宇宙産業はまだ入り口。「宇宙×好きなこと」で無限の可能性が広がる
藤井:2030年、あるいは2040年、宇宙産業自体はどうなっていくと思われますか?
小林:そうですね。やはり2030年っていうスパンで見た時に、特に我々からすると、本当に宇宙の本当の商業的な時代が開始してくるタイミングだと思っています。
ロケットも、今どんどんSpaceXとかが打ち上げていますが、それでもまだまだ打ち上げ成功している企業は少なくて、世界でも数社くらいしかいない中、2030年ぐらいになってくると、本当に複数……日本からも当然当たり前のように民間のロケットが打ち上がって、世界各国でもどんどんロケットが打ち上がってくる。本当に商業的に宇宙開発がされていると。
その打ち上げられた衛星も民間主導ですし、特に大きくまだなかなか政府から民間にシフトしていなかった宇宙ステーション周りも、2030年に大きく民間にシフトしていくと。今は少しずつですが、それが本当に全体が民間主導になっていくっていうフェーズが、特に地球の低軌道においてはもう民間主導になっていくのが2030年のタイミングかなと思っています。
当然月面とか、もっと遠いところになるとまだ国主導の部分はあると思いますが、そういう大きな変化というものが2030年だと思っています。
2040年になってくると、特に2030年の商業宇宙ステーションみたいなものをきっかけに民間主導になっていくと、民間由来のアプリケーションが増えていって、宇宙旅行とかもそうですよね。
そういった産業が大きく立ち上がってくると思っていまして。2040年の世界っていうのは、今みたいに宇宙ステーションが1つあるだけではなくて、複数の国の宇宙ステーションがあったり、まさに宇宙旅行用の大型の宇宙ステーションとか、いろんな地球の軌道上に複数の拠点があって、月面にも基地があったり、月面の軌道上にもステーションがあって。
こういうステーション間をつなぐ輸送も含めた、本当にまさにいわゆる交通網、宇宙に行った後の軌道上の交通網ができている世界っていうのが2040年の世界だと私たちは考えています。
その中で、まさに今言ったような交通網を自分たちが作っていく、そこを主導していく存在になっていきたいっていうのが我々が目指している姿ですね。
藤井:ここ数年で宇宙ビジネスという言葉をよく聞くようになり、お金も動いている感じがすごくします。何かハードルを越えたイメージがあるのでしょうか。
小林:そうですね。さまざまなものがありますが、特に2021年以降とか、直近のところで言いますと、実際に民間としての成功例が世界でも数多く出てきているっていうのが大きいかなと思いますね。実際に上場するスタートアップ企業も日本国内でも出てきていますし、世界でも出てきていますし、SpaceXがああやって定常的にサービスをしていっていると。
そういう世界が目に見えてくると、当然そこに流れてくる資金の量というのも段違いに変わってきているなというのを感じていまして、今、事業会社も、あとは投資家も含め、宇宙にまだ触れていなかった方々も、何かしら宇宙にやはり取り組みたい、宇宙に投資したい、宇宙で事業を始めたい、そういう方々がかなり増えてきています。
むしろ今のフェーズでそういうアンテナを張っていない人のほうが少ないくらいになってきているかなと思っていまして。メディアさんでもだいたい宇宙のものって取り上げていると思うんですけど、それくらい、なんか宇宙に関わっていないほうがちょっとまずいんじゃないかみたいな機運に、やはり成功例が出てきたから、なってきたと思っています。これが大きいかなと。
成功例が出てきたことによってリスクマネーが増えてくると、今度は企業側はさらなるチャレンジ、リスクを取ったよりアグレッシブな研究開発というのもできるようになってきます。
そういうふうにリスクマネーが増えて企業が増えてくると、今度は国側の支援も増えてくるので、本当にこういう好循環のサイクルが今回っていっているっていう部分はあるかなと思います。これがさらにまた好循環で事例が増えていくと、よりみなさんが参入していくようになっていって、もっといい面も増えてくると。
本当に今、こういう、ようやく宇宙産業が飛躍的に成長してくる入り口の段階に入ったフェーズかなと思っていますね。
藤井:なかなか一般のところまで、宇宙が自分事じゃないと感じている人が多いと思うんですよね。そのギャップをどう埋めていけばいいのでしょうか。
小林:そうですね。むしろ自分事になっていないのも逆に言うと自然なのかもしれないなと思っていまして。というのも、例えばGPSとか天気予報って当たり前に我々は使っていますけど、別に宇宙のサービスを使っているっていう感覚はたぶんみなさん持っていないですよね。
藤井:そうですね。
小林:でも、もう我々の地球上の生活においても宇宙インフラが欠かせないような状態になっているわけで、なんかそういうふうに気づいたら当たり前になっていると思うんですよね。気づいたら普通に宇宙に旅行へ行くとか、宇宙で仕事をするっていうのが当たり前の世界になっていると。
本当にそういうふうに徐々に徐々に変わっていく。気がつかないうちに気がつかない部分から変わっていって、気がついたら宇宙に普通に行っているよねっていう世界になるのかなと思いますね。
藤井:それは、何年後ぐらいですかね?
小林:いや、でも本当に2040年くらいにやはりそういう世界になると思っていますね。この2030年から2040年の間が宇宙産業が大きく変わってくるタイミング。さっきの商業的な宇宙利用っていうふうに言ったのと同じくですけれども、大きく変わってくるタイミングだと思っていますね。
藤井:最後に、これから宇宙産業に参入したい、起業したいと思っている人たちにアドバイスをお願いします。
小林:はい。正直やはり宇宙ってまだぜんぜん小さな入り口の段階だと思っています。人の活動が宇宙に広がっていけば、「宇宙」×「○○」で無限に可能性があると思っています。
例えば私自身が最初のきっかけになったのは宇宙での建築物。これも正直まだまだ世界的にはぜんぜん実現されていない部分ですけれども、人が生活するってなったら、建物をどうするかとか食料をどうするかとかエネルギーをどうするかとか、むしろそれって地上での生活のナレッジのほうが活きてくると思うんですよね。
むしろ宇宙の技術をわかっている人だけではなくて、地上の技術とか地上の産業をわかっている人が、そこに宇宙を掛け合わせるっていう考え方で、これから宇宙産業の裾野ってどんどん広がっていくと思っています。むしろ宇宙にこれまで関わったことのない人こそですね、
今やっている仕事が、宇宙で今の仕事をやるんだったらどうなるのか。こういうところから考えていくと無限の可能性が本当にあると思っています。
今、スタートアップ企業とかも増えていますけど、ぜんぜんまだまだ当たり前にみなさんが宇宙開発に……おそらくいずれ宇宙事業っていう名前がなくなりますよね。
藤井:あぁ、なるほど、普通の事業に。
小林:そうです。そういう世界がやはり来るかなと思っていますので、自分の好きなことと宇宙を掛け合わせてみるっていうのが重要かなと思いますね。
——なるほど、それはおもしろいですね。ありがとうございました。