5位:"がんばりすぎる上司"が職場を壊す 「有能な怠け者」に学ぶ、マネジメント再入門
「やさしいビジネススクール」を主宰する経営学者の中川功一氏が、マネジメントの本質と「有能な怠け者」という興味深い概念について語りました。
中川氏はまず、「経営とは物事の正しい道理を営むこと」と説明。「経営学は一部のエリートのためではなく、学びたい意欲のあるすべての人に開かれるべきもの」と強調しました。
マネジメントの出発点について、中川氏は「自分が幸せになること」と説きます。「自己犠牲が正しいことではなく、ステークホルダーの輪の中に自分自身も入っているのです」。
本題である「有能な怠け者」の概念は、ドイツの軍人ゼークトの理論に基づいています。中川氏は、人材を「有能/無能」と「働き者/怠け者」の2軸で分類して解説しました。
・「有能な働き者」:指揮官の下で働く人材として重要
・「有能な怠け者」:トップに最も適した人材
・「無能な怠け者」:組織にいても害が少ない
・「無能な働き者」:最も危険で組織から排除すべき
「有能な働き者があなたかもしれない」と中川氏は指摘。「できない人の分まで自分が汗をかいて解決する方が多いのではないでしょうか」。
しかし、それがどういう結果になるかというと、「職場に対する恨みつらみになる。『私ががんばらなきゃいけない』というようなかたちで、職場の仲間たちや上司や年上の同僚に対するヘイトを溜めながら、『私が一生懸命だからここの組織は回っているんだ』ってなりがちなんです」。
中川氏は「あなたが余裕を持って働くべき理由」として、「無能な怠け者を有能な怠け者が上手に使わなければならない」と説明します。自分が全部やるのではなく、「上手にほかの人たちをうまく動かしていって、あなたはなるべく手を抜かなきゃいけない」と強調しました。
「基本的には有能な人は働き者になり、無能な人が怠け者になる。この構造をどうやってツイストした状況にするのかがポイント」と中川氏は締めくくりました。
元記事はこちら 4位:すかいらーく創業者が、社長を辞めて75歳で再起業したわけ "あえて長居させるコーヒー店"の経営に込めるこだわり
株式会社高倉町珈琲の代表取締役会長であり、すかいらーく創業者の横川竟氏が、75歳で再起業するに至った経緯とこだわりについて語りました。
まず横川氏は、すかいらーくの始まりについて振り返りました。「学校に行かなかった私は生きていくには商売の道しかないと思い、一番厳しい築地に入って商売を覚えました。独立しようと思ったら『俺も、俺も、俺も』と4人になり、1人25万円ずつ出し合って開業したのが始まりです」。
当初、外食産業に参入した理由については「今、一番遅れている業界がいいだろうと考えた」と率直に語ります。当時の外食といえば「ホテル系とデパート食堂ぐらいしかなく、食べるものの文化はあんまりなかった」とのこと。
「アメリカを見て、日本の10年後はアメリカになるだろうと考え、商売の基本の考え方はアメリカから持ってきて、食材は日本独特のものを使った」と説明しました。
興味深いのは「ファミリーレストラン」という名称の由来です。「最初からファミリーレストランを作ろうと思ったら、たぶん作れなかったと思います」と横川氏。当初は子ども向けではなかったが、ランチメニューを充実させ、日曜日に向けてお子さまメニューを導入したところ家族連れが増えたそうです。それを見た新聞記者が「ファミリーで食事をして楽しい店」と表現したことから、自分たちで「ファミリーレストラン・すかいらーく」と名付けたとのことです。
2008年にすかいらーくの社長を辞任後、5年後の75歳で高倉町珈琲を起業した理由について、横川氏は「ファンドは『良い店じゃなくていいから儲ける店を作れ』と言いましたが、私は『お客さんが喜ぶ店』を作りたかった」と語ります。
高倉町珈琲ならではのこだわりとして、「あえてお客さんに長居してもらう」工夫を紹介。「普通は長居ができないような椅子や通路にするのに、うちは長居をしてもらうように通路を広くしています」。
さらに「空気は1時間で5.5回転させており、どんどん新しい空気が入ってくるので、お客さんがいっぱいになっても爽やかでいられる」という独自の取り組みも明かしました。「価格とモノ以外の価値をいくつつけるのかがレストラン」という横川氏の経営哲学が表れています。
元記事はこちら 3位:リーダーに向いていない人の特徴9つ 理想のリーダー像から見る適性の見極め方
組織のパフォーマンスはリーダーの質に大きく左右されます。特に注意すべきは、チームに対してマイナスの影響を与えるリーダーの存在です。
リーダーに向いていない人の特徴として、以下が挙げられています。
1. すぐに諦める姿勢
2. できない言い訳をする
3. 成果が出ない理由を外部要因にする
4. 危機感がない
5. やるべきことを「自分がやらなくていい理由」を見つけてやらない
6. ミスをしても謝らないまたはバレないようにごまかす
7. 人が見ていないところでサボる8. うそをついてごまかす9. トラブルから逃げる
リーダーが諦めることは、他のメンバーに「もう努力しなくても良い」という免罪符を与えることになり、チーム全体のパフォーマンスが著しく低下します。
エン・ジャパンの2024年調査によれば、現代で最も支持されているのは「ビジョン型」のリーダーです。これはリーダー自身の夢や目指す方向性をチームの共通目標として掲げ、その達成方法は部下の主体性に任せるスタイルです。
人を惹きつけ本気にさせるビジョンを語るポイントは「誰のためにやるのか」という問いから始まります。会社のため、上司のため、自分たち(We)のためといった社内の論理だけでは人の心を動かせません。顧客や社会といった「彼ら(They)」のために行動するという視点が重要です。
株式会社らしさラボ 代表取締役の伊庭正康氏は「単なる役割として目標を語るのではなく、1人の人間として『They』の課題を自分事として捉え、その解決への強い意志を示すこと。これが、現代におけるリーダーの絶対条件」と指摘しています。
また、プレイヤーとして最も優れた成果を上げている人材を、そのままマネージャー職に昇進させる危険性も指摘されています。「プレイヤーとしての適性と、マネジメントとしての適性は絶対に違う」ということを理解する必要があります。
マネージャーに向いている人材とは、個人の成果を最大化することではなく、「チームの生産性を上げ、成果を最大化するために、何がボトルネックになっているか」を、個々のメンバーよりも高い視座で常に考えられる人物です。
元記事はこちら 2位:"給料だけもらえればいい""がんばるだけ損"が職場に広がる理由 3社事例で見る、企業に多い4つの課題と象限ごとの対策
髙桑由樹氏が、職場でモチベーション低下が広がる原因と対策について、3社の事例を用いて解説しました。
組織課題は「事業構造・組織体制」「働きやすさ」「働きがい」「空気・文化」の四象限が相互に影響し合っており、特定の領域だけでなく全体にバランス良く対策を講じる必要があると指摘します。
【A社の事例(商社業)】
・穏やかな社風で業歴が長いが、変化に躊躇する文化
・年功序列による人材登用で、成果や努力が報われにくい
・ジョブローテーションが少なく仕事の属人化が進んでいる
・モチベーションが低下し、働きがいを求める人材ほど退職
対策:
・「働きやすさ」:成果やがんばりが評価に反映される仕組みの導入
・「事業構造」:ジョブディスクリプションの明確化と年次に関係ないアサイン
・「空気・文化」:新規性のある業務目標の設定で変化への慣れを促進
・「働きがい」:努力が次の役割につながるキャリアパスの設計
【B社の事例(設計業)】
・上司の発信が部下に伝わらない、ルールが守られない
・上司の迎合的な態度が部下の不満を高める
・「がんばってもがんばらなくても自分には影響がない」という空気
・社員が自己完結的に仕事を進め、連携が少ない
対策:
・「事業構造」:自己完結型からチームで成果を出す体制へ移行
・「働きやすさ」:プロセスも測定できる評価指標の整備
・「働きがい」:チーム単位での進捗確認会議導入
・「空気・文化」:管理職のコミュニケーションスキル向上
【C社の事例(販売業)】
・発信しづらい雰囲気や性別による役割固定化がある
・「お金さえもらえればいい」「がんばるだけ損」という空気
・地域同業他社と比べて賃金水準が低い
・若手が育たず退職が散見される
・既存顧客からのリピート受注が多く、大口顧客担当かどうかで成果に差
対策:
・「事業構造」:業績管理の単位を個人からチームへ変更
・「空気・文化」:部門横断の対話機会増加
・「働きやすさ」:年功評価から業績評価へ切り替え
・「働きがい」:等級に応じた成長課題の階段状設計と個別支援
「組織課題は4つの象限が複雑に影響し合って生まれるため、解決策もすべての象限でバランスを取って講じる必要があります」と髙桑氏は締めくくりました。
元記事はこちら 1位:職場の空気を悪くする"有害社員"の対応策 "仕事はできても迷惑"な部下に管理職が取るべき行動
株式会社らしさラボ代表取締役の伊庭正康氏が、組織全体に悪影響を及ぼす「腐ったリンゴ」のような社員への対応策について解説しました。組織行動論の権威ウィル・フェルプス氏によれば、特に危険な3タイプの人物がいます。
1. 悲観的な人
- 何を言っても前向きにならない
- ネガティブな発言(「いや」「どうせ」「でも」「だって」)が多い
- 新しい提案に反応しない
2. 攻撃的な人
- 他の意見を反射的に否定する
- 感情的になる
- マウントを取る(「俺が営業の時は…」)
3. 怠ける人
- 期限を守らない
- 業務負担が偏り、自分だけ早く帰る
-面倒なことは避ける
フェルプス氏の研究によると、このような「腐ったリンゴ」が1人いるだけで、チームのパフォーマンスが30〜40パーセント低下するとのこと。伊庭氏は「トップパフォーマーでも、周囲の人の発言が封印されるような状況では、チーム全体の満足度は大きく下がる」と実体験を語りました。
重要なのは「その人のせいとは言い切れない」という視点です。問題の原因を以下の3つに分析しています。
・リーダーが放任している
・チームの規範が曖昧
・心理的安全性が低い
対策として、伊庭氏は3つの行動を推奨しています。
1. チームの規範を明確にする
- 方針はリーダーがトップダウンで示す
- コミュニケーションを取りながら浸透させる
- チーム全体を巻き込み、問題行動を「少数派」に
2. 早期介入
- 別室で本人と話し、注意する
- 「この規範に乗っていただかないと困ります」と伝える
3. モデル行動を示す
- リーダー自身が模範を示す
- 良い行動をしている人にポジティブなフィードバックを与える
「ほとんどの場合、リーダーが変われば腐ったリンゴがおいしくなることがよくあります」と伊庭氏は締めくくりました。
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