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データ分析とベンチャーと上場とキャリアの話 (全2記事)

ベンチャー時代から一部上場までを経験したCDTO(Chief Data Technology Officer)が見てきたもの

Data Gateway Talkはデータアナリスト/データサイエンティストのためのカジュアルな勉強会です。10年前にベンチャー時代のブレインパッドへ新卒で入社し、エンジニアからマネジメント職までを経験してきた太田満久氏が、前半は自分が積み上げてきたキャリアの観点からお話ししました。ベンチャーからマザーズ上場、そして一部上場という経験を通して得た知見を共有します。

入社から10年、Java開発者からマネジメントへ

太田満久氏(以下、太田):よろしくお願いいたします。今日は技術的な話はしないで、キャリアの話をしようと思っています。学生さんもすごく多いらしいので、僕の体験をしゃべろうと思います。

簡単に自己紹介しますと、ブレインパッドでChief Data Technology Officer(CDTO)をやっています。CTOという言葉はみなさん知っていると思いますが、うちの会社はデータに特化した仕事をやっているので、Chief Data Technology Officerという呼び方をしています。

ブレインパッドでCDTOという役割をしているのに加えて、Google Developers ExpertとしてGoogleの技術をいろんなところでしゃべったりすることもしています。他には日本ディープラーニング協会の試験委員でもあります。

あとは、TensorFlow User Groupというユーザーグループのオーガナイザーをしていて、月に1回ぐらいイベントを開催しています。また最近、Optimization Nightという機械学習ではない数理最適化技術の勉強会も始めました。これもおもしろいのでぜひ参加してください。

Twitterアカウントは「@ohtaman」です。これは10年ぐらい前からやっていますが、ちゃんと見るようになったのは最近です。

今日はキャリアの話をしたいので、簡単に略歴を話します。ブレインパッドに新卒で入ったのは2010年で、もう10年前です。当時は、僕はJavaの開発をする人として入りました。もともとは開発エンジニアなんです。そのあと2012年に自然言語処理するモジュールを作る話があって、そのチームリーダーをやりました。このあたりから機械学習をやるようになります。

そのあとで技術戦略部という研究開発をやっていく部署を作り、そこで部長をやってからマネジメントをやるようになりました。最近、2019年にChief Data Technology Officerになりました。

ベンチャーに惹かれたのは、泥臭いことは若いうちに経験しておこうと思ったから

簡単にブレインパッドという会社がどんな感じで大きくなってきたかという話をすると、2004年に創業して、そこから受託データ分析のサービスを提供しています。

2006年には「Rtoaster(アールトースター)」という自社プロダクトを作ってサービスを提供。2011年、僕が入った1年後にマザーズに上場しています。さらにそのあと2年後に東証1部にも上場しています。実は僕が入ったときは上場する前のけっこう小さい時期でした。

今、従業員数は304名です(2019年12月31日現在)。ネット上に転がってるグラフを探すと2017年しかないんですけれども、半年前では306名、僕が入ったときは60名くらいだったので、だいたい社員数が5倍になっています。

売上はどうかというと、去年が56.7億円で僕が入ったときは8億円ぐらいだったので、だいたい7倍ぐらいになっています。

別にこれは自慢したいわけではなく、僕が入ったときはベンチャーでしたが、気がつくと上場を経験して、一部上場の会社でなんか偉い立ち位置になっています。幅広い経験をしているので、なにかシェアできることがないかなと思っています。

ただ、僕の体験にもとづいた話をするだけなので一般的な話にはなりません。若い人が多いと思うので、みなさんがキャリアを考えるときの参考にしてもらえればいいなと思っています。

なので、ゆる〜い話しかしませんし、どんな質問をいただいても答えられる範囲で答えます。

ベンチャー時代のブレインパッドですね。従業員数は60名なんですけど、僕が面接を受けたときは40名ぐらいしかいませんでした。だから、本当にベンチャーという感じでした。そのブレインパッドに僕が惹かれた理由はなにかというと、1つ目は、面接のときに社長の草野が「もっとデータ活用しようよ」とずっと熱く語っていて、それに共感したのもありました。

2つ目は、上場準備中だったので、自分自身「上場を体験できたらうれしいな」と思い、これは叶いました。

最後に、ベンチャーなのでどうせ泥臭いことやってるだろうと思って、若いうちに経験しておこうと思ったというのが、3つめの理由です。

ベンチャー時代のブレインパッド

10年前のブレインパッドってどんなんだったかって、たぶんここにいるブレインパッドの社員は、誰も知らないと思うんですよ。どんな感じなのかというと、これは今でも変わっていませんが、組織は半年ごとに変わります。当時は残業はめっちゃ多かったです。

今のブレインパッドは、バックグラウンドとして分析をやったことがある人が入ることが多いんですけれども、当時は本当にバラバラでした。僕が入ったときも、そもそも情報系の人は新卒にいませんでした。当時は採れなかったんですね。

僕はJavaの開発エンジニアだったんですけれども、製品を誰が担当しているかによってコードの品質はバラバラでした。

あとは、僕が入る前と僕が入ったときでは、けっこう雰囲気が違っていたらしいです。上場準備をし始めてからは「売上をちゃんと出しましょう」という雰囲気になっていったらしくて、理想に燃えたベンチャーの雰囲気とは違ったオーラを僕は感じました。

一方で、嬉しかったのは、経営陣とけっこう密なコミュニケーションをとれたということです。定期的に一緒に飲みに行くこともできました。

夜中まで仕事していると、上司が来て、「おおたまん、おつかれ。疲れたでしょ? ちょっと飲み行こうよ!」って言うんです。「アホか?」って思うんですけど、まぁおもしろいし、ついていく。そんなこともありました。

結局ベンチャーを選んでよかったのかという話ですが、個人的にはすごくよかったなと思っています。ただ、さっき見せたみたいに、人によって合う・合わないがあるなと思っていますし、当然リスクもあります。

ブレインパッドは僕が入ったときは、もうすでに上場準備していたのである程度規模も大きくなっていたので、少し安心でした。だけど、もっと小さいベンチャー企業だとけっこうリスクも大きかったんじゃないかなと思っています。

ベンチャーだったころと今とで、ブレインパッドを構成しているメンバーが変わったかというと、変わったと思います。まず、今のほうが断然優秀な人が多いと思います。ただ、昔のほうが、多様性があって人間味のあるおもしろさがあったなと思います。

あとは組織も違いますね。昔の、50〜60人ぐらいの組織だと専任でマネジメントをやる人をなかなか作ることができませんでした。教育制度もなく、自分自身で学んでいくしかなかった感じですね。管理されない分、自由なんです。好き勝手やってもいい。これ欲しいと言ったら買えばいい。そんな状況でした。

仕事内容については、大きな仕事をやるには、今のほうが明らかにやりやすいなと思います。小さい仕事であれば、そんなに変わらない感じです。

ベンチャーなら一攫千金を狙える? 気になるお金の話

たぶんベンチャーに行くのか普通の企業に行くのかで気になるのがお金の話だと思います。

福利厚生を含めると、なかなか小さいベンチャー企業は大手に勝てないことが多いです。これは一般論としてそうかなと思います。

ベンチャーに入るのは、株とかストックオプションで一攫千金を狙うのもあると思いますが、僕が入ったときは上場準備をもうすでにしていたので、僕自身はそこまでリスクを取っていないんです。リスクを取っていないので、一攫千金というようなうまみも少なかったと思います。とはいえ、AIブームがあったので、少し特殊な状況ではありますが。

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