先週ログミーBusinessで公開した記事のうち、上位5記事をランキング形式でお届けします。特に注目を集めたテーマは、マネジメントやキャリア形成、AI活用に関する記事となっています。部下の効果的なマネジメント手法から、40代の「ミドルエイジクライシス」、AIとの付き合い方まで、ビジネスの現場で役立つヒントをご紹介します。
5位:AIに要約させて"わかったつもり"になる社員 業務で「生成AI」を使う弊害
立教大学教授の中原淳氏は安斎勇樹氏との対談で、生成AIとの付き合い方について重要な視点を提供しています。AIの活用が進む中で、ただAIに答えを求めるだけでは本質的な成長が得られないと警鐘を鳴らしています。
中原氏は「生成AIに答えを求めるんじゃなくて、『答えを出すこと』は自分から手放さないほうがいい」と強調。AIを「道具」ではなく「パートナー」として活用し、フィードバックをもらいながら自分の思考を深めることの重要性を説いています。
しかし同時に、AIだけに頼るリスクも指摘しています。「たぶんこっち(AI)の世界だけだと、俺は負けるなと思っていて」と中原氏。そこで彼が実践しているのが「反対の戦略」です。
• データ分析やAI関連を学ぶ一方で、人と関わる機会を積極的に増やしている
• ワークショップに参加者として参加し、人との関わりを深めている
• 「科学知と臨床知」「テクノロジーと人との付き合い」の両立を意識している
中原氏が指摘する生成AI活用の弊害として特に注目すべきは、組織内のコミュニケーションの質の低下です。安斎氏が経営者や人事担当者から聞いた懸念として「生成AIを業務で使うようになって、すごくみんなバカになった感覚がある」という声があります。
AIが生成した内容をよく理解せずにコミュニケーションを取ることで、納得感や共感が薄いまま合意形成が行われ、後に問題が噴出するリスクがあるのです。
最後に中原氏は「自分が人生の主人公であることを手放したら、スレイブになるしかない」と警告し、AIと付き合う上での心構えを示しました。テクノロジーの時代だからこそ、「自分が答えを出す存在」であることを忘れないことが重要なのです。
元記事はこちら4位:優秀なプレイヤーからマネージャーになった人が抱えるモヤモヤ 40代がぶつかる「ミドルエイジクライシス」の乗り越え方
立教大学教授の中原淳氏は安斎勇樹氏との対談で、キャリアステージごとの悩みと特に40代が直面する「ミドルエイジクライシス」について語りました。
キャリアステージの変化について、中原氏は以下のように説明しています。
• 20代~30代前半:テクニカルなスキルを極める「技の探究期間」が重要
• 30代後半:ヒューマンスキルが必要になり、「他人をどう動かすか」が課題になる
• 40代~50代:「社会にどんな仕組みを残すか」というコンセプトを考える時期
特に優秀なプレイヤーがマネージャーになった時の悩みについて、中原氏は自身の経験も踏まえて語ります。
「簡単に言うと、ソロで自分でがんばってスキルを磨いて、テクノロジーから自分でスキルをつけていって俺に全部スポットライトが当たっていたのに、いきなりここに来た瞬間に、スポットライトを浴びるんじゃなくて、他人が浴びるわけじゃん。そういう人を育てる世界に入ってきたり、そういう人を動かす世界になってくるから、悶々としているんだよ」。
この悩みは多くのマネージャーが共感するものでしょう。40代で感じる不安や迷いに対して、中原氏は独自のキャリア選択の考え方を提示しています。
「みんなが『このボタンだ』と思っているもの」は絶対に押さない——これが中原氏の哲学です。例えばAIブームの中でも、自分の研究領域をAIにはしないと決めています。なぜなら「50代の僕と、もっともっと若い20代、30代の優秀な人たちと同じ土俵で勝負しなきゃならなくなっちゃう」からです。
40代からの「スキルのリセット」については慎重な見方を示しています。20代~30代でテクニカルを極めた後、40代で全く別の分野に移るのは「リセットしすぎ」の可能性もあるとし、これまで培った専門性を活かす道を模索することの重要性を説いています。
最後に、キャリアにおいて「良い意味で周囲の期待を裏切る」ことの価値も強調されています。常に期待を超える新しい挑戦をすることで、成長し続けられるという示唆に富んだメッセージです。
元記事はこちら3位:部下に「なんでこの会社にいるんですか?」と聞かれたら 一流リーダーが持つ「誰のためか」の思考術
研修トレーナーの伊庭正康氏は、部下から「なぜ会社を辞めないのですか?」と問われた時、多くの管理職が陥りがちな間違いを指摘しています。
一般的に返ってくる答えとして伊庭氏は、下記の例を挙げています。
• 「生活のため」
• 「家族のため」
• 「自己成長のため」
• 「自分のキャリアアップのため」
• 「部下の成長のため」
• 「上司に恩があるので、恩返しをしたいから」
• 「会社が好きなんです」
伊庭氏によれば、これらは嘘ではないものの、リーダーとして語るべき言葉ではありません。もし会社の社長が「生活のため」と答えたら、失望してしまうのと同じです。
では、リーダーは何を語るべきなのか。伊庭氏は「外向き思考で語る」ことの重要性を説きます。具体的には「大義」で語ることです。その大義は3つの要素から成り立っています。
1. 誰のためにがんばっているのか:社内の誰かのためでなく、お客様や社会のために
2. 何を放っておけないのか:顧客や社会の「不満」「不便」「不安」のうち、自分が解決したいもの
3. どうしたいのか:それらの人々をどんな状態にしたいのか
伊庭氏は、26歳の女性営業リーダーの例を挙げています。彼女は「私がこの会社でリーダーをしているのは、もっとチャンスを求職者に与えたいからです。だって、学歴や年齢で選考に残れない方がいるんですよ」と語り、自身の経験も踏まえて「選考に漏れてしまう、でももっとチャンスが欲しいという人のために、がんばりたい」という大義を明確に表現していました。
伊庭氏はさらに、「リーダーはがんばる人ではなく、変える人である」という重要な視点も提示します。リーダーには「変える」挑戦を企てることが求められるのです。
そのポイントとして下記の3つを紹介しています。
• 挑戦の方針はトップダウンで示す
• やり方はボトムアップで意見交換しながら進める
• 「プラスアルファの挑戦」が組織に一体感を生む
この考え方に沿えば、「部下の成長のため」「目標達成のため」といった言葉ではなく、「私は○○を変えたい」という言葉でリーダーシップを発揮することができるのです。
元記事はこちら2位:マイクロマネジメントとは? 部下への悪影響と、適切な管理に改善するための3ステップ
「マイクロマネジメント」とは、組織内のあらゆる側面について細部を過剰に管理することを指します。株式会社ビジネスリサーチラボの黒住嶺氏によれば、このような過干渉的な管理スタイルは次の4つの行動に表れます。
1. 監視:業務の細部にわたって監視し、常に指示を出し続ける
2. コントロール:意思決定をすべて自分で行い、他者の意見を拒絶する
3. 細部への執着:資料の体裁など、本質的でない細かい点に過剰にこだわる
4. ミスへの反応:自身のミスは顧みず、他者のミスに敏感になって細かく指摘する
マイクロマネジメントが部下に与える悪影響は深刻です。ストレスの増加やエンゲージメントの低下、信頼関係の損失、さらには創造性やパフォーマンスの低下を招きます。黒住氏は「細かく管理される状況では、リスクを取りづらくなる」と指摘し、部下が新しいことに挑戦しにくくなることを危惧しています。
一方で、マイクロマネジメントの対極にある「放任」も同様に問題があります。上司からの適切な指示やアドバイスがないと、部下は役割が曖昧になり、精神的ストレスや職場満足度の低下、生産性の低下を引き起こします。
では、マイクロマネジメントから「適度な管理」へと移行するにはどうすればよいのでしょうか。黒住氏は次の3つのステップを提案しています。
1. 目的と期待の明確化:業務の目的や背景、期限、理想のライン、守るべき制約条件を具体的に伝える
2. 段階的に業務を任せていく:部下のスキルや経験レベルに応じて、任せる範囲や権限を徐々に広げる
3. 成長を促す声かけと振り返り:「今、どんな選択肢を検討している?」といった質問から入り、部下の思考を促す
株式会社PDCAの学校の宮地尚貴氏は「目的、期待、判断権限を明確化する」ことや「質問から始めるコミュニケーションの仕方」を採用し、「失敗からフィードバックをもらい、成功パターンを他業務に応用していく」プロセスを推奨しています。
こうしたステップは、部下の自律的な成長を支援する真のマネジメントスタイルを実践していくヒントにつながります。
元記事はこちら1位 :「プライドは高いのに仕事ができない部下」を変える3つの方法 「自信の5階層モデル」に基づく効果的なマネジメント
研修トレーナーの伊庭正康氏は、多くの管理職を悩ませる「プライドは高いのに仕事ができない部下」について、心理学的視点から解説し、効果的な対応策を提案しています。
このタイプの部下の特徴として以下の3つを挙げています。
• 指摘をされると防衛的になる
• 上司からの助言を素直に受け取れない
• 変化を極端に拒む
このような部下は単に扱いにくいだけでなく、「これってやる意味ないよね」「それっておかしいよね」と周囲にも悪影響を及ぼすため、放置することはできません。
伊庭氏は問題の根本原因を理解するため「自信の5階層モデル」を紹介しています。
1. 自己有能感:「あのタスクができた!」という成功体験の積み重ね
2. 自己効力感:「自分はやればできる」という信念
3. 自己肯定感:「うまくできなくても大丈夫」という安心感
4. 自尊感情:自分を大切に支えられる心の柱
5. 自己信頼感:自分の選択を信じる力
プライドだけが高く仕事をやらない部下に不足しているのは、主に以下の3つだと伊庭氏は分析しています。
• 自己有能感の不足:自分で決めたことをやり遂げた経験が少ない
• 自己効力感の不足:ポジティブなフィードバックを受けてこなかった
• 自己肯定感の不足:結果主義の環境で「できなかったら価値がない」と思い込んでいる
そして、こうした問題に対して、マネージャーができる効果的な3つの対応策を解説しました。
1. スモールステップで小さな成功体験を積ませる
特に新人に効果的。「この3ヶ月で全体を覚えようね。最初の2週間ではこれだけを」というように段階的に達成感を味わわせる。
2. フィードバックをポジティブにする
結果(外的帰属要因)だけでなく、「努力できたこと」「気づけたこと」など内面(内的帰属要因)を褒めることで自己効力感を高める。
3. 失敗を共有して感謝をすることで自己肯定感を上げる
「失敗を歓迎する文化」を作る。「失敗してもいい。チャレンジしていきましょう」と伝え、失敗から学んだことを共有する場を設けることが重要。
伊庭氏はマツダ株式会社の「失敗大賞」の事例も紹介し、イノベーションを起こす企業では失敗を奨励する文化があることを強調しています。
これらの方法を実践することで、プライドが高く防衛的な部下が、自信を持ちながら成長できる環境を作ることができるでしょう。
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