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コスパ・タイパ時代に「唯一無二」の存在になる方法(全2記事)

80点の仕事をする“優秀な人”の落とし穴 スキルで差がつかない時代に「選ばれる人」になる方法

【3行要約】
・若者のコスパ・タイパ至上主義が広がる一方、短期的に「割に合わない」ことが長期的には最大の価値を生む可能性があります。
・小玉歩氏は、AI時代の到来で「スキルだけでは差別化できない」状況が加速していると指摘します。
・今後は「80点の仕事」より「期待値以上の行動」や人間性で選ばれる人になるため、一見非効率な努力こそが重要になると説いています。

若者の「コスパ・タイパ至上主義」への違和感

——今回出版された『割に合わないことをやりなさい コスパ・タイパ時代の「次の価値」を見つける思考法』執筆の背景にある、問題意識や狙いについておうかがいできますか。

小玉歩氏(以下、小玉):一番あったのは、若い人がすごくコスパやタイパを気にしていて、買い物などもリセールバリューを気にするということです。「これを買ったら売る時に損しない」といった感じで買い物をしていたりするんですよ。

おそらく「全部合理的にやりたい」「損したくない」という気持ちがあって、それが非常に極端だなと感じました。シンプルに「その人生はつまらなくないか?」と思ったのが(笑)、最初のきっかけですね。

年齢を重ねて見えた「無駄」の価値

——なるほど。例えばビジネスシーンで、若手の方がコスパ・タイパを気にしていて「もったいないな」と思ったことはありますか?

小玉:僕が会社に勤めていた15年ほど前、20代の時の話です。40代、50代の人たちの働き方を見て、僕は「すごく無駄なことをやっているな」と思いました。「この飲み会、意味ないな」とか、会議ももっと効率的にやればいいのにと思っていたんですよ。そういうのをスピーディに、それこそコスパ良くタイパ良く仕事をしていたら成果が出たとは思うんですけど。

ただ、今の年齢になって、当時の上司がやたらほかの会社の人と飲みに行っていたことや、「それ、何の意味があるんだ」と思っていたことが、長期的に見てすごく意味のあることだったんじゃないかと思うようになりました。

それをやっておくことによって、何か問題が発生した時に電話1本で解決できたり、そもそも問題を未然に防げたりする。だから、社会人経験の長さによって、何がコスパが良いかとか、何がタイパが良いかという見え方が変わってくると思います。

例えば半年〜1年で結果を出さなきゃいけないとなると、この半年間〜1年間のコスパ・タイパを良くすることしか考えない。若い時ってすぐ結果を出したいし、そんなに10年、20年先のことは考えられないですよね。

あと、何かに取り組んでも「自分に合わないからやめた」とか、ジャッジがすごく速いなと思っています。そういう時代だから仕方ないとは感じているんですけれども、「もうちょっとこらえて磨いたほうがいいんじゃない?」とか思ってしまいますね。

下積み期間が長いほど「爆発力」がある

——見切りのつけ方が速いというか、すぐ諦めてしまうところもあるのでしょうか。

小玉:諦めというより、若い時って無限の可能性を感じるから「もっと良いものがあるはず」「もっと合うものがあるはず」と考えるんですよね。情報も多いから、ほかの道があるのも知っている。

転職も昔より簡単にするようになったし、1つのものにじっくり取り組む人が割合として減っている感覚があります。そうなると、何か自分のスキルや武器を磨くことをやらなくなっていくんじゃないのかな、というのを若い人を見ていて感じますね。

——周囲を見てみても、SNSを見て常に周りと比較して焦っている感じがありますね。早めに結果が出ないと見切ってしまうというのもあると思います。

小玉:結果が出るまで時間がかかったものほど、すごく大きな結果になると思うんですよ。例えば芸能人の出川哲朗さんは、「抱かれたくない男ナンバーワン」と言われていた時期が何十年とあって、今すごく評価されているじゃないですか。

芸能人でも下積み期間が長い人って、うまくいった時の爆発力ってあると思うんですよね。たぶんみんなそういうストーリーが好きなのもあるし、そこまでに溜まってきたパワーみたいなのもあると思います。でも、そこを5年で諦めていたら、その爆発までたどり着いていない。だからジャッジが速すぎるなって思いますね。

裏技が通用しなくなった時代、「割に合わないこと」が価値になる

——小玉さんは、2012年に出版しヒットとなった『クビでも年収1億円』では、最短や最速を極めるような効率主義だったとうかがいました。当時はどのような考え方をされていましたか?

小玉:無駄なことをしたくないし、それこそ最短で結果を出したいし、あとどこかで「世の中をハックしたい」みたいな(笑)。

——近道を見つけたい、とか。

小玉:そう。そういう裏技みたいなのを見つけて、それを攻略することで成果を出していくことに、憧れていました。自分を振り返った時に、そういう世の中のひずみを見つけたり、裏技を見つけたり、裏道を見つけることによって成果を得られると考えていた節があります(笑)。

あの頃はいろいろな仕組みが不完全だったんですよ。例えば「SNSをバズらせる技」みたいなものが当時にあったとします。「こういう投稿の仕方をしたらSNSがバズってフォロワーが増える」みたいな、裏技的なものがインターネット上にいっぱいあったんです。でも今は、それより自然で良いものが評価されるようになっています。

当時は、例えば何か検索した時に、検索結果の上位に表示させるような、ちょっとしたSEOの技があったりとか。インターネット上のルールをハックして成果を出すみたいなところがあった。そういう裏技を駆使してインターネット上で成果を出すことに、インターネットのビジネスをやっている人たちは興味があったんです。自分もそういうことを知りたかったし、そういうことを教えていたりしたんですけれども。

そういう裏技みたいなものって、いずれ是正されるに決まっていますから、当然なくなっていきました。そうなっていった先に、さらにAIとかが出てきた。何かを効率良くこなすとか、何かをうまくやるということの意味がなくなったし、それを発見するみたいな現象も起こらなくなったんですね。

——そこに気づいてから「割に合わないこと」を大事にされるようになったんですね。

小玉:表現の仕方ですけどね。コスパ・タイパだったり、ハック思考の対極にある表現は何かなって思った時に「割に合わないこと」だったということです。

目先のメリットを重視して大きなチャンスを逃す人

——この「割に合わないこと」は、具体的にどういう行動や意思決定を指しているのでしょうか。

小玉:「短期的に結果につながらなさそうなこと」が「割に合わないこと」です。長期的に見たら結果につながるんですけれども、みんなが見ている時間軸はすごく短いから、その時間軸で見ると割に合わないように見える。

例えば今ビジネスを教えている中で、ダイエットサポートみたいなことをやっている人がいました。自分が試して効果のあったダイエットのメソッドを、いわゆるダイエットサポートみたいなサービスで販売していたんですけど、最初はなかなか売れなかったんですよ。

やはり、そのやり方が万人に効果のあるものかどうかは、サービスを始めたばかりなのでわからない。そうした時に、まずは無料でいいからモニターを5人〜10人集めて、ダイエットをサポートして痩せさせられたら、それが結果として見せられますよね。

そして、それを見た人たちがサービスに申し込んでくれる。そう考えて、僕は「モニター募集してやってみたらいいじゃん」と言ったんですが、その方は「タダでやるとなると時給換算で考えた時に割に合わないから」と言ったんです。

——まさに目先のメリットを重視されていたんですね。

小玉:そう。かたや、ある人はすごく安い価格でダイエットサポートをやって、しかもダイエットを達成した時に一緒にお祝いのランチをしたりしていました。それを聞いた時、時給換算したらマイナスなんじゃないか、と思いました。

その後、その方のサポートでダイエットに成功した人がたくさん出てきたので、その段階でグループサポートみたいなのを販売したんです。やはり多くの人が成果を出したという裏付けがあるので、すごく売れましたね。

だから、モニターの期間が3ヶ月だとしたら、3ヶ月では超赤字かもしれないですけれども、半年〜1年で見たらすごく黒字なんですよね。

かたや前者の人は「無料でモニターするのはお金的にも労力的にも微妙だからできない」とか言っている間に時間が経っちゃって、売上も立たない。目先の「無料で何かをやる」というのを避けたがために、半年、1年経った時にぜんぜん売上が立たなかったという事例があります。

——短期目線で「割に合わない」と避けてしまったことで、大きなチャンスを逃してしまうこともあるんですね。

「80点の仕事」をする“優秀な人”の落とし穴

——著書『割に合わないことをやりなさい コスパ・タイパ時代の「次の価値」を見つける思考法』の中では、「期待値以上の行動をするのが大事だ」と書かれていました。この期待値以上の行動とは、どういうものですか?

小玉:シンプルに「相手が喜ぶことをやる」ということです。仕事で「これをやりなさい」と言われてやるのは普通のことですよね。相手が喜ぶかどうかは、たぶんあんまり考えない。

僕が会社員だった時は「業務として決められたことをやります。以上」みたいな感じでした。そこに、「これをやったら上司が喜ぶかな」とか「これをやったら取引先が喜ぶかな」みたいな発想はなかったんですよね。そこの発想の違いだと思います。

——書籍の中では、人は最終的に「なんとなく」とか「この人がいいから」みたいな感覚で選んでいると書かれていて、納得感がありました。こういった、最終的に選ばれるような、決め手になるポイントはありますか?

小玉:結局、「相手にとって気持ち良いやつになる」というのが最後は大事だと思っています。一緒にいて気持ち良い人って、言ってほしいことを言ってくれたり、相手はすごく気を遣ってくれているんですよね。そうやって相手を喜ばせようとする人と一緒にいると、気持ち良いはずなんです。

なんでそれが大事になるかというと、おそらく今後、みんな仕事のレベルが同じになるからです。例えば、40点の仕事をする人と、60点の仕事をする人と、80点の仕事をする人がいたとします。

100点の仕事をできる人はなかなかいないので、80点の仕事をできる人たちが、「できるやつ」みたいな感じで社内でも重宝されたり、フリーランスでも仕事を取れる。

ところが、今後は40点、60点の仕事をする人たちがAIを使って、80点の仕事ができるようになります。そうしたら80点の仕事ができていた人たちって、もう自分のスキルだけで食っていけなくなる。「ある程度仕事ができる」という優位性がなくなったら、選ばれる理由は「良いやつだから」以外にないと思います。

スキルで差がつかない時代に「選ばれる人」になる方法

——なるほど。まあまあ仕事ができる人がその先のレベルを目指すには、非効率なことをやっていくのが大事なんですね。

小玉:そうですね。非効率なことと言っても、2つの選択肢があります。80点を100点に持っていく努力をするのか、80点のスキルのまま選ばれる人になるのか。80点まではギューンって上がるんですけど、そこからはちょっとずつしか伸びないので、80点を100点に上げるのってすごく難しくて、非効率な努力が必要です。

一方で、もう一つの選択肢。今まで40点、60点だった人たちも80点になっちゃうので、80点のスキルで仕事をもらおうとしたら、スキル以外のところで選ばれなきゃいけない。そうなった時に、どこで価値を出すかというと、「あいつ、良いやつだな」とか「おもしろいな」とかの、人間性の部分。ここで非効率な努力をしないといけない。

なので、どっちの非効率なことを取るかということですね。

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