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努力が続かない人のための「科学的な継続」のコツ(全2記事)

「三日坊主になる人」と「コツコツ続けられる人」の違い 科学的に証明された、人生が変わる習慣化のテクニック

【3行要約】
・新年の目標を立てても三日坊主で終わる――多くのビジネスパーソンが抱える「継続できない」という悩みが根深い問題となっています。
・堀田秀吾氏によると、脳は新しい刺激に数日で慣れてしまい、平均66日かかる習慣化までに挫折する人が多いと指摘。
・完璧主義を捨て「いいかげん」な心持ちで小さく始め、仕組み化とルーティン化で続けることが三日坊主脱却の鍵となります。

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本連載では、過去に取材したビジネスパーソンを再び訪ね、その後のキャリアや働き方、職場観・人生観がどのようにアップデートされたのかをうかがいます。今回は、明治大学教授/言語学博士の堀田秀吾氏にインタビュー。勉強やダイエットのような努力を継続させるための効果的な方法について、科学に基づいた最新の知見をうかがいます。

「コツコツ続けられる人」は何が違うのか?

——新年の目標を決めても三日坊主になってしまう、とよく聞きます。科学的に見ると、三日坊主はどんなメカニズムで起きるのでしょうか?

堀田秀吾氏(以下、堀田):人間の脳は新しい刺激を喜びとして感じますが、何日か繰り返してくると、慣れてしまって関心を持って臨めなくなります。つまり「飽きてしまうからやらなくなる」というのが第一の原理です。

1日目は「わぁ、楽しそう!」。2日目も「まあまあだ」。3日、4日目になると普通になってきて、「もうやらない」みたいな(笑)。

——あるあるですよね。それでもコツコツ続けられる人と、続けられない人の違いはどこにあるのでしょうか?

堀田:先ほど言った、仕組みを作っているか、その仕組みがちゃんと自分の生活の中でルーティン化されているかどうかがもちろん大きいです。何日か続けると、もうそれをしないと気持ち悪いという時期が来るわけですよ。ちゃんとルーティン化するための仕組みを自分の中で作れて、しかもそれをちゃんと守れるかという話です。

イチロー氏は、朝食べるものから球場入りのタイミング、バッターボックスに入る動作まで、すべてプログラムされているかのように決められたパターンでやりますよね。だからこそ、いつものようにいつものことをいつもの気持ちでできて、平常心で質の高いパフォーマンスができるんです。

スポーツ科学の研究でも、力み過ぎて9割を超える力でやると、逆にパフォーマンスが落ちることがわかっているそうです。全力で臨めと言いつつ、本当に全力を出しちゃうと逆に結果が悪くなるという話です。なので、ぼちぼちでいいんです。

——おもしろいですね。完璧にやろうとし過ぎると、逆に嫌になってしまうこともあるのかなと思いました。

堀田:本当にそのとおりで、うつ病になる人は真面目な人が多いですよね。考え過ぎてしまう人です。なぜかというと、理想の状態「こうであってほしい」、あるいは義務の状態「こうでなければならない」、これと現実の「こうである」という状態に齟齬があると、人間はイライラ、モヤモヤするわけです。それがストレスになります。

うつ病の人はほとんどの人が心に葛藤を抱えていることがわかっています。現実と理想、あるいは義務との状態が違うことで、人間はモヤモヤするんです。

「いいかげん」でやる気楽さが継続のコツ

——完璧主義な人はなかなか続けられないのですね。コツコツ続けられる人は真面目でしっかりしているからだと思っていましたが、もしかしたら少し「いいかげん」にやったほうがうまくいくのでしょうか。

堀田:本当にそうで、習慣化するまでには平均で66日かかると言いましたが、その間、別に抜けてもいいんです。抜けてもいいから、またちゃんと再出発できる。それぐらいの気楽さがあるといいわけです。完璧主義を求めると、1日抜けた時点で「あぁ、もう駄目だ、おしまい」となってしまいがちです。この、実は抜けてもいいんだよ、というメッセージはすごく大事だと思います。

——スケジュールを最初に決めるのは大事だと思いますが、そのとおりにやろうとし過ぎるとうまくいかないのかもしれませんね。

堀田:そうですね。理想の状態と現実の状態には、いろんなところで絶対に齟齬があるとわかっているので、そこに心を悩ませてはいけません。

「If-Thenプランニング」というものがありますが、「こうだったら、こうする」というルールをあらかじめ決めておくんです。例えば「1日休んだら次の日に倍やる」というように用意しておけば、もうちょっと気楽にいけます。「今日抜けちゃったけど、明日2倍走る」と決めていたら、「じゃあ、明日がんばろう」でいいわけです。

負荷が高いのはいけない、というのが大基本なので、なるべく負荷を高めないようにどうしていくかというところです。

——努力は自分に厳しくすることだと思っていたので、「負荷を高めないことをがんばる」という視点は新鮮でした。

堀田:人間は負荷が高いことはやりたくありません。例えば、寝転がっている時に動きたくないのは、その状態が安心・安定・安全だからです。基本的に人間は、安心・安定・安全な状態であれば命を脅かされる危険もないので、そのままでいたほうが生命維持の上で有利なんです。

だから、もし新しいことを始められないのだとしたら、今の生活が安心・安全・安定に保証されているから動けないんだな、と考えてもいいわけです。だったら、どこかを崩してやればいい(笑)。簡単に言えば、ですが。

すぐに試せる習慣化のテクニック

——書籍の中でも具体的な習慣化のコツをたくさんお話しされていますが、特に反響があったものを教えていただけますか?

堀田:一番バズったのは、勉強でインプットをする前に右手でボールを90秒間握ってから覚えると覚えやすくなる。反対に、インプットしたことを思い出したい時は、左手を90秒間握ると思い出しやすくなる、という話ですね。

人間の脳は、左が覚える脳、右が思い出す脳なんです。神経は交差しているので、右手をボールでギュッと握ると左の脳が活性化します。つまり、エンジンがかかった状態で記憶すれば、より効率良く記憶できるわけです。

——なるほど。

堀田:そして思い出す時は左手をギュッと握ると、右の脳が活性化してエンジンがかかる。だから、より思い出しやすくなるという仕組みです。

——右手を握ると効率良くインプットできる。反対に、何かを思い出したい時、アウトプットしたい時は左手を握るといいんですね。他に反響があったものはありますか?

堀田:感謝日記もいいですね。寝る前にその日感謝できたことを3〜5つ考えてから寝ると、睡眠の質が良くなるそうです。感謝することでポジティブになり、脳がリラックスした状態になるんです。脳はすごく騙されやすくて、感謝することを聞いて気持ち良くなった脳は、その状態がそのまま残ります。だから、リラックスした状態で睡眠の質も良くなるという原理です。

——リラックスすることで勉強も効率的になるのですか?

堀田:リラックスした状態は脳にとってすごく良い状態なので、勉強の効率も上がります。集中力が上がるとか、いくつかの効能が証明されています。

焦っている時って、視野が狭くなって脳の一部しか使っていないイメージなんです。だから実はあまり効率良く覚えられていない。記憶は、いろんな情報を紐付けて覚えたほうが思い出しやすくなります。脳がリラックスしている時は、より多くの情報を集めてこられると言われています。

ネガティブな感情との付き合い方

——目標達成のためにがんばりたいけどがんばれない時もありますよね。そういう時に自己嫌悪や罪悪感にとらわれてしまう人も多いと思いますが、こうしたネガティブな感情とどう付き合っていけばいいでしょうか?

堀田:ネガティブな人に「ポジティブになれ」と言うと、もっとネガティブになってしまう「バックファイア効果」というのがあります。だから、少なくともネガティブな人は、ネガティブな言葉を使わないというのが大事です。

1950年の有名な実験で、「一言ネガティブな意味が入っているだけで、みんなそこに引っ張られてしまう」というものがあります。当然、自分の気持ちもダウンします。だからポジティブにならなくていいから、ネガティブな言葉を使わない。これを意識するだけでだいぶ変わってきます。

——「がんばれない自分は駄目だ」と思ってしまいがちですが、言葉にしないことが重要なんですね。

堀田:はい。少なくともネガティブなことを言わないだけでだいぶ違います。あと、他人に対しても言わないほうがいいですね。人間はネガティブな言葉を使うと、それが他人を傷つけていたとしても自分が傷ついてしまうんです。「お前は最低だ」と言った時は、「自分が最低だ」と言っているのと同じようなダメージが脳に来るということです。

そういうことが続くと、うつ病になったり悩んだりするので、ネガティブなことはとにかく言わないのがポイントです。

——なるほど。ほかに、メンタル面で楽になる考え方はありますか?

堀田:日々嫌なことやイライラすることはあると思いますが、それを回避するために「メンタル・ディスタンシング」という考え方があります。何か嫌なことがあっても、「これって来年覚えているかな?」「3年後、10年後覚えているかな?」と心の中で時間的な距離を取るんです。

そうすると、「いや、きっと来年覚えていないよな。じゃあ、いいや」と小さなことに思える。これを覚えておくだけでも、日々のちょっとしたイライラ、モヤモヤがだいぶなくなります。

もう1つが「エモダイバーシティ」、感情の多様性という考え方です。人間は、実は良いことも悪いことも含めていろいろな感情を経験したほうが幸福度が高いというのがあるんです。

嫌なことがあると落ち込みがちですが、「人生いろいろの一部なんだ」「こんなもんだよ」とそのまま受け入れる。「人間ってこんなもんだよね」「人生、いいことも悪いこともあるよね」と、「そんなもんでしょう」という考え方ができると、すごく精神的に楽だと言われています。

新年の目標達成に向けて、まずは「進捗表」から始めよう

——年明けに新年の目標を決めた人に向けて、今日からやってほしいアクションはありますか?

堀田:新年が明けて新しいことをやる人は、やはり進捗表をつけましょう。大きな目標と小さな目標を立てて、その小さな目標を成し遂げるためのロードマップに落とし込む。それを手元に置いておくか、壁に貼っておいて、進捗が見えるように毎日チェックしていく。そういうのはけっこう大事です。

——堀田さんご自身はどんなツールを使われていますか?

堀田:私が使っているのは付箋のアプリで、すごく重宝しています。携帯のホーム画面の一番上に付箋のようなウィンドウが出て、そこにやらなきゃいけないToDoリストが表示されるようになっているんです。AIが勝手にメールなどを読み込んで、今日の予定を教えてくれたりもします。

——すごく便利ですね。今日お話いただいたことはすぐに実践できることばかりなので、さっそく試してみたいと思いました。堀田さん、ありがとうございました。

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