「UI BATTLE」キックオフ!

福田恵里氏(以下、福田):では、リクルートテクノロジーズ主催の「UI BATTLE」を始めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

今日はたくさんの方にお集まりいただきました。たぶん20チームぐらい最終的にエントリーいただいていると思うんですけど、学生の方はいらっしゃいます?

(会場挙手)

学生の方も参加いただいているようですね。学生チームが社会人チームに挑むという。どうぞ遠慮なく打ち負かしてください(笑)。ではリクルート以外の会社から来たという方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

半分以上ですかね。逆に「リクルートの社員です」という方は?

(会場挙手)

3分の1ぐらい。すごい。ほとんどリクルート以外の会社さんから参加いただいてますね。ありがとうございます。みなさんconnpassで知っていただいたんですか? なるほど、ありがとうございます。

では、さっそく始めていきたいと思います。私は、リクルートテクノロジーズのサービスデザイン部というところで、インタラクションデザイングループに所属しています、福田恵里と申します。今日はキックオフということで、テーマの説明や審査ポイントみたいなところのご説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

ありがとうございます。では、本日の流れなんですが、まず「UI BATTLE」について昨年の開催事例などを用いて全体像をご説明させていただき、その後テーマについて詳細を説明させていただきます。あと、プロトタイピングを作っていただくにあたって、Prottというプロトタイピングツールをみなさんに使っていただければと思っているので、Prottを提供されているグッドパッチさんからレクチャーをしていただきます。

そのあと、休憩を挟んで、チームごとに実際にテーマに沿ってアイデアソンをしていただき、21時ぐらいに終了というアジェンダで考えております。

リクルートテクノロジーズ主催というところで、リクルート以外の会社様から来ていただいている方も多いと思うので、弊社について簡単にご説明をさせていただければと思います。

リクルートって、事業会社というイメージが強いかもしれませんが、実は大きく2つの組織形態に分かれているんですね。具体的に言うと、リクルートキャリアとかリクルートジョブズなどで、ゼクシィ、SUUMO、リクナビなど自社で事業を持っている会社と、我々が所属するリクルートテクノロジーズなど、専門部隊として各事業会社に横断的に関わっていく会社とに分かれているかたちになります。

では我々リクルートテクノロジーズが何をやっているかというと、ビッグデータだったり、UXデザインに始まり、ネットインフラやセキュリティ、社内IT基盤など、ネットに特化したソリューションやマーケティング領域の専門部隊となっております。

「リクルートグループをITで牽引する企業です」と、ちょっとカッコいいことを言っていますけど、そういう会社です。

その中でも、今回、この「UI BATTLE」を主催しているのが私がいるサービスデザイン部です。サービスデザインって広義だと思うんですが、一人前のサービスデザイナーが持つべきであろうケーパビリティを定義し、それらを細分化して各グループとして昇格させています。例えば私がいるインタラクションデザイングループもそうですし、他にもブランド、アナリティクス、SEO、リサーチ、プロジェクトマネジメント、ストラテジーなど、それぞれが専門知識を持ったグループとして機能しております。グループ内で専門的なスキルを高めながら、それを活かしてリクルート内の様々な事業に関わっていくというような、横断的な組織となっております。

今回は、このサービスデザイン部の新卒1~3年目の若手で「UI BATTLE」というものを企画させていただく流れとなりました。

UI BATTLEは「共創ではなく競争」

続いて、UI BATTLEの概要についての説明に移らせていただきます。

まず、今回のイベントは、よくあるワークショップのような講義形式でやるものだったり、ユーザーインタビューやストーリー設計に時間を割くようなものではなくて、与えられたテーマに対してIA→UI創出→プロトタイピングをひたすら回していただいて、それをチームごとに競い合っていただく場となっております。

事前にアナウンスしていましたが、集まる日程は、今日のキックオフと、あと3月16日の木曜日の審査発表のみとなっております。なので、その間の2週間は、みなさまに個別で集まっていただいて、プロトタイピングを作ったり、ブレストしていただいたり自由に準備を進めていただく形式になっています。

最後に、今回のイベントは「共創ではなく、競争」です。こういった趣旨のイベントは結構共創ベースでアウトプットを生み出す場合も多いのではと思いますが、今回は各チームの“色”“個性”を存分に出して、他チームには真似できないアウトプットを生み出していただきたいと思います。みなさんがふだん、社内・学内で行われている発想方法だとか、アイデア、引き出しみたいなものをフルに使って、“競争”していただきたい、そんな意味も込めてイベント名にBATTLEという言葉を使っています。

今回、学生の方がいらっしゃったり、さまざまな会社の方が参加していただいて、多様なバックグラウンドを持ったチームが集まっています。各チームの発想プロセスにもけっこう違いが出てくるのではないかと思っているので、16日のバトルは、出てきたアウトプットだけではなくて、プロセスの違いにも着目して、「なるほど、こういう思考プロセスもあるんだ」「こういう進め方をしたら、うまくいくんだな」みたいなことも、他のチームを見ながら勉強していただく場にできたらと思っております。

プレゼンの審査ポイントにも、最終成果物に至った思考プロセスも観点として入っているので、アピールしていただけるとよいかと思います。

UIBATTLEについて、実は今回2回目の開催になっておりまして、1回目にどういうことをやっていたかということを軽くご説明させていただきます。1回目はグッドパッチさんに共催で入っていただきまして、リクルート内部の人間に閉じて開催していました。その時は、内部の人間だけだったので、リクルートの主要サービスにおけるカスタマーの行動フローを軸に、6象限からチームごとにテーマを選択して行いました。

具体的に言うと、「探す」「見つかる」「選択する」「評価/比較する」「申し込む」という一連のサービスを使うときのカスタマーの行動フローと、「日常消費領域」「ライフイベント領域」というリクルートの事業を大別する2領域でマトリクスを切って、1つテーマを選んでいただくというような流れでやっていました。

では実際にどんなものが出てきたかというところでいうと、前回もみなさんProttを使っていただいて、実際に実機で確認できるようなプロトタイプを作っていただきました。

例えば、私のチームのものですが、『ゼクシィ』のサービスを使って、式場をブックマークするタイミングにレーティング機能をつけてみた、というものです。

この機能は自分が他サービスでブックマーク機能を使用している時に思いついたのですが、人が何かを決定する際には1次スクリーニングと2次スクリーニングがあると思っていて。1次スクリーニングはブックマーク機能を使って手当り次第気に入ったものを集める。2次スクリーニングでは、その中から優先度をつけて最良のものを選ぶ。ただその際にブックマークしている量が多いと、自分が一番気に入っていたものってどれだったかわからなくなってしまう瞬間があって……。気に入っている度合にも強弱があるので、それが一覧の中で可視化できたら、と思い作りました。

あとは、LINE側でリクルートのサービスの予約ができるインターフェースを考えていただいたりだとか、たぶんリクナビをベースにしたものだったと思うんですけど、Tinder型ということで、スワイプをするようなUIを使いながら、自己分析が手軽にできるというUIを考えていたりだとか。けっこうデザインも作り込んだプロトタイピングが多かったんですけど、中にはアウトプットはペーパープロトで、コンセプトを重点的に説明していただいたようなグループもありました。

というかたちで、昨年は約10チームの中で順位を決めたという流れになっているんですが、今回に関しては、昨年と違ってこれだけたくさんの方にご参加いただいています。なので、1チーム1チームプレゼンを前でしていただくのはちょっと時間的に厳しいというところもありまして、ブースにて審査員や参加者が自由にプロトタイピングを触って、参加者と審査員、全員で投票するようなかたちで進めさせていただきたいと思います。

投票数の多かった上位6チームだけに、前方にて最終プレゼンを行っていただくというかたちにしたいと思います。

今日は各チームが取り組むテーマとサービスを選択していただきます。そこからバトル当日までに、プロトタイプと、最終提出フォーマットを作成していただきます。以上が今回の一連の流れになります。

では、本題のテーマについてお話しさせていただきます。テーマについては、弊社の實川からご紹介させていただきます。

改善すべき3つのテーマ

實川尚氏(以下、實川):リクルートの實川と申します。僕のほうからテーマだけご説明させていただきます。

先ほどのとおり、去年はリクルートの内部の人間が多かったというところで、リクルートの中のサービスの象限に切ってやらせてもらっていたんですけど、今年は本当にいろいろな会社の方々に参加していただいているということで、まあリクルートっぽくはあるんですけど、「検索」「一覧比較」「クリップ・お気に入り」みたいな、カスタマー・ユーザーの行動の3つのフェーズの中から1つテーマ選んでいただきます。

このあとに、それぞれのテーマごとに具体的な内容を説明させてもらうんですけど、基本的な流れを最初に説明させていただくと、この3つから1個選んでいただいて、その課題を持っている対象サービス自体は自由に選んでいただけます。その自由に選んでいただいたサービスに対して、「この課題が当てはまるよね」というところを深掘っていただいて、それを解決する打ち手をUIとして落とし込んでいただきたいなと思っております。

まだイメージがしづらいと思うので、それぞれちょっと説明させていただきます。

まず1個目のテーマの「検索」というところに関しては、基本的には「大量の情報の中から、どう自分に合った、ユーザーに合った情報を検索してもらうのか」というのがテーマです。

大量の情報の中で選べないカスタマーがターゲットになっていて、このあと画面をお見せするんですが、例えばサービスによっては、このように絞り込みの条件が200項目ぐらいあるんですね。絞り込み画面にはブランドやらタイプやらみたいなものが、全部ぶわっと置いてある状態になっているんです。

これが「わからない人にとってはたぶんわからないだろうな」と思っていまして、「そこをUIとして解決するとしたら、どう解決できるんだっけ?」みたいなところが、1つ目のお題になります。

今、紹介したサービスでなくても、同じような課題抱えているサービスだったらなんでも大丈夫です。なので、そういったサービスを選んでいただいて、それを解決するUIを出していただくというのが、1個目のテーマになります。

2つ目が「一覧比較」です。いろいろなサービスで一覧の画面みたいなものとか、いろいろな外部の記事が並んでいたり、リクルートだといろいろな古車情報とかが並んでいる一覧画面ってあると思うんですけど、そこにランディングしてきたカスタマーを「どうやって回遊させてあげて、本当に欲しい情報に出会わせてあげるか」みたいなところが、2つ目のテーマになっています。

具体例として、『ブルームバーグ』です。ちょっと前に記事になっていたんですけど、ご覧いただいたことある方いらっしゃいますかね。どれでもいいので記事詳細に飛んでいただくと、普通のニュースサイトの記事詳細だと思うんですけど、下へスクロールしていただくと、いきなりもう1回トップページから始まるというUIになっているんです。この前UIを変更したということで、話題になっていました。

こんなイメージで、一覧画面とか、記事詳細とか、いわゆる外部からランディングする画面に対して、どうやってその中に滞在してもらうかというところをUIで解決しようというところが2つ目の課題になります。

最後3つ目が、もうちょっとそれが進んだ、クリップやブックマーク、お気に入りみたいなページのテーマです。

これもよくリクルートのサービスで見られるんですけど、気に入った情報をクリップやお気に入りにすると、クリップだけして、ひたすら「あとで読む」みたいなものにして放置しちゃうとか、そういうことがけっこうあるかなと思っています。

ブックマークさせて、あとはマイページなどで一覧にしておくだけみたいなことがけっこう多いと思うんですけど、そこをちゃんと仕立て直して、本当の意味で使い続けてもらうサービスというか、「なにかUIで実現できないんだっけ?」みたいなところが3つ目のテーマになります。

なので、この3つのテーマから1つ選んでいただいて、その課題を抱えているであろうサービスを自由に選択いただきます。ぜんぜん自社のサービスでも構わないんですけど、その深掘りと、打ち手となるUIというものをProttで作っていただくかたちになります。

大丈夫でしょうか。このスライド自体はあとでお渡しするので、それでまた細かく見ていただければと思います。なにかありましたら、別途でもぜんぜん大丈夫なので、ご質問いただければと思います。よろしくお願いします。

今回の審査のポイント

福田恵里氏(以下、福田):ありがとうございます。これらがテーマになるんですが、今から審査ポイントについてお伝えさせていただきます。

3月16日のプレゼンでは、みなさまに選んでいただいたサービスの「課題」「ターゲットユーザー」「解決策」を作成したプロトを用いて説明いただきます。

それとあわせて、成果物の創出にいたった発想プロセス・背景に関しても、一緒にご説明していただきます。

審査員をご紹介しますと、弊社のリクルートテクノロジーズの役員である岩佐、グッドパッチの執行役員をされている村越さんと、THE GUILDやfladdictの深津さんの3名に審査をお願いしております。

予選のブース審査で投票が多かった上位6チームは、前でプレゼンをしていただいて、このお三方に審査をしていただき、フィードバック・総評をいただきます。上位チームには景品もご用意してますので、お楽しみに。

審査観点としましては、この6つになります。

1つ目が、「有効性」で、そのUIで課題解決をきちんとできているか。2つ目が「新規性」、新しいUIか。3つ目が「実現性」、実現制約が少ないか。4つ目が「汎用性」、横展開がきちんとできるUIか。そのサービスだけにとどまらないUIか。5つ目が「ユーザビリティ」、ユーザにとってわかりやすいものであるか。最後は「情緒性」というところで、気持ちよさ、楽しさ、ワクワク感みたいなところがきちんと担保されているか。今回はこの6つを「よいUI」の審査の観点として設けております。

フォーマットとしては、先ほど審査観点として見ると言っていた部分。現状UIの課題と、ターゲットユーザは誰かというところと、どのように解決するかという部分のフォーマットを埋めていただくのと、あとここですね。最終アウトプットにいたるまでの発想プロセスというところを、フリーフォーマットなんですが、まとめていただければと思います。

フリーフォーマットなので自由に書いていただいて大丈夫なんですが、「どんな課題特定プロセスを経たのか?」みたいなところで、たぶんみなさん、アイデアを出したりブレストしている間に、ボツになったものが出てくると思うんですね。そこも審査員の方がポイントとして見たいとおっしゃっているので、そのボツになった仮説とその理由みたいなものもつけていただければと思います。

また、その解決策となるUIパターンをたくさん出していただくと思うんですけど、それはどんなソースを参考にしたのか。例えば競合だったり、UIまとめサイトだったり色々あると思うんですけど、そういった参照ソースや「なぜそのたくさん出したパターンの中から、最終的にそのUIを選択したのか」という一連のプロセスをフォーマットにしてまとめていただきたいと思います。

1点、注意点として、みなさんに気をつけていただきたいなと思うところがありまして、あくまでも今回、「UI BATTLE」と称しているので、UIに特化した課題解決をしていただきたいと思っております。

例えば、「もう既存のビジネスモデルから変えちゃいます。UX課題がここにあるので、ビジネスモデルを変えたら、これは解決できます」だったり、「新サービスを作ります」みたいな、サービスを根幹から変えてしまうような提案は、お控え願いたいと思います。

次に、「課題特定の確からしさに主眼を置かないでください」と書いているんですが、どういうことかというと、みなさんたぶん、サービスの問題を発見して解決するときに、こういうダブルダイヤモンドの発想法を使うのかなと思うんですね。

まず、「どこが問題なんだっけ?」という課題出しの部分で発散して、「ここが本質的な課題そうだね」というところを特定し、収束しますと。そこから、「じゃあその特定した課題を、どんな打ち手で解決できるんだっけ?」ということでまた発散して、「じゃあこの打ち手が一番よさそうだね」と再度収束するという。このダブルダイヤモンドの一連の流れが、課題解決プロセスにおいてよくあるパターンかなと思います。

ただ今回、評価対象となるのは、あくまでUIと言わせていただいていて、ここの問題発見の部分、課題解決に対する分析の精緻さ……例えば、みなさんが「Facebookを改善します」というふうにサービス選んでいただいたとして、「Facebookのこのボタンって結局どれぐらい使われているんだろう?」「そこのログが見れないのでこれが本当に課題かわからない」みたいな。そういった「着目した課題がどれだけ事実にもとづいているか?」といったような点はそんなに重視いただなくても大丈夫だと思っています。

「ここが確からしそうだ」という課題を1個決めていただいたら、そこからの解決策の発散に時間を使っていただくほうがよいかと思います。以上が注意点になります。

ということで、駆け足で説明してしまいましたが、ここまでで質問や疑問点がある方はいらっしゃいますでしょうか?

参加者1:GUIですか? それともUIですか?

福田:GUIもUIもどちらも大丈夫です。

参加者1:ありがとうございます。

福田:あとは大丈夫でしょうか?

参加者2:(改善する)サービスって、ツールとかはダメですか?

福田:例えばでいいますと?

参加者2:Photoshopとか。

福田:Photoshopの改善みたいな、そういうことですよね。

實川:OKです。課題に当てはまっていれば、ぜんぜんそれでも大丈夫です。

参加者2:ありがとうございます。

福田:ほかに質疑とかある方いらっしゃいますかね? 大丈夫そうですかね。では、いったんここまでで、前提やテーマの説明は終了になります。

(この後、各チームで約1時間のブレストが行われました。3月16日に開かれる発表会の模様も書き起こしますので、お楽しみに)