先週ログミーBusinessで公開した記事のうち、上位5記事をランキング形式でお届けします。今回、特に人気を集めたのは、組織マネジメントと人材育成に関するテーマです。管理職の負担を軽減する「マネジメントシェアリング」の手法や、新任管理職が「指示待ち」になってしまう理由と対策を解説。組織のパフォーマンス向上とリーダーシップ開発に役立つ知見をお届けします。
5位:部下の性格を見極める質問とタイプ別の育成戦略 次世代リーダーを育てるティーチングとコーチングの使い分け
次世代リーダー育成では、部下のタイプを見極め、適切な指導法を選択することが重要です。宮地尚貴氏によると、部下は「熱意型」「分析型」「行動型」「慎重型」の4タイプに分類でき、それぞれに合わせた「ティーチング」と「コーチング」の使い分けが効果的だと言います。
タイプの見極め方として、「意思決定する時に何を最も重視しますか?」といった質問が有効です。熱意型は「チームへの影響とワクワク感」、分析型は「論理的な最適解」、行動型は「スピードと結果」、慎重型は「リスクを避けることと確実性」を重視する傾向があります。
部下のタイプ別の育成戦略のポイントは以下のとおりです。
・熱意型:ビジョンを示すティーチングと感情に寄り添うコーチングのバランスが重要
・分析型:論理的なティーチングと思考の枠組みを広げるコーチングが効果的
・行動型:ティーチングは最小限に、早めにコーチングに移行する
・慎重型:ティーチングを中心に少しずつコーチングを取り入れるのが効果的
「ティーチングの5ステップ」として、①目的を明確にする、②全体像を示す、③手順を簡潔に伝える、④具体例の提示、⑤理解度の確認が示されています。一方、コーチングでは①状況確認、②気づきを促す、③選択肢の拡大、④行動計画、⑤コミットメントという流れが重要です。
宮地氏は「指導で重要な3つのポイント」として、①給与・待遇ではなく働きがいを認識させる、②仕事での成長を実感させる、③相談できる環境をつくる、を挙げています。これらが中間層の空洞化防止や離職予防につながると指摘しています。
元記事はこちら 4位:部下が5人以上ならサブリーダーを配置する 管理職の罰ゲーム化を防ぐ"マネジメントを分かち合う"工夫
「管理職の罰ゲーム化」が進む中、複数人でマネジメントを分担する「マネジメントシェアリング」が注目されています。この取り組みは、マネジメント品質の向上と管理職の負担軽減を両立させる手法として紹介されています。
実践企業の例として、あるプラント会社では「ヒトマネ」と「コトマネ」に分けて役割を明確にし、キャリアデベロップメントマネージャー(CDM:従業員のキャリア形成を支援する専門の担当者)を設置して若手のキャリア支援を行っています。また、姫路のメーカーでは、リーダーにサブリーダーを付ける取り組みを実施。5人以上のチームにサブリーダーを配置することで業務効率が向上し、次世代リーダーの育成にもつながっているとのことです。
ある企業ではマネジメントシェアリングの目的を「社会環境変化(少子化による人材不足・育児介護によるキャリア中断)に対応し、同時に多忙化するマネジャー業務負荷を軽減することで、マネジメント品質向上を図る、継続した組織成長実現を目指す取り組み」と定義しています。
具体的な実現の姿として、以下の3点が挙げられています。
・部門長業務を2名(ツインズ型)のシェアリングで完結させる
・育児・介護によるキャリア中断が生まれない仕組みを事前に準備する
・労働時間(職場に居ること)ではなく、業務成果による業務評価を行う
研究会のまとめとして、マネジメントシェアリングには一律の形はなく、各社各職場の実情に合わせて導入できることが分かったとしています。そして、これをきっかけに「そもそもマネージャーはどういう役割なの?」という根本的な問いを組織内で議論することで、組織変革の第一歩となる可能性があると指摘されています。
元記事はこちら 3位:新任管理職が「指示待ち」になる2つの理由 "行動する管理職"へ導く実践ポイント
宮地尚貴氏によると、「指示待ち管理職」が多い理由には大きく2つあります。1つ目は、責任と役割を理解していないことです。管理職に昇進した際に「何を求められているか」が明文化されていないケースが多く、その結果、人数が増えるほど"なんとなくの管理職"が生まれてしまいます。
2つ目の理由は、プレイヤーとしての実績はあってもマネジメントの知識が乏しいことです。データで見ても、教育を受けずに管理職になる人は非常に多いのが現状です。「初めての業務をメンターが支援する」という仕組みは新人には必ずありますが、「初めてのマネジメント」に対して同様のOJTを行っている企業はほとんどありません。
「指示待ち管理職」が増えると、トップダウンのみの組織となり市場の変化についていけなくなったり、業務改善や生産性向上ができなくなったりするリスクがあります。また、管理職が長期施策を打ち出さないと若手が育たず、離職率の上昇にもつながります。
管理職の行動を変えるためには、まず「あるべき姿の明確化」が重要です。その手段として「職務記述書(ジョブディスクリプション)」が挙げられますが、「運用できていない」ケースが多いのが現状です。
効果的な運用のポイントとして以下が挙げられます。
・中期経営計画の見直しとセットで更新する
・経営層が明確に発信し、説明会などを通じて共有する
・「求められる行動」の具体例を提示する
・役職ごとの権限範囲や決裁基準を明示する
これらの取り組みにより、管理職が自ら考え行動できる組織をつくり、経営層が戦略に集中できる環境が整うと宮地氏は指摘しています。
元記事はこちら 2位:説明が上手い人と下手な人の違いとは? 今日からできる、わかりやすく伝えるためのトレーニング
「結局、何が言いたいの?」と言われた経験はありませんか? 「しごおもTV」の豊間根青地氏によると、説明が上手くできない人の特徴は、説明の焦点を「何を伝えるか」という自分自身の行動に置きすぎている点にあります。説明の本質は、言葉を発すること自体ではなく、聞き手の「状態」を変化させることにあります。
説明が上手い人は、説明を「山登り」のように捉えています。聞き手という登山者を、ある現在地から目的の頂上まで連れていく行為として考えるのです。成功する説明には、登山者の現在地と目指すべきゴールの両方を正確に把握することが不可欠です。
思考を整理するフレームワークとして「ピラミッドストラクチャー」が紹介されています。これは、最も伝えたいメインメッセージを頂点に置き、それを支える複数の根拠や情報を階層構造で配置する思考整理術です。根拠は必ず2つ以上に分解されている必要があります。1つしかない場合、それは実質的に頂点のメッセージと同じことを繰り返しているに過ぎず、説得力を持ちません。
また、「QAR」というフレームワークも効果的です。
・Q(Question):これから何の話をするのかという問いを宣言する
・A(Answer):何が言いたいのかを明確にする
・R(Reason):そのスタンスを支える根拠を示す
説明を簡潔にまとめるトレーニングとして「1言・1行・1分」という方法も紹介されています。伝えたい内容を「1言で言うと何か?」「1行のタイトルをつけるとしたら何か?」「1分で説明するとしたら、どのような構成になるか?」という3つのステップで強制的に要約していく訓練です。
ビジネス数学教育家の深沢真太郎氏は「正しそうに伝える」スキルの重要性も指摘しています。ビジネスの世界には絶対的な正解はないため、論理的に筋の通った説明で「正しそうだ」と思わせる説得力が重要だと言います。
元記事はこちら 1位:納得しないと動かない部下、「とにかくやれ」と言う上司 目の前の仕事を"無駄"と捉える若手に伝えたいこと
銀行、コンサル、監査法人、起業など多彩なキャリアを持つ勝木健太氏は、「業界によって必要になる実務スキルは違うけど、根本的にはほぼ一緒」だと指摘します。その根幹となるのは言語能力と、どうやったら相手に伝わるかといった編集能力です。
勝木氏は「アウトプットは基本テキストと画像と動画です。かつ、相手に『買います』とか『契約します』と言ってもらうために、『役に立つ』とか『おもしろい』とか、あとは意外性があるというか、ほかと違うとかをアピールする必要がある。結局、『相手の心をどう動かすか』というところが大事なんです」と語ります。
若手社員の中には「この会社でしか使えない業務」と思って目の前の仕事に取り組まない人もいますが、実はどこの会社に行っても横展開できるスキルになると勝木氏は強調します。上司は「とにかく目の前の仕事をやれ」と言いがちですが、その意味をきちんと説明しなければ、若い人たちは目の前の仕事を深掘りする意義がわからないと指摘しています。
起業経験から得た気づきとして、勝木氏は「会社は、書類を作るとか会議をするとか報告したりとか、要は組織の中で機能する人材が出世していきます。でも自分で事業をやってみて思ったのは、特にスモールビジネスは『集客できるかどうか』がほぼすべてということです」と語ります。
集客視点を身につけるためのキャリアパスとして、勝木氏は以下を推奨しています。
・一度起業してから会社員に戻ると「無双できる」
・起業がハードルが高い場合は、会社員をやりながら副業を経験する
・YouTubeチャンネルを作るなど、ゼロから集客するスキルを磨く
勝木氏によれば、「フリーランスとかスモビジ(スモールビジネス)とか起業してみて、そんなにうまくいかなくても、会社員に戻るとけっこう無双できる人はいます」とのことです。起業経験で培った「ゼロから集客する力」は、組織内でも替えの効かない価値になると指摘しています。
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