、かつスピードを重視しているというグループの相乗効果で、いろいろなサービス、最初に話したように1000万件以上の契約をもらっている流れになっているのかなとは思っています。

弊社はジョインしてから8年、9年は経っていますけど、それを本当に実感していまして。大阪で弊社のしたいことをうまくやらせてもらっているのは、本当に感謝しています。

荻田:平岩さんもう入られて長いじゃないですか。僕は去年、半年ちょっと前に入ったばっかりなので、どうですか?変わってきましたか、最初と。

平岩:1人倒れたら終わり、というような会社だったのが、グループの大きな安定した、かつノウハウのある部署に助けてもらって、やりたいことに集中できる環境を用意してもらったことですごく……別にヨイショするわけではないのですが、本当によかったなと思っています。

かつ、それがお客様に安心感だったりスピード感だったりというのをちゃんと感じてもらえたら、さらに嬉しいなと思います。

テクノロジーシフトについていくアクションがすごく早い

稲守:ありがとうございます。杉山さんがずっとうなずいていて、なにか共感するところもあったのかなと思うんですけども。

杉山:最初から社長を務めていたわけじゃないんですけれども、GMOインターネットグループに入って一番私が肌で感じたことは、テクノロジーシフトって、どんどんスピード感を上げて変わっていくじゃないですか。5Gのお話もありましたけれども、そういった中で、任された事業体の中でテクノロジーシフトについていくアクションがすごく早いですね。GMOインターネットグループに入って、それをすごく感じました。

アクションが早いということは、当然PDCAしながらサイクルを回していきながらよりよいサービスをお客様に届ける意識がものすごく最優先に考えられているので、社内的なプロセスを踏みながらサービスは作っていかなくてはいけません。そういったときの経営判断が非常に早いな、というのがグループにジョインして一番感じたことですね。

先ほども荻田社長からありましたけれども、やはりノウハウの共有というところもすごく徹底されていて、グループ経営する中で任された事業体の中で、例えば予算の組み方もそうですし、あとは経営の判断の仕方もそうですし、そういったイズム、ノウハウっていうものが非常に共有されているので、そういった判断がしやすいな、というのがGMOで肌で感じた部分ですね。