一生働く時代の「お金の不安」との向き合い方(全2記事)
お金を「いかに貯めるか」よりも大事な「どう使うか」 投資ブームの罠と本当の豊かさの条件 [2/2]
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「いかにお金を貯めるか」よりも「どう使うか」が大事
——なるほど。ここまで社会的な問題についてお話ししていただきました。この不安を放置しておくことで、個人にとってはどんな問題があるのでしょうか。
田内:僕ら個人としても、お金を増やすこと自体は人生の目的じゃないですよね。「老後が不安だからお金を貯めよう」と言って、それが目的化されてしまっている現状があると思います。
例えば『人生ゲーム』は子どもが生まれたら周りの人から1万円ずつもらったりするわけです。ゲームの中でお金を払うってことは良くないから、誰かに子どもが生まれて1万円払うのはマイナスなわけですよね。それで最後のほうになっていくとちょっと金額が大きくなっていく。
終盤で、例えば1千万円支払わされるようなイベントのマスに止まっちゃうと、がっかりするわけですよ。でもよく見ると、宇宙旅行に行って1千万円払っているわけです。
——「最後にお金をたくさん持っていた人が勝ち」というのも、よく考えたら違和感がありますよね。
田内:そう。宇宙旅行に使ったならそれはすごく幸せだと思うし、そう考えると僕らが求めるのはお金じゃない。『人生ゲーム』でお金を貯めるのが目的になっているって、実はすごくおかしな話です。企業だったらお金を増やすことが目的だけれど、個人はそれをどう使うかがすごく大事ですよね。
なので生きていく上でお金は必要だけれど、例えば大学生が老後のために今から準備し続けるのはもったいないと思うんです。
奨学金を借りて大学に行ったのは、大学の4年間という時間を買うために借りているのに「お金を増やさなきゃ、マイナスを埋めなきゃ」っていうことが目的になっちゃうわけじゃないですか。 「お金を増やす」ことだけを目的にする危険性
——「将来良い会社に入って、お金を稼げるようになるために、学生の間は勉強をがんばる」という考え方もありますよね。
田内:将来のために準備するには、お金だけじゃないわけですよ。今の「良い会社に入る」っていう話で言うと、金融資本以外に、いわゆる人的資本とか社会関係資本っていうものがあるんです。
これがもし『人生ゲーム』だったら手元のお金だけを増やすんだけれど、『ドラゴンクエスト』みたいなゲームにおいては、お金を増やすことは大事だけれど優先順位は高くないんですよね。それより自分が敵と戦ったりすることによってレベルアップするとか。
あとは一緒に戦っていく仲間を見つけていくことで、自分の選択肢が増えるわけです。これはちゃんとゲームの中でキャラクターとして可視化されるし、「ちから」とか「かしこさ」とか使える魔法ですごく可視化されます。要はお金以外に明確に可視化されて「増えてるな」って感じるものがあるわけなんですよね。
武器を買ってお金は減るんだけれども、武器を買うことで「攻撃力が上がってるな」って思うから(お金を使うことが)できるわけです。
つまり、個人のライフプランって言うけれども、お金だけじゃないわけですよね。自分が何か学びを得ることも、将来稼ぐためだけじゃなくて、新しい知識を得たり、違う世界の見方ができることで、知識欲が充たされたりして喜びを感じることがあるわけじゃないですか。
そういうのを全部無視して「どうお金を増やすか」だけになっちゃうと、それは自分にとってもプラスにならない。仮に将来、お金をたくさん稼ぎたいという時も、今お金を増やすことをがんばるのではなく、人的資本、社会関係資本を増やすことのほうが良かったりするわけです。そういう意味でも「お金を増やさないと不安だよね」というのは、個人の戦略としても正しくないんですよね。
——単に「お金を増やす」という目的で行動するのは本末転倒になってしまう場合もあるんですね。ありがとうございます。 続きを読むには会員登録
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