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DeNA 品質管理部の概説と改善事例 (全2記事)

DeNA品質管理部が語る、テストプロセスの標準化 - Part1

2019年11月27日、DeNA品質管理部が主催するイベント「DeNA QA Night」が開催されました。自動テストに特化せず、ソフトウェアテストや品質にまつわることを広く議論する場としての本イベント。第1回となる今回は、デバック工学研究所の松尾谷氏をゲストに招き、現在のテストの潮流やトピックスを語りました。プレゼンテーション「DeNA 品質管理部の概説と改善事例」に登壇したのは、株式会社ディー・エヌ・エーの前川健二氏と河野哲也氏。講演資料はこちら

DeNAの品質管理部のしごと

前川健二氏(以下、前川):ここからはDeNAの発表をさせていただきたいと思います。私からはまず、DeNAの紹介をさせていただきますので、10分くらいお話しようと思います。

まず、DeNAのサービスについてです。どういうものがあるのかを(ジャンルごとに)紹介していきます。

ゲームだと、例えば『逆転オセロニア』とかがあります。いろいろなところでゲームは宣伝をしていますので、ご存知の方も多いかと思います。あとはモバゲーなど、ゲームのプラットフォームもやっております。

次にエンターテインメント系です。例えば、マンガボックスとかがあります。あとエブリスタ、ハッカドールなどもあります。ハッカドールというのはアニメやマンガのニュースアプリです。Eコマース、オークション系もやっていて、モバオクとかがあります。

ソーシャルライブ系はSHOWROOMがあります。ライブ配信系の分野では、Vtuberみたいなものが流行ってきていますので、そちらのほうも力を入れて取り組むようなかたちになっております。

あとオートモーティブやヘルスケアの事業もやっているんですが、このへんからご存知ない方もいらっしゃると思います。

オートモーティブは、例えばタクシーの配車アプリです。(スライドに)MOVと書いてありますが、最近までタクベルと言っていました。あとは自動運転を活用したサービスの分野です。Easy RideとRobot Shuttleは自動運転技術をサービス化するというところを手がけてます。

ヘルスケアはMYCODEとかKenCom、歩いておトクです。ヘルスケアの部分もこれから力を入れていきます。

スポーツのところは言わずと知れていますが、横浜DeNAベイスターズがあります。あとは横浜DeNAランニングクラブとか、川崎ブレイブサンダースというバスケットボールのチームがあります。

DeNAの強み

「DeNAの強みって何?」というところをご紹介します。3点くらいありまして、まずは「インターネット+AI」です。インターネットの部分はずっとやってきましたが、やはりAIの部分です。けっこう技術研究のところを強化していて、例えばオートモーティブやヘルスケアなど、最近はAI(活用)というところに取り組んでいます。

次に「パートナリング」です。いろいろ事業をやっている中で、例えばゲームだと任天堂さんとか、オートモーティブだと日産自動車さんとか、(ヘルスケアでは)ドコモさんだったりとかです。その他たくさんの企業様とパートナリングというところで協力して、タッグを組んでやらせていただいています。

もう1つは「事業化能力」です。先ほどお話ししたように多種多様な事業をやっておりますので、事業化する力は強いと思っています。こういった3点が、DeNAの強みとなっています。

(システム本部)品質管理部というところが今回のQA Nightというイベントをやっておりますので、ここからは品質管理部の紹介をしたいと思います。

品質管理部のミッション・ビジョン

まず品質管理部が掲げるミッション・ビジョンについてです。ミッションは「品質でユーザーに安全・安心・デライトを届け続ける」ということでやっています。ビジョンが「高度・多様・効率的なテストスペシャリティを発揮して、ユーザーの期待を超える『デライト品質』を達成する」ということです。

このデライト品質は、もちろん品質に対してもデライト品質ですね。ユーザー視点の品質というところを強化して、取り組んでいます。

組織的なところも紹介したいのですがですが、事業部がいろいろあって、そこ(事業)に横断的に関わっていく部隊がシステム本部です。

その中に品質管理部がありまして、(スライドを指して)SWETグループ、ここがQAエンジニアです。自動化とか、いろいろやっている部門です。一般的に言われるQA部門というのが第一グループ、第二グループになってます。第一グループはゲーム系をやっております。第二グループがゲーム以外をやっております。あとは業務推進グループで、バックオフィス系をやってます。

先ほど申し上げたように(DeNAは)サービスをすごくいろいろやっておりますので、ゲーム系から、オートモーティブになると自動運転(技術を活用したサービス)なので人命が関わったりするので、本当に多種多様にやっています。けっこう難易度が高いところもあるんですが、QA部門もいろいろ駆使してやっております

品質管理部について、今年度はどういうことをやっているかをご紹介したいと思います。まずスペシャリティの追求ということで、標準化ということをいろいろやっています。このあと河野のほうから説明があります。

あとは品管主導による開発品質の向上や定量化、分析とかです。テストの段階で品質担保するのではなく、早い段階で品質を良くするという活動を行っています。

次にプレゼンス向上です。今回のイベントもその一環になります。DeNAの品管は今まで表に出てなかったところがあるんですが、このように多種多様にやっていますので、いろいろオープンにして、みなさまと品質に対して協議したり、DeNAからも発信できればと思っております。

組織強化というところもやっております。こちらはかなり宣伝的になるんですが、(積極的に)採用活動してます(笑)。やはりこれだけのサービスに対するQAをやってますので、人が足りません。今、外部稼働も合わせると750人いるんですが、それでも足りないです(2018/11時点)。

DeNAの採用ページというのを検索していただければ、採用のページに飛べますので、もし今回のイベントを通して「DeNAに興味あるな」という方は見ていただければと思います。

ちょっと駆け足になりましたが、DeNA(品質管理部)の紹介は以上になります。このあとは河野のほうから引き続き発表します。ありがとうございました。

(会場拍手)

テストプロセスの標準化

河野哲也氏(以下、河野):DeNAの河野です。「5分で話をしてくれ」と言ったら10分くらい話をしましたので、少し駆け足になるかもしれません。では、進めていきたいと思います。

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改善事例の紹介ということで、テストプロセスの話をします。さっき松尾谷さんに思いっきりディスられてしゃべりにくいんですけど……。

(会場笑)

プロセスの標準化をしています。負け犬の遠吠え的に言われたので、ちょっとこれ以上しゃべるのも心苦しいんですが、みなさんお付き合いください。

改善事例のスライドは後日公開しますので、楽しみにしててください。途中でちょっと手を動かす演習をやりますので、筆記用具がない人はあとで調達してください。

今日の参加者の内訳をここで共有したいと思います。「データで見るDeNA QA Night #1」ということで、参加者はだいたいエンジニアが3分の1います。QAとエンジニア兼QAと書いてる人たちが3分の1。あとは回答してもらってない人とその他の人たちが、だいたい3分の1くらいという内訳になっています。

ここで少し聞きたいのですが、エンジニアの方って今どれくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

その中でテストも一緒にやっている方はどれくらいいますか?

(会場挙手)

だいたい半分くらいですね。QAとかその他の人たちも、おそらくテストに関わる人たちだと思うんですけど。その中でテストのマネージャーというか、管理をする側の立場の人ってどれくらいいますか?

(会場挙手)

ありがとうございます。テストの設計とか実行をバリバリやってるという方はどれくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

わかりました。あと、SET(Software Engineer in Test)とか自動化を専門でやってる方ってどれくらいいますか?

(会場挙手)

はい。その中でTesting Nightと間違って来ている人はいませんか?

(会場笑)

大丈夫ですかね(笑)。ありがとうございます。

(スライドを指して)参加者の申し込み日時を出してみました。16時現在の段階なので、16時からそのあと2時間くらいでガガっと変わっていて、データは今とはだいぶ違うと思います。16時の段階の参加者、要は180人がどれくらいの日時で申し込みをしたのかというグラフです。

言いたいのは「2週間くらいでだいたい締め切られます」ということです。なので、オープンして2週間くらいボーッとしてたらおそらく申し込みは切られますという感です。おそらくほかのイベントもそうだと思います。

「あ、オープンした」と思って、「申し込み、あとでしよう」と思って2週間くらい経つと、だいたい申し込みは締め切られていて、おそらく1週間くらいだと確実に入れるかなと思います。これは参考情報です。このあとの講演とはまったく関係ないです。

河野氏のバックグラウンド

では、私の自己紹介をします。バックグラウンドがわかっていたほうがこのあとの話もしやすいかと思うので、自己紹介をさせてください。

現在は品質管理部で、主にヘルスケアサービス全般のQAの取りまとめをやっています。テストマネージャーに近い立場です。あとは新規サービスのQAの立ち上げとか、部門横断改善活動の旗振りをやっています。部門横断改善活動の旗振りが今回の話になります。

経歴のところを少し話します。いろいろやってきているんですが、まず一番はじめの通信機器メーカーで、ハードウェアのQAを10年くらいやっていました。これは毎日はんだごてを持って、製品の調整の作業をずっとやっていました。

このあと電気通信大学で社会人で学士からそのままドクターまでいって、フリーのコンサルをやってる時に……実はこれ松尾谷さんのカバン持ちをやってる時期です。フリーのコンサルの時期に松尾谷さんと一緒にお仕事をさせてもらって、ドクターの時に松尾谷さんにいろいろ指導してもらいました。こういうところで縁があったということです。

そのあと日立製作所でストレージ管理ソフトウェアのQAを6年弱やってました。日立もそろそろいいかなと思って、DeNAというぜんぜん風土が違う会社に移ってきました。

日立のQAをやっていたところが、まさしく昔の品質保証を立ち上げた人たちがいた部隊、QAの組織でした。本当にガチガチのプロセスができているところです。そこからまったくプロセスのないDeNAという会社に入ってきました。さすがになにかプロセスがあったほうがいいでしょうということで、今回の取り組みをしています。

得意技と(スライドに)書いてるんですが、テスト分析とかテスト設計が比較的得意かなと思っています。あとは学会活動とかもやっています。では、本題に移っていきたいと思います。

テストにおける課題

組織的な課題についてです。DeNAに入って1年ちょっと経ちましたが、入った時に「いろいろ課題はありますよ」と聞かされて、「課題って全部じゃん」という感じで、テストの課題がてんこ盛りになってました。それを1つずつ着手していきました。

まず、コンテキストとしては大小さまざまなサービス・プロダクトのQA業務を我々は担当していて、4つくらいのチームに分かれてやっています。

これはゲーム以外です。ゲーム以外は4つくらいのチームに分かれて、4つのチームに1人ずつリーダーがついています。そのチームの中にいろいろサービスがおりてきているというヒエラルキー構造になっています。

開発は現在拡大中で、いろいろ出てきます。細かいサービスから大きいサービスの話も出てきます。あと開発プロセスとか品質レベルもまちまちです。開発プロセスというところで、我々は「アジャイルやってます」とか、「スクラムやってます」という議論はまったくしないです。サービスに特化したプロセスをとってるので、あまりプロセスの議論をすることはないです。

基本的にQAの部隊は、機能テスト以降のテストレベルが対象になっていますので、言い方が悪いかもしれませんが、日立の時代に比べると品質があまり良くないです。ただ、品質が良くないというところでの(品質の)意味は、バグがあるかないかの品質です。ものの品質としては、最適なレベルが我々のQAの部隊に来てるんじゃないかと思っています。

実は4つチームがあって、正社員は数名でであとは全員派遣のメンバーで組織がもっているような状況です。さすがにそういうところはプロセスくらいあったほうがいいでしょうということで、今回の取り組みをしています。

このように技術のレベルにはけっこうばらつきがあります。社員教育みたいなことを我々ができるわけではないので、そういったところを少しプロセスで押さえていきましょうという意図があります。

課題を解決するためにやったこと

課題として、テストの進め方が各チームやサービスごとにマチマチで、統制が取れていない状態がありました。どんな手続きでテストをやっているのかもよくわからない。

作成している成果物も名前が違えど同じようなのを作っていたりとか、作らなきゃいけない成果物が作られていなかったりという状況でした。さらに「テストの技術のバラつきもあるよね」「テスト項目の質がいちまちだよね」というところもありました。

あとは世の中一般のテストレベルに対して、どれくらいの立ち位置なのかというのもよくわかってませんでした。最後にテストのプロダクトのメトリクスについてです。プロセスのメトリクスが収集できていなくて、データに基づく議論ができていませんでした。いろいろ課題てんこ盛りの状態から、どういうアプローチで進めているのかを整理しました。

現在全部進行中で、1つ目は今日お話しする「テストプロセスの標準化をしていきます」というところです。2つ目が標準テスト観点というのを整備していて、最低限こういう観点でテストしたほうがいいよねというところをリスト化しています。

3つ目が今TPI NEXTによるテストプロセスのアセスメントを進めていて、「だいたいTPI NEXTで言うとこんなレベルだよね」というところを見えるようにしています。

最後はデータ収集の仕組みづくりを進めていて、実は「データを取りましょう」と言っても、プロセスとかの統一がぜんぜんできないと、取ってもあまり意味がないというところで、テストプロセスの標準化とデータの収集の仕組みづくりがつながってきています。

それで今回の話というのはテストプロセスの標準化なんですけど、それ以降の話もこれから社会に出していきたいなということで、実は標準テスト観点の整備のところはJaSST'19で事例発表の予定になっています。

これは採択されたので、今司会をしている人間が発表すると思います。おそらく発表できると思います。なので、ここはJaSSTでお知らせします。それ以降の発表も、またこういう機会をもらって発表していきたいと思っています。

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