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森田翔氏インタビュー(全2記事)

顧客に「お願い」せずに成約させるテクニック 「売り込み臭」をなくすセールストークの極意 [1/2]

【3行要約】
・「いきなり説明」をしてしまうビジネスパーソンが多いが、相手の興味を引く「つかみ」の技術が成果を左右します。
・森田翔氏は、売り込み臭を消し、先生ポジションを獲得する重要性を説きます。
・「置き換え思考」「落とし込み思考」「追い込み思考」の3つを実践し、学んだスキルを自分のものにすることが成果につながります。

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結果を左右する「つかみ」の技術

——著書『つかみ大全 仕事で成果を出し続ける人の思考と一生ものの「伝え方」の技術』で紹介されている「つかみ」とはどういったものですか?

森田翔氏(以下、森田):書籍の中では「つかみとは『!』と『?』を相手の頭の上に浮かべること」と定義しています。

「!」は日本語で言うと「驚き」で、「?」は「謎」です。驚きと謎があると、率直に気になるんですよね。その話をもっと聞きたいと思ったり、「それってどういうこと?」と耳を傾けたり、前のめりになったりする。そういうアプローチの技法のことを、この本では「つかみ」と定義しています。

——成果を出すうえで、この「つかみ」がなぜ重要なのでしょうか。

森田:せっかく良い商品やサービスを持っていても、相手に使ってもらわなければ何の意味もありません。相手に良さがしっかり伝わらなければ、その商品・サービスはないのと一緒です。

私の会社員時代の話で言えば、良い医薬品はたくさんあるのに、伝え方が悪いが故にドクターの手元に届かず、その先の患者さんに処方してもらえないということがありました。これは誰から見ても不幸ですし、社会的な損失としても計り知れないものがあると思っています。そこで、相手に商品の良さをしっかりと伝えるために、この「つかみ」が必須になるんです。

いきなり「説明」をしてはいけない理由

——「つかみ」が上手な人と下手な人は、どんな差がありますか。

森田:つかめない人は、いきなり説明をしています。これは、うまくいっていない人が共通して陥ってしまっている落とし穴です。

人はみんな、他人の話にまったく興味がないんですね。興味がないところにいきなり説明されても強制されているようにしか感じないので、良い話だったとしても聞きたくならない。対して、つかめる人はそういう人間心理を心得ているので、絶対にいきなり説明することはしません。

まずは初めに興味を抱かせる。自分のプレゼンテーションやトークで、このアプローチをワンクッション挟んでいるところが、大きな違いだと思います。

——「つかみ」はどういうシーンで使うものなのでしょうか。

森田:あらゆるシーンで使える、極めて汎用性の高いスキルだと考えています。説明会でも使えますし、商談でも使える。プライベートの会話にもどんどん活用してもらえたらいいんじゃないかなと思います。

——アイスブレイクとは違うのでしょうか。

森田:重なるところはあると思いますが、私が書籍に書いたものは、全体の流れの中で興味喚起をしていくフレームです。アイスブレイクは一度話の本筋から外れて、ちょっと気持ちを楽にするといいますか、緊張感を和らげるものですよね。それももちろん重要だと思いますが、本に記載したのは、あくまで説明会であれば話し始めるところから、最終的に聞き手が行動を起こすまでの一連の流れの中の冒頭部分という位置付けです。

——相手に行動を起こしてもらうには、冒頭の部分がすごく重要なんですね。

森田:重要だと思います。人は他人の話を80パーセント聞いていないと言われています。けっこうショッキングじゃないですか?(笑)。こういうプレゼンとか講師業をやっていると、ちょっと残念すぎる数字なんですけど。でも、逆の立場を考えたら「確かにな」と思いますよね。

売り込み臭を消し「先生ポジション」を獲得する

——プレゼンや商談で「売り込み感」を持たせないことが大事だとうかがいましたが、そのためのポイントを教えてください。

森田:営業の世界では「売り込み臭」って言うんですけど、これを消したいんです。そのためのアプローチの1つが「問いかけ」です。いきなり説明すると売り込み臭を感じさせてしまうので、そうではなく、相手が興味を抱くような問いかけを最初につくっておく。

脳科学的に、人間は脳に空白ができると埋めたくなる習性があるんです。なので、問いかけに対して自分の知らないことがあると、それを解消したいという衝動に駆られます。

そういう、聞き手の頭の中に空白をつくるような問いかけをすると、相手から「それはどういうことなんですか、教えてください」という構図をつくることができます。すると売り込み臭は消えていきます。

——「教えてください」と言われる状況をつくるために、相手とどんな関係性をつくっていけばいいのでしょうか。

森田:話し手が聞き手に対して取るポジションは大きく3つあるとお伝えしています。同じ商品・サービスでも、こちらから「この話を聞いてください」「これを買ってください」とお願いするのか、あるいは相手から「その話を聞かせてください」「その商品を買わせてください」とお願いされるのか。どのポジションを取るかによって180度変わってきます。

悪いポジションが「営業ポジション」です。自分の商品を「買ってください、お願いします」というふうに、聞き手に対して話し手が下に位置してしまう。これではせっかく良い商品でもその良さが伝わりにくく、どうしても売り込み臭を感じさせてしまいます。

もう1つ上のポジションが「友だちポジション」です。物が売れる時って、関係性と必要性の2つが高まっている時だと考えています。友だちポジションは営業ポジションより関係が良いので話は聞いてくれます。ですが、関係性が良いだけだと、わがままを言われたり、値切られたりして、時間単価が下がってしまうケースがあるので、ビジネスシーンではできれば避けたいです。

真っ先に取っていきたいのが「先生ポジション」です。これは相手との関係性も必要性も高まっているポジションで、相手からお願いされて商品・サービスを提案できるようになります。ファーストアプローチの段階からここを取りたいんですよ。

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