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勝木健太氏インタビュー(全2記事)

優秀なコンサルが30代になってぶつかる壁 これまでのスキルでは通用しない…上にいけばいくほど求められる力 [1/2]

【3行要約】
・優秀な人ほど「ハイスペックキャリア迷子」に陥りやすい――良い大学、良い会社と進んできた人材が将来に確信を持てず悩む現象が広がっています。
・勝木健太氏は「優秀になればなるほど偏差値レースの延長線上で苦しむ人が増えている」と指摘し、その背景を解説します。
・唯一無二のキャリアを築くには「自分が好きなことと社会が求めるものの交差点」を見つけることが重要です。

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優秀な人ほど陥る「ハイスペックキャリア迷子」とは

――ここからは、著書『「いい会社」のはずなのに、今日もモヤモヤ働いてる』についておうかがいします。こちらはハイスペックキャリアを歩みつつも悩みを抱えている方に向けて書かれています。勝木さんの中でどんな問題意識があって、この本を書かれたんですか?

勝木健太氏(以下、勝木):はい。今、優秀になればなるほど偏差値レースの延長線上で苦しむ「ハイスペックキャリア迷子」が社会的な問題になりつつあると感じています。よくあるパターンで言えば、受験で良い大学に行き、年収重視で良い会社に就職された方。

でも、いわゆる偏差値的にすごいと言われている会社に行けば行くほど競争も熾烈だし、一方でSNSでは、やりたいことをやっている楽しそうな人も見える。そういうので苦しんでいるのが「偏差値型」ですね。

あとはそれなりに仕事は楽しいけど、優秀になればなるほどいろんな仕事が自分に回ってきてめっちゃ激務だとか。「仕事はそこそこ充実してるけど、これを10年やるのかな」みたいな悩みですね。

それから、ホワイトだからこそしんどさを感じてしまう「ゆるブラックの罠」。すごくハラスメントとかが厳しいので、上司から適切にフィードバックされないとかもありますね。あとは上司のことが尊敬できないとか、「こうなりたくないな」って人も多くいます。「この職場でちゃんとしたスキルが身につくんだろうか」と悩んで、キャリアコーチングとかでスパルタ指導してほしい、みたいなニーズもありますね。

――なるほど。周りからは「恵まれた環境」だと言われるようなホワイト企業だからこそ、焦りや将来の不安を抱える方も多いんですね。

勝木:日本企業のそこそこホワイトな会社にいる人はそうですよね。よくあるのは、コンサルとかに転職した元同期と久しぶりに会ったりしてモヤモヤしたり。向こうはすごいプロジェクトを任されて、どんどん昇進しているぞ、みたいな焦りですよね。

コンサルティングファームとかって、実力があればめちゃくちゃ早い段階でマネージャー、ディレクターとかになったりしますけど、例えば日本企業の商社だったら39歳で課長とかで、だいぶゆっくりとしたシステムなんですよね。そういうギャップもあって、「ゆるホワイト」な贅沢な悩みが生まれるんですね。

長時間労働の競争から抜け出し、唯一無二の「ねじれの位置」を探す

――勝木さん自身も、「ハイスペックキャリア迷子」に通ずるような悩みを抱えていたのでしょうか?

勝木:そうですね、20代の頃はけっこうキャリア迷子でした。銀行に4年行ったあとにコンサルに転職したら、まぁジュニアの下のところから入ります。でも新卒で入って順調にいっている人はマネージャーとかになっているんですよ。しかも私は浪人・留年もしているので、自分よりも年下のマネージャーがいたり。自分は年齢的に「遅れてるな」という焦りがありました。

それから限界労働もありましたね。私はそんなに長時間労働するのが得意じゃないんです。でもコンサルとかだと、5時間睡眠とか4時間睡眠で働ける人ってけっこういるんですよね。

そういう激務エリート型で上に行くのはちょっと向いていないかもなっていうのがあって、徐々に唯一無二の方向性を目指すようになりました。要は会社員としての優秀さ以外の方向も掛け算しようかなって、生存本能的に思ったんですよね。

会社員としての優秀さでは突き抜けられないけど、かといって生粋のアーティストでもない。だからこそ、誰とも競わなくていい、ちょうどいい「ねじれの位置」を探していましたね。

20代と30代で「求められるスキル」が変わる

――コンサルというエリート集団の中で、長時間労働で競争していくしんどさから、自分だけの「唯一無二性」を求めるようになっていかれたんですね。

勝木:そうですね。「こういう処理速度の速さで勝負すんの、しんどいな」って思いました。みんなめちゃくちゃ作業が速いし、会議でもなんかうまいことまとめる。周囲とうまくやりながら、主導権を握って仕事を進めていて「すごいなぁ」と。

でも、そういう「処理速度速い系のすごい人」は、コンサルのジュニア時代は仕事が速くて評価されるんですけど。上にいけばいくほど「案件を取る」とか別のスキルが必要になってきます。

ある意味上にいけばいくほど、もうちょっとヒューマンなスキルが大事。要は「IQじゃなくてEQだ」みたいな話ですよね。そこから先のキャリアの中でも、20代の頃に求められるスキルと、30代に求められるスキルがだんだん違っていって、それで壁にぶち当たる人はいますね。

例えばコンサルだったら、たぶんマネージャーとかディレクターとかになってくると、大手企業の部長以上と話をして、案件を獲得することが求められる。「あなたに任せますよ」って言われるために、人間的な魅力が大事になってくるんですよね。実際そうやって、ガバっと何十億円も案件を取ってくるような人がいるんです。

「本質的な極論」を言える人は強い

――そういう人は、どういうスキルに長けているんでしょうか?

勝木:強いて言えば、「本質的な極論」を言う人は強いですね。成田悠輔さんとか、絶対コンサルティングファームに行ったら案件取れまくると思いますよ(笑)。本質的な極論を言う人が、上にいけばいくほどめちゃくちゃ評価されます。

取ってきた案件に対して資料を作ったりまとめるのが、いわゆる若手の仕事です。30代は、そもそも大きな会社の人と大きな話をして、それで共鳴して「じゃああなたに任せますよ」っていうのが求められるようになる。それってけっこう求められるスキルが違うんですね。

あともちろん経歴も大事ですし、めちゃくちゃ偉い人に「この人と一緒にやりたい」って思わせるような人間的魅力ですよね。

それから話し方で言うと、ビジネスエグゼクティブに刺さる言葉を言えるかどうかですよね。で、「あとは任せた」みたいな感じで、あとは(若手が)死ぬ気でやるみたいなのが実態です。

――例えば20代の若手がそういう人間的な魅力のある人を目指す時に、どういう行動や習慣をすれば、そうなれるのでしょうか。

勝木:やはりいろんな書籍を読むことですかね。よく分厚い教養の本とかおすすめされると思いますけど、さすがにしんどいと思うので、新書を読むのがいいと思います。新書は内容も濃いですし、分野横断的な知識が得られます。

もちろん実務的なスキルも大事なので、そっちをまず優先すべきですけど。10年単位で見た時に、読書量の差は大きいです。そしてその読書量からにじみ出る「この人わかってんな」感。それは日本語に現れるものですよね。人間は互いに「わかってんな」感をすごく見定め合っていますよね(笑)。それで何か知らないうちに選別されている気がします。

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