2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
提供:株式会社テクロス
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澤田翔氏(以下、澤田):では、ブロックチェーンを活用したゲームにどんなものがあるのか、という話をしていこうと思います。
これは「Etheremon」という、名前からしてやばそうな感じなんですけれども(笑)、ポケモンのようなモンスターを集めて戦わせます。さきほどの猫のゲームのモンスター版ですね。
違うところは、ゲーム内でERC721でこのEtheremonのモンスターが書かれているのと併せて、ERC20のトークンを使って「EMONT」というゲーム内通貨が出てきます。
これは最初にモンスターじいさんからモンスターを買うときに、EMONTで払ってゲームが始まるんですが、その後、ほかのモンスター戦わせて勝った場合はEMONTがもらえるので、実はEMONTが返ってくるかもしれません。もしかしたら儲かるかもしれないという要素があります。
ロードマップを見ていきますと、Etheremonのローンチが去年の12月で、今はそこに、左から2番目、文字小さくなっているので読み上げますと、「Marketplace for Montrading and trading」。モンスターを借りたり売ったりできます。なので、ドラクエにあったモンスターじいさんみたいな感じですね。モンスターを預かって誰かに貸したり売ることによって収益を得ることができます。
その後出てきているのが「Competitive Rank Battle mode」「Adventure mode」です。ここで、ただのカードを競わせるだけではなくて、クエストを解く機能が実装されます。
こういったかたちで、自分が持っているアセットをなにに使うかは、そのアセットに対応しているコントラクトをその後に追加してデプロイしていけばどんどん増えていくので、最初に持ったアセットをそのまま、サーバを移行することを考える必要もなく、新しいゲームルールができれば、そのゲームルールでやれるようになります。
さらに流動性というところでおもしろい話をしますと、最初にCryptoKittiesの猫がいたと思いますが、「CryptoCuddles」というゲームがあります。
CryptoKittiesにあるアセットの情報を使ってCryptoCuddlesという別のゲーム上でバトルをさせて、それで勝った場合はCryptoCuddles内で使えるトークンをあげましょう、というものを作っています。これはゲームのキャラクターを別のゲームに持ち出せるという流動性があるからこそできることです。
ゲームのキャラクターの流動性というのは昔から研究されてきました。例えばポケモンのゲームボーイのソフトに対して、ケーブルをつないでNINTENDO64に接続すると、NINTENDO64上でポケモンで育てたキャラクターをバトルできる『ポケモンスタジアム』。あれは任天堂がゲームボーイのプロトコルを作り……任天堂のライセンシーで『ポケモンスタジアム』を作っているからできるんですね。
でも、それが、オープンなERC721上においてはそのアセットの情報は公開されているので、任天堂が作ったゲームに対して、世界が勝手に対戦場を提供できてしまいます。
これが法的なことについてはさておき、アセットが流動性も持つことによって、別のフィールドでそのアセットをユーザーが持ち出して戦わせることができることが、ほかのゲームにまったくない要素だと思います。
アセットを個人が管理するとなにができるのかということのもう1つの解として「Decentraland」というものがあります。
これは仮想空間内で土地を所有して、その土地に自分で3Dアセットやスマートコントラクトをデプロイできるというものです。
『Minecraft』をもっと巨大なオープンワールドにして、MMO化して、ユーザーがそれぞれの土地を買えるようにして、その中でアセットを立てて遊べるようにするゲームです。ゲームというよりか、プロジェクトです。
Decentralandの場合は、ランダムで生成されるマーケットプレイスがあって、このマーケットプレイスの中で自分が所有しているこの土地を売ることができます。ランダムで、例えば川や山など、そういったジオエレメントも生成されているので、海沿いの家は高いなど、そういったことをユーザーが意味付けして持つこともできます。
これは『Minecraft』から大きく刺激を受けています。例えば「海沿いの場合はこういうプロパティのアイテムが今後降ってきます」といったルールが存在するので、仮想空間上にあるジオエレメントを見ながら、自分がその土地を買う。火星の土地を買っても、たぶんなにもできませんが、この場合はそこに3Dオブジェクトをデプロイできます。
オブジェクトをデプロイするとなにがおもしろいかというと、右側のところがPolyの3Dオブジェクトですね。
それをReactのコンポーネントで動かしていて、そのパッケージごとデプロイすると、その土地で特定のアプリケーションが動きます。
例えばこれをスマートコントラクトと連動するとなにができるか。例えば、仮想空間上にライブハウスを作る場合は、ライブハウスにまずライブをする人が入ります。エントランスフィーとしてコントラクトに書いている0.何Etherを払うと、そのライブハウスに入れます。
ライブハウスの中で音楽を聴いたり、VRChatのようなイメージを見ればわかるとおり、例えばゴーグルをかけて実際に踊ったりしてもいいと思うんですね。そこで楽しむと、最後にその空間で、演者、パフォーマーの人に売上の7割が渡されて、3割は場所を持っている人が引き取る。そういうVR空間内、仮想空間内において商売ができるようになるはずです。
仮想空間内の商売について別の観点から紹介します。これは『World Of Blockchain』という、ブロックチェーン上に構築された経営シミュレーションゲームです。『ザ・コンビニ』とか、昔からある経営シュミレーションゲームの1つなんですけれども。
これは株式を発行して、この中で会社を大きくするんですが、このおもしろいところは、ゲーム内で株を上場させられるんですね。ゲーム内で上場させることは、その株をほかのユーザーが買う可能性があるということです。なので、今までゲーム上に突っ込んだお金が実は戻ってくるんじゃないかという話もあります。
もしかしたら、ここで今言ったライブステージをやるパフォーマンス会社を作って、バーチャルYouTuberをたくさん入れて、その中でライブをして、そこの売上金から会社の価値を上げて、その価値を株にして売る行為もできるかもしれない。つまり、アセットを作って、そのアセットが流動性を持つことによって、この中で生きる人が本当に生まれる可能性が出てきます。
ここまで話して実はすごくやばいんじゃないかと思った人もたくさんいると思います。まず、ゲーム内通貨と言いながらも仮想通貨を作ってしまうことは、日本においては仮想通貨交換業の登録が必要になります。
最近ではZaifさん、大きいところだとコインチェックさんの流出事件を見てもわかるとおり、いま仮想通貨交換業として登録することは難しくなっています。そもそもお客さんのお金を預かるという行為なので、そこに関しては非常に厳しい監査があったりして、ここにかかってしまうと難しいです。
全部が仮想通貨にあたるかというとそうではなくて、仮想通貨というのは、すごい雑な言い方をすると、fungible tokenでないと仮想通貨ではないです。
例えば、100コインと100コインの価値は同じです、と。そうすると、ある債権を支払うのに100コインを差し出すことによって債権の交換ができます。そんなことができる数量を持ったものは仮想通貨ですが、先ほどの「どうのつるぎ+3」や「川の隣の土地」など、そういったNon-fungibleなトークンの場合は、仮想通貨交換業とは今のところみなされません。
なので、仮想通貨にあたってしまうものを扱う場合は注意が必要です。もちろんNon-fungibleだといっても、Non-fungibleなものをかけ算してなにかできてしまうと、これは仮想通貨にあたるはずです。
例えば、魔法石を「これは石なんです」と言っても、「いや、魔法石10個を使ったら、例えば聖水と交換できるじゃないか」と言われると、「これは『魔法石』という通貨ですね」と言われてしまうので、「Non-fungible=仮想通貨交換業ではないです」とは言えないんですけれども。
アセットを管理する目的で使っている分には大丈夫なものの、コインのような使い方をしてしまうと「これは仮想通貨です」と言われてしまうので、少なくとも日本においてはかなり厳しい話になります。
2個目ですね。最初に話した、1Etherを送ると2Etherか0がどちらかが返ってくるコントラクトを作りました場合ですが、これは完全に賭博ですね。ルーレットのようなものを作るのは賭博ですし、ガチャのアイテムを売却できる、儲かりそうかもという要素を組み込んでしまうと、これはやはり賭博にあたる懸念があります。
もちろん、人間の社会活動におけるすべての行為はランダム性によって決まりますが、これは賭博にはならないので、実態はそれぞれのケースによって判断されると思います。少なくとも射幸心を煽るようなかたちでガチャのアイテムに流動性を持たせてしまうと、これは賭博にあたる懸念が非常に強くなってしまいます。
そして、僕が例えば悪いことをして得たこのお金をなにかのレアカード100枚分に換えて、レアカード100枚分を誰かに送ってしまえば、マネーロンダリングができてしまいます。
なので、今までの普通のアプリになかったマネーロンダリングのチェックが必要になってくるかもしれません。例えば「免許証を見せてください」とか「あなたのパスポートをチェックします」とか、そういうことが起きてくるかもしれない。
それから、「これは仮想通貨じゃなくて、あくまでアセットです」といった場合は、「え、アセットを売り買いするの? 古物商じゃないの?」と言われる可能性もあります。なので、たとえ「このトークンは外に出して換金できない。換金できないからマネーロンダリングはありえません」と言ったとしても、アセット同士を再販できてしまうことによって、「これは大黒屋と同じ古物商じゃないか」と言われてしまう可能性も出てきます。
なので、まずこのようなゲームをやろうという話で一番難しいのは、「法律的にどうなのか」ということを考えなければいけないと思います。
次です。例えば、アプリのIn-App Purchaseの場合は、国ごとにApp Storeは出すリージョンを決められますし、「このゲームは日本円でしか取りません」というのはもちろん、ブロックチェーンの場合はインターネット全体につながっているので、これをリリースすると世界中に流れてしまいます。
なので、このゲームは中国では合法か、アメリカでは合法か、シンガポールでは合法かという、各国の法規を照らし合わせるというかなりしんどい作業が必要になっています。
もちろんこれまでのゲームにおいても、例えば表現の問題。例えば、「この小さい女の子はどの国によってはOKなのか? どの国によってはイリーガルなのか?」といったことを気にされるケースはもちろんあると思いますが、生々しいお金に近いものが動くということは、世界中でそのお金のようなものが流通してしまうので、これを考えるということは非常に頭が痛い問題です。
技術的な問題です。まず、今回の例に挙げたEthereumというのは、秒速10、20トランザクションぐらいしか処理できないので、実際にやろうとすると、ユーザーがたくさん増たときにはそもそもEthereumが遅すぎてゲームにならないかもしれません。
そして、これもあとで詳しく説明しますが、最初に話したとおり、(Proof of Workの) ブロックチェーンはある難しい問題を一番に回答できた人に褒美をあげます。一番難しい問題を回答できた人を特定するために暗号鍵を使います。
なので、この暗号鍵をユーザーが管理しないといけません。その管理を怠ってしまうと、コインチェックさんやZaifさんのようにお金が漏れてしまいます。
そういった暗号鍵には、ユーザー主体でユーザーがアセットを持てる以上、ユーザーが暗号鍵をアクセスできないといけません。「その暗号鍵はどうやって保管するんですか? スマートフォンに保管しました。機種変更しました。その暗号鍵はどこですか?」という問題も含めて、暗号鍵の管理は非常に難しい問題です。
なによりも、こういった細かい問題もありますが、一番大きい問題としては、流動性を持たせるということがそもそもゲームにおいてプラスなのかマイナスなのか、そこもよくわかっていないんですね。
「どうのつるぎ」というアイテムがスポーツゲームに登場して、砲丸投げの代わりにどうのつるぎを投げたとして、なにが起きるかまったくわからないみたいなことが起きるはずで、ゲームバランスも含めて、「ブロックチェーンで流動性を高めたゲームはそもそもなにができるんだろう?」とよくわからないところが大きな問題です。
『Second Life』というゲームは、もともとなんでもオブジェクトを構築できて、そこで所有できるということをテーマにしたわけですが、その楽しみ方がよくわからないままスタートをしてしまったため、最終的にはよくわからないままみんなから忘れられてしまったわけで。
法的な問題もさることながら「そもそもブロックチェーンを使って流動性を上げたらなにが楽しいんだろうね?」ということがよくわからないということが、一番大きな問題です。
暗号鍵の管理が難しいということについて、少しだけお話しします。暗号鍵とはなにかというと、ブロックチェーンで用いるセキュリティの根幹です。「私がこのブロック、トークンをこっちに移動します」という、「私が」ということを証明するのに使う唯一のものが暗号鍵です。
この暗号鍵を守る上で大切なことは2つあります。1つは、その暗号鍵が誰かに漏れてしまうことを防ぐこと。もう1つは、ユーザーが意図しないタイミングで暗号鍵が利用されていないこと。例えば、「私はこのアセットをあなたに渡します」というのを、自分が知らない間に勝手に署名されていて、いきなりこのアセットが飛んでいってしまったら、それはまずいですよね。
なので、暗号鍵というのは、流出しないこととタイミングを見るという、その2つが必要です。この流出問題はかなり昔からずっとやっていて、ぜんぜん解決していません。
暗号の歴史はかなり古くて、かつては文字を木の枝に巻き付けた半紙に書いて、それで文章を書いたあとで同じ太さの木を持っている人だけうまく巻きつけると文章が読めます、という暗号が紀元前からありました。
その後、例えば「ニイタカヤマノボレ」も有名ですけれども、換字式といって、「『あ』は『さ』と読みます」「『い』は『こ』と読みます」という置き換えのリストを読む。これは「上杉暗号」と呼ばれていて、戦国時代からあったりします。
その暗号も当然ながらある程度文章を長い間解読すると「それっぽいね」みたいなものがわかったりしますし、木の棒に関しても「いや、巻き付けたときの跡を見ると棒ができますよね」みたいなことがあり、昔から暗号は解かれ続けています。
今ですと「RSA」「DSA」「AES 」と言われるようなデジタル暗号があって、「パワーの強いコンピュータがあれば解けるんだけど、実質的には解けません」みたいなものもけっこうあります。鍵は絶対にどこかにしまわないといけないわけで、その鍵がしまわれている場所が見つけられることが暗号鍵のクラッキングになります。
例えば、CDからDVDになって、「いや、DVDはコピーしにくいです。CPRMって暗号化があります。CSSというコントロールがあります」と言っても、たぶん今では誰でもリッピングができてしまいますし。
ブルーレイは暗号鍵の信用制度を作って、「適当なメーカーから出た暗号鍵、流出した暗号鍵は即座にブロックします」という仕組みをとったものの、大手メーカーのプレイヤーがクラックされてしまって、「いや、大手メーカーをブロックしたらダメだよね」みたいな話になって、結局そのブロックの機能は使えなかったりしました。
スマートフォンも不正に改造されたOSが起動しないようにできているんですが、ジェイルブレイクは昔からずっと行われてきて、暗号鍵を隠している場所がなにかの理由で見つかってしまうと、そこから破られてしまっています。
なので、暗号鍵というのは流出しないようにしないといけないのに、今までに誰も解決できていないという問題があります。
さらにもう1つの問題は、暗号鍵はなくしてしまうと本人もアクセスできなくなります。
ブロックチェーンの世界において、このように「body decision painful」とか勝手に謎のワードが出てきて、このワードを暗号鍵の代わりにしています。ファミコン版のドラゴンクエストをやったことがある人?
(会場挙手)
いますね。「ふっかつのじゅもん」というのがあって、「そなたが次にゲームをするときは、この文字を入れるんじゃ。『ぬふあうえ〜』」みたいなものが書いてあって。30年も前からあることをブロックチェーンでもしていて、復活の言葉を覚えればお金が戻ってきますと。そういうことをしています。
なので、いくらスマートフォンが頑丈でも「ふっかつのじゅもん」が漏れてしまったら、お金は盗まれてしまいますし、スマートフォンをなくしたときに「ふっかつのじゅもん」が行方不明になったりすると、お金はなくなってしまいます。
そして、この「ふっかつのじゅもん」を書くのもまた難しくて。今のコピー用紙は酸性紙と言われていて、数十年経つと紙がボロボロになってしまいます。
同人誌と言われるユーザーが個人で作っている本があります。国会図書館やコミックマーケットの準備会にもたくさん蔵書はあるんですが、20年ぐらい前の同人誌はもうほぼ読めないんですね。それは、紙が劣化してしまい、あとインクの定着度が下がってしまうからです。
なので、暗号鍵を管理するにはどうすればいいかという話をしたら、「いや、これは和紙に墨で文字を書くしかないです」みたいな話になって、「えっ、そんなことユーザーできないよね?」って話になってしまいます。
なので、どんなにがんばっても、ユーザーの財産を保管するところがちゃんとできていないと、データはユーザーのものだと言い切れないので、そこはかなり難しい問題です。
そんな暗い話をしてきましたが、実際にやるにはどんなことをやればいいのか。「CryptoZombies」というチュートリアルがあるので、そういったチュートリアルから実際のブロックチェーンのアプリケーションを作ってみるとおもしろいと思います。
これがCryptoZombiesのスクリーンショットです。
Solidityと言われるEthereumのコードを書いていくと、さきほどの猫のトレーディングゲームに近いようなゲームを作ることができます。
そうやってブロックチェーンを使って「DAppを使ってどんなゲームを作れるんだろうね?」ということを知るのが、今の段階では重要なところだと思います。
でも、「もうちょっと堅牢なフレームワーク使いたいよね」ということで、「Truffle Framework」というものがあります。ここも「PET SHOP」という名前のチュートリアルがあって、やはり猫を配合するチュートリアルがあったりします。
あとは、堅牢なライブラリの「OpenZeppelin」というライブラリ集を使うこともできます。こういったところから、実際にまずは書いてみるというところが接点なのかなと思います。
話が長くなったのでまとめておきましょう。
ブロックチェーンをゲームに活用することで、「払い戻しできません。iTunesカードで買ってください」みたいなところに縛られない、ユニークなゲーム内通貨ができます。
「これは〇〇ゲームコインで、事前に売って、最初に買った人にはこれだけボーナスをあげて、ゲームが流行ってきたらそれを売ったりできます」みたいな、そういうルールを作ります。
そして、アセットはユーザーのものになって自由に活用することができます。それはゲーム内において透明性のあるところで遊ぶこともできるだけではなくて、ゲームの外にアセットを持ち出すことができます。
ゲーム内で仕事をしてお金を稼いで生活できる未来も考えられるかもしれません。それは、今までプラットフォームが規定していた、プレイヤーに所有権がない状態から、所有権がプレイヤー実際にある状態になることによって、ゲームというバーチャルワールドにおいて各ユーザーが所有するアセットを使ってお金を稼ぐことにつながります。
『VRChat』にもそうした考え方が一部取り入れられています。まだ送金機能がないのでできませんが、いずれはVR空間内も含めたゲームの中で狩りをしたり、謎解きをしたり、ミッションをこなしてレイドボスを倒すことで、本当にお金を稼ぐ人が出てくるかもしれません。
でも、それを実際やろうとすると、金商法、賭博法、仮想通貨交換業の法的な問題は当然検討が必要ですし、暗号鍵の管理や仮想通貨の入出金というユーザビリティの問題も大きいです。
なによりも、そもそも複数のゲームをつなぐという今までやったことがないことを、果たしてみんながやることはそもそもできるのだろうか? という懸念があります。先ほどの『ポケモン』と『ポケモンスタジアム』は同じ人が作っていて秩序を作っていたわけです。
また、ゲーム内のコインと仮想通貨。FIATというのは日本円やドルのことですね。ゲーム内コインをEthereumやビットコインにして、それを日本円から買えたりする。RMTを前提としたときにゲームバランスはどうなるんでしょうか?
現実の空間と自分のソフトのバーチャル空間と他人のソフトのバーチャル空間を全部つないだときに、それはなにが起きるんでしょうか? ゲームの中で手に入れた「どうのつるぎ」は、別のゲームに持っていったらなにが起きるんでしょうか?
空間を超えた流動性と秩序をどう確保するべきかは、たぶんまだ誰も答えが出ていないですし、それを考えている人もまだ少ないと思います。
なので、実際にゲームを作ろうとするときに考えないといけない大きなこととして、ユーザーが手に入れたアセットを真にバーチャル空間内で流動性を持たせたときに、どういう楽しみ、どういうおもしろさができるのかを考えることが、非常に重要で、かつ、重たい話だなと思います。
以上になります。ありがとうございます。
(会場拍手)
司会者:ありがとうございました。それでは、この場で講義についてなにかご質問等がある方はいらっしゃいますでしょうか?
質問者1:お話ありがとうございました。僕自身Ethereumをやってみたりしたんですが、一番最初に思ったことが「コストが高いな」と思ったんですよね。Gas代がすごくかかるじゃないですか。将来的にはそもそももっと低いコストでできるものが出るのかもしれませんが、そういった問題はどのぐらい重要な話なんだろうなと。
澤田:そうですね、例えば、先ほどの例にも挙げたCryptoZombiesはLoom Networkというブロックチェーンで構成されています。例えばこれがCryptoZombiesというやつで、こうやってやると、ここで答え合わせをしてデプロイされます。
これが無料で動くのはなんでかというと、Ethereumはオープンソースなんですよね。なので、自分でEthereumと同じネットワークをデプロイしてしまえば、ほとんどの行為はEthereum上と同じように動きます。
ところが、それを1人でやった場合は、おそらく経済的に1人でやってるEthereumは実質はあまり意味がないですよね。なのでもうちょっと支持者を集めて、自分たちのユーザーに払う「Gas代」と言われるコストと釣り合う大きさで作ることができます。
そういったブロックチェーンの子ブロックチェーンみたいなものがあって。でも、完全に独立したらそれはインテグリティがないので、例えば1,000回に1回ぐらいは計算結果を上にアップロードしましょうとやることによって、ガス代は1000分の1になる。
その1,000個のインテグリティは自分たちが作っている小さいブロックチェーンで証明して、1,000個集まったらトランザクションを圧縮して、最初と最後の全部の中のダイジェストを送って、それを署名してもらいましょう。
それはデジタル署名の世界でも、PDFファイル1個を署名するのではなく、そのダイジェストだけを署名する考え方があるのと同じように、ダイジェストという考え方が正しく動くかぎりは、ダイジェストを使ってチェーンを作る方法を使うことができます。
まだ実用段階ではないので、Gas代が高いという問題は、自分で動かしているEthereumの自分のローカルホストで動いているサーバで実験をすればいいだけですし、KobanやRopstenと言われるテスト用ネットワークでもできます。なので、開発をする分には問題ないかもしれません。
ただ、実用するときには、その高いGas代をどうやって軽減するかは、サイドチェーンを作る方式であったり、いくつかの方法が提案されていますが、スケールの問題もあります。容量を大きくするにはどうすればいいのかは、今研究されていることだと思います。
質問者1:ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。ほかにご質問がある方はいらっしゃいますでしょうか?
澤田:はい、どうぞ。
質問者2:最近、EOSがけっこう海外で流行っていると聞きます。今はEthereumの話でしたが、EOSでも同じようなことはできるのでしょうか?
澤田:そうですね。EOSでも基本的には同じことができますが、やはりEthereumがよくできていることの1つに、コントラクトのコードを書いたり、ウォレットアプリから特定の関数を実行するのはEOSでもできますが、それをWebブラウザから使えるようにしたのがEthereumの最大のよいところだと思っています。
もちろんEOSでもWebブラウザで使うにはどうすればいいかというプロジェクトもあったはずです。やはり数字の羅列だけを見て楽しむのは人間難しくて、そこにビジュアル要素やインタラクションをつけるためにWebブラウザと連携したところが、Ethereumの一番秀でている点ですね。
なので、技術的にはもちろんできますが、エコシステムとしてはEthereumが一番よく回っている。ゲームであったり、そういったビジュアル的なものに関してはよく回っていると思います。
一方で、債権などのアプリケーションの場合は、100を入れたら101が返ってくるのは、別にそれは誰かユーザーがフロントエンドを見るわけではなく、送金という行為しか使わないので、ゲーム以外の債権であったり、UIがあまりいらない部分においては、現時点でもEOSは1つの選択肢になると思います。大丈夫でしょうか?
質問者2:はい。
司会者:ありがとうございます。その他あと1つ質問を受けていければなと思いますが、ご質問ある方いらっしゃいますか?
澤田:どうぞ。
質問者3:ゲームで利用する場合に、賭博や仮想通貨交換業の登録など、けっこう法律の壁はありそうだと思うんですが、実際CryptoKittiesを日本で作って日本で出した場合、それが違法になる可能性はあるのでしょうか?
澤田:弁護士ではないので正確な回答はできませんが、CryptoKittiesの場合は、別にCryptoKittiesが独自のトークンを発行しているわけではないので、そこに関しては問題ないと思います。
あとは賭博に関して、恒常的にリターン……実態としてそもそもCryptoKittiesで大儲けすることがあるようなスキームになっているかもたぶん関係あるので、「合法か違法か」という判断と「そもそも立件されますか」という判断に関してはまた別だと思っています。少なくとも現状のCryptoKittiesのユースケースにおいて立件されるようなことは、今の時点ではないだろうなと思います。
しかし、先ほども言ったように、すべての社会生活はある意味ランダム性があり、ある意味人間は期待と打算で動いているので、全部が賭博であると言ってしまえば賭博です。そこに関してどこまで線引きをするかはたぶん難しい問題だと思います。なので、CryptoKittiesが合法であるとは即座には言えないものの、実態として、賭博罪でしょっぴかれることは今の時点ではないと思われます。
質問者3:ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。それでは、一度この会、前半の部分は終わりにできればと思いますので、あらためて拍手をお願いします。
(会場拍手)
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