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(2025年再掲版)多忙なプレイングマネージャーの悩みを解消する、困難に強いチームのつくり方(全2記事)

プレイングマネージャーが忙しさで潰されないために リーダー2人体制、業務15%削減…「管理職の罰ゲーム化」をなくすコツ [1/2]

【3行要約】
・プレイングマネージャーの業務負担増大が「管理職の罰ゲーム化」を招いているなか、多くの管理職が疲弊しています。
・池田めぐみ氏は著書『チームレジリエンス』で、困難から回復し成長するチーム能力の構築が解決策になると提言します。
・ 業務15%削減、リーダー2人体制、チーム全体での感情ケアなど、マネジャーが1人で抱え込まない組織づくりが持続可能な職場環境への鍵となります。

本記事では、特に反響が多くあった同イベントの1記事目を再掲します。
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自分の仕事に加えて部下育成も…プレイングマネージャーが抱える負担

——ここ数年、「管理職の罰ゲーム化」といった話がよく聞かれるようになっていると思います。部下のマネジメントや後任者の育成、トラブル対応に加え、リスキリングやハラスメント対策など、管理職の業務負担が増大している現状が問題視されています。池田さんはこうした現状についてはどのような課題があるとお思いでしょうか。

池田めぐみ氏(以下、池田):私自身も本当にそのとおりだなと思っています。研究やデータでも、今の管理職はプレイングもしなきゃいけなくてストレスフルで大変だとわかっています。私の同世代の人たちも管理職になってきてるんですが、彼、彼女らがとても疲弊しているんですよね。

部下を初めて持つことになり、一応研修はある。けれど、どうやって回していくのだとか大事なところはあんまりわからない。あるいは、自分にも上司がいる中で、板挟みにあってすごく大変そうで。プレイングマネージャーとして自分の仕事もある中で、部下のケアもしなきゃいけない。「休日も仕事になっちゃって、やってらんない」みたいな子はけっこう多いです。

管理職の罰ゲーム化を解消するためのステップ

——データや周りの方を見ても、プレイングマネージャーの負担がかなり大きい実感があるということですね。今回、こうした管理職の方々が罰ゲーム化から抜け出すためのヒントが、池田さまの新刊『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』にあるのではないかなと考えました。

まずは、この本の書名にもある、「チームレジリエンス」とは何かをお話しいただけますでしょうか。

池田:まず、チームはいろんな困難に遭遇するものだと思います。取引先が無茶な要求をしてくるとか、新人が育ってなくてサポートが大変だとか。あるいはそもそも業績不振な部署にいて、自分1人じゃどうにもできないような状況を回復させなきゃいけないなど。自分がプレイングしながら、こういったことも解決しなきゃいけないので、マネジャーは大変な状況だと思います。

ではチームレジリエンスとは何かというと、チームが困難から回復したり、困難が起きる前よりもいい状況に持っていったりするために必要なチームの能力、あるいは「チームがどうやって困難を乗り越えるか」のプロセスです。

チームレジリエンスには、3つのステップがあります。1つ目は、困難な状況が起きた時に「何が問題なのか」を整理した上で、状況を解決していく。2つ目は、困難を振り返り、困難から学ぶ。

3つ目は、次に同じ困難に陥らないように、困難に備えて被害を最小化する。この被害の最小化や困難から学ぶところで、よく起こりがちな問題の芽を事前に摘んでおくのですが、管理職の罰ゲーム化を解消するうえで、これらのステップが大事になるのではないかと考えています。

困難が起きると、どうしてもやらなきゃいけないことが増えると思うんですけど、ルールや担当を変えたりして未然に防げると、(管理職の)負荷を減らせるんじゃないかと。

1日1時間マネージャーの仕事を減らす

——困難なことが起きた時の対処に加えて、防止についても考えておくことが重要なんですね。とはいえ、日常業務に追われて、「事前の策まで考えられない」という人も多いのではないかと思います。この場合はどのようにしたらよいでしょうか。

池田:その場合は、2つできることがあると思っています。1つは、マネージャーの仕事を15パーセント減らすことです。これは1日1時間ぐらいでいいと思うんです。やっぱり困難が起きると、ふだんの業務に加えて、問題解決のために動かなきゃいけなくなって、さらに大変です。なので、まずは(問題を未然に防ぐための)時間を確保することが大切かなと思います。

どうやって時間を作るのかというと、マネージャーの人って、自分が出なくてもいい会議に出たりすることが多いのではないかと思います。発言していない会議は、思い切って参加しない。「今の状況を改善していくところに時間を使わなきゃいけないから、出ません」ってしっかり伝えるとか。

あるいはタスクの中から、部下に渡しても問題ないものを渡す。「自分のほうがうまくやれるけど、部下だってできる仕事」を、自分がなんとなく握ってしまっていたり、部下に任せるのが不安でやってしまうことがあると思うんです。

プレイングマネージャーのみなさんはすごく忙しいと思うので、「この状況を良くしていくために、時間を捻出しよう」としっかり考えて、部下に仕事をパスする。そしてまずタスクを15パーセント減らして、そのぶんの時間を確保することが大事だと思います。

「事業リーダー」と「組織リーダー」の2人体制にする

池田:あるいは「事業を作っていく人」と「育成する人」を分けて、「事業リーダー」と「組織リーダー」の2人体制にしてもいいんじゃないのかなって思います。

やっぱり、1人で全部回すのって無理ゲーだと思うんですよね。だからこそ、リーダーが2人いるチームが、最近少しずつ増えてきています。1人は事業を回したりプロジェクトを推進していき、もう1人は育成を中心でやっていくという会社もあります。

私が今所属してるMIMIGURIという会社も、リーダーは2人体制で回しています。会社の制度に関わっている人に向けて言うならば、「1人に任せない」というのも手だと思っています。事業をするパートと育成するパートに分かれてやっていくことで、問題解決(の手段)を考える余裕が生まれるんじゃないのかなと思います。

——リーダーを2人体制にするのはとても新しいご提案だなと思います。マネージャー自身が工夫して時間を作るのも大事だとは思うんですけど、「そうは言っても手が回らないよ」という時にとても効果的ですよね。

池田:この記事の読者の方は「自分は経営者じゃないから、そういう制度を作るのは無理だよ」と思われるかもしれません。会社の制度的に2人体制が難しい時の方法は、「インフォーマルリーダー」(正式に任命されているわけではないが、チームや周りの人を引っ張っていく人)を入れることです。

信頼のおける部下に、「できるだけ組織作りの部分を回してほしい」「自分が苦手な部分を補ってほしい」とお願いする。うまく2人で力を合わせて回せている会社さんでは、けっこうチームの業績がいいという話もあります。

一番いいのは制度が変わることだと思うんですが、それが急には無理な場合も、自分の仕事を減らす工夫をする。得意なことを活かして仕事を回してくれる人に任せるのも、大事なのかなと思います。

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