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一生働く時代の「お金の不安」との向き合い方(全2記事)

「投資を勉強するのは効率が悪い」 元ゴールドマン・サックス金利トレーダーが語る「お金を増やす」ための近道

【3行要約】
・投資への関心が高まる一方で、多くの個人投資家はプロの情報力と資金力の前に平均以下のリターンに甘んじています。
・田内学氏は、リアルタイムの専門情報を追い続けるのは個人にはかなり難しく、市場はすでに情報を織り込み済みだと指摘。
・若者は限られた時間を投資の勉強ではなく、仕事のスキルアップと「周りのためになること」を考える方向に使うことを提案します。

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投資を勉強するのは効率が悪い

——先ほど、今や大学生でも「投資をしなきゃ」と焦りや不安を抱いているというお話がありました。やはり若いうちは資産形成よりも体験にお金を使ったほうが良いということでしょうか。

田内学氏(以下、田内):そうですね。今学生時代に戻ったとしても、僕は投資はたぶんしないんですよね。だって効率が悪いですから。

——そうなんですね。でも、「複利で増えるから投資は早くから始めたほうがいい」ってよく聞きますよね。

田内:お金が手元にたくさんあるんだったらいいですよ。これは2点あって、そもそもお金が手元にないと増える速度が遅いっていうのと、もう1つは、投資をがんばったからって増えるものじゃないんですよ。

——個人が投資のやり方を勉強しても、うまくいくとは限らない。

田内:だって考えたってわからないに決まっているから、僕は銘柄を選ばないですもん。例えば証券会社の中にいると日々いろんな情報に接しているから、ほかの人とは違うような情報があったりしますよね。それはインサイダーとかの意味じゃなくて、ふだん生きていく中で「今半導体の価格が上がってるな」とか「リチウム電池の需要が増えてて何かのレアメタルが足りないな」とかって情報は、普通に入ってこないじゃないですか。

個人投資家がプロに勝つのは無理な話

田内:「日銀の(金融政策)決定会合で、この半年内にまた金利が上がりそうだな」とかって調べればわかるけれど、それをリアルタイムにずっと追っていくのって、まあ無理なわけです。僕らがいろいろ調べて「こういうことがあるんだ、だったらこの価格が上がるんじゃないか」って思った時には、その情報にはすでに手垢がついている。そんなことはマーケットはもう織り込んでいるわけですよ。

そこでインデックス投資なら、手数料を取られるかもしれないけれども、何も考えずそれを買っておけばいいわけです。一方、プロのファンドとかの中には、それを超えて儲けている人たちがいます。

そもそも、なんで平均以上に儲けている人がいるかっていうと、テストの点数でも全員平均点以上の点数を取ることはできないわけですよね。平均点が50点ですっていうテストで、みんなが60点を超えるって無理なわけですよ。

プロががんばってインデックスのレベルを超えていたりするということは、インデックス以下の人たちがいるわけです。そこにいるのはどう考えても素人ですよね。だったら何も考えないでインデックスを買っていたほうがまだマシです。

——確かに。自分でいろいろ銘柄とかを調べるのは効率が悪いと。

田内:誤解されやすいのは、(投資は)ほかの勉強とかと違うんです。例えば囲碁とか将棋とかをがんばったら上手になって、勝率が上がるわけですよね。それはアマチュアの中にいるからです。

でも投資って、売ったり買ったりしている相手は藤井聡太並みのプロだったりするわけですよ。しかもそのプロのほうが扱う金額が大きいから、100人のうち99人の素人が負けて1人のプロが勝っているかもしれないんですよ。

年収を上げるためにスキルアップするほうがよっぽど効率的

——そう考えると、「将来のために」と個人で投資をがんばるのは、なかなかコスパが悪いと言えるかもしれないですね。

田内:結局できることって限られていて、NISAとかiDeCoとか、仕組みを知ることぐらいなわけです。しかも若いと手元にお金がないわけですから、なおさら若い時間をそんなことに使わなくてもいいと思います。

あとは、今これだけ初任給とかが上がっていたりして、職種によってけっこう値段が違ったりするわけじゃないですか。もし仮に人生の目的がお金を増やすことだとしても、「じゃあ年収が高い仕事に就くにはどうしたらいいか」を考えたほうがいいわけです。

だって手元にお金が100万円あって、仮に(投資をして)それが10パーセント、20パーセント増えたところで10万円、20万円なわけですよね。職種によっては年収が100万円、200万円変わるかもしれませんから、そっちをがんばったほうがいいですよね。

それで良い会社に入ったらゴールじゃなくて、そこでいろいろな経験を積んで、また転職して金額が上がっていく。

——ビジネスパーソンも投資をがんばるというよりは、今目の前の仕事をがんばるほうが、稼ぐという意味でも効率的かもしれないですね。

田内:別に投資は投資でやればいいと思うんですけど、それに時間をかけること自体は効率的でない。インデックスでも何でもいいから考えずに買って、放っておけばいいんです。とにかくお金を増やすことだけじゃなくて、自分の能力を上げることに時間やお金を使うといいと思います。

給料を増やしたいなら、周りの人のことを考えたほうがうまくいく

——例えば20代、30代のビジネスパーソンに向けて、「これをやっておいたほうがいい」ということはありますか?

田内:僕がやっていた仕事ってトレーディングだったので、まさに個人主義というか(笑)。1人でやる部分がけっこう多かったんです。それは個人がすごくがんばったら評価される世界で、自分が得意だった数学を活かせるような仕事だったから良かったんだけど。こうやって本を書いたりするようになって、「いろんな人に協力してもらったほうが、できることが増えるな」っていう当たり前のことに気づきました。

会社で何か一緒に仕事をしていく中でも、それぞれの人がもし「自分のお金をどう増やすか」だけ考えていたら、最終的にはお金の奪い合いみたいな話になる。でもそうじゃないところに目的があるんだったら、それは協力しようっていう気になりますよね。

例えば雑誌を売りたいよねって時に「部数を増やさないと儲からないから協力してくれ」って言ったとしても「協力するけどお金ちょうだい」になるわけじゃないですか。もしくは「別に部数を増やすことに興味がない」となる。

でもそれに共通の目的があって「読んでいる人はこういうような問題を抱えているから、そういう人たちを救いたいんだ」とか、自分にも関わることだとしたら協力してくれるかもしれません。

そう考えると、自分のお金を増やすことだけを目的にするのは「協力者はいらないよ」って言っているのに等しくて。別に自分のお金も大事だけれども、「周りのためになることって何だろう」と考えたほうが圧倒的にうまくいくよね、と思います。

「やりがいか、年収か」という議論

——先ほどのお話にあったように働く目的としては、お金をたくさん稼ぎたいっていう人もいる一方でやりがいを重視される方も多いと思います。「やりがいか、年収か」という議論に関して、田内さんはどう考えていらっしゃいますか?

田内:やりがいというか、生きていく中で自分が周りに対して「何かしらの影響を与えているな」っていうことに、やはり生きてる意味を感じるのかなと思います。それは別に仕事だけじゃないですよね。子どもを育てていても、友だちの相談に乗るのも。僕たちは相手に対して何かしてあげることで、自分の存在を認識しているのかなと思います。

それが仕事なのか、日々の子育てだったりするのか、もしくは友だちとの会話だったりするのか、いろいろあると思うんですよ。そのうちの1つがお金をもらう仕事なだけであって、それだけが大事なわけじゃないですよね。

——仕事をする上でも、なんらかのかたちで他者の役に立つことでやりがいを実感できるなと感じました。

田内:そうですね。あとよくワークライフバランスって言いますけど、僕はそれが気持ち悪いなと思っちゃうんですよね。働くことがライフの一部だと思うんです。でも最終的には正解がなくて、それぞれの価値観なわけじゃないですか。

高市(早苗)さんの「馬車馬のように働きます」という発言に対して批判があるのは、彼女が働くことによって周りがその時間帯に合わせなきゃいけないんだとしたら困る話であって。彼女がそれをわかった上で、遅い時間は自分だけでできることに使うぶんには、ぜんぜんかまわないと思うし。「ワークライフバランスはこうあるべきだ」って、それぞれがバランスを選べることが大事なんだと思います。

——重要なのは何が正解かを見つけることではなく、それこそ周りからの不安とかに流されずに自分のバランスを見つけることなのかなと思いました。田内さん、ありがとうございました。

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