【3行要約】・AI時代の到来で「人間は要らない」という議論が生まれる中、バーチャルインフルエンサーの台頭と本物・偽物の境界が曖昧になる問題が注目されています。
・ 森川亮氏は「マイクロ・ナノインフルエンサーがお金をもらわずに投稿する価値」に着目し、地方創生の担い手としての可能性を語ります。
・ 次世代へのアドバイスとして「東大に行けではなくインフルエンサーになれ」と提言し、「AI×自分」のオリジナリティを描くことの重要性を強調しています。
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AI時代だからこそ、「人間らしさ」と「信用」が価値になる
「正直言うと、人間は要らないんじゃないか」——AI時代の未来を語る森川亮氏から、衝撃的な言葉が飛び出しました。バーチャルインフルエンサーが「おいしい」と言う動画は、はたして道徳的に認められるのか。本物と偽物の境界が曖昧になる時代に、何が価値を持つのか。そして若者へのアドバイスは「東大に行けではなく、インフルエンサーになれ」。インフルエンサーが「ラストワンマイル」となり、地方創生の担い手になる未来像を語ります。
藤井創(以下、藤井):AIやテクノロジーが出てくる中で、そこに人間らしさをどうつなげていくか。今後どうなっていくと思われますか?
森川亮氏(以下、森川):悩ましいところなんですけど、正直言うと、人間は要らないんじゃないかというふうに、いずれはそうなっちゃうので、そうなってほしくないなという気持ちも込めてですね。最近、正直言うと、インフルエンサーもバーチャルインフルエンサーが出てきて人気になるので、「そっちのほうがいいんじゃない?」と言う人も多いんですよ。
ただ個人的に、例えばバーチャルインフルエンサーがごはんを食べている動画を流して、「これ、おいしいです」と言った時に、それはでも偽物じゃないですか。それを道徳的・哲学的に認めるのかという別のところがあって。そこはきっと法規制ができるんじゃないかなと思いますけどね。
藤井:AIが進めば進むほど、人間らしさ、その人らしさが重要視されてくる気がします。
森川: 難しいところなんですけどね。AIが進化してくると、そこまでたぶんできちゃうので。そうすると本当に、フィクションかノンフィクションかだけの違いになる。本当はその証明があるといいと思うんですけどね。NHKの大河ドラマとか、ちょっとぎりぎりじゃないですか(笑)。
藤井:(笑)。
森川: でも、人とAIの境目をつけるとしたら、どこかで線引きしないとおかしなことになるし、それに慣れた子どもたちは区別がつかなくなると思うんですね。なので、そこはなんらかの線引きがあったほうがいいんじゃないかなと私は思うんですけどね。本物がわからなくなるというか。
藤井:C Channelとしては、今どこに力を入れているのですか?
森川: 今は「Lemon Square」というプラットフォームを軸に、マイクロ・ナノインフルエンサーに注力しています。理由としては、マイクロ・ナノインフルエンサーの方って、お金をもらわずに投稿いただいているんですよ。
まさにジャーナリズムの世界というか、お金をもらって書く人と、お金をもらわずに書く人って、ぜんぜん質が違うじゃないですか。やはり人気インフルエンサーってお金をもらって投稿しているので、見ているほうもモヤモヤするわけですよ。
藤井:いわゆる案件と言われるものですね。
森川: そうなんですよね。もちろんそれも人気の人は、そこに惹かれて動くんですけど。我々はそうじゃないマイクロ・ナノの人たちで、本当にいいと思って投稿する人たちを束ねているのが1つと。あとさまざまなインフルエンサーのみなさんのデータを分析することで人軸のアドネットワークみたいになっていまして。
もともとアドテクの領域って、興味関心データからターゲティングするというのがあるんですけど、今の若い人は「広告が気持ち悪い」となっているので。ただ、好きな人がターゲティングしてくれるとうれしいんですよね。結果的にそういうマッチングをしています。
藤井:それは日本だけではなく展開しているのですか?
森川: 今、日本とインドネシアでやっていまして。中国は日系企業の中国進出というところでインフルエンサーマーケティングとEC店舗の運営もやっています。実際向こうに店舗を作って、そこで売りながら、インフルエンサーを活用して集客をしています。これからはインフルエンサーが店員さんみたいなかたちかなと思いますね。
インフルエンサーが「ラストワンマイル」になる未来
藤井:将来的に、インフルエンサーの役割はどう変化していくと考えていますか?
森川: 私のイメージとしては、インフルエンサーのネットワークがラストワンマイルになる、コンビニのチェーンみたいになるかなと思っていまして。インフルエンサーも地方に住んでいる方がけっこう多くて、そうすると各村にインフルエンサーがいて、その人経由で物を売るとか、もしくはそこの村の物をみんなに発信して買ってもらうとか、そういう流れを作れるといいかなと思っています。
今は3万人のインフルエンサーがいますけど、3万人が日本全国で地域のいいものを世界に売ったとしたら、けっこうなパワーかなと思いまして。
藤井:インフルエンサーがラストワンマイルになることで、地方創生もカタチだけではなく、本当に盛り上がる可能性があるということですね。
森川: そうですね。最近TikTokでも、野菜農家さんがライブで売ったりとか、カニ漁師さんが売ったりとか、米を売ったりとか、そういうのが盛り上がっているんですよね。やはり生産者の顔が見える世界なので。
藤井:まさにクリエイターエコノミーですね。中央集権的ではなく、一人ひとりが主役になっていく。
森川: そうですね。最近、ご存じのとおり経営者もインフルエンサー化していて、やはりこれからは、お金よりも影響力が重要な時代が来るだろうと言われています。ビジネスでも地域でも、影響力を持つために、いかにSNSを活用するかが非常に重要かなと思っています。