【3行要約】・生成AIの台頭でクリエイターの仕事が奪われる懸念がある中、BitStar渡邉氏は「AIと人間は共存する」と断言します。
・0→1のコンセプトメイキングは人間の領域、効率化はAIが担うという考えの下、同社はニッチなクリエイターを支援。
・データとテクノロジーを駆使したロングテール戦略で、「クリエイターエコノミーにおけるAmazon」を目指し、100年後に残る産業・文化の創造に挑んでいます。
前回の記事はこちら AIと人間は共存する
――生成AIの台頭により、クリエイターの仕事は奪われてしまうのでしょうか。BitStarの渡邉拓氏は「AIと人間は共存する」と断言します。0→1のコンセプトメイキングは人間の領域、効率化はAIが担う。
同社が目指すのは、ニッチなクリエイターたちが活躍できるプラットフォームの構築です。データとテクノロジーを駆使したロングテール戦略で、「クリエイターエコノミーにおけるAmazonのような存在」を目指すとのこと。100年後に名前が残る産業・文化をつくるためにBitStarが描いている未来に迫ります。
0→1は人間、効率化はAIの領域
藤井創(以下、藤井):テクノロジーの話も出てきたので、ちょっとそのへんについても聞きたくて。AIが出てきたことで、AIがクリエイターの部分をやっちゃう、生成AIが作っちゃうみたいなところも、なきにしもあらずかなと思うんですけど。
今言ったいわゆる人間のクリエイティブなところは、AIと共存していくものなのか、人間にしかできないものがあるのか。どういうふうにお考えですか。
渡邉拓氏(以下、渡邉):やはり共存していくものかなと思っていまして。0→1の部分はコンセプトメイキングとか、どういう目標設計をしていくのかとかは人間が必要かな、と思っています。やはり野心だったりとか、大きな目標とか、そういうことに対しては、人間が設定しないと。意志を持つのは人間側なので、そこは人間が持つ。
その先の、例えばHowな部分の効率化みたいなところは、うまくAIと共存しながらやっていくのがいいんじゃないかなとは思ったりしますね。
逆に、AIが意思を持てるとしたら、なんか人間を殺そうとか戦争しようとか、いかようにでも悪いほうにできちゃう話もあって。AIを活用するリスクになってきちゃうので。ただ、そこまではいかないはずだと思ったりはしていますけれども。だからこそ人にだけ意思を持つことが許されるのだと思います。
もしかしたらこの短期で、浦沢直樹さんの『PLUTO』みたいな……あれって見ました?
藤井:途中まで見ていたんですけど、最後までは見ていないです。
渡邉:あれは、なんか本当に近未来な感じがしますけどね。AIが意志を持って、殺しちゃったりとかしちゃう。
藤井:それはそれで怖いですね(笑)。
渡邉:そうですよね、確かにそうなってもおかしくはない未来はあるんですけど、ここ数年だとまだそこまではいかないんじゃないかなとは思ってはいます。そこまでいっちゃうと、人以外信用できなくなっちゃうので。そうするとコミュニケーションに価値が出てくるという。
藤井:(笑)。
ロングテールなクリエイターが活躍できる未来
藤井:ちょっと今未来が聞けたので、例えばあと30年後をイメージした時に、BitStarさんとしても30年後の未来は、クリエイターにとっても、御社にとってもですけど、どういう未来になっているか、というイメージはありますか?
渡邉:僕たちが事業を始めた当初に、クリエイターに言われてうれしかったことは、もう7、8年前、もっと前かな、9年ぐらい前なんですけど。当時ゲーム実況者の方の話が日経新聞さんに載っていたんですけど、彼らは「この時代に生まれてよかった」って言っていて。
それはなぜかというと、ファミコンの時代って、テレビで高橋名人しか活躍できなかったのが、今では(ゲーム実況が)アマチュア的な人たちも、副業から専業にできるようにまでなったということを話していて。そのインタビューはすごくすばらしいことだと思っていて。
僕たちがやっていることって、いわゆるロングテールな人たちでも活躍できるようにしていくという、そういうプラットフォーマー的なかたちでやっていきたいなと思っているんです。
BitStarという名前の「Bit」は、渋谷がビットバレーと呼ばれインターネット発になれば、という意味と、ニッチなタレントたちでも活躍できるようにという意味で付けていたりします。そういう人たちの数が増えれば増えるほど、ニッチで埋もれがちになりそうなところもあるんですけど。
一方で、データとかテクノロジーによって、そこをしっかり効率的にマッチングできるようになって、いかに彼らが自分たちの自己表現をしやすい環境や世の中を作っていくかを僕らが後押しできる、というよりやるべき価値かなと思っているんですね。
ただ、それは30年と言わずに5年、10年でやらないといけないと思っている未来かなと思っていて。その先で言うと、僕としてはまた別の新しい産業を1個、2個、3個とやっていきたいなと思ったりしますね。