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組織が「ユーザー」の解像度を上げるための3つの実践(全1記事)

NewsPicksのユーザーは本当に“意識が高い”のか デザイナーが実践した思考停止にならないためのプロセス

UX JAM OnlineはUX MILK主催の、UXデザインを題材にしたオンラインLTイベントです。経済ニュースプラットフォームNewsPicksのUI/UXデザイナーである吉川氏が、組織がユーザーの姿を正しく捉えるための実践について共有しました。

ユーザーの認識がSNSのイメージに流されていた

吉川亜香音氏:よろしくお願いします。ニューズピックスのデザイナーの吉川です。ふだんはアプリの新機能の開発や、今はアカデミアというサービスで新規事業に関わっています。

私が今回挙げているのは『組織のユーザーの解像度を上げるための3つの実践』というテーマです。

たぶん、NewsPicks使ってる人って意識高いよね? って思っている方も多いと思います。また、社内でもそう考えられていました。本当にそうなのか、実際のユーザーはどんな人なのか、どんなニーズをもっているのか、具体的に知る必要があり、インタビューを実施しました。

どういうところを目的、ゴールにしていたかというと、組織の中でユーザーの認識についての解像度をどんどん上げるためには、ユーザーについての情報量もしくはユーザーについて考える機会を作る必要があるなと考えて実践してきました。

抱えている問題に関しては、SNSやコメントなどで目立っているユーザーの印象に影響を受けているように感じました。ある意味社内でも共通認識になってしまっていて疑問をもっていない。みんな意識高いからこういうふうに見せたほうがいいよねで終わってしまい、思考停止してるように感じていました。

そのままだと、やっぱり有効なアイデアというのは出にくくなります。ユーザーのことをもっと知る必要があったというところで、デザイナーとして何ができるのかという部分に挑戦していました。

誰に話を聞くのかが一番重要

3つの実践と書いたんですけれども、大きくは2つありまして、ユーザーインタビューとワークショップを実施しました。それぞれポイントとしては、ユーザーインタビューはデザイナー自身が現場の代弁者であるようにすること。ワークショップに関しては、まずはユーザー視点に立つためにみんなが考える機会を作ることが非常に重要でした。

何をポイントにしていたかというと、誰に話を聞くのかが一番重要で、ここを蔑ろにしてとにかく数を多くすればいいっていう考え方もありますが、それでは施策を間違ってしまいます。

私たちにとってどのような方がコアユーザーなのか。どういうプロセスが一番理想的なのかというのをかなり分析したうえでピックアップしました。

あとはやっぱり文化を作っていくところにはなるので、マネジメントメンバーを初期から巻き込んでいくことをかなり意識していました。

具体的には、5月に実施したアンケートデータを元にユーザーを選定しています。最終的には20数名にインタビューを実施することになりました。

NPSっていうユーザー満足度調査として必要な項目があるんですけれども、どんな人にうちのサービスを紹介したいですか? どのくらい紹介したいですか? というレベル別で入れていただくものがあり、数字が高ければ高いほど推奨してくれるユーザーだっていう分析手法があります。

その分析手法と実際にNewsPicksを使ってくださっている人々の契約状況や利用状況を分析してセグメントを切っていました。

(スライドを示しながら)実際現場ではこういったかたちでマネジメントメンバーを入れています。

スクリプトやジャーニーマップを現場に用意して、もれなくヒアリングを実施できるように心がけました。

自分自身のイメージと実際のユーザーのギャップを知る

ワークショップの実施に関しては、ユーザーを想像する時間や話し合う機会を設けることがポイントでした。自分自身のイメージと実際のユーザーとのギャップを知ってもらうことを意識したものでした。

ワークショップは、Slackや全体定例で発信しながら、関心のあるメンバーから巻き込んでいき、チーム単位に広がっていきました。

具体的にはこんな感じですね。まずは私と相方がいたのでそのペアでユーザーのペルソナを作っていくという作業。実際にはインタビューを23名くらい行って、その中で6名のペルソナを作ることになりました。

そのペルソナを持って、次に関心のあるメンバーに対してまず自分自身が認識しているユーザーというのを洗い出してくださいとお伝えして、共有して話し合ってもらう。そして実際のユーザーのインタビュー動画を見てもらう。「あれ、違うよね」「なんか思ってたのと違かった」っていう発言がかなり多かったです。そのあとにアイデアベースで話し合ってもらう。

次にチーム単位でワークショップをする際には別の仕方で進めていきました。個人で発散をしたあとに共有をする。そのあとにPOVを作っていくようなかたちになります。

こういう状況にあるユーザーはどういう課題を持っていて、どういうふうな方法で課題を解決することができるのかっていう言語化をしたうえでアイデア出しをしていきます。そのあとにどうすれば私たちはこの人たちの課題を解決することができるのだろうというアイデア出しを次に行います。このタイミングでは私たちはいません。1日目のワークショップだけ参加して、あとは自分たちでプロセスを作っていく。自分たちでやれるようにしていくということですね。

届ける相手のことを知ることで良質なアイデアにつなげる

最後に3つありまして、まとめです。

ユーザーに焦点を当てればほかのものはみんな後からついてくる、というGoogleが掲げるフィロソフィーの一番最初に掲げられているものです。ユーザーの声は非常に重要ですよということ。

今回行った中で気づいたこととしては、注意したいのはユーザーの言っていることと行動が一致してない場合があるというところです。ここに関しては必ず事前に行動データというのを確認したうえで、インタビューを実施して、注意して聞くことです。覚えていなかったり、自分自身が考えていることを認識している人は多くありません。さらに、中の人がいれば意識した発言をしてしまうのは当然です。

最後に、やっぱり数字でわかることとわからないことがあります。それは何かと言うと、一番大事なことは届ける誰かを想像するということです。インタビューはアイデア、課題を見つけるっていうよりも届ける相手のことを知ることで良質なアイデアにつなげられるということを意識してもらえるといいんじゃないかと思います。

以上になります。

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