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森田翔氏インタビュー(全2記事)

営業の「数をこなす」だけでは超えられない壁 月400時間労働→入院で気づいたこと 

【3行要約】
・営業は数をこなすだけでは成功しない――森田翔氏が「伝え方」の重要性を語ります。
・同氏はトップセールスとの違いを分析し、「同じ商品でも売れる人と売れない人の違いは伝え方にある」という気づきを得ました。
・成果を出す人の共通点は「自分のキャラクターを理解した上で、成果を最大化する方法を確立していること」が挙げられます。

営業の数をこなすだけでは超えられない壁

——もともとは薬剤師を目指して大学に通われていたということですが、新卒でMRの営業のお仕事を選ばれたのはなぜだったのでしょうか。

森田翔氏(以下、森田):はい。私は薬学部に入学し、薬学を勉強していました。私の大学では病院薬剤師や薬局薬剤師といった道に進む方が多いのですが、学生時代の現場研修で、自分には薬剤師が向いていないなとすぐに感じました。いろいろ悩んだ時に、薬学卒で企業に勤めて薬の営業をしている先輩もいらっしゃったので、自分もその道に行こうと決めました。

——薬剤師ではなく営業を選んだ理由として、どのような部分で自分の向き不向きを感じられましたか?

森田:まず、ずっと薬局の中で調剤をしていくところに、個人的には息苦しさを感じてしまいました。あとは、薬剤師の業界はどちらかというと女性社会だったというところもあります。

それに比べると、企業というのは当時の私から見ると広がりがあったというか、もっと広い世界を知れるのかなというのもありましたね。もともと小中高大でずっとサッカー部に入っていて、体力勝負の営業なら自分はいけるんじゃないか、という自分に対する期待もありました。恥ずかしいですけど、新入社員当初は「この会社でどこまで偉くなれるかな」みたいな気持ちで、がんばろうと思っていました。

——最初は営業成績最下位のスタートだったとのことですが、どんな難しさがありましたか?

森田:入社した理由も「体力があるから」という体育会系の考えだったのですが、体力では超えられない壁があると気づきました。

営業はドクターや医療従事者の方に何度も会うわけですが、数をこなせば数字は出ると思っていました。誰よりも訪問して、誰よりも説明会の数を繰り返していけば、自ずと結果は出るだろうと信じてやっていたのですが、そうではなかった。隣の同期とか先輩とかを見ると涼しい顔で仕事をしていて、自分ははまっていなかった気がしますね。

月400時間の長時間労働で入院

——25歳の時に体調を崩し入院されたとのことですが、当時はどんな働き方をされていましたか。

森田:月400時間の長時間労働をしていましたね。具体的に言えば、朝は6時には出社していました。夜は、いわゆる接待活動として、得意先の先生方と遅くまで食事をしてコミュニケーションをとるということができたんです。

私もやる気はあったので、片っ端から担当の先生に接待活動をして、夜12時過ぎぐらいまで食事して、そこから家に帰らずに会社に戻ってパソコン作業をする、みたいな時もありました。

——入院される前に、体調を崩す前兆のようなものはありましたか。

森田:具体的には消化器系を壊して入院したのですが、精神的にも相当追い込まれていました。でも当時は、確かに大変で辛いなというのはあったんですけど、「社会ってこういうものかな」と思っていました。私だけじゃなくて、当時の先輩方もそれぐらいしゃかりきに仕事をしていましたから、「新入社員の自分が弱音を吐きたくない」というのもあって、歯を食いしばってやっていました。

——新卒で比較対象がないからこそ、無茶な働き方に気づけなかったということですね。入院された後も休職はせず、そのまま会社に戻られたのですか。

森田:1週間ぐらい入院したんですが、そこから特に休職するという選択肢はなかったですね。いろいろ考えましたけどね。毎日スケジュールをパンパンにしていたのが急に真っ白になったので、自分を見つめる時間もすごくありましたから。

たまたま運ばれたのが大阪のキリスト教の病院で、毎朝お祈りの時間があったりして、新鮮でした。良い話ではないですけど、自分を見つめ直す時間ができたというのは、その後にプラスに働いている気はしますね。

トップセールスから学んだ「伝え方」のスキル

——会社に戻られてから、トップセールスの先輩に伝え方のスキルを学んだとうかがいました。ここで「伝え方」に注目されたきっかけを教えてください。

森田:先輩方のセールストークとか説明会で話しているシナリオや言葉遣いを見て、同じ商品・サービスを扱っているのに「こんなに違うのか」と衝撃を受けました。

もっと言えば、PowerPointのスライドもパンフレットも全部一緒。にもかかわらず、全然売れない自分と、めちゃめちゃ売りまくっている先輩。何が違うのかと言ったら、もう「伝え方」しかないと思いました。そこで伝え方にフォーカスして、その先輩の話し方などをとにかく真似していきました。

——具体的にどういうスキルを身につけられたのでしょうか。

森田:一言で言うと、「何を伝えるかではなく、どのように伝えるか」ですね。プレゼンテーションやトークは持って生まれた能力だと思っていたのですが、先輩方を見ていると、そうじゃないんだなと気づいたんです。先輩方は、「こういう順番で、こういう要素・メッセージを、こういう理由で伝えていかなければいけない」と、トークの要素を一つずつ分解していたんです。これなら再現性もあるし、自分でもできるかもしれないと思いました。

教えてもらったことを「今日の〇〇先生のところで1回やってみよう」というかたちで重ねていくと、明らかに相手の反応が違ってくる。そうした経験もあって、伝え方を磨くのに夢中になってきましたね。

営業成績最下位からトップになれた理由

——トップセールスの先輩のやり方を学んで営業成績1位になられたとのことですが、忙しい中で、どのように学びの時間を捻出していましたか?

森田:復帰した後に、先輩の家と会社を往復する車の送迎係を買って出ました。その車の中でトークの練習をしたり、当時は病院に関する基礎知識もまったくなかったので、先輩がどういうところを注力して訪問したらいいのかとか、いわゆる病院の歩き方みたいなところも、車の中で教えていただいた記憶がありますね。

——先輩からのサポートがあったということで、もし森田さんご自身が先輩の立場だったとしたら、「こういう後輩には手を差し伸べたくなる」というのはありますか。

森田:やっぱり一生懸命な人ですよね。サッカーをやっていた時もそうでしたが、うまい人と、残念ながらあまりうまくない人がいるじゃないですか。その中で、他の人より朝早く来て練習したり、遅くまで練習したりする姿を毎日見ていると、やっぱり人間なので「試合に出してあげたいな」という気持ちはあると思うんですよね。

ただ同時に、がんばっているだけじゃ当然ダメです。よくあるのは、工夫をしないとか、練習することが目的になってしまうとか。目の前のことばかりで、ただただ練習しているだけだとうまくもならないし、レギュラーも取れない。それを私は営業現場でやってしまっていたんじゃないかなと思います。

もっと頭を使って、「こうやったら成果が上がる」という「正しい努力の仕方」を見つけるように工夫するべきだったと思います。

——自分のやり方に固執せず、他の人にアドバイスをもらうことも大事ですよね。

森田:成果が出る人にも出ない人にも、なんらかの理由があると思うんです。全部が真似できるとは思わないですけど、うまくいっている人にどうやって成果を上げているのか、再現できるところを探しながら聞くのはすごく参考になるかなと思います。

成果を出せる人の共通点

——そのトップセールスの先輩は、どういう部分が他の人と違ったのですか。成果を出せる営業の共通点があればお聞きしたいです。

森田:今まで見てきて、いろんなタイプがいるとは思います。ただ1つ言えるのは、成果を出す方は自分のキャラクターや役割を客観的に理解した上で、成果を最大化するための「自分のやり方」を確立している気がします。

——森田さんご自身は、どういうやり方をされるタイプだったのですか。

森田:私はまずは関係性を構築していくといいますか。何か質問や依頼をされた時にスピード感を持って返していくことで信用・信頼を獲得していくタイプでしたね。レスポンスが早いことはどんな人でも喜んでくれるという確信がありました。

知識が豊富なタイプだったら、ふだんから真面目なトーンでロジック重視で接して、信用・信頼を確立していくやり方もありますよね。そもそも製薬業界や医療業界はちょっと特殊な業界です。病に苦しんでいる方に関わる仕事なので、本来だったらエビデンスをきちんと伝えたりとか、真面目な性格のほうが重要視されると思います。

製品知識もそうですし、その疾患の周辺知識、あとは新しい情報にアンテナを張ってキャッチして、それを得意先にしっかりフィードバックできているかどうか。そういう学術面は求められるレベルがかなり高いと思うので、私はどちらかというとそこが苦手で、最初は苦労しましたね。

——伝え方に注目した背景には、商品知識や疾患の知識以外のところで差別化したいという思いがあったんですね。

森田:そうですね。ある程度の知識がないと土俵に上がれないというか、相手にもされなくなってしまうので、そこはがんばって勉強するしかないと思います。そこから先は、同じように知識があったとしても、伝え方の是非で大きく相手の反応が変わってくると思います。

関連サイト:『つかみ大全 仕事で成果を出し続ける人の思考と一生ものの「伝え方」の技術』森田翔/著(翔泳社)
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