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なぜ“できる人”ほど、マネージャーになるとつまずくのか 失敗談から学ぶ「マネジメントの技術」(全3記事)

プレイヤー業務と部下育成は「一緒にやる」のがコツ プレイングマネージャーのための「仕事の任せ方」

【3行要約】
・マネージャーになると「自分がやったほうが早い」と思いがちですが、それが組織成長の大きな障害となっています。
・橋本拓也氏は、プレイヤー業務と育成を分けて考えていたことが問題だったと振り返ります。
・マネージャーは実務を通じて部下を育て、4段階のステップで徐々に仕事を任せることが重要です。

前回の記事はこちら

「自分がやったほうが早い」を乗り越える育成術

——橋本さんがマネージャーになった当初、部下への指導で最も苦労された点を教えていただけますか?

橋本拓也(以下、橋本):やはりメンバーに教えることの手間暇を考えると、任せるより自分がやったほうが早いって思ってしまうので、これが一番苦労したことですね。というのも、資料を作るのも、お客さまに連絡をするのも、営業活動をするのも、絶対に自分でやったほうが早く終わるんですけども。一応頭では育てなきゃいけないっていうのはわかっているので、メンバーに「これ、やってごらん」みたいな感じで教えますよね。

でもメンバーは何回も説明しなきゃわからないし、説明しているのにぜんぜん実行しなかったりミスしたりする。そうするとカバーするのに時間が割かれて、結果が出るのも遅くなり、時間がかかるのに結果も出ない。だったらもう自分1人でやってしまったほうが早いというのは、ほとんどのプレイングマネージャーが陥ってしまいやすい壁だと思いますね。

——そうした中で、やはり自分でやったほうが早いということで、メンバーに任せずマネージャーが巻き取っていくと、どういった悪影響があるのでしょうか?

橋本:結果、人が育たないということになるので、ずっと自分がやらなければいけなくなります。例えば来年とか再来年というふうに、組織が成長していかなければいけない時に人が育っていないと、やはり自分のキャパシティにも限界があるので、組織拡大が止まってしまいます。

あとは自分1人しかできないことが多いとか、人が育っていないと、お客さまとか他部署に対しても迷惑がかかってしまいます。自分しかできないと、自分がやった時はお客さまに満足してもらえますが、他の人がやっている時には不満になるので、組織としての信頼も失われていってしまう。結果、組織の成長が鈍化していってしまうんですね。

プレイヤー業務と育成は「一緒にやる」のがコツ

——自分がやるべき仕事と、部下に任せるべき仕事をどう見極めていけばいいのでしょうか?

橋本:自分がやるべき仕事は、基本的には部下にどんどん任せていく、委任する技術を身に付けていく必要があります。ちょっと質問の回答になっているかわからないですけども、委任していくためにすごく大事なポイントが、自分が今プレイヤーとして仕事をしている時に、それを隣で見せながら仕事をするっていうことなんですよね。

私は昔、「プレイヤー」と「育てる」ということを別々で考えていました。プレイヤーとしての仕事で忙しい一方、別の時間で人を育てるみたいなことをしていたんですけど、これを一緒にすることが大事なんです。

だから、自分がプレイヤーとしてやっている仕事を、誰かの育成を兼ねている時間にすると考える。例えば、自分でやったほうが早いと思って資料を作っているんだったら、自分でやっていいんですけど、隣に部下を置いて、解説しながら資料を作る。

「今、こういう目的の資料を作っているんだけど、この資料はこういう役員会で使うから、枚数はあんまり多くないほうがいいんだよ」とか「こういう見やすいグラフが入っていたほうがいいんだよ」とか「生成AIをこんなふうに使って作ると早いよね」とか、プレイヤーをやりながら解説してやっていくと、それが育成になります。

で、徐々に説明を減らして、今度は、「君が資料を作ってもらっていい? 僕、隣で見ているから」って言って、本人がやっているところを、「こうしたらさらにいいよ」とか助言しながらチェックする。ある程度わかったなと思ったら1人でやらせてみる。そうやって徐々にバトンを渡していくのが、委任をする上でのポイントです。

一方で多くの世の中のマネージャーは、いきなり仕事を任せちゃっているんですね。自分で実演しながらではなく言葉だけで説明してやらせようとしちゃうので、うまくいかないんです。

4段階の仕事の任せ方で徐々にバトンを渡していく

——社内の事務作業の他にも、実際にお客さまへの商談とかプレゼンの際に部下に同行してもらって、見てもらうのも良さそうですね。

橋本:そうですね。商談は、うちの場合は4段階ぐらいに細かく分けています。まず、私がお客さまに商談したりフォローアップしているのを部下も同席させてもらいます。

お客さまに説明する時は、「共にフォローさせていただくので、後輩も一緒に同席をさせてください」って正直に言えばいいだけなので。私がやっているところを黙って横で見せて、終わった後に「どうだった?」って言いながら振り返る。その時に、「こんなことを意識してこうしたんだよ」って解説します。

次は、自分が6割、7割ぐらいしゃべるんだけど、3割ぐらいは後輩にしゃべらせる。例えば、最初の冒頭の紹介だけとか、事前に「会社説明だけは、今度は自分でやってみてね」と言って、本人にやらせる。

次は、後輩が7割ぐらいしゃべったりしているのを横で見ながら、3割ぐらいは、「ちょっと今の補足なんですけども」みたいな感じで手を添える。最後は、自分は何も言わずに後輩だけが1人でやる。

「あぁ、十分自立しているな」と思ったら、「次からは僕は同席しないから、1人でやってね」と徐々に独り立ちさせるんです。

部下が当事者意識を持つ、具体的な仕事の任せ方

——最初から「自分のやり方を見て盗め」と丸投げするのではなく、徐々に手を離すようにして部下に任せていくんですね。仕事を任せる時の、具体的な伝え方の工夫を教えていただけますか?

橋本:とにかく丸投げするのが良くないので、「とりあえずやっておいて」とか、「自分なりに考えてみて」とか、「あとは頼んだ」とか、「本気でやってくれ」みたいな漠然とした感じの指示は、言ってはいけません。

逆に、やったほうがいい伝え方ですね。まず1つは、「こういう仕事をお願いしたいんだけど」「まずこの仕事はどういう意義があるかというとね」と、意義を話す。で、「この仕事をなぜ君にお願いしたいかっていうとね」という、任せる理由を伝える。

例えば、「あなたのこういう強みがあるから活かしてほしいんです」とか、「あなたにこういう次の成長をしてほしいからこの仕事をお願いしています」とか、「あなたはこういう願望があるから、それにも関係すると思ってこういう仕事をお願いしていますよ」とか、「私にとってあなたはとても信頼できる部下なのでお願いしていますよ」と伝える。部下の立場に立った時に、「私に任せてくれている理由があるんだな」と思える伝え方をすると、当事者意識を持てます。

あとは、「いつまでにどういう状態にしてほしい」ということを伝える。「いつまでに」っていうのはけっこう多いんですけども、例えば「あとは役員会に配れるようなPDFの資料の状態にして、ドライブにアップロードしておいてほしいよ」とか。

お客さまの引き継ぎだったら、「3月末までに30人のお客さま全員と直接ご挨拶ができている状態にして、信頼関係を築いて、その面会の記録が会社のCRMのデータにちゃんと入力されている状態を作ってほしいですよ」とか、どういう状態を作りたいのかを明確に伝えるのが大事です。

ゴールイメージを伝えれば部下は自ら動き出す

——どういう状態まで、とすごく具体的なゴールを示されているんですね。

橋本:やはり人って頭の中でゴールのイメージを持てたほうが、自ら考えることができるので。例えばNGな例としては、「とりあえずこの30人のお客さまを引き継いで、誠実にフォローして、よろしく!」みたいな(笑)。

そうではなく、「3月末までに30人の人と、全員と面会して、しっかり信頼関係を築いた上でその人の面談記録が記録に残っているような状態にしてね」っていうのは、「作り出したい状態」がイメージできますよね。

そうすると本人の中で、「じゃあ、2月中に半分ぐらいはお会いしておこうかな」とか、「データに入れるんだったら、質問項目は最初にメモ用紙に書いておこうかな」とか、途中のプロセスもイメージしやすくなりますね。

——そこでざっくりした伝え方をしてしまうと、部下にはどんな悪影響があるのでしょうか?

橋本:たぶん、曖昧な伝え方をして、「わかった?」って言ったら、「わかりました、がんばります」と言うけれども、プロセスがあまり浮かばないと思うんです。まずイメージが湧かないので行動が止まりますね。行動に移せないので、1週間経っても2週間経っても何も進んでいないです。

「あの件、どうなっている?」って聞いたら「あっ、まだちょっとやっていないです」「早くやってよ」となって、最後は、「もういいよ、俺がやるから」って引き上げる。これの一番の問題は、部下はゴールとプロセスがイメージできていないのに、雑な指示をしていることですね。あるいは「イメージつく?」みたいなことを、途中で質問してあげていない。いずれにせよ上司側に問題がありますね。

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