お知らせ
お知らせ
CLOSE

中村英泰氏インタビュー(全3記事)

“上司ガチャ失敗”で退職を選ぶ前に知っておきたいこと どんな上司の下でも成果を出せる人の共通点

【3行要約】
・若者の離職理由は「仕事内容・人間関係・将来性」が三大要素だが、転職前に試すべき「ボスマネジメント」という選択肢があります。
・中村英泰氏によれば、若手の離職は会社全体ではなく「職場環境」に起因することが多く、上司との関係構築が重要な鍵となっています。
・ボスマネジメントとは上司を操作することではなく、双方向の良好な関係を構築するツールであり、受け身の働き方から脱却して自らのキャリアを切り開く手段です。

若者の「離職理由」の3大要素

ーー中村さんが現場を見る中で、若手はどんなところに悩んでいると感じますか?

中村英泰氏(以下、中村):はい。まず、私たちは就職をする時、転職をする時、いずれにしても求人サイトから会社名を見て、どんな会社なのかを調べますよね。そして、場合によっては勤務地であったり、給与水準を見ながら会社を選びます。ただ、辞める時には職場を理由に辞めていくのです。

(退職理由として)よく言われる三大要素があります。仕事の内容、人間関係、そして、将来の展望性。若い方たちからの現場での声を聞いていくと、まず1つ目、職場に「自分がこうありたい」と目指すべき人が見出せないのです。2つ目としては、この職場にいても評価されないのではないか、ということです。自分の評価が不当に低いと思っているのかもしれませんね。

最後の3つ目は、「この会社で働いていて将来性がないと感じる」。これもよく聞きます。この3つに関して、会社がどうかというよりは、職場で感じたものを離職理由としてあげていたりします。だからやはり職場で何が起きているかということは重要です。

職場で具体的に何かをかたちにできなければ、人生において3分の1、人によっては3分の2を占める、働く時間が意味をなさなくなってしまうかもしれません。そうした中で「ボスマネジメント」が重要になってくるのです。

退職を選ぶ前に知っておきたい「ボスマネジメント」

ーーそういったところの解消法として、なぜボスマネジメントが有効になってくるのでしょうか。

中村:ボスマネジメントがすべてを変えてくれるというわけではなく、あくまで目的のための手段だと考えてもらいたいです。どんな道具でもやはり使い手によってその効果が変わってくるものですから、私たちが主体としてどうありたいのかということがまず重要です。

そうした時に、会社を辞めたら本当に次の職場で自分らしく働けるのかどうか。将来性が期待できるのかどうか。またそこで自分が思い描くようなリーダーと出会えるのか。そして、自分は評価されるのか。これらは「会社から与えられるもの」というよりも、「自分たちが何かをしたことによって得られるもの」だと捉えることが重要です。そして、その手段として最近最も有効だと言われているのが、ボスマネジメントなのです。

ーーなるほど。確かに「自分が評価されていないのではないか」とか、職場の人間関係も、ボスマネジメントによって上司とのコミュニケーションがうまくいくことで解消できる道もありそうですね。

転職した先でも同じ悩みを抱えることのないように、ボスマネジメントを通して上司との関係性を良くするというのが、離職を選ぶ前にやっておくべきところなのかもしれないと感じました。

中村:そうですね。

上司を「操作する」という勘違い

ーーボスマネジメントという言葉を聞くと、人によっては上司を操作するとかゴマをするみたいなネガティブなイメージを持つ人もいると思うのですが、中村さんが考える本来の意味を教えてください。

中村:そうですね。最近の言葉で言えば、マネジメントというよりはエンゲージの考え方のほうがよりマッチするのかもしれません。経済学の観点、社会学の観点、労働の観点から考えて会社というものが「誰のものなのか」という議論は他に預けますけれども、みんなのためでもあると思うのです。

そこで働いている人たちが、将来どうあるのかというところに向けて、今過ごしているこの1時間、1週間、1ヶ月、1年、2年という時間はかけがえのないものです。会社の代表であっても、同じ24時間の大切な時間を投じているわけですし、部長であっても、役員であっても、課長であっても、そして私たちであっても、それは同じです。

そこを良くしていこうと思った時に、マネジメントという言葉に対して、操作するとか管理するといった印象を強く持つのは拭えません。ただ、お互いに良い関係を作るための1つのツールという見方をしてもらえるといいのではないかなと思います。

ーーなるほど。マネージャーだけが一方的に管理するのではなく、マネジメントされる側、部下側に求められるスキルが変化してきているとも言えるのでしょうか。

中村:すごくいい視点ですよね。ここでちょっと理解しなければいけないのは、私たちが勤める会社を取り囲む経済環境が変わったという点です。

市場に物がなかった頃は、早く安定して良いものを届けるというのが企業の命題でした。そこにおいては、間違いなく、会社という立場から長く市場を見てきた人たちの言うことに従うことが重視されました。なので、昔からマネジメントというものは、「上司が言うことに対して従う」という発想で使われてきたことが多かったのです。

「言われたことだけやる」時代は終わった

中村:ただ、市場が大きく変わり、良い物があふれるほど多くある時代になりました。それをどう生かして自分の人生を良くしていくのかということが重視される時代に移ってきています。

そこで「新製品を当社は12万円で売り出します」と言った瞬間に、みんな次に何をするかと言ったら、スマートフォンを見て、その同じ機能、同じ性能であるものはいくらが適正なのかと見比べます。

そうすると自社の商品は、そのままでは売れない可能性があります。そうした時に何が必要かと言えば、上司が言うような取引先に10個、20個納めてこい、100個の契約を取ってこいということではありません。取引先の関係者とどういう関係性を作り、それを上司に認めてもらって取引を成立させるのか。上司に言われることだけをやっていた時代はもう終わったのです。

いわゆるゴールが変わったのと、そこにおいての進め方が変わった中で、従来のような言われるままのコントロールコマンドのマネジメントの下に自分を置くのか。それとも自分の考えをいかに組織に還元して、そこから自分なりの成果を引っ張ってくるのか。

後者のように、求められていることに対して何か自分なりのすべを持たなければ、会社や上司を動かすことはできません。ここで重要になってくるのが、そこの隙間に埋めることのできる、コミュニケーションの手段、いわゆるボスマネジメントです。

「上司が悪いから」という言い訳でチャンスを逃す

中村:それを踏まえて、私たちがボスマネジメントをすべき理由をまとめると、1つ目は、そもそも、受け身で働く従属の働き方がありますよね。「言ってくれなかったじゃないですか」とか、「そこを評価してくれないんじゃないですか」と言っている間に投じている時間が過ぎていって、いわゆる自身のキャリアアップをするための生産性が低くなります。最近は「主体的な働き方」が重要だと言われますが、そこに向けて自ら動いていく必要があるんですね。

そして2つ目は、アメリカの心理学者であるエドワード・デシとリチャード・ライアンが言っているのですが。私たちが主体的に働くためには、やはり周りとの関係構築が必要なのです。

そして最後、3つ目。私たちはいわゆる、お金をもらっているプロなのです。明日定年する人がどうかとかはともかく、これから先10年、20年と働いていこうと思うと、「上司が悪いから」「組織が悪いから」そして「誰々が悪いから」というところを言い訳にしていると、大事なチャンスを逃すかもしれません。

あらためてですが、ボスマネジメントというものをしっかり引き出しの中に入れておいて、どんな上司であってもうまく自分の成果を出せるように、道具として活用していくのはとても重要な観点です。

ーーありがとうございます。今のお話を聞いていると、やはり若手層が目の前の成果を挙げるためや、長期的なキャリアアップを実現するという意味でも、ボスマネジメントのスキルを身につける必要があるということですね。

関連書籍:『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』中村英泰/著(アスコム)

※本記事にはAmazonアソシエイトのリンクを含みます。記事内のリンクから商品を購入されると、当サイトに収益が発生する場合があります。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

すでに会員の方はこちらからログイン

または

名刺アプリ「Eightをご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!

スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ

名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は

デジタル名刺で
ログインまたは会員登録

ボタンをタップするだけで

すぐに記事が読めます!

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

人気の記事

    新着イベント

      ログミーBusinessに
      記事掲載しませんか?

      イベント・インタビュー・対談 etc.

      “編集しない編集”で、
      スピーカーの「意図をそのまま」お届け!