3位:「どうしてやらないの?」はNG 部下の主体性を引き出す上司の問いかけ方
「何度言っても部下が動かない」——そんな悩みを抱えるリーダーに向けて、研修講師の伊庭正康氏が「部下を動かすセリフ5選」をランキング形式で紹介した記事です。年200回の登壇経験から導かれた実践的なコミュニケーション術は、読者から特に大きな反響を呼びました。
伊庭氏が強調するのは、「伝わっているかな?」という視点から「部下は動きたくなるかな?」という視点への転換です。ちょっとした言葉の選択が、マネジメントの質を大きく左右します。
紹介されたセリフ5選は以下のとおりです。
・第5位「教えてもらっていい?」:「どうしてやらないの?」という否定はNG。人は否定されると萎縮し、やがて嘘をつくことにもなりかねない。「伊庭さんだからこそ教えてもらっていい? どんな原因があるの?」と問いかけることで、部下が自分から話すようになる。
・第4位「何があればうまくいくのかな?」:「こうしてみたら?」と答えを与えると主体性が消える。「一緒に考えたいんだけど、何があればうまくいくと思う?」と問いかけ、考えることから逃がさないことが育て上手の条件。
・第3位「それって○○さんのポリシーに合ってる?」:プライドが高い部下や見え方を気にする部下には説教よりも価値観で考えさせる。伊庭氏自身が20代の頃、上司から「男としてだせぇんだよ」と言われて行動を改めたエピソードが印象的。
・第2位「念のために復唱してもらっていい?」:ミスを繰り返す部下には「もう2回目はないよ」ではなく、復唱させることで認識のズレを確認する。よくミスする部下の共通点は「理解の粒度が荒い」こと。
・第1位「期待してるよ」:「よろしく!」の一言だけで終わらせず、「期待してるよ」を添える。人は期待されると裏切れないという心理が働き、行動が変わる。これはフィードバック研修でも最後に必ず使う言葉だという。
「育て上手かどうかの差は、ちょっとした言葉の選択にある」という伊庭氏の主張は、日々の現場で即実践できる具体的な指針として多くのリーダーに響いたようです。
元記事はこちら 2位:「言語化が得意=仕事ができる人」という評価は思い込み 人事評価に20年関わった専門家が明かす、組織が陥る本質的な誤り
教育社会学と組織開発を専門とし、人の選抜・評価に約20年間関わってきた勅使川原真衣氏が、「言語化ブームの光と影」を鋭く読み解いた記事です。ラジオ番組のコラムコーナーで発信された内容が大きな反響を呼びました。
勅使川原氏はまず、言語化関連本が2年で倍増しているブームの背景に触れ、AI時代にプロンプトを書く力が求められる現実は認めつつも、「言語化がうまい人が仕事もうまい、という評価は思い込みだ」と問題提起します。
その理由は明快です。「仕事は分業だから」。個人の能力だけを問題にするのではなく、違いのある個人を組み合わせて活かす発想が本来必要なのに、言語化ブームは問題をあくまで「個人化」させる傾向があると指摘します。
さらに、勅使川原氏が懸念するのは以下の3点です。
・「言えない」のは個人の能力の問題ではなく、組織構造の問題であることが多い。権力の勾配(上司と部下、正規と非正規など)がある場所では、言葉を出しにくい状況が構造的に生まれる
・SNSのアルゴリズムが「即時的・端的・わかりやすい言語化」を優遇し、熟考するタイプの人が不利になる構造が社会全体を覆っている
・教育現場でも「自己発信できる子どもを育てる」という方向性が強まっており、「発信の速さだけが知性ではない」という問題が置き去りにされている
勅使川原氏はまた、「あうんの呼吸が失われた」というノスタルジーにも再考を促します。かつて「あうんの呼吸」と呼ばれていたものの正体は「言葉を省略してもわかり合える能力」ではなく、「迷いを共有できる時間的な余裕(余白)」だったのではないか、と。
「すぐ言え、今言え、沈黙したら自己責任」という空気が蔓延する今、即答できない人・熟考する人が不当に低く評価される現状への警鐘として、多くの読者の共感を集めました。
元記事はこちら 1位:マネージャーの仕事は「管理」ではなく「なんとかする」こと 伊藤羊一氏が語る、37年のビジネス人生で見えたマネジメント論
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長であり、日本興業銀行・プラス株式会社・ヤフーなど37年のビジネス経験を持つ伊藤羊一氏が、現代マネジメントの本質を語った記事が先週の1位に輝きました。
伊藤氏はまず、「マネジメント=管理する」という思い込みに疑問を投げかけます。英単語「Manage」の本来のニュアンスは「状況をうまくやり過ごしてコントロールする」であり、「なんとかする」こそがマネジメントの本質だと主張します。
「管理が仕事と言ったら、誰もマネージャーになりたくない。マネージャーのなり手が少ないのはそこに原因がある」という言葉は、多くの現場リーダーが感じている違和感を言語化したものとして反響を呼びました。
では、「なんとかする」ためにマネージャーは具体的に何をすべきか。伊藤氏はチームをゴールに導くための3つの要素を示します。
・ゴールを設定しチームに共有する
・プロセスを明確にし導く(「キックオフで目標を伝えておしまい」ではなく、小分けにして進める)
・チームの力を最大化する(心理的安全性の高い環境をつくり、個人の才能と情熱を解き放つ)
特に注目されたのが、3つ目の要素への取り組みです。伊藤氏によれば、7〜8年前まで多くのマネージャーは「ゴール設定とプロセス管理はやっているが、チームの力を最大化する取り組みはやっていない」という状態だったといいます。
また、伊藤氏が強調する手法が「1:N」と「1:1×N」の使い分けです。
・1:N(全体への発信):チーム全体に方向性やビジョンを示す
・1:1×N(個別対応):1:Nで伝えた内容の受け止め方は一人ひとり異なる。だから全員と個別に1on1を行い、個を見る
「37年仕事をしてきたが、1人として『マジでダメだ』という人はいなかった。ただ、才能が発揮できているかどうかは違う」という伊藤氏の言葉は、マネジメントの本質が「人を管理すること」ではなく「人の才能を引き出すこと」にあることを示しています。
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