ロングテール戦略で目指す未来
藤井:最後になんですけど、BitStarさんのミッションでもある「100年後に名前が残る産業・文化をつくる」というところもそうですけど、先ほど孫(正義)さんの名前が出てきたところで、産業を作り出すみたいなところに関して、渡邉さん的に文化的に残していく、文化的にこういうものが残っていくべきだみたいなところはありますか?
渡邉:すごく難しい質問ですね。文化的なというと、例えばYouTuberとかVTuberとか、そういうのもある意味文化とかカルチャーだと思うんですね。初めはけっこうニッチなところからメジャー化していくと思うんですけども、ニッチなので、その時にやめちゃう人もいたりする中で、そういうのを少しずつ、ニッチなゾーンでも我々としては後押しする存在でありたいなと思っていて。
そういうことが、振り返ると後からカルチャーを作っていくことに対して――我々が作ったと言える存在になれるかというのはまた別なんですけど――貢献できる立ち位置になりたいなとは思ったりしますね。
それを我々が作っていくものも、もしかしたらあるとうれしいし、基本的には後ろから支える側の立場で後押しできると、すごくいいなと思うので。
後から振り返ると、じゃあ、例えば仮にVTuberとするならば、キャラクターで配信する。それで活躍すると。今は声優じゃなくてもVTuberならできるかもしれないし、みたいなのは1つ文化として、もしかしたらグローバルに残せるものかなと思ったりしますし。
あと1つ。これからも、もしかしたらなんかニッチなものがどんどんと生まれていったりとか、新しいジャンルが生まれていったりとかすると思うんですけど、そういうのを後押しできる、加速できるような存在になっていきたいなと。それが後から振り返るとカルチャーとか文化になれば。
藤井:とりあえず新しいものが世に出て、残ったものが、文化になっていくと。
渡邉:はい。
藤井:そんな中で、BitStarはこの先、どんな未来を描いているんですか?
渡邉:そうですね。僕ら、クリエイターエコノミーを代表するプラットフォーマーに5年、10年でなりたいと思っているんですけど、ロングテールのEコマースだったらAmazonみたいな感じがあると思うんですけど、僕らはクリエイターエコノミーのロングテールと言えばBitStarみたいな、そんな感じになっていきたいなと。
藤井:ロングテールというのは、クリエイターがロングテール?
渡邉:はい、そうですね。どんどん小さな人たちが生まれていくというんですかね。それによって、また売上が上がる。そういうニッチな人たちを我々が発掘して、そこでちゃんと、企業ないしはコマースで、ちゃんと活躍できる、ないしは稼げる、そういうふうにしていくというのが1つ。
藤井:一瞬ぽっと出て、ぽっといなくなる、みたいなのではなくて、長い目で活躍したりとか、なんていうんですか、やっていけるような支援をしていくみたいな?
渡邉:はい。
藤井:それってやはり他はあんまりできていないんですか?
渡邉:なかなかロングテールってなってくると、人手が掛かって採算が合わないとか生産性が合わないとかってなってきちゃったりすると思うんですけど。
僕らのプロダクトとかを使ったりすると、例えば100人、200人、300人とかのクリエイターを管理する部分を、ある程度オートメーション化できるということであったりとか、レポーティングの自動化とか、そういうことでいろんな管理を楽にしたりとか。ある一定の損益分岐点をクリアして、ちゃんと利益もキャッシュも出てくるビジネスになれば。
そのあたりがなかなか、例えば大手代理店さんとかが、テレビの(メディア)バイイングをやっていたら、楽というか、メディアの買い付けは1つじゃないですか。この短時間で100人、300人のメディアを扱って、全部クリエイティブの管理をして、とやっていたらむしろ生産性が合わない。
でも、僕らはデータテクノロジーでずっとやってきたので、泥くさくやってきたのが参入障壁になっていて、それはもうどんどんその障壁が高くなっていくことになっていくかなとは思ったりします。
藤井:そこは、なんか、短期の儲けというよりもやはり、長く見て、会社としても、先を見て儲けにいくみたいな?
渡邉:そうです、そうです。それでAmazonのジェフ・ベゾスとかの、長期で物事をみるという戦略を当社でもすごく大事にしています。
2054年、「BitStarがあったから」と言われる未来を目指して
藤井:最後に、30年後の2054年に「あの時BitStarがあったからこそ実現できた」と言われるような、まだ世の中にない新しい価値や産業について、どのような夢を描いていますか?
渡邉:その頃には1兆円企業を超えているという目標設定をしていますが、クリエイターエコノミー関連のビジネスだけだとそこまでいかないため他の新しい産業・文化をつくっていくようなビジネスを複数手掛けていることは間違いないと思います。
それぞれのビジネスにおいても積み上げたアセットを活用して、グローバルと複数事業のシナジーをかけ合わせたBitStarならではのビジネスを国内外に大きく広げていきたいですね。
そして、それぞれのビジネスはNO.1かオンリーワンを目指したいと考えています。結局、あの時BitStarがあったから実現できた、であったり、まだ世の中にない価値や産業づくりは、最初に仕掛けたかどうかが大事でなく、継続して顧客に価値を提供し続けられた企業が残り選ばれていく。
Googleだって最初の検索エンジンでもなければメルカリだって最初のフリマアプリではなかったじゃないですか。でも今や検索といえばGoogle、フリマといえばメルカリになっている。まだ具体的な30年後の姿が想像できていないのですが、その時々で仕掛けていくビジネスについては人々に純粋に想起されるような、その業界のNO.1かオンリーワンを目指して、その結果、産業・文化に影響を与えられるような存在になりたいです。
そのチャレンジのスケールの大きさは、年々積み上がるアセットに比例して大きなチャレンジにしたいと。今はまだ目標からすると1パーセントにも満たないサイズですけど、いずれ世の中にもっともっと貢献できるよう大きなチャレンジをしたいと考えています。
藤井:なるほど。ありがとうございました。