今週の人気記事では、「指示待ち社員の育成」「上手な注意の仕方」「マイクロアグレッション」「効率的マネジメント」「メンタルケア面談」といった、実践的なテーマが上位にランクインしました。これらの記事に共通するのは、部下との信頼関係構築を基盤に、効果的な対話を通じて組織を強くするという視点です。トップ5記事から、実践的なコミュニケーション術をお届けします。
5位:部下の愚痴に「わかる」と言わない面談が組織を守る "会社がおかしい"と嘆く部下に対する適切な返し方
PDCAの学校・代表の浅井隆志氏は、メンタルヘルス対策の重要性を指摘しながらも、現状の対応が形骸化している実態に警鐘を鳴らしています。
「業務上の精神疾患による労災認定は、ずっと増え続けていますし、時代背景としても『言っていいんだ』という空気が広がってきました」と浅井氏は説明します。
メンタルケア面談で最も重要なのは、部下の愚痴や不満に対して賛同しないことです。
「一番良くないのは、『うちの会社、おかしいと思うんです』『おかしいよね』とか、『わかる』と返してしまうことです。これは絶対にやってはいけません」と浅井氏は強調します。
【効果的なメンタルケア面談のポイント】
・「○○と感じているんだね」「○○と受け取っているんだね」といった受け止め方をする
・ネガティブな内容そのものは肯定しない
・バックトラッキング(相手の言葉を繰り返す技法)を活用する
浅井氏は「不満をなくしていこうという動き自体は必要ですが、それに過敏になりすぎても、実情としてはあまり大きく変わらないケースも多い」と指摘し、仕事のやりがいや達成感、成長の実感といった動機づけ要因の重要性を強調しています。
元記事はこちら 4位:管理職の罰ゲーム化は"仕組み化"ができていないから 1日10分の「型」で作る効率的マネジメント
合同会社Growth Goals代表の山田弘志氏は、短時間で効果的なマネジメントを実現する「10分間マネジメント」を提唱しています。
「10分間マネジメントの特徴は、成果と育成をわけないことです。業務を前に進めながら、同時に人を育てる。それを可能にしているのが、対話を型化している点なんですね」と山田氏は説明します。
多くの職場では対話が整理されていないため、さまざまな問題が発生しています。
・目的不明の対話による雑談化、結論が出ない会議
・仕事と気持ちが混在した非効率な対話
・課題整理の不足による問題の再発、手戻り
・判断基準の不統一による現場の混乱
・心理的安全性の欠如と表面的なコミュニケーション
山田氏はインタアクション・マネジメント(IM)という手法を基に、2つの異なるニーズを同時に満たすことの重要性を指摘します。
「部下には同時に2つの欲求が存在しています。左側のタスクニーズ(仕事を前に進めたいという要求)と、右側のヒューマンニーズ(人間としての欲求)です」。
山田氏によれば、10分間マネジメントの導入により、会議や面談の時間が約60パーセント削減された例や、指示待ちが減って部下からの自律的な行動や提案が増加した例があります。
「これの良いところは、自己開示がされるんですね。自分の感情が開示されて、背景のより深いところ、どうしてほしいのかまで開示できるっていう、けっこう深い領域までしゃべれます」。
元記事はこちら 3位:職場の心理的安全性を下げる"自覚なき差別的発言" 同僚との会話で気をつけたい3つのNGパターン
荒金雅子氏は、日常の些細な言葉や態度が相手に深い傷を与える「マイクロアグレッション(無意識の差別的言動)」の問題点と対策について解説しています。
マイクロアグレッションには3つのパターンがあります。
1. マイクロインサルト:相手の能力・価値を軽視する侮辱的なニュアンスを含む発言や態度
- 「まだ若いからこのプロジェクトは無理じゃない?」
- 「君にしてはよくやった」
2. マイクロアサルト:最も露骨で攻撃的な言動
- 会議や情報共有から特定の人を意図的に外す
- 会議室で特定の人の隣に誰も座らないなどの態度
3. マイクロインバリデーション:相手の経験や感情を無効化するような言動
- 「それは考え過ぎじゃないか? 気にし過ぎではないか?」
- 「うちの会社はDEIを推進しているから差別はないよ」
荒金氏は実例として、「ある外国人が、マーケティングがしたくて専門的スキル・知識を身に付けたいと日本で就職してせっかく配属されたのに、外国語の通訳の仕事ばかりを頼まれ、『ここでは自分のキャリアは上がっていかないのではないか?』と感じていた」ケースを紹介しています。
こうしたマイクロアグレッションが放置されると、個人のメンタルヘルスだけでなく、組織にも悪影響を及ぼします。
・心身の健康への悪影響(不安、葛藤、ストレス、疎外感)
・コミュニケーションの低下
・チームの信頼関係の悪化
・心理的安全性の喪失
特に力を持つマジョリティの立場にある人(管理職、役員など)は、自分の言動の影響力を自覚し、職場環境の改善に取り組むことが重要だと荒金氏は強調しています。
元記事はこちら 2位:部下への「上手な注意・叱り方」の技術的なコツ 上司が意識したい成長を促す効果的な伝え方
部下への注意は単に事実を伝えるためではなく、相手の行動変容を願い、成長の場を作ることが本質です。株式会社co-take代表の手嶋武久氏は、効果的な注意の仕方について解説しています。
【部下を萎縮させる注意の失敗例】
・一方的な指摘や詰問
・「なんで?」という問いかけ
・具体性を欠いた「正論」だけの指示
効果的な注意のポイントとして、「Iメッセージ」の活用が挙げられます。これは「私」を主語にして自分の感情や考えを伝えるコミュニケーション手法です。
「例えば、資料の提出が遅れた部下に対して、『(あなたは)資料の提出が遅いです』と伝えるのがYouメッセージです。これは相手の行動を指摘・評価するものであり、反発を招きやすい言い方です」。
効果的なIメッセージは、以下の3つの要素をセットで伝えることで構成されます。
1. 感情:自分がどう感じたかを伝える
2. 背景:なぜそう感じたのかの説明
3. 願望:相手にどうしてほしいのかの具体的な要望
手嶋氏は「信頼残高」という概念も紹介しています。これは日頃のコミュニケーションを通じて相手との間に信頼という名の預金を積み立てていくイメージです。
「心理的安全性が高いことの言い方をちょっと変えると、僕は信頼残高がある状態だなといつも思っていて。『この人だったら、なんだかいろいろと信用できるな』とか、『何を言われても大丈夫だな』っていう状況の中でフィードバックをすると、信頼残高が残る状態になると思うんですね」。
元記事はこちら 1位:指示を出すほど部下は劣化する 4社の事例で判明した「指示待ち」の本質
多くの企業で課題となっている「指示待ち社員」について、髙桑由樹氏は4社の事例を基に分析しています。
高桑氏によると、指示待ち問題の本質は部下と上司双方の課題にあります。
部下側:「仕事がわからないから指示を待つ」
上司側:「部下の現在地が見えづらいため、どこまで任せていいのかわからず、逐一指示を出してしまう」
「指示出しというのは、上司がこれまで培ってきたやり方を、そのまま部下にコピーして渡している状態です。コピー&ペーストですね。ただ、コピーを重ねていくと、どうしても劣化していきます」と高桑氏は指摘します。
【指示なし部下を育成するための環境づくりのチェックポイント】
・「自ら考えて動くこと」が奨励される評価制度になっているか
・部下が相談や提案をしやすい環境になっているか
・部下を「いつまでに、どこまで、どのように成長させるのか」が明確か
・部下自身が「何がわかっていて、何がわかっていないのか」を理解できているか
・部下の考えや発言が本質に近づくよう上司が後押しできているか
・上司は部下の提案を実行に移すだけの実行力を持っているか
高桑氏は上司として「指示なし部下」を育成する4つのステップも提案しています。
1. 育成ステップを整理する
2. 現在地を見立てる
3. ステップと現在地に基づいて進捗管理する
4. 望ましい行動を評価する仕組みをつくる
「育成できる上司を育てていくためにも、指示なしで動ける人材を育成していく必要があります。これは、組織にとって非常に大事なテーマです」と高桑氏は締めくくっています。
元記事はこちら