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ScrumMasterから見るScrumの姿(全1記事)

スクラムマスターが考える「スクラム」のあるべき姿

2019年7月6日、株式会社サイバーエージェントが主催するイベント「Battle Conference U30」が開催されました。30歳以下のエンジニアによる30歳以下のエンジニアのための技術カンファレンスである本イベントには、さまざまな領域で活躍する若手が登壇。企業の枠を超えて、自身の技術・事業・キャリアに関する知見を発表しました。「ScrumMasterから見るScrumの姿」に登壇したのは、サイボウズ株式会社・榎原聖太氏。登壇資料はこちら

ScrumMasterから見るScrumの姿

榎原聖太 氏:いよいよ終わりが近づいてきました。そろそろお腹も空いてきた頃だと思うんですけど、もう少しだけお付き合いください。「ScrumMasterから見るScrumの姿」を話します。

まず私のことについて少しお話します。榎原聖太と申します。サイボウズ株式会社でデベロッパーとスクラムマスターをやっています。好きな言語はSwiftです。このSwiftという言語は本当にお気に入りで、言語本体のコードとかSwiftコンパイラまで追いかけて勉強しています。スクラム以外にもSwiftのことをお話ししたい方は、ぜひあとでお話させてください。

サイボウズについても少しお話します。サイボウズは「チームワークあふれる社会を創る」という理念を掲げてグループウェアを作っています。主にこの4つの製品があって、私はkintoneのiOSとAndroidのアプリを作っています。

では本題に入ります。「スクラムとはなんでしょうか?」。『Core Scrum』というドキュメントにはこのように書いてあります。「スクラムとはアジャイルプロダクト、デベロップメントのフレームワークです。コラボレイティブでセインでエンジョイナブルな方法でビジネスゴールを達成するための基盤と道筋を提供します」と、ここでは書いてあります。

この文章だけでは少し抽象的過ぎてちょっとよくわからないですよね。一般的にはこのように説明されることが多いかなと思います。ロールとしてプロダクトオーナー、デベロップメントのチーム、スクラムマスターというものがあります。作成物としてプロダクトバックログ、スプリントバックログ、そして一番大事なプロダクトインクリメントがあります。

活動としてプロダクトバックログリファインメント、スプリントプランニング、スプリントレビュー、デイリースクラム、スプリントレトロスティクティブというものがあります。

これらの活動を通じてプロダクトを作っていくというのがスクラムであると、よく説明されていると思います。

What is Scrum?

私は、今スクラムをこんなふうに捉えています。この真ん中の図形というのは見る角度によって三角形であったり、円であったりと形が異なっています。この図形のようにそれぞれのロールで見え方が異なるというのがスクラムだと思っています。具体的な例を使って説明しましょう。

例えばセレモニーの1つであるスプリントプランニングを見てみます。チームにとってスプリントプランニングとは、主にこのような3つの問いに答える場です。「スプリント内で何をデリバリーできるか?」「デリバリーのために何をすれば良いのか?」「デリバリーのための作業をどのように成し遂げるか?」。

「スプリント内で何をデリバリーできるか?」に答えを書くことによって、スプリント中で完了できるインクリメントがどのようなものであるかを予測します。

「デリバリーのために何をすれば良いか?」という問いに答えることによって、インクリメントをデリバリーするためにどのような作業が必要なのかを考えて、タスクに分割して、それをスプリントバックログというかたちで作成していきます。最後の問いでタスクを完了させるためにどのような方法を選択するかに対して議論をします。例えば設計の方針とかチーム内での進め方などです。

一方スクラムマスターにとっては、このような点を観察する場です。「チームは議論しやすい状態で進められているのか?」「必要に応じて必要な人とコミュニケーションをとっているのか?」「十分に詳細なタスク分割が行われているのか?」を観察します。

例えば、この絵のようにホワイトボードとか付箋を使ってチームが議論をできているかどうか。例えば「必要に応じて必要な人とコミュニケーションをとっているのか?」という点では、情報が不足していたりタスクを分解していく過程で何か問題点が発覚した際にプロダクトオーナーを呼んで一緒に議論ができているのかどうか。

例えばタスク分割の観点では、作業が不明瞭で完了の見通しが立たないとか、非常に時間が掛かる分割をしてしまっているということで、例えば(スライドを指して)この絵のように巨大なタスクになっていないかなどを観察します。

「スクラムの"マスター"である」ということ

これらの点を観察して得た情報からチームの活動が最大化されるようにスクラムマスターはチームを支援していきます。このようにスプリントプランニングという同じセレモニーであってもロールによって着目する点が異なると考えています。

先ほど「それぞれのロールで見えるものが違う」ということをスプリントプランニングを例に取ってお話しました。ですが、スクラムマスターにとって1つ重要なことがあります。

スクラムマスターというのは、「スクラムの"マスター"である」ということです。スクラムマスターだけはすべてのロールの視点を理解しなければなりません。なぜなら、スクラムマスターというのはそれぞれのロールの活動を支援して、それぞれのロールの活動をより良い方向に導いていくという責任があるロールだからです。

そしてもう1点、さらに重要なことがあります。「仕事を楽しむ」ということです。新しいことを実験して学ぶというプロセスは非常に楽しいものです。楽しみながらビジネスゴールを達成する方法をチームで探していく。そのためにスクラムマスターがチームを導いていくということをやっていきましょう!

ということで、以上で私のトークを終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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