司会の仕事は「他人のウェルビーイングを手助けすること」
藤井:それこそ、大学院で今研究されている推し活とウェルビーイングって、あと1年とかですか?
吉田:普通は2年で修士課程はおしまいなんですけど、僕は社会人で仕事をしながらなので、4年でいいですというコースがあるので、その承認を取っているので4年行きますね。
藤井:じゃあその4年間で、「こういうところだけは明らかにしたい」とか、「研究の中でこういうことを示したい」とかは、何かあったりはするんですか?
吉田:さっきも言いましたけど、目標を立てるのは難しい。ほぼ苦手というか、「目標に向かってがんばる」みたいなことがぜんぜんできないタイプなので。
目標というよりは、ウェルビーイングとアイドルファンの在り方には関わりがある。ほぼ確実だと思う。今だから、見えていないだけだと思うんですよね。
(その世界に)来ちゃった人はすぐにわかって、「これは害もないし、本人もめっちゃ楽しい」ということが来ちゃえばわかると思うんですけど、来ていない人からすると、「お父さんが突然アイドルにハマっちゃったんです」みたいなことを、むしろ悩みで言う人がいてもおかしくない。
悩むどころか、「それは大丈夫なことなんですよ」というふうに、世間に思ってもらえるようにしたいんですね。
藤井:確かに。そこはまだ、そういう見え方がしちゃうというのはあるのかもしれないですね。
ちょっとまた少し話がずれちゃうかもしれないんですけど、吉田さんはラジオのパーソナリティもやられて、イベントでも当然司会をやられたりとか、配信などもやられたりすると思うんですけど。
そういった「場をうまく回す」みたいなところって、心がけていたりすることはありますか?
吉田:今考えるに、「司会ってどんな仕事なんだろう」と思った時に、「その場にいる人たちが、生き生きとしていないと駄目よね」という仕事だと思うんですよ。
「人のウェルビーイングを手助けする仕事なんだな」というのは、僕は司会としては思っていて、せっかくこの場に来たのに、なんで自分が呼ばれたのかわからないとかになると、みんなふにゃってなるじゃないですか。そうさせない。
「なんであなたはここにいるのかというと、こういう理由で、こうで、こうで、こうで、前の人がこういうことを言っていましたけど。ということは、きっと○○さんは言えることがありますよね」と言って。
自分の得意な話を振られたら、みんなパッと言ってくれるじゃないですか。という仕事だなと思います。今となっては。
藤井:要はさっき言った「ウェルビーイング」=「生き生き」だとか、生き生きさせるような回し方をするという。
吉田:はい。「人のウェルビーイングのことを考えながら相手をしているな」って思いますね。
藤井:そう言われると、いろんなものがつながってきた感じがします。
吉田:そうなんですよ。今まで考えてきたことっていうのは、全部そうだったわけで。
成功よりも「挑戦」と「睡眠」 究極のウェルビーイング
藤井:あと、このログミーというWebメディアのターゲット層が、20代・30代の若い世代のリーダーみたいなところがあるんですね。
そういう、次世代リーダーに限らないんですけど、働いている人たちに、なんとなくアドバイスじゃないですけど、これからの生き方として、吉田さんなりに何かアドバイスがあれば教えてください。
吉田:お金とか成功とかっていうのは、実はあんまりウェルビーイングと関係がないというのが研究でわかってきていまして。
ウェルビーイングに大切なのは、例えば成功とかお金とかって、一回成功すると、しばらく幸せなんですよ。2〜3ヶ月ぐらい幸せなんですけど、2〜3ヶ月ぐらいしたら戻るんですよ。
逆に失敗のほうも、「損した」とか「失敗した」と思っても、やはり2〜3ヶ月ぐらいで元に戻ります。
だから実はこの2つっていうのは、そんなにウェルビーイングに対して決定的な理由ではない。もちろん、多少は左右しますけど。
決定的な理由は何かと言うと、「挑戦」なんですよね。何かに対して、「いや、うまくいくかも、いかないかも」と思いながら毎日何かやっている人は、だいたいウェルビーイングが高いんですよ。
だから、実は「挑戦するのがいちばんいいです」というのが、すごくシンプルなメッセージ。
藤井:なるほど。
吉田:挑戦は、「挑戦すると成功するよ」みたいなことを最終的な理由にしている人がいるとすると、それはちょっとズレていて。
そうじゃなくて、挑戦すると、したらしただけで得なんですよ。したらもうウェルビーイングを達成するからっていうことで、挑戦しましょうというのが1つと。
あと、「成功を目指す」っていうのとか「お金を目指す」みたいなことになると、やはりいろんなことがブレるんだと思うんですね。仕事って、誰かのウェルビーイングを達成するためにやったほうがいいと思うんですよ。
そうすると、「まったくお金は儲からないけど、少なくともこの人たちは幸せになったよね」みたいなことで前に進むじゃないですか。
地道にそんなことをやっていると、時々、「なんかものすごく儲かったんですけど」みたいなのがひょっこり出てくることもあるので。仕事の目標というか、日々の活動の目標にするのは、それが大切なんじゃないですかっていう。
その時に、他人ばかりじゃなくて、自分のウェルビーイングを考えたほうがよくて。なので、いろいろ考えた末に、僕はよく寝ないと駄目だなということに気づき、今めちゃくちゃ寝ています(笑)。
藤井:そうなんですか(笑)。
吉田:8時間は必ず寝る。大前提として。間に合わなかったら、その時はその時。
藤井:そうなんですね。
吉田:睡眠より優先する用事はない。
藤井:睡眠が自分のウェルビーイングになると。
吉田:そうです。
藤井:確かに成功とか失敗とか、そういう物差しで測りがちっていうのはありますね。
吉田:方法はどうでもいいです。
藤井:確かに。
吉田:子どもってよく寝ているじゃないですか。寝不足の幼稚園児とか、あんまり会わないでしょう。寝たいから寝ていますよね。それでみんなだいたい生き生きしているじゃないですか。あれでいいんだっていう。
藤井:なるほど。僕も最近寝不足で。
吉田:寝ましょう。
藤井:寝ます(笑)。いろいろとありがとうございます。
吉田:でも寝るようになった理由も、実はありまして。
バーチャルがおもしろいということで、VTuberとか今やっているわけです。バーチャル世界、昨日もプラド美術館のロケーションVRとかを観にいっていたんですけど、VRをやった瞬間に、あれはもう異世界にいる感じじゃないですか。
そんな時、「この世でいちばんすごいVRって何かな?」と思ったら、夢だなと思って。
藤井:なるほど。
吉田:睡眠中に見る夢。この体験を「楽しい。でも寝不足だな」と思いながらするのは意味がないなと思って。だったら寝たほうがいいと。
実際に寝ると、とんでもない体験ができませんか? 誰でも。
藤井:できますね。夢の中でということですよね。
吉田:そうなんですよ。じゃあ寝ましょうよって。
藤井:私もVRのヘッドマウントディスプレイを持っていて、知り合いにもVTuberが何人かいるので、いろいろ誘われたりして行くんですけど、やはりおもしろいですよね(笑)。
吉田:「確かにすごい!」って思う。AIがすごいというのとは、ちょっと意味合いが違うじゃないですか。
藤井:そうですね。本当にリアルとかではないんだけど、あの世界に浸るとおもしろいなと。
吉田:物理法則すら関係ないですからね。
藤井:VRももっと本当は広まっていいかなと思うんですけど、やはりハードルがありますよね。
吉田:一回、ヘッドマウントディスプレイを被せなきゃいけないからねっていう。
藤井:そうですね。物理的なハードルが何かあるのかな。私がそもそもテクノロジー系の雑誌を編集していた時に、「体験の伝播をどうするか」ということを、すごく考えていたことがあって。
それこそテクノロジーをやっていたから、VRとかもいろいろすごくおもしろいとは思うんだけど、「それをじゃあどうやって伝えればいいの?」みたいなのって、すごく難しいなと思っていて。
やればおもしろいのはわかるんですけど、それってどうですかね?
吉田:そこに関して言うと、やはりいろんなことに共通するんですけど、やる前にいろいろ考えている人が多くて、とりあえずやったほうがいいんだっていう。なんでもかんでも。
藤井:確かに。
吉田:やらないとわからないことはいっぱいありますからね。やるとそれだけで「あ、なるほど!」みたいに腑に落ちることがいっぱいあるので。
さっき「挑戦」と言いましたけど、数字を設けて、「何月何日までにこれを達成する」みたいな挑戦ばっかりじゃなくて、やったことのないことをやるだけで、それも挑戦なので。
藤井:そうですよね。「とりあえずやってみれば」が、もっと広まるといいなと思います。
おもしろいお話、ありがとうございました。