部下を疲弊させる“目線高すぎボス”問題　上司の期待値をコントロールするためにすべきこと　

部下の困惑に気づかない上司

——今までに経験した「こんな困った上司がいた」というエピソードについて、どのような場面や言動があったのかを教えてください。

カメ氏（以下、カメ）：非常にロジカルで仕事ができる上司がいました。彼にとって業務は効率よくサクサクとこなすことが当たり前で、部下にも無意識的に自分の熟練度・スピード感で仕事を振ってくるタイプでした。

一方、私は要領が良いタイプではまったくなく、その業務の目的や意義が消化できるまでいちいち手が止まってしまったり、モヤモヤして先に進めなくなっていました。

もちろん、場数を踏むことで慣れていくことはあると思いつつも、現実的に「慣れていない自分」を置いて先に進むことは、私にとって苦しいと感じることでした。

あえて弱みをさらけ出し、自ら1on1を希望

——具体的な対処として、どのようなことを行いましたか？　

カメ氏：これが正解なのかはわかりませんが、自分は要領がよくないこと、業務の目的や意義を消化できないとどの方向に進んでいいかわからず、歩き出せないタイプであることなど、上司が持っていた「私への過大評価」を徹底的に否定しました。

口頭で伝えても話が流れて行ってしまうかもしれないと考え、Wordの文書にすべての不安や自信が持てない点を書き出し、こちらから1on1を行いました。

——その対処を行った結果、状況はどう変わりましたか？　

カメ氏：「上司の感覚で仕事をこなせると思わないでください！」と正直に伝えたのが功を奏し、以前よりも私の思考のクセやペースを尊重してくれるようになったと感じます。

とはいえ、一度伝えたくらいではすぐに元に戻ってしまうのが人間です。今でもことあるごとに「買いかぶらないでください！」と定期的にリマインドをかけています（笑）。

カミングアウトにより、適した仕事が回ってくるように

——今振り返って、「これが有効だった」または「これをしていれば早く楽になれた」と思う、当時の自分に教えたい具体的なアドバイスを挙げてください。

カメ氏：「自分は効率よく仕事ができる人間ではない！」ということを早めにカミングアウトするのが一番なんじゃないですかね。

見栄を張ったり、カッコつけたりしてもできないものはできない。上司や会社、クライアントをガッカリさせ、自分にも失望する……という負の綱渡りにトライするより、最初から期待値を下げてしまったほうが全員がハッピーだったりします。

少なくとも、私はカミングアウトしたからと言って評価が下がったことはまったくありませんでした。むしろ、私が得意なタイプの仕事ばかりが舞い込んでくるようになり、執着心の薄い上司には出せないアウトプットに一目置いてもらえることも増えました。

それぞれの個性を活かす『ポケモン』型が理想

——「ボスマネジメントに困っている」というビジネスパーソンに向けて、アドバイスをお願いします。

カメ氏：経験値が上のボスと戦闘力で競おうとすると、めちゃくちゃキツイ。でも、ボスにはない強みを打ち出せば重宝され、尊重してもらえるのではないかと思います。

純粋な戦闘力の高さで存在価値が大きく左右される『ドラゴンボール』型ではなく、必ず強みと弱みがあり、お互いを補い合ってチームで戦う『ポケモン（ポケットモンスター）』型で生きていくほうが無理がないのでおすすめです。

今回インタビューしたログミーBusiness読者
カメ氏 （マーケティング・製品開発業 40代）

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