「一生懸命になれるもの」と出会う

千代田まどか(ちょまど)氏:次、高校に入学します。これが転機で、自由な校風の女子校に入学しました。私を誰も怒らない超自由なところでした。プログラミングへの道との出会い。ここが転機ということで、アジェンダがこう進みました。

次に一生懸命になれるものとの出会い。女子高に入りました。私女子高出身としてはすごくびっくりするのが、けっこう世の中の人は女子校に対してすごくピュアなイメージを持っているんですよね。

みんなが想像する女子校ってこんなんですけど……。

マジで実際こんなんなので(笑)。

(会場笑)

8割くらいこんなんで、当然私も腐って(笑)。腐ったみかんが1個あると全部腐るんですよ。本当に。仕方ないね。仕方ない。超幸せ。これ人生で一番幸せな時代。趣味、好きなことがあるという幸せなんですね。本当に。

腐教活動に勤しんでました。高校のときは。これは誤字じゃない。腐教活動に勤しんでました。例えば「敵同士に萌えるんだって? いいのあるよ! これ読んでみて!」「ちょっと二次創作の漫画描いてみた。どうかな?」とか言って、まず相手の趣味を聞くんですよ。敵同士が好きとか。

「なるほどね。うんうん。なるほど」「ところでさ、『◯◯』っていう作品があってさ。AとBってもともと仲良かったんだけど今ライバルになっちゃってさ。敵になって」「ところでここに偶然3冊あるんだけど読んでみる?」ってことで……まあこうなって。「ようこそ!」ってなるわけ。

あ、ラジオ出てます。あ、(ハヤカワ)五味ちゃん。さっきのセッション生理の話してた五味ちゃんと一緒にラジオ出て、そのときの話をしました。相手を沼に落とすことに勤しんでました。

ガラケー時代。通塾用に与えられたケータイで〇〇小説とか〇〇漫画サイトを見まくってました。本当は塾に行って、「迎えに来て~」とか言うためだけに買い与えられたケータイだったんですけど。そういう邪なことばっかりやってた。

神サイトの数々、尊い。私も閲覧者から生産者にジョブチェンジしたいなぁ。自分の描いた漫画をネット上のオタ友にシェアしたい。しかしガラケーで自分のサイトを作るのはなかなか難しそうだ。ぐぬぬ。って私の創作意欲がくすぶっていたわけですね。

念願のマイパソコンを手に入れて…

そのうち大学受験シーズンになって、そんなことが言えなくなって。どうやら情報学科というところに行けば、四六時中パソコンを使えるらしいということがわかって。当時はプログラミングという概念がわからなかったんですけど。ただとりあえずパソコンが使えるらしい。

なにやるところかわからないけどパソコンが使えるのなら天国! 受験してみるでござるよ! って、数学が壊滅的にできなくて余裕の不合格だった。物理0点とか取ってたので、なんで行けると思ったのかわかんなかったけど謎の自信があって、導かれるように受験して普通に落ちたわけですよ。

結局、受験科目の中に数学のない私立大学の女子大の英文科に入学したわけですね。英語だけで受かった。まあ英語は好きだけど、正直英文学とか1ビットも興味ないけど仕方ないでござるな。本当は情報学科行きたかったなと思いながら英文科に行って。そこで運命の出会いを果たしたと。

18歳のとき夏休みが始まるときに母が「まどか、大学入学祝いにパソコンを買ってあげたわ」とかペンタブ、デジタルで絵を描くツールも一緒にセットでっていう神が舞い降りたわけで。

当然こうなった。

(会場笑)

ついに念願のマイパソコンを手に入れた! 私の時代キター! 私のサイトを作って世界に自分の腐った作品を発信するぜ! 当時はSNSがまだ出始めでちょっと怖くて使えなかった時代で。個人サイトの時代。たぶんみんなキリ番とかやってたと思うんですけど。私もちょっと自意識過剰なカウンターとか、「あなたは000016人目のお客様です」とかいうのを作ってましたよ(笑)。

そのために少しプログラミングに触れました。まずサイトを作るからHTML、マークアップ言語ですね。CSSでちょっと飾り付けしました。そのうちマウスカーソルになんか付いてくるうざいやつやりたくてJavaScriptをやりました。

次にサイトも無料のやつ使ってたらけっこうバナー広告が出てくるじゃないですか。あれがすごく嫌で。当時ネットがすごく遅かったのにバナー広告とかヤバかったんですね。いろいろ調べたら自分でサーバー建てればいいことがわかって、サーバー構築を勉強し始めて。

結果から言うとちょっとサーバー構築はやったけど、ぜんぜん。CentOSにApache入れるところまではやったんだけど。そのあと運用してセキュリティとかいろいろやり続けるのが大変すぎて、ちょっとやめてレンサバになっちゃった。さくらのレンサバ借りてました。

ただPHPで掲示板作りたくて。あと、当時はWeb拍手って制度がありまして、今のいいね機能みたいなやつ。あれを作りたくてPerlとかやってて。

寝食を忘れてプログラミングに没頭

寝食も忘れてパソコンに没頭して。けっこう太ってたんですけど、受験のストレスでバッて太ってたけど、水だけ飲んでたらめっちゃ痩せました。オタ駆動ダイエット、ODDっていうのがありましてですね。

(会場笑)

ただ、寝食を忘れてやるんです。食べに行くのが時間がもったいなくて、水だけ飲んでたらこうなった。

でもね、最初は初心者向けの本も読めなかった。詐欺タイトルってよくあるじゃないですか。猫でもわかるなんとかって。あれを、私けっこうピュアだったからマジで信じて読んでたんですよ。「猫でもわかる」とか「猿でもわかる」とか。

でもね、コンパイルとか、なにもわからない。まあググるじゃないですか。みんなggrksとか言うからググるじゃないですか。でもググると、「コンパイルとは高水準言語によるソースコードから、機械語、実行可能形式、あるいは元のプログラムよりも低い水準のコードに変換すること」とか言って。なにもわからない。猫でもわかるらしいのに私にはわからない。

1個ググると5個くらいわからないのが出てくるんですよ。それぞれに対してまた5個くらいって……もう脳内のメモリに入らない。スタックオーバーフローするんですよ。結果もうダメみたいなことになって。ググればググるほどわからなくなるっていう地獄で。

基本情報技術者試験の合格で光明

もうこりゃダメだと思ったとき、基礎から学ぶため基本情報技術者試験を受けました。当時文系だったので、基礎的な体系立った知識がないことがわかって。

コンピュータサイエンスの人たちはみんなどうしてるのかなぁって思って、こういうのあると思って。体系立った知識を習得するために毎日8時間くらい勉強しました。とにかく自分には教科書が必要だっていうことがわかったので、これを教科書代わりにしました。

超楽しかった。大学の受験勉強よりめっちゃがんばりました。今までわからなかったことがどんどんわかるように! 楽しい! コンパイルもわかるようになった。コンパイルがわかったら次のこともわかるようになった。それで、合格して。やったー。

ちなみに絵やプログラミングの勉強もしつつ、サーバーの運用費を稼ぐために塾講師のバイトも始めました。この経験を活かしてるんですね。個別では小学生にもわかるように教えるし。集団授業だとみんなの前に立って授業をするっていうやつもやって。

とくに個別だとだいたい集団授業についていけない子たちとか、勉強がちょっと苦手な子たちが個別に来るので。その子たちにもわかりやすく、しかも勉強するのが嫌にならないようにいい感じに楽しく教えてて。それもかなり効いてると思います。塾講を4年間やってました。